無線ブログ集
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南海トラフ地震対策に忘れがちなラストワンマイル通信 (2024/8/15 7:25:03)
8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震により、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。この臨時情報は今日15日の夕方で終了する予定です。とはいえ、いつかはやってくる大震災が近い将来に控えていることは変わりません。
今回も臨時情報の後に、飲料水や防災グッズが多く買われたようです。確かにとても大事な備えです。ただ、この機会に携帯電話が使えなくなった時のコミュニケーションについても考えてみてはどうでしょうか。能登半島地震では、携帯電話が使えず、発災から6日間も連絡が取れなかった孤立地域があったとのことです。
そんな時に家族間の連絡や、被災地と非被災地との通信に役立つのが無線です。東日本大震災の後にアマチュア無線の資格取得者が増えたという話があります。アマチュア無線があれば安心です。しかし、無線はアマチュア無線だけではありません。
実は買ってすぐに備えることのできる無線もあります。そんな無線をメインに簡単に記載しておこうと思います。
(1)アマチュア無線
一般の人が無線を使うとなるとアマチュア無線が一般的ではありますが、これを使うためにはアマチュア無線従事者の免許を取得する必要があります。最近は資格取得も簡単にはなりました。ただ、使い始めるまでには少し時間がかかりますので、今回は参考程度に記載しておきます。一方で、過去に既に資格を取得済みの方は、この機会に改めて開局申請をして、無線機を使えるようにしておいても良いかもしれませんね。
(2)特定小電力トランシーバー(特小)
写真の真ん中の無線機です。買ってすぐに使えます。ただし通信範囲は極めて限定されます。実用的には半径100m程度の範囲でしょうか。良く店舗での連絡用に使われているのがこれです。なので、今回のような災害時の連絡用となると少し役不足です。一方で中継器を使うことができ、これを使うと利用範囲が広がります。例えば、我が家の近くですと西東京市の大きなタワー「スカイタワー西東京」の上にこの特小の中継器が設置されています。このおかげで半径数kmの範囲で利用可能です。発災時に高所にいち早くこの中継器の設置ができたりすると少しは実用的になるかもしれません。
(3)デジタル簡易無線登録局(DCR)
写真の右側の無線機です。現在、資格不要で使える無線機で一番遠くまで通信できるものがこのDCRです。障害物等にもよりますが、数kmの範囲では交信が可能です。車載で使うこともでき、とても実用的です。ただ、使うためには登録する必要があり、買ってから使い始めるまでに少し時間がかかります。また、登録に基づいて電波利用料の支払いも必要で、これに無線機1台、年間400円かかります。
(4)デジタル小電力コミュニティ無線(デジコミ)
写真の一番左の無線機です。特小とDCRの間に位置づけられるのが、このデジコミです。買ってすぐ使えて、半径1~2kmなら使えます。このデジコミが他の無線機とは異なるのはGPS搭載である点です。交信相手の方角や距離が無線機に表示されます。設定次第で、パソコンにつないだ親機から指示を送信することで、パソコンの地図上に仲間の位置を表示することが可能です。この機能は発災時、瓦礫の下に埋もれてしまった人を発見するのに使えるのではないかと思っています。
携帯やスマホが普通に使えるのは、周辺に電波で通信してくれる基地局が普通に稼働している時だけです。基地局が被災しなかったとしても、災害時は利用者が想定以上になるため、つながりにくくなるのは容易に予想できます。そんな状況の影響を受けないのが無線です。
せっかくなので、この機会にコミュニケーションのラストワンマイルについても見直すのが良いかと思います。