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<北朝鮮からの「P5DX」運用プロジェクト>資金不足と情報リークからDXペディション計画が失敗 (2016/4/29 13:30:14)
VP8STI/VP8SGIをはじめ、世界各地の珍エンティティのDXペディションを行ってきた、「The Intrepid DX Group」の代表者、Paul Ewing氏(N6PSE)は、次のターゲットとしていた北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)からの運用をキャンセルし、4月25日に自身のブログに「The P5DX Story….」のタイトルで経緯を記載した。そこにはDX基金からの資金提供不足と、秘匿していた運用情報がリークし北朝鮮当局が入国許可を取り消したといった内容が記載されている。
ARRL NEWSが報じた内容から抜粋しよう。
Intrepid DXグループは、2013年に北朝鮮へのDXペディションを実現するための「P5 Project」を発表。同国へ9回訪問し、政府と強い関係をもつ特使との協議が行われ、最終的に同国は、最大20人のメンバーが3台の無線機を持ち込み、10日間アマチュア無線運用を行うことに同意した。
しかし、事前の告知をしないように求められ、すべての関連事項については秘密保持を誓わされた。また、この運用許可のために各省庁や政府関係者が非常に多額の支払いを求めてきたという。
この金額の大きさから、同DXグループは財政支援を得るために複数の大きなDX基金に接近したが、資金調達は得られなかった。そこでEwing氏と共同代表者のDavid Collingham氏(K3LP)は、個人の預金や退職金などを使うしかないと決心。約16,000ドルを機材調達に、それらを北京に送るための送料に4,000ドルを使うなどした。
ところがその後DXペディションの情報が漏れ、アマチュア無線メディアが炎上。当初Ewing氏らはまったくコメントしないように努めたが噂は消えず、やむなく運用計画を進めるために事実を認めて配慮を求めたが、制御不能な状態になってしまったという。
チームが北京経由で北朝鮮へ出発する予定日の1週間前、北朝鮮当局がEwing氏と数人のチームメンバーの入国許可を拒絶したということを知り、全ての計画はキャンセルに至った。達成できなくなったプロジェクトのために、同氏とメンバー全員の損失は相当な額になってしまった。
Ewing氏は「我々には運用許可があり、運用チームがあった。すべての必要な機材を北京に輸送済みで、北朝鮮に運用場所も確保した。中国と北朝鮮の飛行機とホテルも予約していた」「我々が持っていなかったのは、我々が平静であることを求めた人々の支持と、資金援助を求めた人々の支持だった」と述べている。(ARRLニュース 4月26日 ※許可を得て抄訳転載/(C)ARRL )
●関連リンク:
・Frustrated Funding, Breached Secrecy
Foiled North Korea DXpedition, Group Leader Says(ARRL NEWS)
・The P5DX
Story…(N6PSE)