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<締め切りは5月31日(火)まで>衛星通信システム委員会、1200MHz帯アマチュアバンドの周波数共用を含む報告案に対し意見募集 (2016/4/27 18:30:29)
総務省は、情報通信審議会情報通信技術分科衛星通信システム委員会において、平成27(2015)年6月から「2GHz帯等を用いた移動衛星通信システム等の在り方及び技術的条件」のうち、「実用準天頂衛星システムの技術的条件」について検討を行ってきた。今回、「委員会報告(案)」が取りまとめられ、平成28(2016)年4月27日(水)から同年5月31日(火)まで広く意見を募集すると発表があった。本報告案には“1200MHz帯アマチュアバンドの周波数共用”も含まれている。
現在、「二次業務」となっているアマチュア無線バンドの1200MHz帯(1260~1300MHz)だが、すでに公共業務用として無線標定に使用され、準天頂衛星(特定の一地域の上空に長時間とどまる軌道をとる人工衛星)システムの「みちびき」が補強信号LEXに1278.75MHz(帯域幅42MHz)を使用している。
今回公表された報告案には、準天頂衛星システムに与える1200MHz帯アマチュアバンドの影響についても詳しく「参考資料」の中で記述している。
共用検討
離隔距離をもとに、実用準天頂衛星システムへの影響度を検討する。
アマチュアレピータ局については年間の総稼働率は最大で15%であり、レピータ局数は1270MHz側が20局、1290MHz側が507局である。また、レピータ局によりアンテナ利得は異なるが、一般的な値としては12dBi(送信EIRPは最大で22dBW)である。この情報を元に、以下の条件で影響度について検討を行った。
・レピータ局の稼働率は設置されている地域や地勢的な条件により異なるが1200MHz帯レピータの平均的な稼働率は、7~8%である。しかし、アマチュア無線のイベントや祝祭日等で稼働率が短期的に上昇することもあるので、全ての1200MHz帯レピータ局の稼働率を15%として検討する。
・許容干渉レベルは全てのレピータ局において1270MHz側を-112.45dBW、1290MHz側を-113.25dBWとし、アンテナ利得は全て12dBiとする。本条件での離隔を表参2-3-11及び表参2-3-12に示す。
・年間延べ稼働時間のうち、半数が都市、残り半数が郊外で使用されるものとする。
・離隔面積と運用時間から干渉確率を計算する。ただし、離隔面積は離隔距離を半径とする円の面積とする。
・国土面積として、携帯電話のカバーエリア面積242031メッシュを国土面積として計算する。なお、日本国土の陸地部分の総メッシュ数は379148メッシュである。
以上より、現在入手できるL6受信機を使用する場合においては、出力10Wの場合、アマチュアレピータ局による実用準天頂衛星システムに対する影響度を試算すると0.59%となる。これは、実用準天頂衛星システムで許容されているサービスの未達成確率が、共用システムとの電波干渉に関する未達成確率の他に、衛星システム全体としての、例えば、サービス停止時の未達成確率等を含めた総合的な値であることを考慮すると、かなり大きい値となり、許容可能とは考えにくい。
このため、平成25年度技術試験事務において提言されているように、出力を1Wに減力した場合の実用準天頂衛星システムに対する影響度を試算すると0.16%となり、値は依然として大きいものの、概ね許容可能と考えられる。
以上から、アマチュアレピータ局の出力を1Wに低減することで共用可能であるが、実用準天頂衛星システムへの影響度の更なる軽減策について検討すべきである。
(以下略)
意見募集の締め切りは「平成28(2016)年5月31日(火)正午(必着)※郵送については、同日必着」。詳細は下記の関連リンクから確認してほしい。今後の予定として「意見募集の結果を踏まえ、報告を取りまとめる予定です」と説明している。
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●関連リンク:
・総務省
衛星通信システム委員会報告(案)に対する意見の募集
・総務省 情報通信審議会情報通信技術分科会衛星通信システム委員会報告(案)本文(PDF形式)
・総務省
情報通信審議会情報通信技術分科会衛星通信システム委員会報告(案)参考資料(PDF形式)
・NEWS
FLASH「衛星通信システム委員会報告(案)に対する意見の募集(「2GHz帯等を用いた移動衛星通信システム等の在り方及び技術的条件」のうち「実用準天頂衛星システムの技術的条件」)」(JARL
Web)
・準天頂衛星(ウィキペディア)
・準天頂衛星初号機「みちびき」(JAXA/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)