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ダイレクトコンバージョン受信機の製作 その1 (2015/6/8 22:45:35)
これまで名前となんとなく原理は知っていたけれど、それほど興味が湧かなかった(^^;)、ダイレクトコンバージョン受信機(以下DC受信機)。しかし、 できるだけシンプルに受信機が作れないか
とあれこれ調べていくうちにレフレックス→再生検波→DC受信機へと興味が移ってきました。手持ちの部品でとりあえず作れそうなので、どんなもんか試してみることに。
<DC受信機とは>
スーパーヘテロダインが受信周波数に局発の周波数を混合して455kHzとか10.7MHzとかの中間周波数に変換してから検波して音声信号にするのに対し、DC受信機は受信周波数に局発信号を混合していきなり音声信号に変換してしまう方式です。例えば市民ラジオの8chを例にとると
スーパーヘテロダイン(シングル)
ダイレクトコンバージョン
こんな感じ。それぞれにメリット・デメリットがあります。スーパーの場合は455kHzに変換したあとにセラミックフィルターなどで余分な信号をカットできる。ただしフィルターや中間周波数の増幅などの分、部品点数は多くなる。一方DC受信機は中間周波数が無い分部品点数は少ないですが、フィルターが甘い(混合された後の音声信号にフィルターをかけるためセラミックフィルターやクリスタルフィルターのような急峻な特性が得られない)というネガがあります。
※余談
上記のシングルスーパーの場合、局発が27.599MHzだと27.599MHz-27.144MHz=0.455MHzとなりますが、もうひとつ28.054MHz-27.599MHz=0.455MHzというパターンもあり得ます。27.144MHzと28.054MHzのどちらも455kHzに変換されてしまうので28.054MHzに何らかの信号・・・アマチュアバンドのCWが出ている場合にはスピーカーからCW信号が聞こえてくることになります。これがRJ-380とかICB-880などのシングルスーパー機で聞こえるCWの正体であり、イメージ混信と呼ばれる現象です。
<構想>
コンセプトは
1)極力シンプルに、部品点数は少なく!
2)小さく!
3)ひとまず7MHz近辺のアマチュア無線や短波放送が受信できればOKとする
これらを実現するため、混合にはDBM(ダブルバランスドミキサ)ICの NE612AN
を使うことにします。ダイオードを用いたDBMの場合、局発のレベルがある程度大きくないとスイッチング動作ができないことや、発振回路が別途必要、混合後の増幅が必要など色々大変なのですが、このICは混合だけでなく増幅も行ってくれるので、混合と同時に14~17dBの利得が得られるというありがたいIC。おまけに発振回路も一部内蔵されているので水晶、もしくはLCタンク回路を外付けするだけで局発も出来上がりという非常に便利なICです。帯域も500MHzまで使えるので短波帯での使用には充分すぎるくらい。
<発振・混合の実験>
まずはちゃんと発振させられるか、混合できるかの実験。以前にこのICを使ったときは発振しなかったり異常発振してしまったりでちゃんと使えませんでした(^^;)
あれこれいじっているうちに壊してしまった可能性がなきにしもあらずなので、ICに問題がないか念のため確認します。等価回路図を見ると6pinが発振用のトランジスタのベースになっておりバイアス電圧がかかっています。
8pinに電源、3pinはGNDに繋いで6pinと7pinの電圧をチェックすると正常に動作しているようで一安心。
水晶発振の方が安定するのは分かってますが、手持ちの水晶にちょうど良い周波数がないことと、ひとまずの動作確認のため周波数の可変範囲を広く取りたいことからまずはクラップ型のVFOにしました。
コイルにはアイテックのALコイルを用いました。AR-01の製作のときには局発にAMZコイルやALコイルを使うと発振せず、FCZに換えたら発振したということがありましたのでちょっと不安でしたが、オシロで見てみると綺麗な正弦波で発振しておりホッとしました。
右写真:一番手前がFCZコイル、その奥がAMZコイル。基板に付いているのがALコイル。
局発さえしっかり発振してくれればもう完成したようなもの(?)、フロントエンドにLCの同調回路を組み、1m程度のビニール線アンテナを付け、ICからの出力をギターアンプに突っ込んで聴いてみました。
おー、なにやら中国語っぽいのが聴こえます(^^)
ちょっとゲイン不足な感はありますが、わずかこれだけの部品点数で受信できるのはすごいですね。しかし周波数ドリフトは予想以上の激しさでした。10秒と持たずどこかへすっ飛んでいってしまいます(笑。安定させようと思ったら電源電圧の安定化や温度補償のコンデンサなどを使わないとダメでしょうね。まぁとりあえず今回は受信できるかどうかの確認がとれたので上出来です。
~つづく~
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