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feed <総務省「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」>JARLが提出した意見・要望が明らかに (2022/4/1 12:05:15)

総務省は2022年1月から、ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線に係る制度・環境等の実現に向けての助言・提言を有識者から得ることを目的に「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」を開催している。その構成員として加わっている一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)髙尾会長が提出した、JARLとしての意見・要望の内容がこのほど発行された「JARL NEWS」2022年春号の記事で明らかになった。

 

 

「JARL NEWS」2022年春号より

 

 

 総務省は、ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線に係る制度・環境等の実現に向けての助言・提言を有識者から得ることを目的として「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」を本年1月から定期的に開催している。

 

 座長は電気通信大学先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センターの藤井威生教授、構成員は一般財団法人 マルチメディア振興センター ICTリサーチ&コンサルティング部シニア・リサーチディレクターの飯塚留美氏をはじめ、髙尾義則JARL会長、三木哲也JARD会長、櫻田洋一CQ出版社取締役兼CQ ham radio編集長ら6名となっている。

 

 同アドバイザリーボードでは「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線に係る制度・環境等の実現に向けての助言」と「提言(検討に当たっては、アマチュア無線を取り巻く我が国の社会環境や電波利用の状況等の変化、無線機器の市場・技術動向等の変化、各国の制度やその社会状況、さらには電波法の目的等を踏まえます)」を行うことは公表されてきたが、具体的な検討内容は明らかになっていなかった。しかしこのほど発行されたJARL機関誌「JARL NEWS」2022年春号の中で、JARL側が提出した意見と要望が明らかになった。

 

 

「JARL NEWS」2022年春号より

 

 

 JARLはまず「ワイヤレス人材育成のために必要なアマチュア無線の制度の在り方、3つのポイント」として、下記の項目を挙げている。

 


 

●ワイヤレス人材育成のために必要なアマチュア無線の制度の在り方、3つのポイント

 

 アマチュア無線を活用したワイヤレス人材育成には、以下の3つの取り組みが重要であると考えます。

 

①無線技術に興味・関心を持つきっかけづくり
 →アマチュア無線を知らない人に知ってもらうにはどうすればよいか。

 

②アマチュア無線を始めやすくする
 →アマチュア無線に興味を持ったまま始めてもらうにはどうすればよいか。

 

③実験・研究にチャレンジしやすくする
 →アマチュア無線を楽しんで続けてもらうにはどうすればよいか。

 


 

 その上で、上記①~③とその他(④)の具体的な意見・要望の内容と、実現した場合にワイヤレス人材育成の上で得られるメリットと効果を述べている。
 内容は「無資格者のアマチュア無線体験機会の拡大」から「資格取得の迅速化」「開設・運用までの手続きを迅速化」「包括免許制度導入」「電波監視体制の一層の強化」「外国から来日するアマチュア無線家の免許手続きの簡素化」「“移動する局”と“移動しない局”のアマチュア無線局免許の統合」など多岐にわたっている。

 

 以下、JARL NEWSに掲載された内容から意見・要望部分を抜粋し、項目を読みやすく整理した上で紹介する。

 

①アマチュア無線を知ってもらうには

 

★<アマチュア無線に触れる機会を増やす>
【JARLからの意見・要望】有資格者の監督のもとで無資格者がアマチュア無線を体験できる機会について年齢層等の拡大。
【メリット・効果】アマチュア無線の体験機会を増やすことで、科学技術やワイヤレス技術に対する理解と関心を深めるとともに、アマチュア無線に興味関心を持つ「きっかけ」を作ることができます。いつでも・どこでもワイヤレス技術に興味・関心を持っていただく場を作り、アマチュア無線・ワイヤレス技術に日頃から容易に触れることができるようになり、ワイヤレス技術がより身近になります。

 

★<教育・研究活動の場での活用>
【JARLからの意見・要望】教育・研究の場においてもアマチュア無線の活用が進むよう、アマチュア無線の定義に「教育・研究活動での活用」の明文化。
【メリット・効果】研究・教育目的でもアマチュア無線の活用が広がるとともに、すでに諸外国で進められているアマチュア無線のSTEAM教育などでの活用が日本国内でも進むこととなり、教育・研究の場からもワイヤレス人材やデジタル人材育成がより一層進むこととなります。

 

★<知見や経験豊かな指導者の確保>
【JARLからの意見・要望】第一級陸上無線技術士や第二級陸上無線技術士などの業務用の無線従事者資格が操作できるアマチュア無線の操作範囲を、より上位のアマチュア無線資格の操作範囲へ拡大。
【メリット・効果】業務用の無線従事者資格者の持つ最新のワイヤレス技術やその知見をアマチュア無線に取り入れることが可能となり、その優秀な技術者・研究者の知見や経験などを生かして、ワイヤレス人材やデジタル人材育成の指導者として活躍していただく場が広がり、より先進的で高度なアマチュア無線を活用したワイヤレス人材やデジタル人材の育成の機会が拡大することになります。

 

②アマチュア無線を始めてもらうには

 

★<無線従事者資格の取得の迅速化>
【JARLからの意見・要望】第四級アマチュア無線技士の養成課程の受講日数を短縮するなどにより無線従事資者資格の取得の迅速化。
【メリット・効果】アマチュア無線の従事者資格の取得が容易となり、これまでアマチュア無線の免許取得を見合わせていた青少年らにも興味・関心をもっていただくことができます。

 

★<開設・運用までの手続きの迅速化>
【JARLからの意見・要望】無線従事者免許と無線局免許の同時申請など、アマチュア無線の開設・運用までの手続きを迅速化。
【メリット・効果】アマチュア無線を開設・運用するまでに必要な時間が大幅に短縮されることにより、ワイヤレス技術への興味・関心やアマチュア無線へのモチベーションを保ったまま手続きが完了する。

 

<申請書等を分かりやすい様式に>
【JARLからの意見・要望】青少年など初心者の視点に立って、アマチュア無線局免許申請書等をより分かりやすい様式に。
【メリット・効果】申請書等の様式が分かりやすくなることで、小さなお子さんから青少年や年配の方など、記載の難しさから申請自体に二の足を踏んでいた方々も手続きが容易となり、アマチュア無線を始めやすくなります。

 

③実験・研究にチャレンジしやすくする

 

<包括免許制度の導入について>
【JARLからの意見・要望】無線従事者免許と無線局免許が一体の包括免許制度を導入し無線機の把握を行わず、無線機の検査等も不要となるような制度の早期実現を。

 

<包括免許制度実現までの段階的な方向性>
【JARLからの意見・要望】
・包括指定制度を導入し、アマチュア無線局に指定可能な電波の型式、周波数および空中線電力を、無線機にかかわらず一律の指定を。

 

・適合表示無線設備のみのアマチュア無線局については、個別の無線機、工事設計の把握を行わないこととし、変更申請や届出を不要に。

 

・小電力のアマチュア無線機、上級のアマチュア無線従事者資格者の無線機の検査等を不要に。

 

【メリット・効果】これまで免許取得にかかっていた時間が大幅に短縮され、また、無線機の変更の手続きが不要となれば、実験・研究にチャレンジしやすく、より自由で試行錯誤がしやすくなり、実験・研究へのモチベーションが保たれ、無線技術の実験・研究開発の促進といった観点からもワイヤレス人材やデジタル人材の育成に寄与すると考えます。
 特に、新たな無線機の導入や自分自身で製作した無線機の導入、新たな通信方式などの実験・研究などにおいて、また、チャレンジ精神が旺盛な青少年にとっては、アマチュア無線を活用する大きなメリットが生まれると考えます。
 多くの教育・研究の場においてアマチュア無線をさまざまな電波型式や周波数、運用形態により活用されるようになった場合であっても、変更を行うたびに手続きをする必要がなく迅速に実験・研究を行えることは最大のメリットであると考えます。

 

④その他の意見・要望

 

<より快適なアマチュア無線の環境づくり>
【JARLからの意見・要望】電波監視体制の一層の強化。
【メリット・効果】青少年などのアマチュア無線局の免許を取得したばかりの初心者の方にも安心してアマチュア無線の運用が可能となり、楽しさや魅力の理解が深まります。

 

【JARLからの意見・要望】外国から来日されるアマチュア無線家の免許手続きの簡素化。
【メリット・効果】コロナ禍収束後に、外国から来訪するアマチュア無線の日本での運用が容易となり、青少年の交流も一層広がるものと考えます。

 

【JARLからの意見・要望】「移動する局」と「移動しない局」のアマチュア無線局免許の統合。
【メリット・効果】同一の免許にすることで5年毎に行う再免許手続きや、移動する局または移動しない局毎に管理している無線機の管理も容易となります。

 

【JARLからの意見・要望】第三者のための通信の許可。
【メリット・効果】デジタル技術やネットワーク技術と融合したアマチュア無線が明確に位置づけられることで、これらに関する実験・研究がさらに活発となります。社会貢献活動について、その位置づけが明確となり、アマチュア無線の活用の幅がより一層広がります。

 

 

 これらJARLが提出した意見・要望がアドバイザリーボードの中でどのように検討され、どんな結論が得られるのか、その結果を踏まえて総務省がアマチュア無線関連の規制緩和を行うか、今後に注目していきたい。

 

 なお「JARL NEWS」2022年春号の電子版は、JARL Webの会員専用ページから閲覧できる。

 

 

こちらの記事も参考に(2022年1月26日掲載)
<構成員としてJARL会長やJARD会長も参加>総務省、「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」を開催へ

 

 

 

●関連リンク:
・「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」の開催(総務省 報道資料)
・総務省「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」開催!(JARL Web)
・電子版JARL NEWS(JARL会員専用ページ)

 

 

 


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