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若い広場「オフコースの世界」 (2015/10/18 6:22:59)
1982年にNHK教育テレビの「若い広場」という番組で放送されたオフコースのドキュメント番組です。「OVER」というLPのレコーディング現場を最初から最後まで記録しています。もちろんビデオなどない時代でしたので、学生時代に目に焼き付けるように見た思い出の番組です。
オフコースは元々、小田さんと鈴木さんが2人でやっていたグループで、70年代に四畳半フォーク全盛の頃、一線を画すように洋楽を指向していました。かぐや姫やアリスも好きでしたが、出てくるコードは決まっていて、ちょっと弾けるようになると飽きてしまいましたが、フォーク雑誌にオフコースの曲が載っていると、見たこともないようなコードがずらーっと並んでいて、買ってきては大切にしていました。
知らないうちに5人になったんだな、と思っていたら、「さよなら」が大ヒットして、押しも押されぬビッグなバンドになりましたね。テレビの歌番組には一切出演しないことで有名でしたが、この番組ではレコーディングの一部始終を公開しています。創作の過程というのは、いわば企業秘密なわけで、今でもなかなか見ることのできない貴重な映像だと思います。ちょうどアナログ録音が最も充実してくる時期にあたり、このあとしばらくすると、コンピューターによるデジタル処理がレコーディングの主役になっていくので、そういう面でも興味深いです。
一番印象的だったのは、メロディも詞も歌入れまでまったく出来ておらず、伴奏をどうするかということにほとんどの時間を費やしている、という事です。決めのフレーズや凝った技を考えるなどという事は一切やらずに、コード進行やテンポ、構成などの確認を延々と繰り返しています。こういう曲作りが一般的かというとわかりませんが、まずは土台作りに専念する、というやり方に感心しました。学生時代に小田さんは建築を、鈴木さんはロボット工学を学んでおられるので、そういうことも反映されているのかと思います。
楽曲のサウンドも、今聞いても古さを感じないですね。80年代になって録音技術が進歩し、特にドラムとギターの音が70年代と変わってきます。おそらく当時の最先端の音で録っていると思います。
オフコースの味はなんといっても小田さんの「声」ですね。2人でやっていた時は美しいけど、ちょっとなよっとした感じもあったのですが、バンドになってから歌い方が変わって、芯があって透明感のある、他の人ではまねのできない声になっています。しゃべる声はぼそぼそした声で、すごいギャップですが。ソロになってから歳を重ねると共に、さらに声がパワーアップしていて、驚くばかりです。ギターでいうと、マーチンD-28の繊細な音が、フェンダー・ツインリバーブで鳴らしたテレキャスターに変わったというところでしょうか。矢沢永ちゃんはマーシャルアンプとレスポールって感じですかね。
ではまた
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