無線ブログ集
メイン | 簡易ヘッドライン |
バーアンテナ試作 (2015/10/12 10:29:01)
ゲルマラジオや鉱石ラジオのような無電源ラジオの高性能化をはかるには、ダイオード、トランス、イヤフォンなど数点の部品すべての性能が求められますが、もっとも大きな影響を与えるのはコイルです。外部アンテナなしで鳴らそうとすればコイルの高性能化が欠かせません。ソレノイド型のコイルであれば直径を大きく巻くほどQが上がるのでわかりやすい反面、大型化してしまいます。これを追及すると、やがて直径数十cmから1m以上のループアンテナとなって、室内設置が困難になり、収拾がつかなくなるわけです。一方、フェライトコアを使えば、磁力線の透過率が大幅に向上し、小型化できます。これをあえて大型化すれば、相応の性能を引き出せることは、以前、16本のフェライトバーを束ねたものや、長さ50cm程に連結したもので実験しました。ただ、コアをたくさん使えば比例して性能が上がるかというと、そうでもない、との印象でした。見た目以上に重い、コストがかかる、のも欠点と言えます。
そんなわけで、しばらくフェライトコアを使ったコイルのことは忘れてみることにし、もっぱらソレノイド型ループコイルを考えてきたのですが、あまり大型化できないという住宅事情もあり、あらためてコアを使ったバーアンテナを試作してみることにしました。
作るにあたっては、適度な大きさと重量、コストもほどほど、しかし、高性能なもの、という矛盾した課題を課し、考えをめぐらせてみました。Qの高いコイル作りの要件は、1)直径を大きく巻く、2)太い線材を使う、3)スペース巻にする、以上の3点。それを考慮して作ってみたのが今回のコイルです。
〈材料〉
・フェライトコア 直径1cm×長さ18cm 7本
・リッツ線 0.1mm×100本束
・塩ビパイプ 外径38mm×長さ19cm
・ユニバーサルブッシュ
フェライトコアは、入手しやすい一般的な長さ18cm。手元にあった各種塩ビパイプに仕込んでみたところ、7本入るものが見つかりました。7本束でも結構ズッシリきますが、許容範囲。パイプを19cmにカットし、コアとパイプ両端をホットボンドで固定。このまま線材を巻いてもよいわけですが、少しでも直径を大きく、そしてスペース巻にするため、今回はマルツで購入したユニバーサルブッシュを使ってみることにしました。同じ長さに切ったブッシュを両面テープでパイプに固定し、溝に沿って線材を巻いていきます。実際やってみると、巻きやすく、等間隔の見事なスペース巻に仕上がってくれました。35回巻き。ブッシュの高さがプラスされ、コイル直径は42mm。インダクタンス152μH。容量が少ないように思われるかもしれませんが、我が家の環境では、NHK仙台第一と第二、東北放送の受信可能3局が中波周波数帯のほぼ中間に運よく並んでいるため、これで問題ありません。タップも不要。
以前にブログで紹介した「ラジオ少年」の極太フェライトコアとの比較で、見た目の大きさはほぼ互角、重さは約3分の2となりました。
極太フェライトコア(コアのみ) 直径3.5cm 長さ20cm 重さ800g
今回の試作バーアンテナ 直径4.2cm 長さ19cm 重さ560g
試作バーアンテナ(上) 極太フェライトコア(中) 直径1cm長さ18cmコア(下)
実験ボードにつないで、さっそく聴いてみました(外部アンテナおよびアースなし)。NHK仙台第一と第二は良く聞こえます。東北放送は受信不可。極太フェライトコアを使ったバーアンテナと比較すると、Sメーターの振れは目盛1で同等であるものの、仙台第二の音声に厚みが増し、今回の試作品の方が感度良好です。線材の違い(リッツ線)とスペース巻きの効果と思われ、悪くありません。直径15cmの空芯ループコイルと比較しても遜色ない感触が得られました。
直径10cm、長さ10cm程の太く短いバーアンテナも考えてみました。性能を試してみたいとは思うものの、コスト面でよろしくありません。長さ18cmは、性能とコストのバランスが最もよろしいようです。ユニバーサルブッシュがスペース巻きにたいへん有効なこともわかりました。コアと空芯ループコイル双方の良さを生かした方法はないものか?性懲りもなく素人考えをめぐらせています。
execution time : 0.019 sec