毎日はレビュー
(2026/6/15 19:05:02)
【JARL創立100周年】100年前の「レジスタンス」から未来へ。6月12日一斉オンエアデー
(2026/6/7 13:04:00)
2026年6月12日、日本アマチュア無線連盟(JARL)はついに創立100周年という偉大な節目を迎えます。
この記念すべき「100歳の誕生日」を祝して、 2026年6月12日(金)12:00より「日本全国一斉オンエアーデー」が開催されます 。全国のアマチュア無線家が今いる場所から一斉に電波を送り出し、日本中、そして世界中と繋がろうというイベントです。運用したすべての方には「電子記念運用証」も発行される予定です。
しかし、皆さんは100年前のJARL創立の日が、当時の国家に対する極めてラディカル(反逆的)な挑戦から始まったことをご存知でしょうか?
■「不法無線局」たちのレジスタンス 100年前の日本は、電波の送受信は国家の絶対的な独占下に置かれていました。私人が許可なく電波を発射することは明確な違法行為であり、無線に魅せられた若き技術者たちは、厳しい法規制の外部で「アンカバー(無許可・不法無線局)」として活動せざるを得ない「地下技術組織」だったそうです。
そして1926年(大正15年)6月12日の夜。東京・巣鴨の下宿部屋に集まった若者たちは、重大な決断を下します。彼らは処罰のリスクを覚悟の上で、自作の短波送信機を用い、世界の空に向けてJARL結成の宣言文を一斉送信(QST)したのです。
これは単なる若気の至りではなく、国際社会に自分たちの存在を認知させ、電波の自由を勝ち取ろうとする戦略的かつ決死の「レジスタンス行為」でした。この時の彼らの熱意と実力行使が最終的に政府を動かし、日本におけるアマチュア無線の合法化へと繋がっていったのです。
■これからの100年、無線はどう生きるのか? 100年前の先人たちが命がけで切り拓いてくれた「自由な電波の空」。 しかし、インターネットやスマートフォンがインフラとして完全に定着した現代、そしてこれからの未来において、無線というホビーはどのように生き残っていくべきなのでしょうか?
最新の通信技術を追求する道、災害時の非常通信としての役割、あるいは純粋な人と人とのコミュニケーションツールとしての価値……。その答えは一つではないはずです。
■電波に乗せて、未来を考えよう 2026年6月12日(金)の一斉オンエアデー。 ご自宅のシャックから、仕事の合間から、あるいは移動先から。ぜひあなたも自慢の電波を空に送り出してみてください。
100年前のあの日、未知の空へ向けて情熱の電波を放った先輩たちのレジスタンス精神に思いを馳せながら。そして交信相手と「これからの100年、無線が生き続ける道」について語り合いながら、一緒に未来へ向けた電波を紡いでみませんか?
お空でお会いできるのを心から楽しみにしています!
【POTA運用記】「出早公園」が JP-1337塩嶺王城自然公園の“飛び地”に指定された謎に迫る
(2026/6/4 21:08:01)
こんにちは!今回は、長野県岡谷市にある「出早公園(いずはやこうえん)」でのPOTA(Parks on the Air)運用レポートをお届けします。
対象パークは JP-1337(県立塩嶺王城自然公園) 。
このパーク、本来は標高1,000m級の塩嶺峠や王城山の尾根づたいに広がる高原エリアなのですが、実は驚くべき場所に「飛び地」が存在します。それが、今回ご紹介する山麓の「出早公園」です。
本域の公園も車でアクセス可能とはいえ、「わざわざ細い山道を運転して向かわなくても・・・」という時、ここは市街地からすぐでアクセス抜群。今回は、実際に現地で運用してきた模様と、「なぜここが山の上の自然公園の飛び地として指定されたのか?」という歴史の謎解きをご紹介します!
塩嶺王城自然公園といえば、長野県の岡谷市、塩尻市、辰野町にまたがる広大な自然公園。その本域は文字通り「山の上」です。しかし、事前にリサーチしていると、ホームアクティベーターさんから耳寄りな情報が。
「出早公園なら、わざわざ山道を走らなくてもJP-1337のエリア内だよ」
半信半疑でマップを確認すると、確かにポツンと離れた山麓の出早公園が指定区域(飛び地)に含まれています。
実際に現地へ行ってみると、駐車場も広くて楽々 無線運用可。曲がりくねった山道を運転して運用ポイントを探す手間もなく、平地の駐車場から非常にスムーズに設営・運用をスタートできました。このお手軽さでJP-1337をアクティベーションできるのは、車移動メインの私にとって大きなメリットです。
無事にQSOを重ねながら、一つの疑問が頭をよぎりました。 「なぜ山頂の高原を保護するはずの自然公園に、わざわざこの麓の公園が飛び地として組み込まれたのだろう?」
気になって調べてみたものの、行政の告示などに「飛び地にした理由」が直接書かれているわけではありません。そこで、いつも使っている生成AIに「なぜ出早公園は飛び地指定されたのか?」と推理を頼んでみました。
すると、地理的な特徴や自然公園法の目的から、非常にロジカルな「3つの推理」を提示してくれました。
出早公園の敷地は、「出早雄小萩神社(いずはやおこはぎじんじゃ)」の境内でもあります。昭和7年の調査で、この狭い境内に240種もの植物(木本50種、草本190種) が自生していることが判明し、市の天然記念物にも指定されています。 AIの推測によると、昭和39年の公園指定当時、 「この神の森が育んだ奇跡的な生態系は、山の上の自然と同等に、自然公園法という強い枠組みで永久保護する価値がある」と判断されたのではないか、とのこと。
地理的に見ると、出早公園は塩嶺の山々から流れ出る「横河川」の扇状地の最上部に位置しています。 山頂の高原が蓄えた水が、この出早の地を通って麓の街へ注ぎ込む。つまり、「塩嶺山系と水系・地質的に一体の自然システム」であると見なされたため、飛び地として包含されたのではないか、という見解です。
自然公園法には「自然を守る」だけでなく「人々に自然を利用してもらう」という目的もあります。 わざわざ山上の本域へ向かうワインディングロードを運転しなくても、市街地から車でサッと立ち寄れる出早公園なら、誰もが手軽に四季の自然(春のカタクリや秋の紅葉)を楽しめます。ここが、「塩嶺王城自然公園への素晴らしい玄関口(利用の拠点)」として最適だったからではないか、とAIは結論づけました。
この生成AIの推理、いかがでしょうか? 公式文書に明記された正解ではないかもしれませんが、実際に現地でその自然の豊かさとアクセスの良さを体感した私としては、「なるほど、確かに!」と深く唸ってしまいました。
ただの「アクセスの良い便利な運用場所」だと思っていた出早公園。しかし、その背景には、神社の信仰が守ってきた貴重な原生の自然と、山と里を繋ぐ水系のストーリーが隠されていたのです。
目の前に広がる豊かな緑の木々を見上げながらリグ(無線機)に向かうと、普段の運用とはまた一味違う、地域の歴史の深みを感じることができました。
山上の絶景を狙うドライブがてらのアクティベーションも最高ですが、たまにはこうした「歴史の謎解き」を秘めた飛び地パークで、のんびりQRP運用を楽しんでみるのも良いでしょう。
次の移動運用の候補地に、ぜひ岡谷市の「出早公園」をチェックしてみてください!
本日開催「電波文化祭」出展レポート:無線交信体験大盛況と意外な気づき
(2026/5/24 20:08:57)
本日開催された「電波文化祭」の出展が無事に終了しました。今回用意した各種施策については予定通りに遂行することができ、一通りのことを存分に楽しめた充実した1日となりました。
中でも今回、最も意外な結果となったのが「無線交信体験運用」です。元々、無線家や無線に興味のある方が集まるイベントであるため、交信体験の希望など無いと予想していました。そのため、こちらから「無線体験してみませんか?」と積極的に声をかけることもしませんでした。
ところが、結果的には以下の通り、計7名の方に無線運用を体験していただくことができました。
アマチュア無線: 4名
特定小電力無線: 1名
市民ラジオ(CB): 1名
デジタル簡易無線(DCR): 1名
ライセンスフリー無線に関しては、それぞれ個人のご希望に合わせての体験となりました。
アマチュア無線については当方がハンディ機運用であったため、あらかじめ東京大学アマチュア無線クラブの皆さんにお願いし、あらかじめ周波数を決めておいて呼んでいただく形をとりました(いわゆる仕込み)。彼らの多大なるご協力のおかげで滞りなく体験を提供できたこと、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
今回、少しだけですが「初めての体験運用を提供する側」になってみて、いくつか気になった点や気づきがありましたので備忘録として挙げておきます。
マイクと口の距離感
初めて無線機を触る方にとっては、適切な距離感がわからないようです。かなり離れた位置から声を出される方もいらっしゃったため、機器に少し触れながら適切な位置を直接お伝えするなどのサポートが必要だと感じました。
専門用語は控え、自然な会話を
コールサインや名前を和文コード表やフォネティックコードで伝えられてしまうと、初心者の方は一瞬でついてこられなくなってしまいます。交信成立後は、むしろ普通の他愛もない会話をしていただくのが一番スムーズな気がしました。
相手側からの「質問」の重要性
いきなりマイクを渡されても、体験者側から主体的に喋り出すことは困難です。今回で言えば、東京大学の皆さんが上手く質問を投げかけてくださったおかげで、自然な会話が成り立っていました。
また、一定の年齢層の方も何名か体験されましたが、彼らにとっては「インターネットで検索して調べる」という進め方はあまり一般的な選択肢ではないようです。そのため、体験を通して興味を持っていただいた後、どのように次のステップへ進むべきかをお伝えするのに少々苦労しました。
ある方の場合は「秋葉原には行くことがある」とのお話でしたので、秋葉原の無線ショップをご紹介し、「自分の用途を伝えることで相談に乗ってもらえる」とお伝えしました。このような方々をスムーズに拾い上げられる、専用の窓口のようなものがあれば良いのかもしれません。
ちなみに、今回体験いただいた7名のうち、3名は女性でした。こういった場面で気軽に声をかけてくださるのは女性が多いのかもしれませんが、意外にも潜在的な興味をお持ちの方はいらっしゃるのだと実感しました。
「山歩きをする時に無線機を持ち歩きたい」といった具体的なご要望をお持ちの方もいらっしゃいましたので、例えばアウトドアや登山の趣味の集まりなどに赴いて体験運用を提供するのも面白いアプローチだと感じた次第です。
今回は出展を決めてから約2週間という短期間での準備となりましたが、集まっていただいたスタッフの皆様のご協力のおかげで、本当に楽しい1日を過ごすことができました。改めて深く感謝申し上げます。
【フリラ】念願のアルインコ DJ-P321を購入!手のひらサイズでレピーター対応の実力やいかに?
(2026/4/9 20:54:16)
皆さんこんにちは!今回は、ずっと気になっていた特定小電力トランシーバー、アルインコ(ALINCO)の「DJ-P321」をついにお迎えしたので、ファーストインプレッションと運用レビューをお届けします!
実は以前から虎視眈々と狙っていた機種だったのですが、先日ネットを見ていると、ポイント還元を含めて実質6,800円くらいになるタイミングがありました。「これはもう今買うしかない!」と、すっかり勢いでポチってしまいました(笑)。新しい無線機が手元に届いた時のワクワク感は、フリラ愛好家にとって何度味わってもたまりませんね。
箱から出して実物を手に取ってみてまず驚いたのは、その圧倒的なコンパクトさです。これまで愛用していて、同じく小型軽量に定評のあるKENWOODの「UBZ-M51L」と比較しても、さらに一回り小さい!すっぽりと手のひらに収まる絶妙なフィット感で、これなら長時間の持ち歩きや運用でも全く苦にならなそうです。
ただ、一つだけ惜しかった点があります。本当は華やかな「ゴールド」カラーが欲しかったのですが、通話距離を重視してロングアンテナモデルを選ぶと、本体カラーが「ブラック」一択になってしまうんですよね。こればかりはメーカーの仕様なので仕方ありませんが、少しだけ残念でした。それでも、シックなブラックは無骨でプロっぽさがあり、使い込むほどに愛着が湧きそうです。
届いて早速、自分好みにセッティングを施しました。微弱な電波も逃さずキャッチできるようにスケルチレベルは「1」 に設定。そして、使い勝手を大きく左右するサブPTTボタンには 「モニター(スケルチ解除)」機能を割り当てました。これでフリラ運用への準備は万端です!
また、この機種の素晴らしいところは「単三電池1本」で動作するという点です。いざという時にコンビニ等でサッとバッテリーを調達できるのは、野外運用において非常に心強いポイントです。さらに、シンプレックス(単信)とレピーター(中継)のチャンネルをシームレスに行き来できる操作感も、とてもシンプルで直感的。マニュアルを熟読しなくても直感的にサクサク使えるインターフェースはかなり好印象でした。
初期設定が完了したところで、愛犬の散歩がてら実力テストに出かけてみました。目標は、各局にはお馴染みの「スカイタワー西東京特小レピーター」へのアクセスです。
私の住む清瀬市からテストしてみたところ……予想通り、 普通にアクセスできました! もちろん、どこからでも繋がるわけではなくピンポイントで場所は選ぶものの、アクセスできる場所での比較からはこれまでの最上位機種とほぼ同じ性能です。妥協せずにロングアンテナを選んで大正解だったとも実感した瞬間です。
今回勢いで購入したDJ-P321ですが、携帯性、操作性、そして実用的な通信距離と、どれをとっても非常に満足度の高い特小トランシーバーでした。これからの季節、犬の散歩はもちろん、ちょっとしたお出かけのお供として、私のフリラ活動をさらに楽しくしてくれそうです。
各局、また空でお会いしましたら、ぜひ交信よろしくお願いいたします!
【わんわんパトロールFT8】犬の散歩中に海外まで飛んだ!? 1.2mロッドアンテナで挑むHF
(2026/3/28 20:02:35)
リードを腕に通しリグを持った左手。そしてスマホを握りしめる右手。 皆様、いかがお過ごしでしょうか。私は最近、ある野望に燃えていました。
そう、 「犬の散歩をしながらFT8を運用する」 という、極めて現代的かつニッチなミッションです。名付けて 「わんわんパトロール FT8」 。
事の発端は、7L4WVUさんの「WVU-604F5」を入手したことでした。このコンパクトな機材を手にした瞬間から、「これで散歩中にFT8ができたら最高じゃないか?」という妄想が止まらなくなってしまったのです。
実は以前にも、第一電波工業(ダイヤモンド)の「SRH999」というアンテナを使って、6m(50MHz)での犬の散歩FT8に挑戦したことがあります。その時は、PSKReporterで確認するとお隣の町でバッチリ受信されていました。「おっ、意外といけるぞ!」と味をしめた私は、今回ついに「れっきとしたHF帯での運用」に踏み切ることにしました。
今回、アンテナに白羽の矢を立てたのは、まるしぃさん作の「XEH-EF705」。広帯域のトランスを搭載したEFHF(End Fed Half Wave)アンテナです。
本来なら10mのワイヤーを展開すれば、それなりに気持ちよく飛んでくれるはずです。しかし、よく考えてみてください。 犬の散歩中に10mの電線をぶん回して歩く姿を。 ……完全に不審者です。犬も戸惑うこと間違いなしです。
というわけで、物理的な制約(とご近所の目)を考慮し、今回は 1.2mのロッドアンテナ をチョイスしました。
まるしぃさんの解説によると、このアンテナはローバンドになるほど「ロッドアンテナ」と「10mワイヤー」の性能差が顕著になるとのこと。
(例1) 7MHz帯の場合: ロッドで10W送信 = 10mワイヤーで1.25W送信(かなり厳しい!)
(例2) 50MHz帯の場合: ロッドで10W送信 ≒ 10mワイヤーで10W送信(ほぼ同等!)
つまり、ハイバンドであればあるほど、ロッドアンテナでも戦えるということです。果たしてこの理論通りになるのでしょうか? いざ、愛犬と共にパトロールへ出発です!
運用は、40m / 30m / 20m / 17m / 15m / 12m / 10m と、各バンドを細かく切り替えながら実施しました。リードを引っ張る愛犬をなだめつつ、画面のウォーターフォールを凝視する怪しい散歩風景。
帰宅後、ワクワクしながらPSKReporterを開いて電波の飛びを確認してみました。 その結果拾ってもらえたのは…… 以下の2バンドのみ!
12m (24MHz): お隣 東村山市
10m (28MHz): 中国(浙江省)、台湾
……おおおっ!10mで海外まで飛んでる!!
なんと、犬の散歩をしながら放った電波が海を越えていました。しかしその反面、15m以下のロー〜ミドルバンドは完全に沈黙。まるしぃさんの説明通り、「1.2mロッドアンテナを使った犬の散歩FT8では、圧倒的にハイバンドに軍配が上がる」という結果が、見事に実証されました。
余談ですが、20mバンドを運用中、鹿児島県は大隅半島で運用しているPOTA(Parks on the Air)局のCQをバッチリ受信しました。「これは!」と思い、散歩の足を止めて一生懸命呼び続けたのですが…… かすりもしませんでした(笑)。 向こうには私の存在など微塵も届いていなかったようです。飼い主が必死にアンテナを傾けたりしている間、愛犬は退屈そうにあくびをしていました。
今回の実験で、ハイバンドでの「わんわんパトロールFT8」の可能性は十分に感じられました。
しかし、もしこれをどうしても40m(7MHz)でやりたいと思ったらどうなるでしょうか。 おそらく、第一電波工業の「HF40CLS」あたりの短めのモービルホイップを魔法の杖のように掲げながら、 足元にはアース代わりのカウンターポイズ線(数メートル)をズルズルと引きずりながら歩く ことになります。
……想像しただけで、近所の冷たい視線が背中に突き刺さって痛いです。当分は、おとなしくハイバンドでのパトロールに留めておこうと思います(笑)。
【妄想シリーズ】10mWの魔法!多摩六都科学館で子供たちに無線の醍醐味を伝えたい
(2026/3/27 21:26:38)
全国の無線愛好家の皆様、フリラファンの皆様、今日も元気に空に向かってCQを出していますでしょうか?
さて、一部のニッチな層から熱狂的な支持を集めている(と勝手に信じている)私の「妄想シリーズ」ですが、今回もまた、頭の中でとんでもなくワクワクするプロジェクトが立ち上がってしまいました。
今回のテーマはズバリ、「特定小電力トランシーバー(特小)を使って、子供たちに無線の世界へ沼らせる…いや、興味を持ってもらう仕組みづくり」です!
本題に入る前に、少しだけ昔話をさせてください。 我々おじさん世代が子供の頃って、無線の世界に触れる入り口がそこかしこにありましたよね。「ラジオの製作」や「初歩のラジオ」といった雑誌を食い入るように読み、お年玉を握りしめて秋葉原へ行ったものです。
夜な夜なBCLラジオのチューニングダイヤルをミリ単位で回し、ノイズの奥から聞こえてくる遠く離れた国の放送に耳を傾ける。あるいは、CBトランシーバーを持って空き地に走り、「CQ、CQ、こちら…」と叫ぶ。そこには、見えない「電波」という魔法を自分の手で操っているという、強烈な感動がありました。
しかし、今はどうでしょう。インターネットとスマートフォンが完全に普及し、地球の裏側の人ともLINEで一瞬にして高音質のビデオ通話ができる時代です。それは確かに便利で素晴らしいことですが、その反面、「電波が空間を飛んでいく不思議」や「見知らぬ誰かと偶然繋がるロマン」に触れる機会は、今の子供たちからすっかり失われてしまいました。
「スマホでいいじゃん」 もし今の子供にトランシーバーを見せたら、十中八九そう言われるでしょう。でも、私は信じています。昔ほどではないにせよ、あの「ノイズの向こう側から人の声が聞こえてくる感動」に心を揺さぶられる、科学のタマゴたちは今でも一定数絶対にいるはずだと!
では、そんな子供たちに無線の面白さを伝えるにはどうすればいいか? どこでやるのが一番効果的か?
妄想の舞台として私が白羽の矢を立てたのは、東京都西東京市にある「多摩六都科学館」です。プラネタリウムや充実した科学展示があり、週末になれば「どうして?」「なぜ?」という知的好奇心で目を輝かせた子供たちが大勢集まる、まさに科学の聖地です。
ここまでは普通のイベント企画です。しかし、皆様。多摩六都科学館の隣に何がそびえ立っているか、もちろんご存知ですよね?
そう、地上195メートルの巨大な電波塔、「スカイタワー西東京」です!
そして、ここからが我々フリラ愛好家にとっての最大の萌えポイントです。あのタワーの上には、泣く子も黙る広域レピーター「スカイタワー西東京特小レピーター」が燦然と輝いているではありませんか!
科学に興味津々の子供たちが集まる施設のすぐ隣に、広大なカバーエリアを誇る特小レピーターがある。……これ、神様が「ここで無線のイベントをやりなさい」と言っているような、奇跡の立地だと思いませんか?
さて、いよいよ私の妄想イベントの全貌を語りましょう。
週末の多摩六都科学館のエントランス付近に、特設ブースを設けます。ずらりと並んだ特定小電力トランシーバー。そこを通りかかった子供たちに、スタッフが声をかけます。
「ねえ君、電波で遠くの人とお話ししてみない?」
子供たちは不思議そうにトランシーバーを受け取ります。「え? スマホじゃないの? なにこの長い棒・・・」。 そこでスタッフが、レピーターの仕組みが描かれたポップで説明します。 「ここから出る電波はね、すごく弱いんだ。乾電池の力だけで飛んでいくからね。でも、隣にあるあの大きなタワーのてっぺんに届くと、タワーが『もっと遠くまで飛んでいけ!』って電波を強くして跳ね返してくれるんだよ」
そして、子供にトランシーバーのPTT(送信)ボタンを押させます。 「CQ、CQ、だれかきこえますか?」
ボタンから指を離した瞬間、スピーカーから「ザッ」というスケルチの開く音がして、レピーターのアクセス音が鳴り響きます。そして……。
『はい、こちら〇〇(コールサイン)。君の声、綺麗に届いてるよ! 今、埼玉県○○からお話ししています』
その瞬間、子供の目がまん丸になるのが目に浮かびます。 「えっ!? 埼玉県○○!? スマホもインターネットも使ってないのに!?」 そうです、これです! この「10mWの小さな機械と、空飛ぶ電波だけで何十キロも離れた人とリアルタイムで繋がった」というダイレクトな体験。これこそが、スマホ世代の子供たちに強烈なパラダイムシフトを起こす魔法なのです!
妄想はこれだけでは終わりません。科学館での体験で興味を持った子供たちには、なんと「特小トランシーバー1週間無料レンタル」を実施します!
子供たちは大事そうにトランシーバーを自宅に持ち帰ります。そして夜、自分の部屋のベッドの中や、家のベランダから、タワーの方向を向きながらそっと電源を入れます。
「家からも届くかな……。CQ、CQ、多摩六都科学館でトランシーバーを借りた〇〇です。誰か聞こえますか?」
すると、タワーを介して、夜の電波の海を漂っていた見知らぬ無線家から応答があるのです。
「〇〇くん、こんばんは。聞こえてるよ。よく電波飛んできたね!」
自分の家から、自分だけの力で、見えない電波を飛ばして世界と繋がった瞬間。かつて我々がゲルマニウムラジオを作って初めて放送を受信した夜のような、あのドキドキとワクワクを、現代の子供たちにも味わってもらうのです。中には、ベランダのどこに立てば一番電波が入りやすいかを探り始める、立派な「無線の変態」の片鱗を見せる子も現れるでしょう。
たった10mWの微弱な電波。だけど、高い場所に設置されたレピーターの力を借りれば、驚くほど遠くまで飛んでいく。この「工夫次第でどうにでもなる」というアナログな制約とロマンこそが、科学の原点だと思うのです。
いかがでしたでしょうか、私の妄想。書いていて自分でニヤニヤが止まらなくなってきました。
もちろん、実現するには機材の調達やレピーター管理団体様との連携、法令遵守の徹底など、ハードルは山のようにあります。(だからこそ「妄想」なのですが!)
しかし、もし万が一、この妄想イベントが現実になった暁には、この記事を読んでいる全国の無線家、フリラ愛好家の皆様に、重大なミッションをお願いしなければなりません。
それは、「子供たちのたどたどしいCQに、全力で優しく応答するカッコいい大人」の役です。
「初めまして! お空の上でお会いできて嬉しいよ」 「君の電波、メリット5でバッチリ届いてるよ!」
そんな風に、子供たちの小さな勇気を肯定し、無線の楽しさを教えてあげる。場合によっては、西東京レピーターが子供たちのCQに応答したいおじさんたちで「パイルアップ」になるかもしれません。最高じゃないですか、それ!
無線の世界は、若い世代が入ってこなければいずれ消えてしまいます。でも、その面白さ、本質的なロマンは、いつの時代も絶対に色褪せないと私は信じています。
いつか、多摩六都科学館の空に、子供たちの元気なCQが飛び交う日を夢見て。 私は今日も、特小トランシーバーを握りしめながら、西東京レピーターのチャンネルをワッチするのでした。
POTAは本当に無料?裏側で動く「1交信のコスト」と、粋な楽しみ方の提案
(2026/3/25 20:00:00)
POTA(Parks on the Air)、楽しいですよね!アカウント登録もログの提出も、さらにはアワードのダウンロードまで完全無料で遊べる、アマチュア無線界でも素晴らしいプラットフォームです。
でも、ふと気になりませんか?「これだけ巨大なシステム、一体どうやって維持されているんだろう?」と。
現在、POTAには世界中で84,000人以上のオペレーターが参加しており、2025年だけでなんと1,520万件もの交信(QSO)データが処理されたそうです。 実はこの巨大なシステム、裏側はAWS(Amazon Web Services)という本格的なクラウド環境で動いています。そして、ボランティア開発チームが、高度なシステムを無償で構築・維持してくれているのです。
優秀なエンジニアたちの「人件費」は彼らの熱意と善意に甘えるとしても(実は一番高額のはず・・・)、AWSのデータベースやストレージの「物理的な利用料」は、毎月確実に発生しています。
そこで、この目に見えない「クラウドの実費」が1交信あたりどれくらいなのか、ITインフラの観点から類推してみました。
■ 1交信が消費するコストは「約0.5円」
私たちにとってはたった1行の交信データですが、POTAのシステム上ではそう単純ではありません。ログがアップロードされると、システムは「重複がないか」「アワードの条件(Kiloや各ハンターの称号)を満たしたか」、そして最も複雑な「Park-to-Park(公園間交信)の成立」などを瞬時に照合し、複数のデータベースを更新します(多分・・・)。
これらのデータ処理や長期保存にかかるAWSのリソースを推計すると、少なく見積もっても「1交信あたり約0.3円〜0.5円」のインフラコストがかかっていると考えられます。
■ 「実費の割り勘」という考え方
1交信0.5円とすると、例えば1つの公園から1,000交信を達成して「Kiloアワード」を獲得する頃には、システム上で約500円分のサーバーリソースを消費している計算になります。
私たち日本のアマチュア無線家は、免許の更新や各種の証明書など、明確なサービスに対して「手数料」を払うことには慣れていますが、POTAのような無償サービスに対する「寄付(ドネーション)」には、少しハードルを感じる方も多いかもしれません。
現在、POTAの公式ページでは、システムを広告なしで維持するためにいくらでもドネーションを受け付けています。 POTAのトップページ の右側からドネーション可能です。少し前まで日本からは PayPal でのドネーションができませんでしたが、改善されたようです。PayPal でも Donorbox どちらからでもOKです。
もちろん完全無料のまま楽しむことも自由ですが、「海外のよくわからないサーバーへの寄付」と難しく考えるのではなく、「自分が遊んだ分の実費の割り勘」として捉えてみてはいかがでしょうか。
たとえば、「Kiloアワードを達成した記念」や「新しい無線機で初めてPOTAをやった記念」などに$10をドネーションしてみる。この$10は、約3,000回分の交信データを処理・保存するクラウド費用を自ら「前払い」したことになり、無償でシステムを支えてくれているボランティアチームへの最高のエールになりそうです。
次回の運用でログをアップロードする際、ほんの少しだけ、見えないところで休まず動いているサーバーに思いを馳せてみると良いかなぁと思います。
◆◆ 下記は参考情報 ◆◆
先ほどのレポートおよびブログ記事の原案を作成するにあたり、コスト類推のベースとした前提事項は以下の通りです。
1. 運用・インフラに関する基本前提
インフラ基盤: システムのバックエンドはアマゾンウェブサービス(AWS)を利用して構築・運用されている。
人的コストの除外: 高度なシステムを構築・維持しているボランティア開発チームの人件費や保守作業費は無償とみなし、AWSから請求される物理的なサーバー・ネットワークの実費のみをコストとして計上している。
2. トラフィックとデータ規模の前提(2025年実績ベース)
年間交信(QSO)処理数: 1,520万件
年間ログ(ADIFファイル)提出数: 40万6,000件
登録オペレーター数: 8万4,000人以上
登録公園数: 世界で8万5,000箇所以上
3. システムアーキテクチャとデータ処理負荷の前提
複雑なデータリレーション: アワード認定システムという性質上、1つの交信データは単一のログとして保存されるだけでなく、「アクティベーター」「ハンター」「公園」など複数のDBテーブルにまたがって記録・更新される。
高いトランザクション負荷: ADIFファイル自体は軽量なテキストデータ(1交信あたり100〜200バイト程度)だが、システムにインサートされる際、重複チェック、数十種類のアワード条件判定、マスター統計の更新などが行われる。
Park-to-Park (P2P) 処理の計算コスト: アクティベーター同士の交信(P2P)や、複数の公園境界にまたがる運用(2-fer)を正確に照合・マッチングさせるための複雑なデータベース処理(JOINクエリなど)が、コンピュートリソース(CPU・メモリ)とI/Oを大きく消費する。
継続的な読み取り(Read)負荷: 書き込み時だけでなく、数万人のユーザーが日々リーダーボードやアワードの進捗状況、過去のスポット履歴を検索・閲覧するため、データが蓄積されるほどデータベース(Amazon RDS等)に対する検索処理の維持コストが増大する。
4. 財務およびコスト算出の前提
AWS月額コストの推計: 大規模なリレーショナルデータベース(Amazon RDS/Aurora)、サーバーレスコンピュート(AWS Lambda)、ストレージ(Amazon S3)、およびデータ転送量などをエンタープライズ規模で運用する最小構成として、月額約1,600ドル(年間約19,200ドル)の実費が発生していると仮定した。
為替レート: 1米ドル = 150円として計算した。
1交信あたりの原価算出: 年間インフラ維持費(約288万円)を年間QSO数(1,520万件)で単純に割ると約0.19円となるが、データの長期保持と将来にわたる検索時のクエリ消費リソースを総合的に勘案し、実質的なシステム負荷コストを「1交信あたり 0.3円 〜 0.5円」として類推した。
砂とマツヤニと大パイルアップ!韓国・釜山でPOTA運用
(2026/3/24 22:11:57)
先日、観光で韓国の釜山(プサン)を訪れた際、スケジュールの合間を縫って3つのPOTA(Parks on the Air)対象公園で無線運用を楽しんできました。備忘録も兼ねて、現地の様子を少し記録しておこうと思います。
実は、日本人にとって韓国は非常にアマチュア無線運用がしやすい国なんです。シリアル番号のついた無線機を持ち込んでの短期運用であれば、日本国内で使用している機材の持ち込み許可が容易に取得できます。 [KARL(韓国アマチュア無線連盟)の該当ページ] を参考に必要書類をメールするだけで、スムーズにライセンスを発行してもらえました。
前回のソウル訪問時の「HL1/JO1LNK」に続き、今回は釜山エリアということで「HL5/JO1LNK」のコールサインにて運用許可をいただきました。
今回は写真を交えながら、運用した3つの公園でのエピソードをご紹介します。
K-POPの「BUSAN VACANCE」という曲で "Everybody come to Gwangalli" と歌われていることでも有名な、釜山を代表する繁華街のビーチです。沖合に架かる広安里大橋は夜になると美しくライトアップされ、毎週土曜日の夜(19時と21時)には大規模なドローンショーが開催されます。
今回はそのドローンショーの合間の時間を狙って運用しました。
ただ、ここで痛恨のトラブルが発生!現場でRHM12のロッドアンテナがすっぽ抜けてしまい、少々動揺……。その影響もあってか、結果は8局交信にとどまり、惜しくも時間切れ。アクティベーション(規定の10局交信)達成はなりませんでした。残念!
また、夜で暗かったため気づきにくかったのですが、砂浜での運用は機材への「砂」の侵入に注意が必要です。ホテルに帰ってから確認すると、PCが砂でジャリジャリになってしまっていました(泣)。
ここは「松島海上ケーブルカー」と呼ばれるロープウェイに乗って海を渡った先にある公園です。このケーブルカー、なんと床が透明なシースルーのゴンドラと、普通のゴンドラが選べます。乗り場で並ぶ列が分かれているので、スリルを味わいたい方はぜひシースルーを。
ケーブルカーの駅を降りて少し歩くと、すぐにAmnam Park(岩南公園)に入ります。今回は公園に入ってすぐのベンチの裏あたり、少し森の中に入った人目を避けられる場所を陣取って運用を開始しました。
まずは7.041MHzからスタートしたのですが、CQを出して速攻で中国のPOTAハンターからコールバックがあったのが非常に印象的でした。「やはり日本から運用するよりも中国に近いんだな」と、電波を通じて地理的な距離感を実感しました。
運用を終えて片付けをしていると、ズボンやPCにベタベタした塊が付着しているのを発見。この地は「松島」という名の通り松の木が群生しており、どうやらマツヤニのようです。拭き取るのに結構な苦労を強いられました。自然豊かな公園ならではの洗礼ですね。
最後は、釜山タワーがそびえ立つ昔ながらの観光名所、龍頭山公園です。 北側からアプローチしたところ、予想以上の急勾配を歩いて登る羽目に。帰りは南側へ下ったのですが、こちらには上り専用のエスカレーターが設置されていました。エスカレーターが整備されていることからも、かなりの高低差であることがわかります。
駐車場の隅にあった記念碑の裏に、隠れるようにしてアンテナを設営。30m(10MHz)のFT8で運用を開始しました。
高台で開けたロケーションだったことが功を奏したのか、CQを出した途端、途切れることなく呼ばれ続ける大パイルアップ状態に!現地のHL局(韓国の局)からもお声がけいただき、大変テンションが上がりました。
ただ、ここで無線の接続トラブルが何度か発生してしまい、途中で運用が中断してしまう事態に。最後はスケジュールの時間切れとなってしまい、後ろ髪を引かれながらの終了(QRT)となりました。画面の向こうでお待ちいただいていた各局には、本当に申し訳ないことをしてしまいました。
いくつか機材トラブルや自然の洗礼(砂とマツヤニ!)はありましたが、それも含めて海外でのPOTA運用は刺激的で楽しい思い出になりました。 釜山は日本からも近く、ご飯も美味しくて無線も楽しめる素晴らしい街です。ライセンスの取得も難しくないので、興味のある方はぜひ韓国での運用にチャレンジしてみてください!
「King of Hobby」の驕りを捨てよ。令和のアマチュア無線家に必要な「謙虚さ」とは
(2026/3/5 23:08:28)
日本のアマチュア無線界には、私たちが守るべき行動指針である「アマチュアコード」が存在します。
1928年に米国のPaul M. Segal氏(W9EEA)が起草した6つの信条をベースに、戦後JARLが制定したものです。
アマチュアは、良き社会人であること
アマチュアは、健全であること
アマチュアは、親切であること
アマチュアは、進歩的であること
アマチュアは、国際的であること
改めて見直しても、非常によくできていると思います。時代を超えて、今でもそのまま通用する素晴らしい理念です。 しかし、社会が大きく変化した今、そろそろこのコードに「ある視点」を見直す、あるいは付け加える時期に来ているのではないかと感じています。
私が今、切に追加したいコード。それは、
「アマチュアは、謙虚であること」
です。
私が開局した1982年当時、アマチュア無線はまさに「King of Hobby(趣味の王様)」と呼ばれ、局数はうなぎ上りの時期でした。私がよく出ていた2m(144MHz帯)のFMは連日大混雑で、あちこちで周波数の取り合いによる罵声が飛び交っていました。 世の中的にも「パワハラ」なんて言葉は影も形もない時代です。理不尽なご指導やお叱りを受けたり、質の悪い輩に絡まれたりしつつも、そのたびに上手く逃げ切ってきました。
あれから数十年、時代は変わりました。昔は「よくあること」で済まされていた言動も、今の社会では決して許されません。 では、はたしてアマチュア無線の世界には、その「一般社会の感覚」がきちんと浸透しているでしょうか?
残念ながら、答えは「否」ではないかと思っています。
一般社会であれば完全にセクハラやパワハラと認定されるようなやり取りが、今でも普通に行われているように感じるのです。 例えば、「YL」「XYL」といった表現や、「73/88」というジェンダーに依存した挨拶。これらは、多様性が重視される現在においては、すでにグレーな表現だと私は考えています。
また、ベテランから新人へのアドバイスも要注意です。良かれと思った指導のつもりが、新しくこの世界に入ってきた人にとっては単なる「高圧的な態度」や「余計なお世話」に受け取られかねません。「こうあるべき」という画一的な価値観の押し付けは、今の時代にはそぐわないのです。
一般社会において、わざわざパワハラが横行するブラック企業に喜んで入社したいと思う人はいないでしょう。それは趣味の世界も同じです。せっかく興味を持って足を踏み入れたのに、そこで「ブラックな体験」をしてしまえば、誰も我慢してまでそこに留まろうとはしません。
では、なぜこのようなギャップが生まれてしまうのでしょうか。 もちろん、こうした問題を起こすのは本当にごく一部の方々です。ただ、その根底には「アマチュア無線は国家資格を要するKing of Hobbyであり、崇高な趣味である」という、一部のベテラン層に残る「驕り(おごり)」があるのではないでしょうか。
以前、POTA(Parks on the Air)のボランティアをしていた時のことです。米国のボランティアチームから依頼され、とある日本人局のサポートに入りました。 ところが、その方からいただいたメールは、いきなり私への罵声から始まる、読むに堪えないものでした。こちらはできる限り丁寧に対応したつもりでしたが、その方の自尊心を深く傷つけてしまったようです。世界各地のDXペディションにも行かれているような大ベテランの方で、「どこの馬の骨ともわからないような輩(実際にそう呼ばれました)」がサポートに入ったこと自体が気に入らなかったのでしょう。
しかし客観的に見て、その自尊心はもはや「驕り」でしかありません。そして、この驕りこそが今のアマチュア無線界にとっての最大の敵だと思うのです。
だからこそ、すべてのアマチュア無線家は「謙虚」であってほしい。
インターネットやスマホがこれだけ普及した世界で、アマチュア無線がかつてのような大隆盛を取り戻すことはないでしょう。それでも、新しく興味を持ってくれた方を心から歓迎し、優しく、対等な目線で接することのできる世界であってほしいと願っています。
少なくとも自分が生きている間は、無線機メーカーが存続し、CQを出せば応答してくれる交信相手がいる――そんな規模が維持できる、風通しの良い世界であり続けますように。
Androidアプリ「FT8TW」で実現する、究極のお気軽FT8運用!
(2026/2/17 23:17:41)
7L4WVUさんの超小型トランシーバー WVU-604F5 を手にしてから、私の無線スタイルは「いかに軽量化するか」がテーマになりました。
FT8運用において、一番の重量物といえばPC。これをどうにかしたいと調べていたところ、たどり着いたのがAndroidアプリ 「FT8TW」 です。FT8CNから派生し、BV6LCさんが精力的に開発されているこのアプリ、想像以上に「使える」予感がしています。
今回は、2026年2月時点での使用感と設定のコツをまとめてみました。
現在、私のスマホには3つのバージョンが共存しています。リグや用途によって使い分けるのが今のところの正解のようです。
FT8TW 0.93d71(安定版)
Google Playから入手可能。私の環境では、 WVU-604F5でVOX運用 する際、このバージョンでないと正常に送信音が乗りませんでした。
FT8TW 25.1129(最新版)
こちらもGoogle Play版。UIなどがブラッシュアップされています。
FT8TW_UAT 26.0129(テスト版)
GitHubからAPKを直接落とすタイプ。 IC-705 と接続する際はこちらの最新版を愛用しています。
設定画面はシンプルですが、いくつかコツがあります。
リグとの接続設定
WVU-604F5: リグ選択は「空白」、PTTは「VOX」。
IC-705: リグは「ICOM IC-705」、PTTは「CAT」。USB接続だけでなく、Wi-Fi経由のネットワーク接続も可能です(要パスワード設定)。
時刻同期と位置情報
グリッドロケーターはGPSで自動取得。時刻同期もボタン一つですが、スマホ自体の時計を変えるのではなく、アプリ側で送受信のオフセットを調整してくれる賢い仕様です。
「CQを追跡」はオフがおすすめ
オンにすると、自分がCQを出していても受信した他局のCQを勝手に呼びにいってしまうため、基本は「しない」で良さそうです。
スペクトル画面: ワイドグラフ上にデコードされたコールサインが重なって表示されるのが面白い!空き周波数のタップで送信周波数を変えられるのも、PC版と同じ感覚で扱えます。
CQの出し方: 「コール」画面右下の「CQ」を押し、右上の スピーカーマーク をタップするだけ。止める時もスピーカーマークをワンタップと直感的です。
相手局の呼び出し: 「デコード」画面で呼びたい局を 左スワイプ するか、メッセージを 長押し 。長押しメニューからはTx1のスキップなども選択可能です。
「交信記録」画面が非常に優秀です。
ADIF形式の書き出し はもちろん、 地図上へのプロット や、 DXCCの統計表示 までアプリ内で完結します。これには正直驚きました。
開発途上のアプリということもあり、いくつかクセもあります。
IC-705のネットワーク接続: 接続タイプを「子機」にするとデコードせず、「親機」にする必要がありました。
VOX運用の相性: 最新版だとWVU-604F5で送信音が乗らない現象があり、前述の通り旧版を使っています。
送信タイミング: 局を指定して呼び出す際、送信開始まで一呼吸待たされることがあります。このあたりは今後のアップデートに期待です。
ODD/EVENの視認性: 今どちらのタイミングで動いているかがパッと見で分かりにくいので、慣れが必要かもしれません。
あえて細かい問題点も挙げましたが、スマホ一つでここまで多機能なFT8環境が手に入るのは感動的です。FacebookのグループやGitHubでは日々改善が進んでおり、進化のスピードが凄まじいのも魅力の一つ。
何より、 WVU-604F5とスマホだけ という超コンパクトなセットは、公園や旅先での運用に最高です。皆さんも、この「お気軽FT8」の世界を覗いてみませんか?