無線ブログ集
メイン | 簡易ヘッドライン |
モータウンのノリ (2015/8/15 7:24:41)
アメリカのデトロイトに本拠地を置いていた黒人音楽の一大レーベルがモータウン・レコードです。スモーキー・ロビンソン、ダイアナ・ロス、マービン・ゲイ、スティービー・ワンダー、ジャクソン5などスーパースターが目白押しです。
ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスの1966年のヒット曲「You
can't hurry
love」(恋はあせらず)です。いかにもモータウンサウンドといった感じです。聞くと何かうきうきするというか、自然に体が動いてきますね。ベースとバスドラそしてギターとスネアがそれぞれシンクロしていて、アンサンブルの教科書のようなアレンジです。そしてベースがバンド全体をぐいぐい引っ張っているように聞こえますね。ベースの音に弾みがあるというか、バスケットボールをドリブルしているように聞こえます。ただのルート弾きで簡単そうに聞こえますが、さまざまな隠し味が入っていて、このノリを出すのはとても難しいです。
ベースを弾いているのがジェームス・ジェマーソンというモータウンレコード専属のべーシストです。現在でもよく使われているベースラインを様々に考案し、ポール・マッカートニーをはじめ、世界中のベーシストに影響を与えています。
ジェームス・ジェマーソンの特徴はプレシジョン・ベースを使ったぶっとい低音とシンコペーションの多用、そしてゴーストノートやミュート音の巧みな挿入です。「ドードードーッドードードドー」というベースラインは誰でもどこかで聞いたことがあると思います。後半の「ドードードドー」の頭が拍を「食って」いて、これがシンコペーションです。勢いが出るというか、元気が出るノリを生み出します。食う直前の「ッ」がゴーストノートといって弦を押さえず、音を出さないようにして弾く「プツッ」みたいな音で、さらに勢いを増すというかドライブ感が出ますね。よく聞かないとわかりませんが、Bメロでコードが変わった時に「ドードードーッドードーッレロレロ」とやっていて、「レロレロ」というのがミュート音です。弦を押さえるというより横から触れるだけにして5度の音をほんのわずかだけ出しています。
もちろん60年代のこういう曲をリアルタイムに聞いていたわけではなく、80年代にフィル・コリンズがこの曲をカバーしたり、ホール&オーツが「Maneater」という曲をヒットさせたりして、こういうのをモータウン・サウンドっていうのか、と聞き出したのが始まりです。懐かしいですね。
おそらくアイドルの歌謡曲などでもたくさん使われていると思います。高校生の息子がスピッツのファンで、家族でドライブしながら聞いていたら、「チェリー」という曲で使われていました。スピッツというと僕なんかでは十分新しいグループという認識ですが、息子の世代ではもう懐メロなんでしょうね。
ではまた
execution time : 0.026 sec