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link JO7TCX アマチュア無線局 JO7TCX アマチュア無線局 (2024/4/19 20:35:17)

現在データベースには 387 件のデータが登録されています。

feed 10エレ八木(430MHz)の2分割化 (2021/5/1 17:49:02)



 このところ430MHzを使う機会が多くなり、長く眠っていた八木をしばらくぶりに取り出してみました。第一電波のA430S10R2という定番の10エレで、購入した当初、吾妻連峰高山の移動運用で使ったことがあります。ブームが約1.2mあり、ザックサイドにくくり付けるにも長すぎ、手に持って登らざるを得ませんでした。もともと固定局用なので致し方ありませんが、軽量で組み立ても簡単、13dbiと高利得でもあるので、持ち運びの問題さえクリアできれば山でも使ってみたいアンテナではあります。

 エレメントは短いのでブームのみを2分割できればよいわけで、そう難しい工作でもないのでは?ということで、さっそく実行してみました。












 長さ120cmのブームを半分の60cmのところでパイプカッターで切り分けます。第4導波器と第5導波器の間の位置になります。ブームパイプ内径20mm弱。連結には塩ビパイプを使いました。これをブームに差し込んで固定。外径18mm、長さ19cm。ドリルで両端に4mm穴を開け、第4導波器と第5導波器の固定用ボルトに通し、蝶ナットで締めれば連結完了、となるはずです。ところが・・・。

 実際連結してみると、前方のエレメントと後方エレメントがきれいに揃ってくれません。穴の位置が微妙にずれてしまったようです。丸パイプ場合、穴の位置決めがけっこう手ごわいです。再度作り直し。今度は片方のみ穴をあけてブームに固定した上で前方ブームを挿入し、前後のエレメントを揃える。その状態でもう片方の穴の位置を確定し印を付けて穴あけ作業をおこなう。この手順で進めたところ、エレメントが揃ってほぼ理想的な形で連結してくれました。最後にビニールテープを巻いて隙間を埋め、ガタつき対策を施しました。収納時60cmでなんとかザックに入ります。重さ530g。




 本日、大年寺山にてさっそく使ってみました。設営は三脚に大型クリップを取り付け、ブームを挟むだけです。JP7IEL局(距離約40Km 双方5W)との交信。いつも51~52ほどの低空飛行でなんとか安定交信はできているのですが、さすが10エレだけあって59で入感とのこと。こちらには55~56ほど。パワーを下げFMでは0.1Wでも了解可とのレポート、その後双方0.5WDVモードで交信を続けました。




 現地での組み立ての手間もさほどなく、途中で連結が緩むこともありませんでした。そのうち蔵王に登った際にでも、これを使ったら面白いかな、と考えています。
 







feed 疣石山314m(亘理郡山元町) (2021/4/25 17:33:32)


 震災の前、雪の積もるこの山で無線運用したことがあります。その時の山頂は樹木の中にぽっかり開けた小空間という感じで、わずかに太平洋も眺められ悪くなった記憶があります。その後、訪れるたびに藪に覆われるようになり、ただの通過点のような薄暗い山頂に変わっていきました。ところが数日前、OMのブログでこの山に新たな作業道が作られ、山頂付近も伐採されて眺望が得られるようになったとの記事を目にしました。どのように変わったのか、気になって本日登ってみました。

 常磐線山下駅下車。高瀬峠をめざします。石切り場まではまともな林道ですが、その先は路面がえぐれ徒歩がやっとの状態。でも刈払いがされ以前よりは歩きやすくなっていました。峠から南の斜面を登ると大森山、今日は北へ。名乗峠(旧高瀬峠)を経て螺吹山の手前、右の枝道を進むとちょっとした展望地になっていました。石切り場の真上の場所のようで、太平洋や大森山が目の前に見えていました。


高瀬峠へ


高瀬峠






 登山道に戻り先へ。螺吹山はどこが山頂なのかよくわからず、標識も見過ごしてしました。ところどころ倒木があるものの藪っぽい感じはなく、良く踏まれた登山道を進むと、急に樹木がなくなり、伐採された斜面が目に飛び込んできました。。


伐採地

 
 角田側から尾根の手前まで作業道がせり上がっており、伐採地のへりを縫うように登山道が続いていました。その登山道を一登りした小ピークが疣石山(別名大沢山)。平坦な山頂との印象があったのですが、樹木がなくなってみると意外にも西側は急な崖となって高度感のある山頂に変貌していました。眼下に蛇行する阿武隈川、遠くに吾妻小富士や一切経山、安達太良連峰の稜線も確認できました。伐採によるものとはいえ、このあたりではなかなかの眺望と言えるかもしれません。


疣石山山頂







 誰もいない山頂でさっそく無線運用。IC-705に外付けバッテリーを付け、2mSSBにてCQを出しました。アンテナは軽量化のためRH-770のみ。塩釜市、仙台市、亘理町、蔵王町、福島市、相馬市、伊達郡、須賀川市各局より応答いただきました。樹木がなくなったためか、南西(福島方向)が良好な印象を受けました。続いてJP7IEL局と430にて交信。距離約70km。入感ポイントを合わせて51-51。ノイズが盛大に絡み厳しいかと思いましたがDVに移り安定して交信を続けることができました。




 約1時間半の運用を終わり馬船峠へ。急な斜面を北に登り返すと西に開けた金津展望台がありました。D-star仙台青葉レピーターにアクセスできるのでは?と思い試したものの、ダウンリンクはありませんでした。鷹討山の稜線が壁になっているようです。東街道コース分岐の先に太平洋側が開ける展望地があり、再度アクセスしてみました。今度はダウンリンクあり。Google Mapsに記録を残し、JP7IEL局と再度交信。






 下山は気になっていた中尾根の沢コースとしました。山元町側、角田市側とも以前にはなかったいろんなルートが新らたにできているようです。いつの間にか人の手が加えられ変わっていく里山。約5ヵ月ぶりの山歩き。何度も通っている山域ながら、いろんな発見がありました。






feed スパイダーコイル 立体巻き (2021/4/4 16:10:00)


 スパイダーコイルの型枠というのはたいがい厚紙を切り抜いて作るので強度的にはいま一つです。aitendoで扱っている型枠はプリント基板と同じ材質のようで、試しに購入したところけっこうな強度がありました。これならばということで、以前に考えてそのままになっていた立体巻きを試してみることにしました。


<材料>
型枠 aitendo SPL90-15 直径9cm 羽15枚
線材 0.35mmポリウレタン線
ベーク中空パイプ 長さ1cm
自在ブッシュ 溝4個






 型枠2枚を使い約1㎝の厚みを持たせた構造とします。中央と15枚の羽根先端に3mm穴が開いており、そこに長さ1cmの中空パイプを接着。乾いたらもう一枚の型枠を貼り合わせる。中空パイプは数カ所のみで良いかと考えていたのですが、パイプ無しの羽にたわみが生じることがわかり、すべての箇所に取り付けることにしました。今回も自在ブッシュを両面テープで貼り、分割巻きを採用。これで枠完成。あとは線材をブッシュの溝に沿って巻くだけです。溝が4個で枠の直径も小さいことを考慮し、1つの溝に10回巻きとしました。分割巻きは2度目ですが、厚みがあって前回以上に巻きにくく、集中力が続きません。油断すると溝を間違えてしまうのと、何回巻いたのかわからなくなります。溝に通すたびに目視しながら巻き進めました。最後の溝に10回巻いたところでインダクタンスを測ってみると109μH。思いのほか上がってくれません。追加でさらに5回巻いて168μH。これで良しとしました。中間タップは容量的に意味がないので付けませんでした。45回巻き。








 横から眺めるとバスケットコイルを平たくしたように見えなくもありません。立体的な巻き方により浮遊容量が抑えられ分離も良くなるのでは?

 ゲルマラジオ実験ボードにつなぎコイル単体で室内受信してみました。厚みが1cmあるので自立します。慎重にバリコンを回すとNHK仙台第一がかすかに聞こえてきました。弱々しくほんのかすかです。コイルの方角を合わせ41ほど。最大限に集中し話の内容が了解できる程度。窓際で少し上がり41~51。以前、10cmの薄い型枠にリッツ線を巻いたことがあり、その際は音声の片りんも聞き取ることができませんでした。それに比べると少しマシかな、といったところです。エアコンアースに接続したところだいぶ聞きやすくなったものの、仙台第二放送は受信できず、分離の良し悪しまでは確認できませんでした。








 今回は手間がかかったわりには期待したほどではなく、ちょっとがっかりな結果でした。ただ、この型枠自体はいろんな巻き方ができそうで、また何か試してみようかと思います。







feed 分割巻きスパイダーコイル (2021/3/28 10:24:24)



 小学何年だったか、学研『科学』というのがあってその付録で作ったのが最初のゲルマラジオです。子どもにとっては手ごわい付録で、慎重にスパイダーコイルを巻いたことを覚えています。その記憶が懐かしさを思い起こさせるのか、時々このコイルを巻いてみたくなります。平面でかさばらないこと、比較的大きな直径で巻けること、線同士が重ならず浮遊容量が少ないなどの特徴があり、昔の鉱石ラジオの定番でもあったようです。ただ、型枠の羽に交互や2本飛ばしで巻いていくとごちゃごちゃした感じになって見栄えが良いとはいえません。なにか方法はないものか? ふと、自在ブッシュを使って分割巻きにしたらどうなのだろう? 性能的にも期待できるのでは?と思い立ちました。でもスパイダーコイルの分割巻きって? とりあえずものは試し、巻いてみることにしました。


<材料>
厚紙で作った巻き枠 外径12cm 羽13枚(以前に作ったものを再活用)
ポリウレタン線 太さ0.35mm
自在ブッシュ 溝6個
木製台座、取付金具(再活用)




<製作>
 巻き枠の羽の表と裏に自在ブッシュを両面テープで貼り付けていきます。羽の寸法によりブッシュの溝は6個。定番通り羽2枚飛ばしで巻くと途中で混乱しそうなので、交互巻きとしました。溝に沿って表、裏と交互に巻いていきます。初めての巻き方なので、どの程度巻くとちょうど良いインダクタンスになるのか見当つきません。1つの溝に4回巻きで試し、最後に調整することにしました。1周したら同じ溝に合計4回巻いて、次の溝へ。溝に引っ掛ける感じで巻いていきますが、とても巻きにくいです。集中力がだんだん落ちてきて溝を間違え戻って巻き直し、の繰り返し。何回巻いたのかもあやふやになり、途中、5回巻きになったところあります。タップは2ヶ所で取りました。最後の6個目の溝を4回巻き終わった時点でインダクタンスを測ったところ110μH。少なすぎ。そのまま追加で5回巻いて再度測ったところ155μHとなり、これで良しとしました。合計巻き数はたぶん32回。分割巻きの効果か、インダクタンスは予想したより抑え気味な感じで、1つの溝に6~7回巻きでも良かったかもしれません。













 台座に取り付け、さっそくゲルマラジオ実験ボードにつないで聞いてみました。外部アンテナ、アースなし、コイル単体でNHK仙台第一が聞こえてきました。仙台第二は受信不可。前回作ったロの字ループコイルの鉱石ラジオよりもかなり音量低めです。一番外側のコイル外径で10.5cm、かつ細い線材なのでこんなものでしょう。単体で受信できただけでもまずまずと言えるのかもしれません。本当はリッツ線を使いたかったのですが、ちょうど良い太さのものがなく、ポリウレタン線を使いました。性能はいまひとつな感じですが、スパイダー+分割巻き、見栄え的には悪くないような気がしています。課題も見えてきたので折をみて改良してみます。




 多くの人に作られ、語り尽くされた感のあるスパイダーコイル。それでも、巻き方ひとつとっても試してみるべき方法が残されているように思わなくもありません。線材を変えたり、巻き数を調整したり、巻き方を工夫したり、それによって出来栄えやちょっとした性能の変化につながる、そこがコイル作りの面白さかな、と思います。







feed 鉱石検波考 (2021/3/20 16:44:10)



 自らは電源を持たず、細々とした電波のエネルギーを捉え、それをわずかな電気に変え、目的の周波数から音声を紡ぎ出す、無電源ラジオの奥深さにはまってしまうと、なかなか抜け出せない魅力があります。そして、技術の進歩に逆行する鉱石そのものによる検波。もの好きと言われればそれまでですが、実際試してみてやはり捨てがたいものがあります。


 第一に音質の良さがあります。ゲルマニウム単結晶や紅亜鉛鉱(ジンカイト)はとりわけ良好で、調和のとれた厚みのある聞き疲れしない音を聞かせてくれます。いろんなダイオードを試してみましたが、これまでのところ、これら鉱石に勝るものはありません。異なる鉱石同士の接合検波ではさらに高音質が得られ驚かされることがあります。この点は続行中です。


ゲルマニウム単結晶


 第二に感度。当所、1N60や1N270などのダイオードには及ばないとの感触だったのですが、必ずしもそうでもないと思うようになりました。適切な検波位置を探り当てると突如大音量となり、ダイオードに劣らぬ性能の高さを実感できます。定番として知られる方鉛鉱や黄鉄鉱では聞こえることは聞こえますが十分な感度は得られません。シリコン原石や精製品も同様です。自分の経験では紅亜鉛鉱とゲルマニウム単結晶がこの点でも優れています。Vfが極端に低くなる箇所が存在するということでしょうか。


 第三に欠点ともいえるのですが、電波の揺らぎ?が感じられます。鉱石の一点に検波針を当て、かすかな音声が聞こえてきたとします。その状態のまましばらくするとじわりと音量が上がってくることがあります。またその逆もあり、あたかも大きなフェージングに見舞われているような感覚になります。単に表面の酸化によるものなのかもしれませんが、電波の底知れないエネルギーのようにも、あるいは鉱石と対話しているようにも感じられ、先端デバイスにはない独特の味わいがあります。信号が安定しないということでもありますが、これはこれで気に入っています。


紅亜鉛鉱(ジンカイト)


 そして鉱物(石)が検波することそのものの現象、天然の整流作用、その神秘さにはまってしまいました。検波の際、針で探るという行為もなにかのメッセージを受け取る儀式のように思えなくもないです。プロセスを踏まないとメッセージは受け取れず簡単には聞こえてこない・・・ひと手間かけた体験を伴うところに独特の面白さがあります。


 いろいろなものを付け加えて性能を高めるのではなく、どんどんそぎ落として、そぎ落とした中に電波のエネルギーを感じ取り、原初的な音を聞く。先人たちは意外にも感度良く良質な音で聞いていたのでは? こんなふうに遡って追体験してみると、消え去った中にもなにか掘り起こすべきものがあったのでは? などと考えてしまいます。






feed 鉱石接合検波を試す (2021/3/13 17:03:59)



 検波とは変調の乗った信号から元の信号を取り出し復調することですが、既成のデバイスに頼らず天然あるいは準天然石のみでその作用が得られること自体、驚きがあります。鉱物にそんな力が内在していることに自然界の妙というものをいつも感じてしまいます。異なる鉱石同士を接合させることでより安定して検波することは、以前にも実験したことがあります。鉱石検波の面白いところはいろいろな石を組み合わせて試せるところで、それによって検波が安定したり、音量や音質が変わったりします。





 先日製作した鉱石ラジオを使ってあらためて試してみました。はじめカートリッジ方式の鉱石の上に別の鉱石を載せてみましたが安定感がなく、途中からアクリルパイプを使うことにしました。

 <2種類の接合検波>
 ゲルマニウム単結晶と班銅鉱
 ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱
 ゲルマニウム単結晶と方鉛鉱 
 紅亜鉛鉱と班銅鉱






 ゲルマニウム単結晶と組み合わせた接合検波は初めてです。どの組み合わせも音量が大きくなるわけではないものの落ち着いた音質に変化する感じがありました。特に班銅鉱との接合では検波ポイントが探しやすく、一度探り当てると安定した状態が続くようです。方鉛鉱との組み合わせは検波しにくくいま一つでした。紅亜鉛鉱と班銅鉱の組み合わせは定評どおり良く聞こえます。








 続いて3種類の鉱石の接合検波を試してみました。
 紅亜鉛鉱と班銅鉱と方鉛鉱
 ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱と班銅鉱

 アクリルパイプに3種類の鉱石を入れ、上から少し強めに針を当てると、意外にも探るまでもなく音声が聞こえてきました。ただし、聞こえることは聞こえますが2種接合に比べ音量は小さめです。3種接合してもかえって損失が大きくなって効果が得られないのかもしれません。


3種接合


 紅亜鉛鉱は班銅鉱と接合することで音量、音質ともさらに良くなることが今回も実感できました。特に音質はすばらしいです。ゲルマニウム単結晶についてはあえて接合検波にするメリットはあまり感じませんでした。今回の組み合わせだけで言えば単体で十分かな、といったところです。


前作と今回の鉱石ラジオ


 全盛期、先人たちもさまざまな鉱石を組み合わせて試しただろうと想像されますが、接合検波自体は効率やコストなどから十分その優位性が検証されることなく消えていったようです。今更ながらではありますが、まだ未解明な部分があり、鉱石同士の相性によっては思いもよらぬ検波に出会う、なんてこともなくはないのでは?と思ったりもします。







feed 探り式鉱石検波ラジオ (2021/3/7 17:26:51)




 現在のNHK第一放送の前身であるJOAK東京放送局の本放送が始まるのが大正15年(1924年)、それと共に昭和初期にかけて一世を風靡し、瞬く間に消えていった探り式鉱石ラジオ。その開発の過程では少しでも受信能力を高めようと様々なコイルや鉱石が試され、その後のデバイスの進化へとつながっていったのだと思います。今はそれによって効率よく検波できるわけですが、効率優先の中で置き去りにされてきたものもあるのでは? そんな思いから鉱石検波に一時夢中になりました。探り式というのもいかにもアナログで何かの儀式を想起させる古風な印象があります。半導体といっても鉱物そのものなので検波する箇所としない箇所があり、針状の電極で探る必要があるわけです。その針の材質もさまざま研究され、タングステンなどが使われたようです。

 各種ダイオード比較をしている内にふと、鉱石の音を聞いてみたくなり、数年前に作った鉱石検波専用ラジオで久しぶりに聞いたところとても良い音であることにあらためて気づかされました。ただ、小さな銅製カップに鉱石を置いて探る方式のため、接触不良や鉱石自体が動いてしまう問題がありました。探り式はそのままに、アプローチを変えて形にしてみたのが今回の鉱石ラジオです。




 コイルは縦20.5cm、横13.5cm、幅2.5cmのロの字型の木枠を使いました(元は菓子箱)。幅が狭いので普通に巻いたとしてもいくらも巻けません。数カ所に自在ブッシュを貼り、その溝の高さで巻き数を確保することにしました。溝は8つ。はじめ一つの溝に4回巻きとし、合計32回巻いてインダクタンスを測ったところ673μHと予想外に高くやり直し。溝2つに4回巻き、残り6つの溝は2回巻きとしたところ151μH。我が家の環境では問題ないのでこれで良しとしました。一種の分割巻き。この方法であれば、コイル幅にかかわらずインダクタンス調整が楽にでき、悪くないかなと思います。




 続いて検波部。細い銅線(針)で探る部分は同じですが、鉱石側はカートリッジ式としました。電極の銅パイプに各種鉱石を固定した一回り大きい銅パイプを差し込み固定する。これで導通や鉱石が動いてしまう問題はある程度解消されるかと。この検波装置では針で突くというより、銅パイプを上下させたり、カートリッジを回転させることで適切なポイントを探ることになります。とりあえずゲルマニウム単結晶、紅亜鉛鉱(ジンカイト)の2種類のカートリッジを作製しました。





ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱(ジンカイト)








 全体の作りはシンプルで、トランスも省きました。コイル、バリコン、検波部、音声出力端子のみです。いつものとおり裏面配線して完成。


 マルチタップトランスにつなぎ、さっそくオーディオイヤフォンで聞いてみました。まずは紅亜鉛鉱を装填。適当に銅線の針を接触させバリコンを回すと人の声が聞こえてきました。NHK第一放送。何度か接点を探るとけっこうな音量で鳴ってくれました。紅亜鉛鉱の場合、音量の大小はあるもののどの箇所でも聞こえなくなることはなく安定して検波してくれます。音質もすばらしく、ふくらみのある落ち着いた音声。






 続いてゲルマニウム単結晶。純度99.999%とか。球状なので針を側面に当てる感じになります。カートリッジ側を回転させて探ると、突如大音量で聞こえてきました。紅亜鉛鉱を上回る音量で、音質も負けず劣らずすばらしいものがあります。これぞ本式ゲルマラジオ?






 小さなループコイルなので性能的には期待できないかな?と考えていたのですが、なかなかのものです。鉱石の検波能力に負うところが大きいと思います。紅亜鉛鉱にしてもゲルマニウム単結晶にしても感度、音質とも既成のダイオードでは得られない領域では?と思ったりもします。時代を完全に逆行する鉱石検波ですが、なにか底知れない奥深さを感じます。2種類とか3種類の鉱石を使った接合検波も試してみたいのですが、もう一工夫必要かもしれません。






feed ロシア製ゲルマニウムダイオード (2021/2/23 11:33:47)


 ゲルマラジオ(無電源ラジオ)はシンプルにセラミックイヤフォンで聞く方法とトランスを介してオーディオイヤフォンで聞く方法があります。その際、ダイオードの種類により向き不向きがあり、セラミックイヤフォンで良く聞こえてもトランス経由の場合、音が歪んでしまったり極端に小さくなったりするものがあり、また逆もあります。たとえば定番の1N60でも点接触型の本来のゲルマニウムダイオードと同じ型番でショットキーバリアダイオードがあり、点接触型はセラミックイヤフォンに合い、ショットキータイプはトランス経由のオーディオイヤフォンにベストマッチします。自分はオーディオイヤフォンで聞きたいので、ほとんどの場合ショットキータイプを使います。なので「ゲルマラジオ」ではなく「無電源ラジオ」と言うべきかもしれませんが、便宜上、ゲルマラジオでも良いかな、と考えています。いづれにしてもダイオードの選択次第で音量、音質は天地の差となってしまうわけです。




 さて、aitendoで珍しい?ロシア製ゲルマニウムダイオードを扱っており、興味が涌いて数種類購入してみました。どれも点接触型ゲルマニウムダイオード。国内で流通しているものに比べ若干大きく、古風な雰囲気を纏った形状のものもあります。ショップのサイトにそれぞれ仕様も掲載されています。


D311   D312A   D18


 さっそくゲルマラジオ実験ボードで聞き比べをしてみました。試したのは次の種類です。
 ・D311
 ・D18
 ・D312A
 ・D9G
 ・D9V
 ・D9J
 ・D9B


 実験ボードに大型バーアンテナをつなぎ、もっともシンプルな回路で、まずはセラミックイヤフォンで聞き比べました。その結果、どれも1N60(ゲルマニウムタイプ)とほぼ同等に良く聞こえます。D311がもっとも歪みがなくクリアな音に感じました。D312Aはそれよりほんの少し音が小さめ。D18は若干歪みが感じられますが好みもあるかと思います。D9タイプを含め悪くないです。






 続いてトランスを経由してオーディオイヤフォンで比べたところ、セラミックイヤフォンの場合とは予想した通り異なる結果となりました。音量が大きく音質も良好なのはD312Aでした。今回試した中ではダントツです。D18はやはり歪みが感じられますが音量的には悪くないです。セラミックイヤフォンでもっとも良いと感じたD311を含めそれ以外はどれも音量小さめ、という結果になりました。


 ショットキーダイオードの中にはセラミックイヤフォンで聞くと歪みが激しくほとんど音声にならないものもあるのですが、D312Aは両刀使いでどちらでもよく聞こえます。しかも正真正銘のゲルマニウムダイオード。オーディオイヤフォンで聞く場合、選択の一つとの印象を持ちました。










feed ラジオキットK-7642B(aitendo) (2021/2/22 17:58:40)



 TA7642とBC548Bを使った1IC+1Trのストレートラジオキットです。3本足ラジオICは何種類かあると思いますが、TA7642以外あまり見かけなくなりました。自分は単純なストレートラジオが好みで、これまでも何度か作りました。このキットは前回のゲルマラジオキットと基板の大きさが同じで、電池ボックスも基板上に配置したオールインワンタイプです。単4電池1本動作、トランスなしでオーディオイヤフォンを鳴らします。






 付属のバーアンテナはゲルマラジオキットに比べ小型です(長さ5cm)。インダクタンスを測ったところ590μH前後ありました。ちょっと大き過ぎですが、バリコンとの相性もあるのでこのまま使うことにしました。マルチメーターで確認しながらCR類を間違えないように半田付け。前回同様バリコンの固定ネジが長く、回すと壊れそうなので手持ちの短いネジに取り換えました。また、電池ボックスが小さく単4電池が入りません。マイナス側のバネをカットして何とか収まりました。aitendo品質は相変わらずです。だいぶ慣れてはきました。1時間ほどで完成。




バリコンネジ交換

電池入らず左のバネ切断


 エネループ(1.2V)を装着し、電源オン。NHK仙台第一が圧倒的な音量で入感。NHK第二、東北放送もパワフルに受信できました。音量調整がほしいくらいです。室内のどこでも受信できてしまいました。小さなバーアンテナなのに感度良すぎでは? その反動で分離は難があります。バーアンテナの方角をうまく調整し、NHK第一が最も弱くなるようにすると他の2局が聞きやすくなります。コイルの指向性や偏波面(縦・横・斜め)でカバーすれば何とかなるかな、とったところです。ストレートラジオにたがわず音質は悪くないです。少し低音を増すため一カ所のみ回路変更し1KΩを追加しました。




 イヤフォンでこんなに大音量で聞こえるのであれば、スピーカーも鳴ってくれるのでは?とつないでみたものの、耳を近づけて聞き取れる程度でしか鳴ってくれませんでした。スピーカーを鳴らすにはさすがに非力なようです(アンプオンで普通程度に聞こえます)。




 このキットは1.2~1.5V動作の超省エネラジオなのに、予想以上に高感度で驚いてしまいました。小さなバーアンテナで回路も特別なものではないと思うのですが、どうしてこれほど高感度なのか不思議なくらいです。






feed aitendoのゲルマラジオキット (2021/2/16 16:23:47)



 ラジオを作りたくなってaitendoからいくつかキットを買い込みました。これもその一つ。aitendoのゲルマラジオキットは何種類かありますが、基板上にすべてが揃うオールインワンタイプです。アンテナ端子、イヤフォン端子、ダイオード取付けはターミナルブロックになっており、実験ボード的な使い方もできるかな、と。




 長さ10cmの大きめのバーアンテナが付属し、そのためゆったり目な基板になっています。不必要に大きいので、空いたスペースに回路図までプリントされています。このバーアンテナのインダクタンスを測ったところ861μHもありました。タップで測っても600μH前後。HPの説明では350μHのはずですが、大きすぎ。手持ちの別のコイルに交換しました。ポリバリコンの取り付けも要注意です。付属の固定用ネジが長過ぎ、締め付けるとバリコン内部に食い込み、壊れてしまいます。実際、壊してしまい、これも別のバリコンに交換しました。






完成 (付属品以外の部品を追加しています)


 ということはあったものの、部品数点なので難なく完成。このキットの特徴の一つがダイオードを2個使う倍電圧検波回路を採用していることです。整流回路としてみた場合、2倍の電圧を取り出せるわけです。過去に何度かこの回路を実験ボードで試したことがありますが、芳しい効果は実感できませんでした。ダイオード自体による損失も2倍になり理論通りにはいかないようです。そのダイオードですが、ロシア製のD311というもので、「高性能なゲルマニウムダイオード」なのだそうです。



 窓辺のガラスぎりぎりのところでセラミックイヤフォンで聞いてみました。10cmのバーアンテナ単体では受信は無理だろうと予想したとおり、適当にバリコンを回しても何も聞こえず、でした。再度イヤフォンを耳奥に装着し直し、最大限の注意力をもってバリコンを回すとNHK仙台第一の音声が一瞬かすかに聞こえ、さらに慎重に合わせ、何とか受信できました。21~31程度。次にアンテナ端子からエアコンアースにつないだところ、十分聞き取れる音声で入感。この状態で倍電圧検波と単体検波を比べてみました。その結果、今回は倍電圧検波による音量アップが実感できました。2倍とはいかないものの1.5倍くらい力強い音声になります。




 ループアンテナも試してみました。バーアンテナをループコイルに対し直角にすると効果てきめん。また、大型の外付けバーアンテナを端子につなぎ、トランスを経由してオーディオイヤフォンで聞いてみたところ、若干ゆがみが感じられるものの程よい音量で鳴ってくれました。セラミックイヤフォンは耳に合わず、やはり自分はこの方が好みです。




 D311を外し定番の1N60と比較しました。わずかに音量低下が感じられましたが悪くないと思います。他にもロシア製ゲルマニウムダイオードを何種類か買ってみました。在庫が尽きたらもう出回らないレアものなのかもしれません。追々試してみます。







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