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feed ピアノ線ループアンテナ(中波) (2018/9/11 17:02:52)


 ピアノ線というのは言葉としては馴染みがあるものの、普段お目にかかる機会はほとんどありません。「鉄に炭素(カーボン)を混ぜた高炭素線材に特殊な焼入れをおこなって伸線したもの。強度と靭性にきわめて富む」とされています。主に工業分野で広く使われているようです。その名称から金属でないようなイメージがあったのですが、れっきとした金属です。もちろん導電します。ならば、コイルにもなるだろうと、今回これを使って作ってみることにしました。




 ピアノ線は並外れた硬さなので、ループ状に売られているものはそのままループとして使うしかありません。直線で使いたい場合は、直線状のものをはじめから求める必要があります。ループ状のものを、後から直線にすることは素人には不可能です。今回はコイル作りが目的なので、巻いてあるものを使いました。この場合、そのままでコイル(バネ)状になっているわけです。エスコというメーカーの太さ1.5mmx 10mピアノ線。2個購入。直径20cmくらいに丸められて袋に入っており、取り出したところ、一気に伸びて倍以上の輪に広がってしまいました。これは想定外。内部応力の解放された状態なのでこのまま使うしかありません。当初、ゲルマラジオ用のコイルを考えていたのですが、大きさを考慮し、ループアンテナに急遽、変更した次第です。

 〈製作〉 
 中波用ということで線材の長さを20mとします。そのため2つのピアノ線を銅パイプで連結しハンダ付け。ステンレス用のハンダとフラックスで接着してくれました。なお、この線材は錆びます。フラックス使用後は要注意です。

 さて、既にコイル状になっているものの、裸線なので、線同士が接触しないようにする必要があります。ユニバーサルブッシュを使い、溝に一本ずつはめ込みホットボンドで接着する作業を繰り返し、10カ所を固定。張力が強いので、作業しにくく歪みが出てしまいましたが、なんとかループコイルに仕上げることができました。直径48cm。16回巻き。インダクタンスを計ってみると295μH。これでコイル部完成。





 コイルが出来上がれば、あとは木台に固定し、バリコンを取り付けるのみ。炭素鋼で軽く、かつコイル自体が硬いので、自重で変形することはありません。なので、下から持ち上げるように固定しました。接続は一方は半田付け、もう一方は接点を変えられるようミノムシクリップとし、あまり使いませんが外部端子もつけました。
 

設置部の作製



完成

ミノムシクリップで自由にタップ(接点)可



 〈使用感〉

 外部端子からゲルマラジオに接続してみました。アンテナ側のバリコンを回すと・・・、なにも聞こえず。次にラジオ側のバリコンを回してみたところ・・・やはり何も聞こえず・・・??? 不安に思いながらも、ミノムシクリップでつなぐ位置を変えたりしていたところ、突如、聞こえてきました。どうもインダクタンスが大きすぎ、放送周波数からはみ出てしまっていたようです。指向性もかなり強く、方向を合わせるとこれまでにない大音量での入感となりました。NHK仙台第一と第二放送はボリューム調整したくなるほど。東北放送はかすかに入感、メリット4。過去にも中型ループアンテナを製作していますが、それとの比較で明らかに音量は大きく、リッツ線を使ったタワー型ループと同等な印象です。

 小さなバーアンテナを使ったゲルマラジオでも試してみました。バーアンテナのみでは何も聞こえません。ループアンテナの前に直角に置いたり、ループの中に入れると外部端子接続と変わらない感じで聞こえました。K-6952MBの感度アップにも使ってみました。やはり直接接続はせず、ループアンテナの前に置くだけ。アンテナ側のバリコンで合わせると、弱い放送も明瞭に聞こえるようになります。51の信号が55くらいまで上がる感じ。先鋭感もまずまずです。片方をミノムシクリップにしているので、タップは自由に取れます。放送によって接続点を変えた方が良く聞こえます。


外部端子接続

ループに入れただけ

 何度か書いている通り、太い線を使う、大きく巻く、スペース巻き、これがQを高める3条件です。付け加えるなら線材金属の違いというのもあるのかもしれません。ピアノ線に関しては、性能的な問題はなさそうです。

 この線材を使ってみての良し悪しをまとめてみます。良い点は、巻いてあるそのままの状態でコイルになる、つまりコイル巻き作業が不要。枠(ボビン)も不要。タップが自由に取れる。ハンダ付けできる。軽い。コイルとしての性能が良好。悪い点は、硬く張力が強いので加工や作業がしにくい。巻き直し、形状の変更ができない。密巻き不可。ケガをしやすい。といったところです。小さく巻いた線材があれば、もっと小型のコイルを作ってみたいと思います。









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