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アイコム株式会社は2021年7月、HF~50MHz帯のフラッグシップモデルである「IC-7851」の一部地域向けバージョン(おもにヨーロッパ向け)の生産を終了することとし、該当地域のディストリビューター(販売店)に連絡を行った模様だ。日本国内向けや米国向けなどのIC-7851は今後も生産・販売が継続される。
アイコムのIC-7851は「ハムフェア2014」会場で発表された同社50周年記念限定モデル「IC-7850」の量産バージョンとして、2014年末に発売が始まった。受信部はSDRではなくアップコンバージョン方式のスーパーヘテロダイン(第1IFは64MHz帯、1.2kHzの狭帯域ルーフィングフィルタを装備)、純度が高くノイズ極小の局発、送信出力は最大200Wで高周波成分を含まない共振型(正弦波)スイッチング電源の内蔵など、アマチュア無線機として最高峰の技術で作られ、現在も国内外のOMハムなどに多数愛用されている。
しかしここ数日、海外で「IC-7851の生産・販売が終了される」という噂が流れている。現在も最高ランクのスペックを誇り、開発には長い時間と莫大な費用が掛かるフラッグシップモデルが、発売開始からわずか6年半で終了というのは信じがたく、その噂の確認と情報収集に務めてみた。
hamlife.jpが独自に入手した情報によると、ヨーロッパ方面で発売されていたIC-7851は、昨年12月に施行されたヨーロッパにおける「欧州新安全規格(EN62368-1)」の規格を満たさなくなった。そのため同社は、IC-7851の一部地域向けバージョン(おもにヨーロッパ向け)の生産を終了することとし、該当地域のディストリビューター(販売店)に終了の連絡を行った模様…というのが真相のようだ。
一方、このレギュレーション変更の影響を受けない「日本向け」や「米国向け」などのIC-7851は、今後も生産・販売が継続されるという。今回さまざまな方面に情報収集を行ったが、得られたのは、この“一部地域向けバージョンの終了”というアナウンスのみで、「IC-7851の後継機種」に関する話はまったく聞こえてこなかった。
※EN62368-1:人体への傷害を防ぐ「ハザード・ベース・セーフティ・エンジニアリング(HBSE)」という概念をもとに開発されている、新しい製品安全規格のこと。
●関連リンク:
・Product Discontinuation:IC-7851 HF All Band
Transceiver(QRZnow.com)
・IC-7851製品情報(アイコム)
・新・製品安全規格「IEC 62368-1」の動向と移行方法(EDN Japan
2016年掲載記事)