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イグニッションコイルはアウトプットトランスとなり得るか? (2015/4/12 1:03:39)
真空管でオーディオアンプを作るとき、アウトプットトランスというものが使われます。負荷抵抗の代わりにトランスの巻き数多い側を負荷にし、巻き数の少ない側をスピーカーに接続して使います。ハイインピーダンスな真空管の出力をローインピーダンスに変換してやるわけですね。このアウトプットトランス、音質を非常に大きく左右するファクターであり、真空管アンプ作りをする方はものすごーくお金をかけるところみたいです。ヤフオクあたり見ているとビンテージ物はトンでもない価格で落札されていてとてもじゃないですが手が出ません。実体験として、サンスイの小型トランスからちょっと大きめの(といってもアウトプットトランスの中ではかなり小型の部類)東栄トランスのものに変えてみたら格段に音が良くなりました。
お高いトランスは買えないけれど、色んなトランス使って音の変化は楽しみたい。何か安く遊べるものはないだろうかと考えていたとき、ふと思いついたのがイグニッションコイルでした。クルマやバイクのスパークプラグに着火するため、12V(もしくは6V)を3万V程度まで昇圧させるためのコイルなので、巻き数比はさぞかし大きな比になっているのでは?また、エンジンの回転数はアイドリング1000rpm弱から回っても20000pmぐらい。2ストの場合なら8~167Hzで着火することになります。可聴周波数の下の方なので、これはもしかして音声用のトランスとして使えるのではないか?むしろかなり低い周波数での使用を前提に設計されているということは小型のアウトプットトランスではなかなか出ないといわれる
低音がズンズンに出ちゃったりする
のでは?なーんて淡い期待を抱きつつ実験してみることにしました。
早速ヤフオクをあさり、YAMAHAのVinoのイグニッションコイルを購入。 100円也
。う~ん、これですげぇいい音でたらコスパ最強だな。調べてみるとバイク用のイグニッションコイルの巻き数比はだいたい
1:150
くらいのものが多いようです。ってことは当然、1次側に1V入力したら2次側には150V出るわけです。1次側に386アンプとかの出力を繋いで2Vくらい入れ、イグニッションコイルを2段重ねにしたら45,000V!? マイクに向かって「あー」としゃべったらスパークプラグに火花飛ばせるかも?
なんてアホな妄想が止まらなくなってしまいます(^^;
まぁとりあえずAF(音声周波数)で使い物になるのかどうか試してみよう。マイク→イグニッションコイル→スピーカーと繋いで音が出るか?・・・まぁ出ないよね。パワー足りないの分かってたけどさ。これだけ巻き数比大きかったらもしかして?なんてちょっと期待したわけですよ。
アンプも無しにスピーカーをドライブするのはさすがに無謀だけど、電圧変化は巻き数比通りになってるんかな?ということでマイク⇒コイル⇒無負荷の状態でオシロで振幅を見てみる。・・・全然出てないやん・・・orz
やはりAFで使おうってのはちょっと無理があるのかなぁ。気を取り直してインダクタンスと抵抗を測定してみました。
2次側のインダクタンスが見た事ないような数値!150回巻きはすげぇなぁ。抵抗値については10kHzで2.5MΩと、アウトプットトランスとしてはだいぶ大きい値です。これだとやはり厳しいかなぁ~とダメもとで本題の実験。
実験に使った球は秋葉原で買ってきた6418。単にリード足なのでブレッドボードで使えるからってだけで深い意味はありません。とりあえず東栄のトランス(12kΩ:8Ω)で鳴らしてみると、ちょっと音量小さいけど綺麗に鳴りました。さて、これをイグニッションコイルに換えるとどうなるか?
鳴りました\(^o^)/
ちょっと音は小さいけど、変な歪みなどもなくちゃんと鳴ってます。これは嬉しい!球のパワー不足で小さな音しか出なかったので低音のレベルがどんなものかまではハッキリ確認できませんでした。いずれもっとパワーのあるアンプで再実験してみようと思います。ひとまず妄想通りに鳴ってくれただけで大満足です。
ファンクションジェネレータで正弦波を入力し、出力をオシロで見てみた結果。
1000Hz
15kHz
20kHz
1,000~20,000Hzまでは東栄トランスもイグニッションコイルも綺麗な波形です。15kHzくらいまでいくと波形が崩れてきて振幅も小さくなってきました。イグニッションコイルの方が高い周波数の特性は悪いかと予想してましたが、意外と大きな差はなさそうです。
ちなみに4スト用のイグニッションコイルを使うと低音が豊かに出て、2スト用だと
カストロの香りのような甘い音 が出ます(嘘。
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