7月の最終土日はライセンスフリー無線の一斉移動イベント、SV!このイベントは例年山岳移動すると自分の中で決めている。Eスポ真っ盛りの時期ではあるが、やはり苦労して山に登った者同士の超高所間QSOは他に変え難い喜びがある。
日帰りだとせわしないので久しぶりにテン泊で行きたいが、体力も2017年の雲取山で壊した膝も心配。ハードすぎない手頃な山はないものかと探した末、八ヶ岳の最南端に位置する編笠山に決定。ここならテン場から30分ほどで山頂だし、反対方向には権現岳も聳えているので2ピーク制覇もできる。
金曜夜、新東名を経由して中部横断道を北上。ここが開通してから山梨・長野方面へのアクセスがかなり楽になった。ほぼ1車線のみの対面通行だが、交通量が少ないので快適そのもの。浜松だとコンディションによってはフェージングがきつかったり弱かったりであまり安定して聴けないAFNがこのへんだと普通に車で聴けるんだなーなんて思いながら観音平の登山口駐車場へ。
登山者の朝は早い。3:30頃には外が騒がしくなってきたが自分は明るくなるまで二度寝。のんびり朝メシを済ませて6:00登山開始!
笹地帯を抜けると”雲海”ポイントへ。雲海の向こうに富士山のシルエットが綺麗に浮かんでいた。
テント泊ということで ザックの総重量は17kg 。持ち上げたときは「ウソだろ!?」とその重さにぶっ飛んだが、背負って歩き始めると恐れていたほどキツくはない。いや、キツいんだけどなんとか頑張れるくらい。北岳のときのように両足太ももが攣ってしまわないよう慎重に歩を進める。
3時間ほど登ったところで山頂へのルートと巻き道の分岐が現れる。テン場のある青年小屋はピークの向こう側。山頂アタックは明日早朝に行うので迷わず巻き道を選択。ところがこれがキツかった。たしかに等高線通り高低差は大したことないがデカい岩がゴロゴロしておりむちゃくちゃ歩きづらい。おまけに前日の雨の影響でぬかるんでいる場所が多く岩に乗ると滑るので余計に気を遣う。
大きな岩に大股でよっこいしょと登ったり下りたりを繰り返すのはかなり足にくる。しかも狭くてそこかしこに枝が張り出しているので中腰でくぐらなくてはならずさらに足に負荷がかかる。ここまで3時間以上歩いてきた疲労も加わり一気にペースダウン。やっとの思いで小屋に着いたのは3時間40分。標準CTを少し超えてしまった。17kgの重量恐るべし。
小屋で受付をしてくれたお兄さんは奇遇にも浜松の人で、2ヶ月だけアルバイトで来ているとのこと。
まだ10:00前とあってテント場には数張しかなく、超フラットで石がない極上の場所をゲットできた。
涼しいかと思っていたけど日差しがかなり暑い。日陰に移動してカレーヌードルを食べる。山の上で食べるよりも美味いカップラーメンの食べ方をオレは知らない。
テントに荷物を置いて身軽になったら権現岳へと思っていたが、腹が膨れ、持ってきた座椅子に寄りかかったら完全に根が生えてしまいそのままダラダラと過ごしてしまった。携帯も圏外だし、何もすることがない。山頂アタックする人の列を眺めたり、ホバリングしているアブと戯れたり。デカいアブには足を食われまくった。払っても払ってもキリがない。オニヤンマ君や虫除けスプレーで対処している人もいたけど全然効いていないようだった。アキアカネも大量に飛んでたけどまるで気にしていない様子。ここのアブ強すぎる。
インスタのアイコンみたいな模様の蝶も遊びにきた。何度もタイツに止まっては蜜を吸おうと口を伸ばしていた。すまんな、それは花じゃないのだ。これだけ色んな色があっても必ず白を狙っていたのが興味深い。
13:00ごろ、テン場から少し離れたところに移動してちょっとだけCQCQ。山梨県南都留郡鳴沢村移動のながのAA601局、やまなしFK909局から応答いただいた。鬼の御殿場口から富士山頂を目指しているであろうとうきょうSS44局ともつながるかと思ったが応答なし。後から知ったのだが、このころSS44局は超重量級ザックと蟻地獄のような砂、そして体調不良により登頂を諦め下山されていたとのこと。SS44局の化け物級の体力を以てしても断念とは恐るべし御殿場口。
自分も過去に登ったが、まずその果てしなく遠い景色に心を折られる。 富士山どこ? ってくらい遠い。そして1歩進むと半歩ズリ下がる砂の足場。山小屋泊だったので荷物は軽いし2日に分けての挑戦なので山頂まで辿りつけたけど、それでも過酷だった記憶しかない。なにしろ他の3ヶ所の登山口が標高2400m付近からスタートなのに対し御殿場口は1440mから。5合目とは名ばかりで実質2合目ですから。
イベントデーなのでもっと運用局いるかと思いきや意外と静か。場所が悪いのか?夜に備えてまだみんな準備中なのか?早々にテン場へ戻り再びダラダラタイム。テン場からサンダル移動で運用できるような場所があるといいな。ここは15分くらい岩渡りをするか山頂まで上がらないと見通しが悪い。無線運用的には場所の選定はちょっと失敗でした。
午後になるとだいぶテントが増えてきた
翌朝、明るくなると同時に行動開始。5:00頃に山頂へ。500kmを超える彼方、石鎚山で運用されているフクオカAB182局の電波を捉えるべくロッドアンテナを伸ばす。全チャンネルを注意深くワッチするも誰も聞こえてこない。状況が分からないのでひとまずCQを出してみると早速ナガノAA601局からコールバック。DXチャレンジは4chで行われているということ、サイタマKM117局が呼んでいるということを教えていただいた。とうきょうSS44局からも呼んでいただき、昨日下山してフジリン移動隊に合流されたことを知る。
4chで耳をすますが残念ながらAB182局の声は聞こえてこない。サイタマKM117局にお声がけするとかなりしんどそうな声。どうやら高山病にやられている様子。それでも山頂まで上がって無線運用しているのだから恐れ入る。
SS44局といいKM117局といい、大ベテランのお二方がここまで苦しむとは。。。この日の富士山には 魔物が棲んでいた としか思えない。
山梨県笛吹市移動のヤマナシAB38局、熱海市滝知山移動のカナガワCB124局から応答いただきCQは一巡した模様。この時間だからまだ運用局少ないのかな。平地運用局が増えてくる9:00ごろまで運用しようかと思っていたけど、 ジルイ兄さん達 と交信できたし、特小でも各局さんと交信できたので、交信数は少ないものの満足して下山することに。
山を見ろ!と言わんばかりの見渡す限りの雲海。 富士山〜南ア〜中ア〜御嶽山〜北アまで一望 のすごい景色。
山頂からテン場へ戻る途中、おそらくテントを撤収したフル装備で山頂に向かう人としばし雑談。自分と同じく昨日巻き道から来たとのこと。巻き道ってもっと楽なもんじゃないのか!?あんなの聞いてないよね!と盛り上がった。
山頂直下から青年小屋と権現岳を望む
テントをたたみ、2時間10分で下山完了。最後の30分ほどで恐れていた膝痛が出てしまった。たぶん飛ばしすぎでドスン着地になっちゃってるんだろうな。ゆっくり下りる自制心と、そろーりそろーり歩きにも耐えられる筋肉をつけないといかんなぁ。
今回、食料も水分も防寒装備も過不足無くドンピシャだった。これが意味することは、 17kgからもう削る余地が無い ということである。マジかよ。けどまたしばらくするとテン泊したくなるんだろうな。
<ログ>
7月29日 編笠山山頂直下
市民ラジオ
1304 ナガノAA601局 54/55 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
1309 ヤマナシFK909局 55/56 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
7月30日 編笠山山頂
市民ラジオ
0515 ナガノAA601局 55/56 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
0520 とうきょうSS44局 54/55 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
0523 ヤマナシAB38局 53/58 山梨県笛吹市
0534 カナガワCB124局 51/41 静岡県熱海市滝知山
特定小電力無線
0559 ナガノAA601局 M5/M5 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
0603 とうきょうSS44局 M5/M5 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
0607 やまなし FK909 局 M5/M5 山梨県南都留郡鳴沢村富士林道
すでにYoutubeで公開していますが、常置場所のひどいノイズ対策としてノイズキャンセラーを製作しました。
ノイズ源はよりによって自分の家へ引き込まれている電灯線。短波ラジオを持って敷地内を歩き回ると、明らかに引き込み線の周りだけノイズレベルが上がります。
・昼夜関係なくノイズレベルが一定 ・・・ソーラー発電や家電ではなさそう
・ブレーカーを落としてもほとんど変わらない ・・・少なくとも自分の家の家電や電源が原因ではない
・風が吹くとノイズレベルが上下する ・・・引込線の揺れに合わせてノイズレベルが変わっている様子
元々は超ローノイズな場所のはずだったのに、よりによってアンテナのエレメントに沿うように電線が引き回され、挙句、同軸の引き込み口と電灯線の引き込み口がほぼ同じという最悪の配置。最終手段としてはアンテナの配置を変えるしかありませんが、その前にあれこれと悪あがきをしてみました。
同軸ケーブルにパッチンコア
ネットの情報によると、劇的に効いたという例も結構あるみたい。10個つけてみましたが全く効果なし。ほんの少しでも変化があればちゃんとしたコモンモードチョークを入れようと思いましたが、こりゃ望み薄ですね。
アイソレーショントランス(ガルバニックアイソレータ)
いろんなコアで試してみましたが全く変化なし。やはりコモンモードノイズではなさそう。
バンドパスフィルタ
60Hzの電灯線ノイズが犯人なら、もしかしたら7MHzだけを通すバンドパスフィルタでカットできるんじゃないか?と期待しましたがこれもダメ。LC直列、T型、π型と色々試しましたが全く変わらず。21MHzあたりから上になるとノイズレベルがぐっと下がるし、60Hzの高調波が7MHz帯にも出ているのかなぁ。
ということであとは送信と受信でそれぞれ別々のアンテナを使い、PTTと連動させて切り替えるかノイズキャンセラーを使うか。受信アンテナを別にする案もやってみたい気がしましたが、同軸引き込みが同じ場所だと結局電灯線ノイズを受けそうなので、ノイズキャンセラーを製作することにしました。これはオーディオのノイズキャンセリングヘッドホンと同じ原理で、メインアンテナと別にノイズ受信用のアンテナを用意し、ノイズアンテナで受信した信号を反転させてメインアンテナの信号と合成すると打ち消し合って消えるというものです。
ということで前置きが長くなりましたが回路図です。
※2024.04.16追記 回路図に間違いがありました。SW2のVR1に繋がっていない側の端子はGNDに繋がっていないといけないのですが、GND記号が抜けていました。コメントでご指摘いただいた方、ありがとうございました。近日中に回路図修正します。
1エリアの2文字コールのOMさんが考案された回路をベースにしています。原典では入出力に3dBパッドが付けられていましたが減衰を嫌って省略してしまいました(^^; ただし、リレーの切り替えのタイミング次第では送信時に回路に繋がる可能性もあるため、無線機の終段保護の観点から3dBパッドは付けるべきだと思います。また、回路側の保護のためにダイオードクリッパ等の過大入力対策もした方が安全ですね。
ノイズ用のアンテナには100MHzあたりでSWRが落ちている謎のホイップアンテナを用いました。たぶんベースコネクタ部分とエレメントがそれぞれ別のアンテナのものが組み合わされているのではないかと思います(^^; これを電灯線に近いベランダの手すりに設置。
このノイズアンテナがとても大事です。受信時に障害となっているノイズと同じものを受信しつつ、目的の信号(相手局)は受信できないというのが理想。 なぜなら受信の障害になっているノイズと異なるノイズを受信しても打ち消すことができません。むしろ加算されてしまいます(^^; 反対に、ノイズアンテナで目的の信号まで受信してしまうと打ち消し合って消えてしまうことになります。 いかにノイズだけを選択的に受信するかが成功の鍵です。
運用時にはSW1,2とVR1,2を切り替え、調整しながらノイズが消える点を探っていきます。これがまた微妙でシビアな調整を要求されますが、ある1点でフッとノイズが消える瞬間は快感の一言です(^^)
ちなみに以前、「違法局キャンセラー」と題して同様のものを製作しました。こちら(RF編)はトランジスタによる増幅はなく、コンデンサによるフェーズシフタとトグルスイッチでの180度反転だけのパッシブ型です。消えるには消えましたが、弱い信号だけを選択的に浮かび上がらせることができませんでした。アンテナの選択が悪かった可能性もありますが、ゲイン不足だったようにも思います。
違法局キャンセラーの実験 RF編
https://ar96.blog.fc2.com/blog-entry-844.html
違法局キャンセラーの実験 その2 AF編
https://ar96.blog.fc2.com/blog-entry-846.html
違法局キャンセラーの実験 その3 AF編Ver.02
https://ar96.blog.fc2.com/blog-entry-847.html