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feed FTM-10Sを山岳で使う (2016/10/7 18:58:35)


 ID-51を使い始めて3年半が経過しました。この間、移動運用はこのリグ1台でこなし、延べ交信時間は300時間を超えました。風雨にさらされ、地面に何度も落としもしましたが、故障することなく、気丈に働いてくれました。この機種の前に使っていたDJ-S57も延べ交信が約300時間で選手交代としました。山岳移動の場合、万が一、山中で故障では泣くに泣けません。ということで、新たな機種としてFTM-10Sを導入してみました。ハンディ機ほどではないものの、コンパクトで重さ670g。バッテリーを加え約1kg。まあ、なんとか許容範囲かな、と。最大出力10W可、バイク用モービル機なので防水防塵仕様、振動やノイズにも強そうで、ラジオが付いているのも山では好都合、かと。



 リグ本体部分とコントローラー部がケーブルで分離されており、コントローラー部にマイクとスピーカー、PTTが付いています。逆に考えればスピーカーマイクに操作部が付いているわけで、デジ簡機でいうと、すべての操作をハンドマイクで行なうDPR-1に近いです。本体には電源とアンテナをつなぐだけ。消費電力も少なく、ある意味、電源外付けのポータブル機と言えなくもありません。
 
 何度か山で使ってみたので、以下、このリグの印象を記しておきます。

<受信性能>
 アマチュアバンドの受信感度は、FT817より若干良く、ID-51と比較してもさほど遜色なし。悪くありません。混変調やノイズに対しどうなのか、それらは追々検証したいと思います。特筆すべきは、小さなスピーカーなのに音が良いこと。音質調整も可能。このリグはアンプ部が優秀です。実際、受信音を聞いてみると、ハンディ機にない余裕が感じられ、これが了解度の良さにつながっているように思えます。なお、スケルチは最小のMINに設定しても少し深めと感じました。



 ラジオ機能について。モービル機なのでハンディのようにバーアンテナを内蔵せず、モービルアンテナ接続を前提としています。ハンディホイップ直付けではほとんど受信できず実用外、ID-51と同等。RH205(長さ130cm)に換えると、室内窓際にてNHK仙台第一放送、仙台第二放送、東北放送が受信できました。泉ヶ岳、栗駒山山頂にて7/8λGPを接続した状態では、3局ともメリット5できれいに入感。見晴らし良く、かつそれなりのアンテナをつなげば、山で使えないことはないです。まあ、そんなアンテナ立てて山頂でAMラジオを聞く人はいませんね。なお、取説にあるとおり、芯線がグランドに直結しているアレスター方式のアンテナの場合は感度が極端に落ちます。というよりホント何も聞こえません。第一電波のRH770やSGシリーズの多くがこの方式。一方、FMは実用十分な感度で、ステレオ受信も可。受信状態さえ良ければAMもFMも並みのラジオより音がいいです。

<送信>
 145MHzの場合、10W、3W、0.5Wの3段切り替え。10W出せるのはハンディ機にない大きな利点で、ファイナルに余裕がある分、安心して使えます。厳しいかな、という場面で実際3Wから10Wに変更したところ、41の信号が52〜53程度に上がるようです。垂直系アンテナしか使えない狭い山頂などではこの差は大きく、FTM-10sを使う意味はここにあるといってよいかもしれません。マイク送信音は良好。また、送受信ランプが鮮明で気に入りました。バッテリー切れに気づかず長話しなどという失態は防げそうです。

<操作性>
 コントローラー部を左手に持ち、人差し指でPTTを押す。ハンドマイク感覚。細身の形状で持ちやすいです。コントローラーのみの操作でSメーターや時刻の確認なども完結するので、慣れれば使いやすく感じました。コントロールケーブルの長さを調整すれば、本体にアンテナを直付けした状態でザックに収納し、登山中に手元での操作も可能です。また、リグ本体を三脚設置のアンテナ直下に置くことで同軸ケーブルを短くできるし、少し離れて運用、など自由度も高いです。コントロールケーブルが2.5mあり邪魔で重いかな?と心配しましたが、想像していたより軽く、丸めておけば問題なし。取り回しは悪くありません。




ケースに入れてしまえばポータルブル機



<良くない点>
 Sメーターが4段階表示しかありません。一方、音量表示は7段階。どうして? 音量の大小など聞けばわかることで、表示そのものが不要では。Sメーター以外にも表示内容に不満を感じました。パワー設定、電圧表示、時計時刻といった適時確認したいものが、いちいちボタン操作しないと表示されないのは不便。特に電圧表示が2ボタン操作でわずらわしい。小さくともよいので常時表示してほしいものです。また、ブルー文字のディスプレイが曇天や夜間は見やすいものの、日中の認識は良いとは言えません。
 M型コネクターなので、変換なしに外部アンテナが使え、モービルホイップ直付けもできるので便利ですが、コネクター周りに防水用樹脂カバーが付いており、根元の細いアンテナでないと入りません。変換コネクターもカバーが邪魔してねじ込みできず、この点は問題ありです。



 使いそうもない機能もたくさん付いています。広帯域受信とかスキャンとかメモリーとか、自分には煩わしいだけで不要です。クラブチャンネルとかも。これはいったい?? 

<バッテリー>
 PORTECモバイルバッテリー(リチウムポリマー3.7V換算15000Ah)で何度か運用してみました。12V(3.5A)設定。パワー3Wを基本にときどき10Wという運用で4時間半は持ちます。それ以上は試していないので、なんとも言えません。CQを出す際は3W、0.5Wでの運用を中心とする。遠方の局で厳しそうな時のみ10W、そんな運用であれば十分耐えられるのでは? 12.5V前後を維持するため、リグも熱くなりません。このスタミナで360gと軽く、手放せないかな、といったところです。ただ、このバッテリーで動作するのはFTM-10sの消費電力が10W送信でも2.0Aとたいへん省エネ設計だから、と言えます。もし、他のモービル機ならPTTを押したとたんにダウン、の可能性大でしょうね。どれも良さそうに見えるモバイルバッテリーですが、当たり外れが大きく、以前購入したものは12V設定と表示されていても11.1Vしか出ませんでした。実際、使ってみないとリグとの相性は分かりません。このモバイルバッテリーとFTM-10sとの相性は悪くないようです。



 ノイズの件は何度か書いた通りです。とりわけ145MHzで発生しやすく、パッチンコアを入れることで一応収束状態ですが、ノイズは軽々に判断できません。魑魅魍魎の世界。引き続き様子をみて、またの機会に報告したいと思います。


 もともとバイクモービル専用の無線機を山岳用に使うのだから、ある意味、用途外です。ですが、実際使ってみて、山でも使いやすく、有用との手ごたえはあります。リチウムバッテリーが安価に普及してきたことを考えると、小型で丈夫なモービル機をポータブルに使う、それもありかな、と。もちろん、登山なので軽いに越したことはありません。軽量ハンディ機がいくらでもあるのに、今さら重く面倒なものをなぜ?と自問自答しないでもありませんが、趣味というのはそんなものです。効率ばかり求めたら趣味にならず、なんてね。今後はFTM-10Sをメインにアナログ、ID-51はサブ機としてデジタル(DV)という使い分けで2台を持参。しばらくこれで運用してみます。






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