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<「Summits On The Air」日本支部設立&「ハムフェア」へ参加>世界標準の山岳通信アワード、国内は5,160か所登録! (2015/8/18 17:41:25)
「SOTA (Summits On The Air)」というアワードプログラムをご存じだろうか。直訳すると“山頂からオンエアー”となる。イギリスに本部があり、2002 年から活動を開始した「SOTA」は世界103の国と地域に支部が存在する。今回、川内 徹氏・JH0CJH/JA1CTVが中心となり、日本支部(本州/四国/九州・沖縄/北海道の4つから構成)が加わり活動を開始した。日本支部として5,160の有効山岳が登録(2015年8月現在)されている。
DXの世界では、ARRL(米国のアマチュア無線連盟)が1937年に制定した「DXCC(DX Century Club)」の存在が有名だ。また英国のアマチュア無線連盟(RSGB)が制定した世界の島々と交信する「IOTA(Island On The Air)」などの愛好者も多い。一言で言えば、「SOTA (Summits On The Air)」は「IOTA」の“山岳版”という位置づけだ。
SOTAのプログラムは登山愛好家、山岳移動運用愛好家だけに限ったものではない。SOTAに参加するメインプレイヤーは3タイプによって構成される。
1. 自ら山岳移動を行い山頂からQRVする「アクティベーター」
2. 自宅もしくは他の場所から山岳移動局を追跡し、交信する「チェイサー」
3. 山岳移動局のQSOを受信する「SWL」
SOTAルールに「Summits(山頂)」の厳格な規定があって、この規定をクリアした「SOTA日本山岳リスト」の山頂からの運用だけがポイントとしてカウントされる。「Summits(山頂)」の規定では、山頂と「コル(鞍部)」との間に150m以上の標高差が必要という細かな規定が設けられている。
登録されている「山頂」には「レファレンスナンバー」というID番号があり、このナンバーを基にデータベースが作成。個々の山頂に「支部コード」「リージョンコード」「山岳番号」が表示される。
山岳リストには「山の名前」「ID番号」「標高」「緯度」「経度」「山頂でのスコア」も記述され、それぞれの山岳の標高によって以下のスコアが与えられる。
現在、日本支部として、5,160の有効山岳がSOTAに登録(2015年8月現在)されている。
・本州:3,328
・四国:408
・九州・沖縄:672
・北海道:752
SOTAアワードの取得は「SOTAポイント賞」と「SOTA山岳賞」との2つに大別できる。
SOTAポイント賞:
山頂にはスコアとしてカウントするポイント(得点)があり、標高や季節ボーナスなどで計算してポイントを積み上げていく
SOTA山岳賞: 異なる山頂での(山頂との)QSO の数を積み上げていく
なお、「SOTAポイント賞」のためには、アクティベータは最低4QSO が必要。「SOTA山岳賞」のためには、アクティベータは最低1QSOとなっている。
アワード申請のためにはQSLカードを得る必要はなく、使用するコールサインは異なっていてもOK。運用する本人に与えられる“名誉”という意味で、クラブ局のコールサインでの運用もカウントできるという。
●SOTAポイント賞
・Certificates and Trophies
積み上げたポイント数で100/250/500/1000ポイントごとに与えられる。CWやVHF特記なども可能。2500/5000/10000ポイント賞などもある。
・Shack Sloth(シャックの中のナマケモノ) とMountain Goat(山のヤギ)
1000ポイント賞に到達した時点で与えられる称号で、トロフィーをSOTAから購入できる。このアワードは、Mountain
Goat賞が「アクティベータ」、Shack Sloth賞が「チェイサー」と「SWL」で獲得が可能。
●SOTA山岳賞
・SOTA Uniques Awards
どれだけ違う山に登って、そこから運用(最低1QSO)したかというアワード。これも「アクティベータ」「チェイサー」「SWL」に対して付与される。100/250/500/1000山賞ごとに与えられる。CWやVHF特記なども可能。2500/5000/10000山賞などもある。このSOTA山岳賞にも、1000山賞としての、Shack
Sloth賞とMountain Goat賞が用意され、トロフィーには“Uniques”である彫り物が施されている。
・Mountain Explorer and Mountain Hunter Awards
世界100以上の国・地域の異なる支部の山岳移動運用の数を対象とするもの。対象は「アクティベータ」だけ。いくつの異なる支部の山から運用したのかによって次の5つのアワードが付与される。
ブロンズ賞: 5の支部において、最低1つの山頂から運用し、最低1QSOを行う
シルバー賞: 10の支部において、最低1つの山頂から運用し、最低1QSOを行う
ゴールド賞: 15の支部において、最低1つの山頂から運用し、最低1QSOを行う
プラチナ賞: 20の支部において、最低1つの山頂から運用し、最低1QSOを行う
グローブトロッター賞: すべての支部において、最低1つの山頂から運用し、最低1QSO
を行う。
・Mountain Hunter賞(山のハンター賞)
対象は「チェイサー」と「SWL」。いくつの異なる支部の山を移動している局と交信・SWLしたのかによって次のアワードが付与される。最低2か所の山とのQSO・SWLが必要。
VHF帯(70MHz以上)賞
ブロンズ賞: 5の支部における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
シルバー賞: 10の支部における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
ゴールド賞: 15の支部における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWL を行う
プラチナ賞: 20以上の支部における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
All Band賞
ブロンズ賞: 5の支部における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
シルバー賞: 10の支部(2
Continents以上を含む)における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
ゴールド賞: 15の支部(2
Continents以上を含む)における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
プラチナ賞: 20以上の支部(3
Continents以上を含む)における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
全支部交信賞: すべての支部(4 or 5
Continentsを含む)における、最低2つの山頂移動運用局とQSO・SWLを行う
なお、山岳リストに載っている山頂からの運用(アクティベーター)についても注意が必要で、SOTAの運用は以下の決まりがある。
・発電機などの化石燃料を使った電源や、商用電源(電力会社からの供給される電源)を使って運用することは禁止
・充電式電池や持参した光、人力発電機などを使用
・山の上にある山小屋などから電気を取ることもできない
・登頂の最終路程まで車両などの使用もNG。頂上までは必ず徒歩での登頂が必要
・車両の使用は電源、椅子、雨除けなどとして使うことも一切禁止
・すべての機材は自力もしくはチームで担ぎ上げること
・通信にレピーター局は使用できない(衛星は広義にはレピーター局だが、衛星の使用は認められてる)
SOTAでは山頂の一番標高が高い地点から最大標高差25mの以内であれば山頂からの運用として認められている。これは山頂が狭く、ほかの登山者に迷惑をかけないための措置となる。
川内氏は「SOTA日本山岳リストにもまだ名前が入っていない山岳があったり、読み方も的確でない場合があると思います。さらに、SOTAの基準を満たしているのに、日本山岳リストに載っていない山もあると思います。そのようなケースが見つかりました際には、ぜひその旨をSOTA日本支部まで、ご連絡いただきたいと思っております」と話している。
SOTA日本支部では、今年のハムフェア2015で「山岳移動通信『山と無線』」のブース(ブース番号:J-05)の一角を使い「SOTA」のプロモーション活動を行うとしている。SOTAに関しての問い合わせに応じるということなので、この機会にぜひスタッフに確認してみよう。
「<事前にチェック!会場内のブース配置図>「ハムフェア2015」における企業、クラブ出展ブースの小間割りが判明」の既存記事(7月20日記事)
で場所の確認ができる。
詳しくは下記関連リンクからSOTA日本支部のWebサイトで確認してほしい。
●関連リンク: