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7K1BIB/AC1AMの業務日誌 (2024/11/22 2:36:09)
現在データベースには 149 件のデータが登録されています。
2020年2月下旬にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ウクライナでアマチュア無線が禁止されるという悲しい出来事が進行中です。これに対し、IARU(国際アマチュア無線連合)が声明を出しています。
2月27日 IARU第1地域のウェブサイトに掲載された”Note”
“Any radio amateur currently transmitting from Ukraine is risking his or her life. If you hear a Ukrainian station, do not broadcast its callsign, location or frequency — whether on the band, in a cluster or on social media. You may be putting lives at risk .”
拙訳:『現在ウクライナから送信しているアマチュア局は生命をリスクに晒している。もし聞こえたとしても、そのコールサイン、場所、周波数を、電波、クラスター、SNSを問わず拡散しないでほしい。彼らの生命をリスクに晒すことになるかも知れない。』( 2月28日のツイートで公開 )
2月28日 IARUのウェブサイトに掲載された”Statement from IARU”
“IARU is an apolitical organization focused on promoting and defending amateur radio and the amateur radio services. The amateur radio service is about self-instruction in communications and friendship between people.”
拙訳:『IARUは、アマチュア無線とアマチュア無線業務を促進し擁護することに注力する、非政治的な組織です。アマチュア無線業務の本質は、自らの意思による人々の間のコミュニケーションと友好です。』( 3月1日のツイートで公開した仮訳 を修正)
IARUのStatementに対する反応
海外では、今回のIARUの声明に対し、意味がない、ロシアを間接的に支持することになる、といった批判が見られます。たとえば、このツイートへのリプライのようにです。 https://twitter.com/IARU_R1/status/1498348575826317321
私も、IARUの声明はちょっと違うのではないかと感じ、3月2日に英語と日本語で以下のとおり意見を公開しました。
JARLの反応
JARLは、3月1日に、IARUの声明を紹介する記事をJARL Webに掲載しました。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/News2022/2022_news-3.htm#0301
JARLによる和訳文が載っていますが、「ですます体」と「である体」が混じっているのはみっともないと思います。また、「amateur radio services」の訳は、「アマチュア無線サービス」ではなく、「アマチュア無線業務」という定訳を使った方がよいと思われます。最後の一文(「JARLでは、」で始まる文)の日本語もおかしいですね(途中で主語が変わってしまっています)。
一番の問題は、いきなり「JARLでは、IARUのこの声明を支持」とある点です。
私がチェックした限り、ARRL、RSGBほか他国の連盟も、今回のIARUの声明については、無視しているか、淡々と紹介するだけに留めています。JARLも、国際世論や他国の連盟の動きを見ながら(あるいはきちんと連絡を取りながら)、慎重な姿勢を取った方がよかったのではないでしょうか。JARLとして早々と「支持」を表明したのは、誰がどういう経緯で決定したのか不明です。
さらに、「不用意にアマチュア局の情報を拡散しないようにご注意ください。」の部分は、このIARUの声明ではなく、IARU第1地域の声明( https://www.iaru-r1.org/2022/note/
)を意識したものと思いますが、元の声明は、ウクライナのアマチュア無線家の生命を危険にさらさないために、という明確な意図に基づいています。ですので、「
ウクライナの アマチュア局の情報を拡散しないように」と特定しなければ、正確な意図が伝わりません。
今回、JARLが比較的早急に対応した点はよかったと思いますが、その内容はいまひとつでした。自分たちだけで閉じこもるのではなく、多くの人の力を借りて、よりよい運営を目指して頂ければと思います。
という趣旨の意見を、JARLに送りました。
(2021-03-05 記)
この記事の原稿を書いた後に、英国連盟(RSGB)の3月4日付けの声明に接しました。RSGBは、ロシアとベラルーシの局はコンテストやARDFに参加できず、チェックログ扱いにするとのことです。『アマチュア無線の通常のスタンスは非政治的。しかし、ロシア連邦とその軍隊の最近の活動は一線を越えており、RSGBはニュートラルでいることはできない・・』としています。
RSGB statement: the Russian Federation and Belarus
(2021-03-05 13:30 追記)
「JARL正常化プロジェクト」とJARDについて書きました。
Q:「JARL正常化プロジェクト」って何ですか?
A:もともとは、「2020年JARL選挙情報」という、前回の選挙と、その後の社員総会に関する情報を提供するサイトがありました。2020年7月9日から、社員総会に関する情報だけでなく、JARLの実態を伝えるためのものと定義し直し、タイトルを「JARL正常化プロジェクト」と変更しました(「 当サイトについて 」)。
正常化プロジェクトは、JARLの現状を憂い、将来の発展を願う人々の集まりですが、政党ではなく、会則もなく、代表もいません(山内は代表ではありません。)。ブログ記事や「JARL正常化タイムズ」のもととなる情報を交換したり、意見を交換したりするメーリングリストはありますが、そのメンバーはJARLの社員・役員や候補者ばかりではありません。
解任議案や会計帳簿開示請求には、ML外の方も参加されています。先日、3名連名で髙尾会長に対し 「課題解決に向けての議論のご提案」 を提出しましたが、これは正常化プロジェクトとは別の行動です。
私個人としては、正常化プロジェクトの人々との関わりもありますが、もちろんそれ以外の方々とも積極的に関わりを持つようにしています(当たり前です)。 おそらく一般的には現執行部支持と見られている方でも、直接お話をすると、正常化プロジェクトの言っていることは正しいとおっしゃり、現執行部に対する相当強い疑問や不満を話してくださる人も多いのです。
Q:正常化プロジェクトは、JARLをJARDに合併させようとしているのですか?
A:そのような誤った風説が流れていて、非常に驚き、困惑しています。全くもって事実ではありません。 正常化プロジェクトは、JARLをJARDに合併させようとなどしていません。 正常化プロジェクトとしてそのような意見を表明したことは一度もありませんし、そんな議論をしたことすらありません。一部のメンバーの一部の発言を文脈から切り離してあげつらっているだけです。JARLとJARDの合併を目指す動機もメリットもありません。なぜそんなことに、プライベートの時間を割いて動かないといけないのですか。密約?そんなものありませんよ勘弁してください。
JARDに対し、JARLの髙尾会長は評議員として、日野岳専務理事は理事として、それぞれ参加しており、JARDに対し役職者として直接ものが言える立場にあります。JARDはおかしいという人が、JARLに対してJARDをただせと言わず、時に「JARLはJARDから役員を引き上げるべきだ」という逆方向の意見を言い(引き上げたらJARDはそれこそやりたい放題になってしまうのでは?)、JARDに対し何の権限もない正常化プロジェクトを批判する理由が、私には全くわかりません。
Q:正常化プロジェクトは、アマチュア無線の業務無線化を推進しているのですか?
A:んな訳ないじゃないですか。皆、アマチュア無線を愛する、ふつうのアマチュア無線家です。私だって、いわゆるダントラ局にQSOを邪魔されるなど、不愉快な思いをさせられています。
アマチュア無線が業務無線的に使われている現実と、アマチュア無線の社会貢献活動での活用が認められたことを結びつけ、正常化プロジェクトは社会貢献活動での活用に反対しなかったと批判する人がいます。ですが、①アマチュア無線家が社会貢献に主体的にたずさわることにより、アマチュア無線の価値と地位の向上を図るというプラスの面については賛成だが、②社会貢献を口実に、本来「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う」はずのアマチュア無線が業務無線的に使われかねないというマイナスの側面については強く反対との 意見を表明 しています。
また、JARLが作るはずであったガイドラインについて、法的拘束力がないから無意味だという意見もあります。ですが、法令に書き込めない具体的かつ細かい条件について、ガイドラインを作ることは、普通に行われていることです。
総務省は、パブコメの中で、国又は地方公共団体等が関与する地域活動であれば、実費を超えても「金銭上の利益のため」ではない、との驚くべき解釈を示しました。ですが、 これはあくまでパブコメの中で示された行政解釈にとどまり、さすがに法令本体には書き込まれませんでした 。行政解釈が裁判所で否定されることは、ままあることです。
私は、2021年の社員総会で、JARL執行部に対し、実費はともかく報酬が払われる場合はアマチュア無線は使えないとガイドラインに明記するのかと質問し、日野岳専務理事から、山内の意向とほぼ同じとの回答を引き出しました。そして、半年以上遅れてJARLが公表したガイドラインには、不十分ではありましたが、その趣旨が明記されていました。しかし、現執行部は、せっかく作ったガイドラインを活用しようとしません。
JARLとしては、せっかく作ったガイドラインを、猟友会等々の諸団体に渡し、アマチュア無線に興味を持って下さるのはうれしいが、アマチュア無線は選択肢にすぎず、デジ簡や特小、スマホアプリなどの便利な手段があること、アマチュア機は高いし、アンテナもいるし、秘匿性もないし、バンドプランも守らないといけないし、いちいちコールサインを言わなければいけないし、なにより有償ボランティア活動では使えませんよ、と、きちんと説明して、これからアマチュア無線を社会貢献活動「だけ」に使おうという団体には、踏みとどまってもらう必要があると思います。そこまで説明を聞けば、普通の団体は、アマチュア無線を選択するとは思えません。ガイドラインは、このように、法的拘束力がなくても有効に活用できるものです。
なお、違法局や違法運用がなくならない原因のひとつに、いちど5台、10台、あるいは30台と無線機を買ってしまうと、全部をデジ簡や特小に交換するのは莫大なコストがかかるので、やっぱり使い続けてしまうことがあるのではと想像しています。そういう、すでに無線機を買ってしまった団体の買い換えを促すために、アマチュア無線機よりも安価な代替製品をどこかのメーカーに提供してもらえないでしょうか。たとえば、「Bluetoothワイヤレススピーカーマイク」というものがすでにあります。これをZelloをインストールしたスマホにBluetoothで接続すれば、トンネル内や昼飯を食べているときでも交信できます。アマチュア無線機よりも安くて便利だとわかってもらえると思います。違法局・違法運用対策は、このような手段も含めて総合的に行われるべきと私は考えます。
Q:正常化プロジェクトの候補者リストは?
正常化プロジェクトは、政党ではないので、公認候補というものもなく、候補者リストはないのかといわれ、MLメンバーで意見交換しましたが、困りました。選挙は結局一人一人の候補者が闘うものであること、グループ的な動きは日本社会では必ずしも好まれないこと、残念ながら言われなき誹謗中傷もあること、そして何より、「正常化の人たちが言っていることは正しい」と言って下さる社員・役員の方々が着実に増えてきており、「リスト」を作ることによりJARLの中に分断を引き起こしたくないことから、候補者リストは作らないことになりました。
個々の候補者が、選挙公報やインターネット、メールやハガキ、会員のみなさまとの直接の意見交換等、手法は様々ですが、選挙活動を通じて、JARLの現状を憂い、正常化したいとの意思を表明しています。
(2022-02-27 記)
「JARL選挙は重要と言われるけど、いったい何を選ぶのかよくわからない」という声をよく聞きます。私なりの解説を書いてみました。
そもそも「一般社団法人」って何?
「 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 」(法人法)に基づいて設立される法人です。いくつか特徴を述べてみます。
- 「法人」なので、個人とは区別された団体です。法人名義で財産を取得したり保有したりできます。
- 「社団」法人、つまり人の集まりです 。財産に法人格を与える「財団」法人と区別されます。
- 法定の要件をみたせばだれても設立できます。2006年以前と異なり、官庁の設立許可は不要です。監督官庁はありません。 JARLは、総務省や内閣府等に監督される存在ではありません。自律したきちんとした運営が求められます。
- JARLは「一般」社団法人なので、公益性を有する団体として認められた「公益」社団法人と比較して、税制優遇措置は限定的です(「非営利型法人」に該当する(JARL定款62条、63条)ので、一部事業について課税対象から外れます。参考資料: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/pdf/01.pdf )
- 一般社団法人も収益事業を行ってもよいのですが、営利法人である「株式会社」と異なり、営利を目的とはしません。 もっとも、一般社団法人だからといって、赤字を長年垂れ流し、ついに留保金の底が見えてくる状況を放置することが許されるわけではありません。団体としての継続性(最近の言葉で言えば、「サステナビリティ」)が求められるのは当然です。
JARLの「機関」
JARL Webの「JARLの組織」ページ では、「JARLの組織には、社員総会、理事会、監事、地方本部、支部、委員会、および事務局があ(る)」と書かれています。そのうち、法律で決まっている組織(機関)は、「社員総会」「理事会」「監事」だけです。
社員総会と社員
「社員総会」は、「社員」が参加してJARLの基本的な事項を決める会議です。「社員」とは、一般用語の「従業員」という意味ではなくて、法律用語、つまり一般社団法人を構成する「人」のことです。
JARLでは、会員から選挙で選ばれた者が、法律上の一般社団法人の「社員」と扱われることになっています。名称がわかりにくいですね。 「社員」は、会員の意見を「社員総会」で代弁する「代議員」と思えばわかりやすいと思います。ですので、会員の意見を「社員総会」できちんと代弁してくれそうな人に投票すべきだと思います。 どこかでコールサインを聞いたことがあるとか、アマチュア無線にアクティブだからという基準で投票すべきではありません。 JARL選挙は人気投票ではないのです。
なお、社員には、社員総会への交通費は出ますが、給料は出ません(無報酬です)。
理事会と理事・監事
理事会は、社団法人の進む方向性を多数決で決める極めて重要な機関です。 理事会は理事と監事で構成されます。理事と監事は、社員総会の決議で選任されます(法人法第63条)。
専務理事には報酬が支払われます(現在は900万円/年)。その他の理事・監事は、交通費は支給されるものの、無報酬とされています。
理事・監事は名誉職では ない
理事のうち、JARLの業務執行権限を持つのは、会長と専務理事の2名だけです(JARL定款第23条第2項、第4項)。よって、この2名の責任は重大です。とはいえ、役職のない理事も、会長と専務理事を監督するという、重大な任務を負っています(法人法第90条第2項第2号)。もし、JARL理事の中に、「理事は会長・専務理事のやることを絶対に支えないといけない」と考えている方がいらっしゃれば、その考えは改めて頂いた方がよいと思います。忠臣は、時には主君の誤りを諫めることも必要だと思うのです。
監事は、理事の職務の執行を監査します。監事には、理事等に対して事業報告を求めたり、業務及び財産状況の調査をしたりする強大な権限が与えられています(法人法第99条)。理事の行為の差し止めすらできます(法人法第103条)。
JARLに対し損害を負わせた理事・監事は、JARLに対し損害賠償責任を負います(法人法111条)。業務執行権限を負う会長・専務理事に加えて、監督責任を怠った理事も、JARLに対し損害賠償責任を負うでしょう。なお、役員保険に入っているから安心と思っているかもしれませんが、保険会社も、故意・過失のある役員(会長や専務理事に漫然と運営を任せ、監督責任を果たさない理事・監事)には、保険金を出さないでしょう。
JARLにおける「理事候補者」の選び方
法律では、理事・監事が社員総会の決議で選任されるところまでは決まっているのですが、その「候補者」の選び方は社団法人によってさまざまです。例えば、「役員推薦委員会」といった独立の機関を設けて候補者を選ぶ団体もある(例: Vリーグ機構 )一方で、理事・監事の候補者全員を会員の選挙により選ぶ団体もあります(例: 情報処理学会 )。
JARLの場合、理事・監事の候補者は、 選挙と推薦のハイブリッド方式 で選ばれます。
まず「理事候補者」ですが、2年に1度、4月に投票が行われるJARL選挙で、①全国理事5名と②地方理事10名の理事候補者が決まります。その後、(過去の例では)2020年5月の理事会で、③理事会が推薦する理事候補者2名が追加され、合計最大17名の「理事候補者」が決まり、6月の社員総会に上程されます( JARL定款 第21条第1項、 JARL規則 第26条第1項)。
推薦理事2名という枠はなかなか興味深いものですが、以下の基準により推薦されることになっています(JARL規則第27条)。
(1) 正員であって、専門分野における学識経験を有し、連盟の業務執行上適当である者
(2) 事務局の管理者であって、連盟の運営上適当である者
要するに、有識者を招聘するための枠と事務局を総括する専務理事を、選挙によらずに確保するためのものと思われます。もっとも、専務理事を、選挙で選ばれた理事から選ぶことは禁じられてはいません。
JARLにおける「監事候補者」の選び方
「監事候補者」は、(過去の例では)2020年5月の理事会で、最大2名の監事候補者が決まり、6月の社員総会に上程されます(JARL定款第21条第2項、JARL規則第26条第2項)。旧法人の時代は監事も選挙で選ばれていましたが、新法人への組織変更の際に、理事会(実質的には会長)の推薦になってしまいました。
社員総会での承認
繰り返しますが、 「理事候補者」も「監事候補者」も、6月に開催される社員総会で承認されないと、正式に理事・監事になることはできません (JARL定款第21条第2項、JARL規則第26条)。なお、少なくとも選挙を経ていない推薦理事2名と監事2名に対しては、30分の1以上の社員(定員138人に欠員がなければ、5人以上)が集れば、対立候補を共同提案できると解されます(法人法43条)。
社員は、選挙で示された会員の意思に拘束されるべきだ、というご意見を聞くことがありますが、法人法上、そのような仕組みは取れませんし、事態はそう単純ではないと思います。まず、推薦理事2名と監事2名は、選挙を経ていませんので、専務理事や監事の仕事ぶりがJARL=会員のためになっていないと思えば、社員は、躊躇なく否認票を投じるべきと考えます。また、選挙で選ばれた理事候補者についても、選挙後に不適切な事実(例えば選挙違反)が発覚した場合は、社員は、否認票を投じることも許されるでしょう。
6月の社員総会で理事・監事の承認・不承認を決める社員は、今年のJARL選挙で選ばれる社員ではなく、2年前のJARL選挙で選ばれた社員です。 2年前の選挙で示された会員の意思によって今後2年の役員の顔ぶれが決められる のは、奇妙ではありますが、現行制度はそうなってしまっています。
6月の社員総会の直後に、社員総会で正式に承認された理事・監事によって理事会が開催されます。 この理事会で、会長、2名の副会長、1名の専務理事が互選されます (JARL定款第22条)。この互選は、多数決で決まります。
今年の選挙で選ばれた社員の活動開始時期
今年の選挙で選ばれた社員の任期は、今年6月の社員総会の終了後に始まります。ですので、来年と再来年の社員総会には、今年の選挙で選ばれた社員が出席します。
もし、来年の社員総会前に臨時社員総会が開催されれば、その臨時社員総会には、今年の選挙で選ばれた社員が出席することになります。
今回の社員選挙で、今のJARLを良しとしない社員が社員総会の多数派を占めれば、6月以降に執行部を取り替えることだってできます。今までも執行部のやり方がおかしいと訴えていた社員に加えて、今までは執行部を支持していたがやはりおかしいと思うようになった社員も含めての過半数です。その意味でも、今回の社員選挙は非常に重要です。
(2022-02-20 記)
追伸:私、7K1BIB/山内貴博は、2022年JARL選挙において、関東社員に立候補しています。このように、法律家としての知識・経験を生かした情報発信を続けて参ります。私に1票をどうぞよろしくお願いいたします。
JARL選挙立候補に当たっての所信(2022年関東社員)
私、7K1BIB 山内貴博 は、2022(令和4)年のJARL選挙において、関東社員(関東地方本部区域毎の社員)の候補者として立候補致しました。貴重な一票を私にお託し下さい。ご支援のほど、何卒よろしくお願い致します。
「 弁護士26年の知識経験を投入し①JARL運営の正常化に本気で取り組み②電波法規制の緩和に力を注ぎます。③バーチャル・ハムフェスや#駅前QRV、体験局など、ハムの裾野と可能性を広げる活動にも頑張っています。2期目を目指す私に1票をよろしくお願い致します。 」
①JARLの運営の正常化に本気で取り組んでいます
【過去の活動】
- JARLの運営の透明化を働きかけています。
- 会計帳簿の開示請求
2020年にJARL史上初めて行われた会計帳簿の開示請求に代理人弁護士として関与。「打ち合わせ」費=飲食費、旅費交通費、専務理事に対する550万円の「退職金」等が判明。
2019年度会計帳簿の解析結果 (その1) (その2)
2019年度領収書の分析結果 (その1・旅費交通費) (その2・飲食費)
翌2021年の会計帳簿開示請求には請求人社員兼代理人弁護士として関与。新しい顧問弁護士への多額の報酬、QSLビューロー7500万円の内訳、JARLニュースの制作費用わずか500万円、印刷発送費3000万円が判明。
2020年度会計帳簿の解析結果
-
2020年JARL選挙への異議申し立て
前回のJARL選挙に対する4件の異議に関与。髙尾会長と候補者連名の選挙ハガキに関するもの。
JARL選挙のあり方について(異議申立が4件もなされました)
JARL選挙の公正は死んだのか =JR7JAW槻木澤稔氏(東北社員当選者)に対する異議
JARL選挙の公正は死んだのか(2) =JE4WWK金子由次氏(中国理事当選者)に対する異議
- 社員総会委任状・議決権行使書の開示請求
2020年(本会・継続会)と2021年の社員総会委任状・議決権行使書の開示請求に関与。執行部の働きかけで集められた40枚を超える委任状が特定の社員に渡され、2020年の2・3エリア理事候補4名の否認と、2021年の役員解任請求の否決に用いられていたことが判明。
- 2021年社員総会への出席と結果報告
2021年の社員総会に社員として初めて出席し、5本の報告記事を執筆。
定時社員総会報告 その1 その2 その3 その4 その5・完
【今後の活動方針】
たくさんの方から、「今のJARLの問題点はよくわかった。だが、結局お前はJARLをどうしていきたいのか?」というご質問、「現執行部の問題点の追及ばかりでなく、前向きな活動に軸足を移すべき」とのご助言をいただいています。これまでの前向きな提言(例えば 「JARL6策」に寄せて(選挙所信その2) 、 JARLの財政について(JARL選挙所信その3) )は不十分で、問題点の追及が目立ちすぎていたのかと、率直に反省しています。
そこで、今のJARLが緊急に解決しなければならない課題を以下の3点にまとめ、今年1月28日、JARL会長髙尾義則氏宛に、 JH4PHW坂井志郎社員 、 JJ1WTL本林良太社員 と連名で、 「課題解決に向けての議論のご提案」 をお送りしました。
第1 カード転送の安定化
第2 法制度・バンドプラン改善対応
第3 財政健全化
髙尾会長から「しっかり協議を行う」とのお返事をいただいたので、それぞれの課題について、まずは①どのようなメンバーが、②いつまでに結論を出すのかについて、しっかりと協議をして頂きたいとのご提案(2)をお送りしました。 次の動きに注目しています。
今回の「議論のご提案」については、 全国の会員、 社員、 理事幹事の方々から、その3点が、今のJARLが抱える課題だと私も思う、大いに議論すべき、等々の好意的なコメントをたくさん頂いています 。以上3つの課題はずいぶん前から繰り返し指摘されているものであり、先送りすることはもはや許されません。
なのに、なぜ今のJARLはこれらの課題に取り組めないのかと考えさせられます。どこかに、JARLの進歩を止めている原因・障害=「ボトルネック」があるのではないか。一部の従順な人を優遇する一方で、なぜやりたいと名乗り出る人を排除してしまうのか。それが人の問題なのか組織的な問題なのか。執行部の皆さんとの協議の中で、それが明らかになることを期待しています。
②電波法規制の緩和・合理化に力を注ぎます
【過去の活動】
ここ数年、アマチュア無線に関連する重要な法改正が続いています。この2年間も、私はパブコメに意見を提出し、制度改正を私なりに読み解くブログ記事を公表してきました。
- 免許手続き(デジタルモード等)の簡素化、1.8/3.5MHz帯拡張について
【祝】アマチュア無線規制緩和2020 2020-01-20
「アマチュア無線規制緩和2020」に対するパブコメ意見 2020-02-17
「アマチュア無線規制緩和2020」パブコメ結果公表 2020-03-13
「一括記載コード告示」の改正案に関するパブコメ意見 2020-05-30
【速報】1.8MHz帯「J3E」即日開放! 2020-08-19
電子申請Liteアンケート提出 2021-06-30
- 体験局、小中学生の体験運用についての解説(運用シナリオあり)
【祝】アマチュア無線規制緩和2020 2020-01-20
小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大 パブコメ結果公表 2021-02-21
- アマチュア無線の社会貢献活動について
「社会貢献活動・体験機会拡大」改正案パブコメの読み解き 2020-10-17
「社会貢献活動・体験機会拡大」改正案パブコメへの意見提出 2020-11-17
→『今回提案されている改正のうち、アマチュア無線(家)による社会貢献活動を推進するという趣旨そのものは、アマチュア無線家として歓迎する。しかし、本来業務用無線により行われるべき通信を、アマチュア無線により安易に代替することを認めかねない部分については、「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う」という、国際的にも歴史的にも確立したアマチュア無線の本質を損ない兼ねないものであり、反対である。』
アマチュア無線の社会貢献活動での活用省令改正案 これまでとこれから 2021-02-14
→JARLが策定すべきガイドラインの骨子案を提案
電波監理審議会議事録の読み解き 2021-03-10
- 新スプリアス規格
「新スプリアス規格への移行期限の延長」省令改正案の読み解き 2021-04-03
- ワイヤレス人材の育成
「デジタル変革時代の電波政策懇談会 報告書(案)」に対するパブコメ 2021-08-02
「デジタル変革時代の電波政策懇談会 報告書(案)」に対するパブコメ結果公表 2021-09-20
「デジタル人材」の確保や育成のために必要だと思うことはなんですか? 2021-11-18
-
7MHzFT8周波数移転問題
国内FT8周波数が7041kHzから7037kHzに移行?(追記あり) 2021-09-26
「7041問題」(7MHz国内FT8周波数移転問題)の論点整理 2022-01-22
バンドプランは誰のもの?(7MHz帯狭帯域データを中心にその変遷を振り返る) 2022-01-30
-
バンド防衛、バンド拡張
周波数再編アクションプラン(令和2年度改定版)(案)に対するパブコメ 2020-04-11 「構内における空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」に関するパブコメ提出 2020-03-22
違法無線機販売規制に関する意見を「縦割り110番」に提出しました 2020-09-17
【今後の活動方針】
2年前の所信表明から引用します。
(引用開始)
法制度の改正には「法改正の理由」(法律用語で言うと「 立法事実
」)が必要です。アマチュア無線について、民側が行うべきことは、まず、
日頃からアマチュア無線家の要望を広く集め、これを優先順位に従い整理しておくこと
だと思います。これが「立法事実」に該当します。次に、この要望と、法律・政省令・告示と照らし合わせて改正しなければならない条文を見つけ、総務省に対して、改正の必要性を要請することになります。
しかし、これらの作業は出発点にすぎません。 1回の要望で動いてくれるほど、行政府・立法府は甘くはないのです。さらに審議会・懇談会等に働きかける等、法改正の「 きっかけの仕込み 」を行い、その結果、ようやく行政府・立法府が動いてくれそうになれば、すばやくそのチャンスを捉え、改正条文、新旧対比表の下案や、関係部署との問答の下案を作成するなど、 行政担当者の「お手伝い」 をしていくことになります。 この部分が、法制度改正の実現に向けた本丸中の本丸 です。
かつてのJARLは、総務省(郵政省)の担当者への説明や、法改正が必要な場合は議員への説明など、一番大変な部分にも積極的に働きかけを行っていたと想像されます。少なくとも、他の種類の無線局に関係する業界は、みなこういう努力を行って、法改正を実現してきているのです。
髙尾会長は、最近、電波部長に「直接」1通の要望書を渡したことを強調していますが、それがいかに現実にそぐわないかは、 こちらの記事 に詳しく書きました。
本来JARLが果たすべき役割の一丁目一番地
においてこのような説明がなされていることは、とても痛々しく感じます。1片の要望書は出さないより格段にましですが、それだけで法改正が実現するものでは決してないのです。
(引用終了)
さて、ここ2年間のJARLはどうでしょうか。残念ながら、2年前と状況は変わっていません。総務省と約束した社会貢献活動ガイドラインの公表は法令施行から半年以上遅れ、 アマチュア無線免許手続きの簡素化が議論された昨年11月の内閣府規制改革推進会議に人を出せず 、IARUからの要請である 7MHz国内FT8周波数の移動問題 についてきちんとした役割を果たせず、コンテスト委員会委員長から異議申立書が提出される始末です。
今年1月26日に「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」の第1回会合が開催 されました。 昨年8月31日のパブコメで 、総務省は「 アマチュア無線家の方々の御要望は幅広く、場合によっては方向性が異なるものがあることも考えられ 、検討に当たっては、代表的なアマチュア無線家団体に検討に御参画いただき、 その具体的な御意見等を踏まえて 、有識者や関係者による検討会を開催して議論していくことが考えられます。」と述べていました。これは、 「パブコメでいろんな意見が殺到するの、まとめるの大変なので、JARLさん、先にアマチュア無線家の意見を聞いてまとめてきなさいよ」という総務省のメッセージ であると私は受け止めています。アマチュア無線家の長年の希望が叶うかもしれない、千載一遇のチャンスです。ですが、今のJARLには、残念ながら、一般アマチュア無線家の意見を募集する動きは見られません。
2013年までのJARLは、 例えばバンドプランの改正について、アマチュア無線家から何度も意見募集を行い、実に丁寧に検討を行い、改正案をとりまとめて総務省に働きかけ、バンドプラン告示の改正を実現してきました 。やればできるのですから、やりましょう。
髙尾会長にお送りした 「課題解決に向けての議論のご提案」 には、『全国のアマチュア無線家の意見をしっかりと聞き、総務省に伝えていきましょう。要望書は多くの人の意見を取り入れてJARL会員の総意として作られるべきです。』と書かれています。私も、JARLからご指名さえいただければ、全国のアマチュア無線家の皆様から意見を伺い、電波法規制の緩和・合理化に向けた活動に積極的に関わりたいと考えています。
③アマチュア無線の裾野と可能性を広げる活動でも頑張っています
(1)
お正月のQSOパーティの期間延長
2018年に私が提言し、社員や理事の皆さんにお願いした結果、2021年から6日間への延長が実現しました
。親戚周りや仕事で参加が難しかった方々から歓迎されています。私ももちろん、6日間フル参加しています。
(2) このブログや Twitterを通じて、無線愛好家の皆さんと楽しく交流させて頂いています 。移動運用や「#駅前QRV」 等々、自分の無線運用の様子をご報告するだけでなく、アマチュア無線に関する一般ニュースや海外サイト、個人の方のブログまで、これは面白い!役に立ちそう!と思った情報を積極的につぶやくようにしています。2年前に約2,000人だったフォロワー数はほぼ毎日増え続け、今ではお陰様で3,500人を超えました。Twitterでのゆるやかでかつ深い人のつながりはアマチュア無線によく似ていて、とても楽しいです。
(3) 2020年4月23日から2021年4月22日まで、7コール発給開始30周年記念局「8J1-7CALL」の運用に参画しました。その間、体験局「8J1YAB」の立会人を経験しました。無線歴がほぼ同世代の「 7コールアマチュア無線クラブ 」メンバーがネット上で集まって作った記念局を、私は一生忘れることはないでしょう。 ※「8J1-7CALL」1年間の個人的振り返り記事はこちら 。
(4) 2020年11月1日開催の「 バーチャル・ハムフェス2020 」の実行委員会に参画し、2021年11月13日開催の「 バーチャル・ハムフェス2021 」では実行委員会代表を務めました。コロナ禍で中止となってしまったハムフェア2020の代替として有志により始めたイベントですが、時と場所を越え、リアルイベントとはまた別の価値を生み出しつつあると感じています。JARL執行部から一部妨害があったことはとても残念でしたが、”立場”を超え、たくさんのJARL理事・地方本部長・支部長・社員の方々にご参加いただけたことは、アマチュア無線界の「分断」を望まない私にとって、とてもうれしいことでした。JARLがオンラインイベントを行うのであれば、お手伝いしたいと思います。
(5) 個人的なアマチュア無線活動は浅く広くという感じですが、JT65以降のデジタルモードや、D-STARやDMRといった新しい技術についてはそれなりに勉強しているつもりです(例: 新デジタルモード「Q65」 )。実は無線機の素人修理も好きだったりします( TM-702 、 TM-741S 、 RJX-601 等)。皆さんのご参考(と自分の備忘録)になればと思い、できるだけ詳しいブログ記事を残すようにしています。
最近なぜか、アマチュア無線が一般メディアに取り上げられることが多くなりましたが、その多くが「アマチュア無線はレトロな趣味」と位置づけていたように思います。アマチュア無線衰退の原因をインターネットに求める人もいます。ですが、実際には、私たちアマチュア無線家は、インターネットやパソコンによる最新技術、奇しくもコロナ禍で普及したオンラインメディアを軽やかに利用し、アマチュア無線の活動の幅をますます広げてきたのではないでしょうか。「アマチュアは進歩的」なのです。
そして、個人と個人が力を合わせた草の根的な活動が、アマチュア無線の裾野を広げ、その普及と発展に必ず貢献できると私は信じています。その意味で、JARLの地方本部・支部の活動は極めて重要であり、それに日夜関わっていらっしゃる皆様を、私は尊敬し感謝しています。 JARLは、元来、「日本最大のアマチュア無線クラブ」として、 こうしたひとりひとりのアマチュア無線家の活動の集合体だったは ずです 。一部の方だけが目立つために利用されるJARLではなく、真の意味で、アマチュア無線家ひとりひとりが活躍できる「場」を提供するJARLにするにはどうしたらよいか、私は、引き続き実際の行動を通じて考えていきたいと思います。
(理事でなく)社員に立候補した理由
ありがたいことに、私に対し、社員ではなく理事に立候補するよう勧めてくださる方がたくさんいらっしゃいます。実は、今まではいわゆる会員ファースト派と思われていたであろう役員・社員の方々からも、そのようなご助言を頂いています。ですが、本業と私生活の都合、今年の社員総会は昨年の社員総会と同じ顔ぶれで行われること、何より私の経験・実績不足から、今回も、関東地方本部区域の社員に立候補させて頂くことに致しました。まだまだ、社員としてできることがあります。引き続き、ご支援、叱咤激励をよろしくお願い申し上げます。
以上、私の「思い」を読んで下さりありがとうございました。なお、 私の無線家としてのプロフィールはこちら を、 法律家としてのプロフィールはこちら をご覧下さい。
(2022-02-16 記)
2022年2月11日(金)、祝日の朝は前夜の雪もすっかり止み、「雪の明日は裸で洗濯」を地で行く晴天となりました。第39回関東UHFコンテストは、ご参加の各局にレアマルチを献上すべく、JCC1020 東京都狛江市に移動することにしました。
路上の雪が概ね溶けた昼前に自宅を出発。12時過ぎに狛江市某所に到着。奥多摩の山々がきれいに見えます。
今日の設備は、
430MHz:FT-857DM+PR-212D(2.12mもあるモービルホイップ)
1200MHz:TM-531+AZ807N(0.79mのトライバンドホイップ)
です。
セットアップ完了後の12時26分、まずは430で快調にRUNを続けておられる7N1MJH局をコールすると、「狛江市ニューマルチです!」との声。この時点であのMJH局が狛江をやっていらっしゃらないということは今回もレアマルチになりそうと判断。しめしめ。
CQを出すと、貧弱な設備の自宅と違い、連続して呼ばれます。できるだけ多くの方に「591020」をお届けしようとチャキチャキと進めます。「ニューマルチでした!」の声はうれしい。12時53分、 地元狛江市の市議会議員でいらっしゃるJJ1XZE栗山先生にコール頂いた のは光栄でした。楽しいです。
それでも14時を回るとペースダウンしてきました。コールが切れたところで1200MHzを覗いてみると、ぽつぽつとしかいません。コールしても取ってもらえないことも。やはり1Wモビホは厳しいか。
残り時間30分を切ったところで430に戻ると、CQを出す隙間が全然ありません。すごいです。呼び回りなどしているうちに、15時を回りフィニッシュ。
2時間半運用して、136QSOでした。
屋上を使わせて頂いたお礼に、階下に降りて買い物をし、車に戻って、今日のもう一つの目的、 DIAMOND Antennaさんの新製品「RHM12」 を試用してみます。マグネット基台にマグネットシート「MAT50」に加え、ハムショップマッコイさんから購入した 1.5mくらいのラジアル線1本 を取り付け、RHM12をまっすぐに立てます。
まずは7MHzに同調させますが、SWRは高め。やはり、もっと長いラジアル線をたくさん張った方がよさそうだなと確認し、早々に諦めて、私としては珍しく29MHz/FMにQSY。今度はSWRがストンと落ちてくれました。
CQを出すと、埼玉県越谷市から一発コール。楽しくラグチューしたあと、今度は川崎市多摩区から、修理されたばかりというAZDENのモノバンド機でコールを頂きました。さらに宮前区からは、最近ネットで話題の新製10mFMハンディ機、QYT28からのコールでした。 アマチュア無線界に夢を与えてくださった頒布元の各位 に感謝です。
オフシーズンにもかかわらず、10mFMには根強いファンがいらっしゃるのですね。今年のハイシーズンは盛り上がるのではないでしょうか。
日が暮れる前に撤収。今日もさまざまな出会いがあり、楽しい1日でした。
(2022-02-11 記)
2022年1月28日に、JH4PHW坂井志郎社員、JJ1WTL本林良太社員と連名でJARL髙尾義則会長にお送りした文書 に対し、髙尾会長からメール及び手紙でお返事を頂きました。
髙尾会長からは、私たちの提案に対し謝辞を頂くとともに、私たちが指摘した課題について、しっかり協議を行い、会員の皆様、アマチュア無線の発展に向けて取り組んで行くので、今後共、ご協力の程、よろしくお願い致します、とのことでした。
そこで、私たち3名は、以下の文書をお送りしました。
私たちが今回のご提案文書をお送りしたことにつき、皆様から多数のご意見を頂いております。私たち3名は、引き続き皆様の声を拝聴したく、賛成・反対を問わず、ご意見をお待ちしております( 私あてには、このサイトの「ご質問・ご意見」フォームをご利用下さい。 なお、頂いたご意見は、私たち3名の間に限って、共有させて頂きますので、ご了承下さい。)
課題解決に向けての議論のご提案(2)
令和4年2月3日付けのご回答をメール及びレターパックにて拝受しました。早急に対応して下さりありがとうございました。「頂戴しました様々な課題について、しっかり協議をおこなう」と書かれていました。
今回ご提示した3つの課題
第1 カード転送の安定化
第2 法制度・バンドプラン改善対応
第3 財政健全化
は、どれも数年前から、緊急の課題として問題提起されてきたものですが、近年、改善に向けた動きがみられなかったものです。この度、「しっかり協議をおこなう」とお返事を頂いたことで、今後、どのように動かれるのか、私たちだけでなく、全国のJARL会員が注目しています。
今後、3つの課題についてそれぞれ、①どのようなメンバーが、②いつまでに結論を出すのかについて、しっかりと協議をして頂きたく存じます。例えばですが、ちょうど、今月26日・27日の週末に、JARL第59回理事会が予定されているので、その場で協議されてはいかがでしょうか。
私たち3名は、昨年の社員総会で社員から提起された「もっと対話を」との声を受け、以上の緊急課題を解決するための協議に参加することで、会長に全面的にご協力申し上げる準備がございます。具体的な進め方について議論する場をお願いしたく、ご連絡をお待ちしております。
以上
(2022-02-07 記)
「JARL正常化弁護団」に対し、たくさんの方からカンパをいただきました。 ありがとうございます。
2020年11月13日に収支をご報告 して以降、ご報告が遅れたことをお詫び申し上げます。2020年11月14日以降本日(2022年2月6日)までの収支を以下のとおりご報告申し上げます。2020年末から2021年6月にかけて行った2020年度JARL会計帳簿開示請求に使わせて頂きました( この間の弁護団の活動についてはこちらをご覧下さい )。
なお、これは、「JARL正常化弁護団」としていただいたカンパであり、法的手続きにかかる実費のみに使わせていただいています(弁護士報酬も飲食代もいただいておりません。)。また、「 JARL正常化プロジェクト 」の活動費(JARL正常化タイムズの郵送費等)は、すべてプロジェクトメンバーの自腹で賄っており、弁護団にいただいたカンパからは支出しておりません。
期初残高 | 925,980円 | |
収入 | 15,508円 | 寄付3件及び利息 |
支出 | 1,601円 | 会計帳簿開示請求書(内容証明郵便) |
6,335円 | 会計帳簿開示請求仮処分 :印紙代、切手代、交通費、コピー代等 | |
300,000円 | 会計帳簿開示請求仮処分 :保証金(東京法務局に供託) | |
440円 | 送金手数料(カンパ口座→出金者) | |
支出合計 | 308,376円 | |
残高 | 633,112円 |
まだ十分な残高をお預かりしています。これだけあれば、例えば、さらなる会計帳簿の閲覧請求や、臨時社員総会の招集等、様々な法的手続きが考えられそうです。そこで、当面は、カンパの受付は中止とさせていただきたく存じます。
JARL正常化弁護団へのご支援に感謝申し上げます。
(2022-02-06 記)
「7041問題」(7MHz国内FT8周波数移転問題) について考えていくうちに、過去のバンドプランの変遷を調べたくなりました。・・・が、データ職人・JJ1WTL本林さんのウェブサイトにちゃんとまとめがありました(さすがです)。
本林さんのサイト「アマチュア関係の告示の変遷」
http://motobayashi.net/history/kokuji/index.html
→「バンドプラン」
http://motobayashi.net/history/kokuji/bandplan.html
バンドプランは、以前はJARLが決めた「紳士協定」でしたが、1992年に法制化されました。その後、必要に応じて改正されてきています。バンドプランを決めている総務省(かつては郵政省)の告示の名前はとっても長いので、以下「 バンドプラン告示 」と略称したいと思います。
以下では、「7041問題」に関係する部分を詳しく見ていきます。
狭帯域データ周波数帯の歴史
「7041問題」が生じたそもそもの原因は、国際的なFT8の標準周波数7074kHzで、JA局同士のQSOが禁じられており、別の周波数を選ばないとならない点にあります。
この、「外国のアマチュア局とのQSOに限る」との制限はいつ入ったのか、遡っていくと、1992(H4)年7月1日施行、バンドプランが法制化された当初の時点ですでに存在していました(紳士協定時代から入っていた制限を引き継いだようです。)。
この時点のデータ通信帯は、
7025-7030 国内○/国外○
7030-7040 国内×/国外○
というとても狭い範囲でした。まだ7100kHz以上が開放されておらず、JT65もなかった時代です。
1997(H9)年4月1日、画像系通信(SSTV・Fax)をデジタル帯から外し電話帯全体に拡張するなど、全面改正されたバンドプラン告示が施行されました。7MHz帯のデータ通信帯は
7025-7030 国内○/国外○
7030- 7045
国内×/国外○
となりました。外国局とのみデジタルOKな周波数帯が、5kHz拡張されています。
時は下って2002(H14)年、JARL理事会から周波数委員会に対し、「アマチュア無線のデジタル化に対応した周波数使用区分の改正案の検討」について諮問がありました。このころ、D-STARの開発がすすんでおり、実用化に向けた準備の一環と思われます。周波数委員会は、会員の意見を募集しながら1200MHz帯以上の周波数帯について検討し、同年6月に理事会へ答申を行いました。JARLは、この答申に基づき総務省に対しバンドプランの改正について要望し、2004(H16)年01月13日、全面改正されたバンドプラン告示が施行されました。
当時のJARL周波数委員会は、2004年の改正は1200MHz帯以上に限定したものであったが、1200MHz帯以下についてもJARL及び総務省に対し多数の意見が寄せられ、可能なものについては改正に反映されたものの、積み残しがあるとして、2004(H16)年12月15日から2005(H17)年1月31日まで、ふたたび 意見募集 を行います。
2005(H17)年1月31日までのこの意見募集の結果、74件の意見が提出され、同年4月4日、
意見に対する周波数委員会の考え方 と、バンドプラン案が公表されます。
( https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/freq-iken.htm )
7MHz帯に関する部分を抜粋します。
寄せられた意見は、狭帯域デジタル周波数帯の拡張(及び専用化)を求めるものが多かった一方で、現状維持でよいとの意見もありました。周波数委員会の案は、狭帯域デジタルについては、国内QSOができる上限を7030kHzから7040kHzに広げるというという限度の修正に留めるものでした。
周波数委員会は、このバンドプラン案について同年(2005)年5月31日までふたたび 意見募集 を行い、 改正要望書 をとりまとめ、2006(H18)年にJARLから総務省に提出されています。
総務省は、さらに意見募集を行い、2009(H21)年03月30日、全面改正されたバンドプラン告示が施行されました。このとき、135kHz帯の開放と共に、待ちに待った7MHz帯の大幅拡大が実現したのですが、狭帯域データ周波数帯は、
7025- 7040 国内○/国外○
7040 – 7045 国内×/国外○
7100-7200 国内○/国外○
と、上記周波数委員会案のまま、国内QSOができる上限を7030kHzから7040kHzに変更するものに留められました。なお、7100kHzから7200kHzまでの拡張部分は全電波型式とされ、狭帯域データでもQRVできることにはなっていました。
JT系デジタルモードの登場
さて、FT8が登場する前、JT系デジタルモードとしてはJT65が使われていました。 「HF帯で極めて弱い局と交信するためのJT65の運用テクニック」(月刊FBニュース2013年6月号) によれば、2006年頃から、もともとEME用として開発されたJT65をHFでも運用する局が現れはじめ、2008年の「JT65-HF」の登場により一気に増加したということのようです。
JAでも、先進的な方々の間で、JT65を使ったスケジュールQSOが行われていました。JT65の運用は、世界的には7076kHzで行われていましたが、当時のJAの7MHz帯のバンドプランは上記のとおりであり、 7076kHzでは国内外問わず一切データ通信ができませんでした 。インターネット上には、2012年にJT65のスケジュールQSOがなされた記録がありますが、このときの周波数は 7026kHz だったようです。JAでデータが許される帯域の下限である7026kHzが選ばれたのかもしれません。
その後、JT65スケジュールQSOの周波数は、国内データ帯域の上限である 7039kHz にQSYします。CWとのQRMを避けたのかもしれません。先駆者による熱心なスケジュールQSOの結果、7039kHzに出る局は徐々に増えていき、JA局だけでなく外国の局が出てくることもあったようです(ちなみに、私がJT65で初めてQSOしたのは、2013年2月のことでした。)。
しかし、JA局が7076kHzに出られない状況については、改善が求められていました。
7076kHzの開放(ただし「外国のアマチュア局とのQSOに限る」)
2012(H24)年、JARL周波数委員会は、同年5月31日を締め切りとして意見募集を行います。「新しい通信方式の普及状況や、新規に分配された周波数の有効利用を図るため」というのは、JT系デジタルモードの登場や7MHzの拡張を指しているのでしょう。特に7MHz帯については、大幅な拡張があったにもかかわらず、2009年のバンドプラン改正は、その前の意見募集の結果に基づくものにとどまっていましたから、全面的な見直しが必須と考えられたのでしょう。
意見募集の結果は、2012年末発行のJARL News
2013年冬号に掲載されたようです(ネット上では入手できず。)。その後、周波数委員会は「改正の方向性」を公表し、2013(H25)年5月31日を締め切りとしてさらに意見募集を行います。
https://www.jarl.org/Japanese/A_Shiryo/A-3_Band_Plan/h25-ikenboshu.pdf
このとき、周波数委員会からは、バンドプラン改正の方向性として以下の基本方針が示されました。
また、このとき公表された7MHz帯の案は、以下のとおりでした。
つまり、国外局とのQSOのみが許されていた7040-7045kHzを国内局同士のQSOにも開放し、7045-7100kHzは「外国のアマチュア局とのQSOに限る」との制限を付して、狭帯域データ帯域として開放するという案でした。あくまで7MHz帯においては、国内と国外を分けたい、ということなのでしょうか。
この改正案についての意見募集の結果は、おそらく2013年中に公表されたと思われますが、ネット上では見つけられませんでした。
2015年1月5日、改正バンドプラン告示が施行され、7MHz帯は以下のように改訂されました。
7MHz帯の狭帯域データ周波数帯は、
7030
– 7045 国内○/国外○
7045 – 7100 国内×/国外○
7100-7200 国内○/国外○
となっています。2013年に公表された周波数委員会案と比較すると、データ帯域の下限が7025kHzから7030kHzに削られていますが、他は同じです。
これで、JAの局も、晴れて7076kHzに出られるようになったのですが、ここでも「外国のアマチュア局との交信に限る」との制約が残され、JA局同士のJT65によるQSOは別の周波数で行わざるを得なくなりました。
ここで、バンドプラン上は、改正前に使われていた7039kHzを使い続けてもよかったはずですが、なぜか、2kHz上の7041kHzが使われるようになりました。バンドプラン告示の改訂を受けて、2015年2月、JARL制定のCWコンテスト周波数が「7010-7030kHz」から「7010-7040kHz」に拡張されましたので、この帯域を避けた7041kHzを使う方が良いと考えられたのかもしれません。 この頃までは、JT65(続くJT9やT10等)のユーザー数はそれほど多くなかったので、先駆者の呼びかけによるQSYも容易だったものと思われます 。
2017年夏、FT8が発表され、瞬く間にブームとなりました。WSJT-Xには、7MHzのFT8用周波数として7074kHzがセットされていましたが、この周波数ではやはりJA国内局同士のQSOができません。ここで、7041kHzとは別の周波数を提唱する動きもあったようですが、 いったん成立した7041kHzという慣習はとても強力で、 結局、JT65と同じ7041kHzがFT8でも使われるようになりました。 これだけJT系デジタルモードのユーザー数が増えてしまえば、一部の個人の呼びかけではQSYは無理でしょう。 そして、今日に至ります。
バンドプランは誰のもの?
今回の調査で、 過去のJARLは、バンドプランについて、一般アマチュア無線家から 何度も意見募集を行い、実に丁寧に 検討を行い、改正案をとりまとめて総務省に働きかけ、バンドプラン告示の改正を実現してきたことがわかりました 。
しかし、2013年を最後に、JARLによるバンドプランに関する意見募集は行われていないようです。2020年の1.8MHz帯及び3.5/3.8MHz帯の拡張の際も、JARLによる意見募集は行われませんでした。2020年初旬から始まったIARUによる全世界的なバンドプラン変更(統一)は、JAに対しても当然大きな影響を与えるものですから、意見募集がされてしかるべきでしたが、国内に対し情報提供すらされていません。そして、 あの意味不明な7MHz国内周波数についてのアナウンス です。
バンドプランは、アマチュア無線家みんなのものであって、密室で決められるべきものではないと私は考えます。広く、アマチュア無線コミュニティから意見を募集するのは当然のことです。
過去のJARLにはできたことが、 なぜ、 今のJARLにはできなくなってしまったのでしょうか。
(2022-01-30 記)
本日(2022年1月28日)、JARL会長髙尾義則氏宛に、 JH4PHW坂井志郎社員 、 JJ1WTL本林良太社員 と連名で、下記の文書を送付しました。
坂井さんは1エリアトップ当選の社員で、電子QSL、衛星通信、マイクロ波に詳しい技術系ハム、本林さんはアマチュア無線関係のデータ職人、おふたりとも、私がもっとも強く信頼を寄せる方々です。3人で、アマチュア無線界の将来、JARLの将来について真剣に議論した結果、髙尾会長に対し、このようなご提案をするに至りました。
新年のご挨拶 にも書きましたが、私は最近、JARLの進歩を止めている要素=「ボトルネック」がどこかにあるのではないか、一部の従順な人を優遇する一方で、なぜやりたいと名乗り出る人を排除してしまうのか、それが人の問題なのか組織的な問題なのかを、ずっと考えています。
昨年の社員総会で、執行部に対し、執行部に意見する者との意見交換、意思疎通を求める声が上がりました 。これは、JARL社員、JARL会員の総意であると私は思っています。
今回の提案文書に書き足りていない点がございましたら、ご意見をお寄せ下さい。また、この文書をどうぞ拡散して下さい。
髙尾会長との面談が実現することを楽しみにしています。
課題解決に向けての議論のご提案
JARLの会員が増えていると聞きます。それはそれでよいことですが、今のJARLに改善して欲しいという会員の声を、会長も直接お聞きになっていることでしょう。私たち社員3名は、JARLが今すぐに取り組むべき緊急の課題を、以下の3点にまとめました。
第1 カード転送の安定化
QSLカードの転送に、以前よりも時間が掛かっているように見えています。この要因は、在宅時間の増加や、デジタルモードの普及などに伴う交信・転送量の増加によるものと推察されます。新入会員には、入会しても半年以上カードが届かないようです。一方で、終活でカードの処分に困っていらっしゃる方もいますし、IARUは不要・不達のQSLカードの削減を呼びかけています。また島根の受託会社がビューローを辞めるという噂も絶えず、カード転送事業の継続が難しいのではないかと心から心配しています。
電子QSLシステムの利用促進、転送枚数を減らすための呼びかけ、公平な費用負担など、本格的に検討し、迅速に取り組みましょう。
第2 法制度・バンドプラン改善対応
昨年11月の内閣府「規制改革推進会議・経済活性化ワーキンググループ」にJARLは参加できませんでした。日本のアマチュア無線家を代表する団体として、とても残念なことです。
今年1月26日に、総務省に「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」が設置され、会長が構成員に就任されました。規制緩和を実現する最大のチャンスです。全国のアマチュア無線家の意見をしっかりと聞き、総務省に伝えていきましょう。要望書は多くの人の意見を取り入れてJARL会員の総意として作られるべきです。
また、IARUから、QRMの解消のため、国内FT8のQSOに使われている7041kHzを移転するよう求められている件については、JARLとして、一般アマチュア無線家に対しお願いするだけではなく、JARLが主導して新周波数を決めましょう。周波数委員会、コンテスト委員会などときちんと連携し、一般アマチュア無線家の意見もしっかりと聞きましょう。そうしないと、日本が世界に迷惑をかけたままになってしまいます。
第3 財政健全化
JARLは毎年数千万円の赤字を続けています。JARLの財政はこのままではいつか破綻します。これを改善するためには、QSLビューロー(年間7500万円)と、紙JARLニュース(年間3500万円)という主要費目をどのようにしていくのかが重要です。読みにくいJARL Webを全面的に改修し、「ニュースはJARL Webに」「充実した読み物は紙ニュースに」載せるように役割を分担し、経費を節減しましょう。地方予算を削ることなく、赤字の縮小・収支均衡を目指しましょう。
*****
私たち3名は、以上の緊急課題を解決するために、全国のアマチュア無線家と一緒に、会長に全面的にご協力申し上げる準備がございます。
昨年の社員総会で、社員から「もっと対話を」との声がありました。まずは、ご面談をお願いし、具体的な進め方について議論させていただきたく存じます。ご検討のほど、よろしくお願い致します。
以上
(2022-01-28 記)
2021年9月26日付けの記事「 国内FT8周波数が7041kHzから7037kHzに移行?(追記あり) 」の続きです。
ラジオ番組「ハムのラジオ」が、2022年1月16日(日)の放送で「7041問題」という言葉を使っていました ので、私も同じ呼び名を使わせていただくことにしました。
IARUの新バンドプラン案
現在、IARUにおいて、 バンドプランの改訂 が議論されています。 この議論、今に始まったことではなくて、実は2020年3月頃から始まっていた ようです。JARLには当然はじめから情報が行っていたと思うのですが、その間、一般ハムに向けて情報提供されたことはありませんでした。
現時点の新バンドプラン案は、IARU第3地域総会資料集から誰でもダウンロードできます
( https://www.iarur3conf2021.org/documents/ )。「Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union
– HF band plan revision 2021 – Proposal
.pdf」という名前のファイルです。下記ファイル名をクリックするとダウンロードできるはずです。全文英語ですが、重要な資料です。関心のある方は是非ご覧ください(JARLが日本語訳を用意してほしいものです。)。
Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
新バンドプラン案の基本的な考え方は、 データモードの激増を背景として、異なるモード間のQRMをできるだけ減らす というものです。
例として、7MHzのページを抜粋しておきます(クリックすると大きくなります。)。
基本的に、
- 7000-7040 CW
- 7040-7080 Data
- 7080-7200 Voice
と区分し、Dataの中はさらに
- 7040-7044 PSK/Olivia
- 7044-7060 RTTY
- 7050-7065 ACDS
- 7065-7080 FT8, FT4, JT65, JT9, Q65, JS8Call等
と細分化する、という案になっています。
JAのバンドプラン
7MHzでのFT8の周波数は、世界的には7074kHzですが、ご存じのとおり、JAでは、国が決めたバンドプラン( バンドプラン告示 )の制約から、7074kHzでは国外局とのQSOしかできません。そのため、FT8の国内QSOは7041kHzで行われています。
ところが、7041kHzは、7040-7044をPSK/Oliviaとする、というIARUの新バンドプラン案とバッティングしてしまいます。 今でも、7041kHzのJA国内FT8は、EU等で行われているPSK/OliviaにQRMを与えているそうなのです。
そこで、2021年9月のIARU第3地域総会で、 JARLに対し、日本の国内FT8周波数を7041kHzから7030-7040kHzの間に変更できないかを検討し、2021年末までに回答せよ、という宿題が課せられました。
JARLの対応
その後、JARLからは特に表だった動きはありませんでした。IARUから上記の宿題が出されたとのアナウンスもなく、会員からの意見募集もありませんでした。そして、2021年11月20日・21日に開催された第57回理事会に、突然、以下の「協議事項2」が上程されました。
(ここから)
2.7MHz帯でのFT8による運用周波数について
2021年9月20日(月)から22日(水)まで、3日間にわたって開催された第18回IARU第3地域総会(リモート会議)において審議された、第3地域バンドプランの改定について協議がおこなわれ、同総会において要請された7MHz帯でのFT8による運用周波数について協力して、周知活動をおこなっていくことで、全員異議なくこれを了承した。
(ここまで)
よくわからない文章ですが、IARUの要請をただそのまま「周知」する、と読めます。 IARUの宿題は「検討し、回答せよ」だったはずですが、検討した様子はありません。
そして2021年12月13日、 「7MHz帯FT8での国内局同士の運用周波数について -ご協力のお願い-」という文章 が、JARL Webの奥の方にこっそり掲載されていることが「発見」されました。
この文書は、 トップページからリンクが張られることもなく 、文字通りひっそりと掲載されていました。これでは「周知活動」とはいえません。
また、その中身も、「今後、国内局同士のFT8による運用については、7030-7040kHz(キャリア周波数 7030-7037kHz)の帯域での運用とするように、デジタル通信をご利用の皆様にはご理解のうえ、ご協力いただきますようお願いいたします。」というだけです。 どの周波数に移って欲しい、とは書かれていませんし、いつから移行して欲しいのかも書かれていません。 これではアマチュア無線家側は、動きようがありません。
JARL会員課に問い合わせた友人がいます。このような返事が返ってきたそうです。
(引用ここから)
なお、今回の件につきましては、これまでに周波数委員会や理事会でご審議いただき、その結果をご案内させていただいているもので、すでにご案内させていただいておりますとおり、
当連盟では各デジタルモー ドの運用周波数についての詳細な取り決め等は行っておりません 。
(引用ここまで)
つまり、 JARLとしては、「この問題について音頭を取るつもりはない、FT8ユーザーに任せるから新周波数は勝手に決めてね」 ということなのです(なお、周波数委員会でご審議頂いたと書かれていますが、第57回理事会報告には、周波数委員会が開催されたとは書かれていません。)。
JARLからIARUへの回答期限は2021年末でしたが、どのような回答をしたのかも公表されていません。
7MHz国内周波数は誰が決める?
ネット上には、7MHzの国内FT8周波数は慣習的に決まったものだから、新しい周波数も、JARLが決めるのではなく、FT8ユーザーの間で自然と決まっていけばよい、との意見も見られました。ですが、今後、新周波数は自然に決まるでしょうか。
無線通信は相手があって初めて成立します。特にFT8の場合、皆が同じ周波数に集まってQSOする慣習が確立しています。現状、7041kHz以外の周波数でCQを出しても、まず呼ばれません。呼ばれないから、7041kHzに戻らざるをえません。つまり、 皆が7041kHzに集まっているという一旦成立したFT8の慣習は、誰かが音頭を取って、「いつ」「どこへ」移りましょうと呼びかけない限り、そうそう簡単には変わらないのです。 現に、この記事を書いた今日も、7041kHzでは盛んにFT8の国内QSOが行われています。
JARLの理事会には、FT8のこのような特性を理解している理事がいなかったのではないでしょうか。
また、皆が7030-7040kHzの間の好きなところでバラバラにQSOを始めたらどうなるでしょうか?却ってQRMは増えてしまいます。元も子もありません。
では、FT8ユーザーの誰か個人が、音頭を取って決められることでしょうか・・?その前に、考えられる具体的な選択肢を検討してみます。
考えられる選択肢
ネット上の議論も含め、各局の意見を整理すると、大きく分けて以下の選択肢が考えられそうです。
- 案1:「7065-7080kHz」で国内QSOもできるようにする。
- 案2:「7030-7040kHz」のどこかに、国内FT8周波数を動かす。
- 案3:「7100kHz以上」のどこかに、国内FT8周波数を動かす。
案1:「7065-7080kHz」で国内QSOもできるようにする
バンドプラン告示の「注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。」を削除してもらう、という案です。これなら、IARUの統一バンドプランにJA用の「例外」を設けてもらわなくても済みます。そもそも、この注2の制約はなぜ存在するのでしょうか?あまり合理的とも思えません。
この「注2」は、 バンドプラン告示 で定められているものですので、総務省に掛け合って告示を改正してもらう必要があります(あるいはこの際、バンドプラン告示からHF帯は外してもらい、JARL限りで柔軟に決められるようにしてもらうという手も考えられます。)。すぐに実現できるものではないでしょう。
なお、JARLのアナウンスには、総務省に告示の改正を働きかけるとは書いていません。JARLとしては、総務省への働きかけはしない、ということでしょうか。
案2:「7030-7040kHz」のどこかに、国内FT8周波数を動かす
IARUの資料には、7037kHzという数字がみられます。7030-7040kHzのはしっこ、という意味でしょうか。しかし、これはあくまで「suggestion(示唆)」であり、ここにしてくれというわけでなく、議論のスタートと考えられます。では、7037kHzがよいでしょうか。
(1) 7037kHzは、その付近に出ているロシアの軍事ビーコンからのQRMがありそうです。
(2) 7038.6kHzで行われているWSPRとの関係も問題となりそうです(IARUでは、7038.6kHzはダイヤル周波数であり、実際にWSPRの信号が出ているのは「7040.0-7040.2kHz」なので、7037kHzでFT8の信号(7037-7040kHz)を出してもギリギリかぶらないと整理されているようですが、本当に大丈夫でしょうか。)。
(3) 7030-7040kHzのどこに移すにしても、CWコンテスト周波数帯「7010-7040kHz」とバッティングしてしまうのが大きな問題 です。ネット上には、7030-7040kHzに移すことに対するコンテスターからの強い異論が多く見られました。そして、JARLのコンテスト委員会委員長が、2021年12月28日付けでJARL会長宛に異議申立書を提出されています。詳しくは、委員長のブログ記事をご覧下さい。
12/28 JARL会長宛にFT8周波数移行について異議申立書を出した
「7.030-7.040MHzにFT8が移ってくればCWでのコンテストは大混乱に陥るのが明白だけど、コンテスト委員会には事前にまったく情報が伝えられず、相談も無かった。」 というのですから、ひどい話です。
(4) さらに、7030-7040kHzに移行すると、RTTYとのQRMが発生するという指摘もありす。ただし、IARUの新バンドプラン案では、RTTYは7044-7060kHzに移行させる計画なので、国際RTTYとJA国内FT8のQRMは徐々に解消されていくかもしれません。ですが、国内RTTYをどこでやるのか、という問題は残ります。
(5) そもそも、国際的なハーモナイゼイションとして、7000-7040kHzをCWの周波数帯にしようという計画なのですから、国内FT8を「7030-7040kHz」のどこに持っていっても、CWとの軋轢は避けられないように思います。
という次第で、第2案は、なかなか難しそうです。
(なお、私も実行委員会のメンバーとして参加した「バーチャル・ハムフェス2021」併催の 「社会実験・FT8 QSOパーティ」 において、当初、IARU-R3からJAに対する今回の要請を踏まえ、推奨周波数を「7030~7040kHzまでの1波(有力候補として7031kHz)を開催日までに指定する。」としつつ、皆さんのご意見を伺いたい、としていました。すると、7030~7040kHzの間ではCWやRTTYとの混信、軍事レーダーの影響、当日はEU主催のRTTYコンテストがある等、たくさんの有益なご指摘を頂き、 実行委員会として「7030~7040kHz」は避けるべきと判断した、という経験をしています(7151kHzを第1推奨周波数、7154kHzを第2推奨周波数として当日を迎えましたが、QRM状況に鑑み、開始後間もなく、ご参加の皆様に呼びかけてさらに7181kHzに変更して頂きました。)。この過程で、厳しい言葉や決めつけを浴び(例えば、7031kHzでQSOパーティを「強行しようとした」などという事実はありません。)、半ば炎上気味になってつらい思いもしましたが、やはり、アマチュア無線家の皆様の意見を広く伺うことは有益でした。「7030-7040kHz」内に国内FT8周波数を移行させるのは相当難しいと認識した次第です。)
案3:「7100kHz以上」のどこかに、新国内FT8周波数を決める。
IARUの新バンドプラン案には、随所に「JAでは、7045kHz以上ではJA局同士のDataモードのQSOが禁止されている」と書かれています。
ですが、 正しくは、JAのバンドプラン上、7100kHz以上は「狭帯域の全電波型式」と指定されており、JA局同士のFT8でのQSOは可能です。この点をJARLがきちんとIARUに伝え、IARUの議論のベースになっていたのかどうか、IARUの資料からはわかりません 。
この点を正しく伝えれば、IARUでも、「なんだよ、7100kHz以上でOKなら、7030-7040kHzなんて狭いところに行かないで、7100kHz以上に持っていこうよ」ということになったかもしれません。
客観的に見れば、「7100-7200kHz」の方が「7030-7040kHz」よりも広く、例外的に国内FT8の周波数を認めてもらっても問題は小さいのではないでしょうか。10kHzも取る必要はなく、5kHzで十分と思われます。
早まるのは禁物ですが、もし、国内FT8の周波数を7100-7200kHzに持っていけるとした場合、さらにIARUの新バンドプラン案の以下の点を考慮する必要がありそうです。
- 非常用通信周波数を、世界的に7110kHz(7105-7115kHz)に統一することが提案されていること(第2地域の非常用通信周波数を7060kHzから7110kHz に移行し世界的に統一)
- コンテスト優先周波数を「7080-7100kHz」及び「7130-7175kHz」とすることが提案されていること
なお、7100kHz以上のどこに持って行くにしても、FT8による国内QSOなのですから、できるだけQRPで行い、SSB(特に外国のSSB)にQRMを与えないようにする国際的な配慮が必要ではないでしょうか。
(なお、現在のJARLのコンテスト周波数は「7060-7140kHz」ですが、IARUの新バンドプラン案ではSSBの下限が7080kHzとされていること、7110kHzの非常用通信周波数はあけておくべきであろうことから、いずれにせよコンテスト周波数の見直しが必要と思われます。IARUの新バンドプラン案で「7080-7100kHz」及び「7130-7175kHz」がコンテスト優先周波数とされていることが参考になりそうです。)
整理
以上まとめますと、「7041問題」を解決するためには、例えば、以下のような対応が必要ではないでしょうか。
-
(1) IARUに対し、JAでは7100kHz以上でも国内FT8が可能であることを正しく伝え、JAのためのデータモードの例外は「7030-7040kHz」ではなく、7100kHz
以上のどこかに今から変更してもらえないか、と逆提案する。
→もっとも、IARUの議論は相当進んでいますので、今からドラスティックな提案をしてももう遅すぎるといわれてしまうかもしれません(IARUのバンドプラン改革は2020年3月から始まっていたのですから、JARL執行部がもっと早く周波数委員会やコンテスト委員会などにきちんと諮問し、一般ハムからの意見も聞き、本気で取り組んでくれていれば、こんなことにはならなかったのにと思います。残念です。)。
→IARUのバンドプラン案の変更が受け入れられなかったときは、①CWとのQRM覚悟で「7030-7040kHz」内にFT8国内周波数を持って行くか、②IARUの新バンドプラン案には反すること覚悟で、7100kHz以上にFT8国内周波数を持って行くか、の決断を迫られてしまいます。。
- (2) 「7030-7040kHz」にしても「7100kHz以上」にしても、その中で国内FT8用の特定の周波数を決める。
- (3) その周波数に移行する日時も決める。
- (4) 新バンドプラン案にあわせて、コンテスト周波数を変更する。
- (5) 以上を、あらゆる手段を使って広報する。ウェブ等でのアナウンスだけでなく、新周波数でのQSOパーティを開催したらどうでしょうか。
- (6) 以上と平行して、バンドプラン告示の改正に向けて、総務省と協議する。
さらに、いずれにせよ、 海外へのQRMを避けるために、 国内QSOは できるだけQRPで運用するよう呼びかける ことも必要でしょう。
さて、これだけのことを、FT8ユーザーの誰かが音頭を取って実現できることでしょうか・・?私は、個人では相当難しく、やはりJARLが組織として取り組むべき課題だと思います。
黒点数が上昇するこれからの時期に、FT8ばかりでなく、RTTYやPSKといった他のモードでDX交信のチャンスを広げるために、7040-7060kHzをRTTYやPSK用にクリアにするという提案は、JAを含む全世界のアマチュア局にとってメリットがあると思います。ですが、このままでは、7041kHzでの国内FT8が、世界に迷惑をかけ続けることになりかねません。JAとして恥ずかしいことではないでしょうか。
JARL現執行部におかれては、この「7041問題」の解決をユーザーに丸投げするのではなく、改めて、真正面から取り組んで頂きたいと思います。
付録
IARUの新バンドプラン案資料には、WSJT系デジタル周波数についての「提言」も書かれています。とても興味深い内容です。
例えば、7MHzでは、FT8を7074-7080(dialとしては7074と7077)にしたらどうかと提言されています。7074だけでは混みすぎなので”散らしませんか?”というアイデアと思われます。
14MHzでは、FT8は14074-14083とされ、ダイヤル周波数としては14074、14077、14080の3つも示されています。
私は密かに、FT8は混みすぎなのでもっと散らしたら良いのにと思っていました。この「提言」が実現すれば、QRMが相当程度解消されそうです。
さすがIARU、とてもよく考え抜かれています。JARLも逃げていないで、IARUのメンバーとして、このバンドプラン改革が前に進むよう、積極的に協力すべきではないでしょうか。
(2022-01-21 記)