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デジ簡の移動は3エレ八木が話題らしい (2016/9/25 7:06:31)
最近のデジ簡移動は3エレ八木が注目されてるらしい
デジ簡移動を精力的に行っている方の間で流行っていおるのが3エレの八木アンテナで運用することらしいです。3エレといえば八木アンテナの基本形となります。
・電波が発射される中央のエレメントが放射器(ホウシャキ)
・発射される電波を反射するのが反射器(ハンシャキ)下図の左側のエレメント
・電波が発射するときに、発射する方向に向けて、反射器で反射された電波を導くのが、導波器(ドウハキ)下図の右側のエレメント
※下図では電波は右側に方向性を持って発射され、右側から来る電波が強力に方向性を持って受信できるようになる。
以上が基本的な3エレ八木の構成です。
5エレとか12エレの構成の場合は、導波器の数が増えて指向性が高くなると言ことです。
指向性のことを考えると、エレメントが増えると高性能になりますが、なぜ今は3エレなのでしょうか?
いい話と悪い話、どっちから話そうか?
悪い話からするとしましょう。まず3エレは、八木アンテナとしては基本的な構成のものですから、指向性アンテナとしての性能は高くありません。
5エレや12エレといった多素子の八木アンテナに比べれば指向性ということだけで考えれば、その性能は劣ることになります。
では次にいい話をします。
3エレは多素子の八木アンテナと比べれば、素子数(エレメント数)が少ないのでコンパクトで、持ち運びに便利です。
販売価格も多素子のものと比べれば安価に販売されています。
なるべく荷物を減らしたいが、性能も追求したいユーザーは3エレ八木に目を付けたのです。
↑ラディックスの3エレメント八木アンテナ「RPY-351M3」
http://www.radix-inc.com/rpy/rpy351m3.html
5エレ八木だと切れすぎる
デジ簡の八木アンテナは5エレが市場でも多く流通しています。今回紹介しているラディックスのRPY-351M5やダイヤモンドのA350S5(エレメント自体は6本ありますが、電気的には5エレとして動作)などがあり、流通などを考えると5エレが一番入手しやすい状態にあります。
RPY-351M5 ラディックス 351MHz デジタル簡易無線用 5素子八木アンテナ
第一電波工業 ダイヤモンド 351MHzデジタル簡易無線用5エレメント八木アンテナ(基地局用) A350S5
5エレの八木アンテナはもちろんすばらしい性能であることは間違いないのですが、その性能の高さが裏目に出ることがあります。
指向性が高いので、向けた方向にしか電波は飛ばなくなり、受信についても向けた方向からの電波が強力に入ってくるようになるのですが、それと引き換えに、向けた方向意外には電波が飛ばなくなり、受信も向けた方向以外からの電波が著しく弱くなってしまうという、指向性の強いアンテナの持つ、長所であり、最大の欠点が表れてしまいます。
このように指向性の強いアンテナのことを 「切れがいいアンテナ」 と表現することがありますが、5エレの八木アンテナでは3エレと比べると 「切れすぎる」 ため、せっかくのデジ簡での交信する機会を逃してしまう可能性が出てきます。
そんな時は、切れすぎないマイルドな指向性の3エレ八木が活躍するということです。
山岳移動など、峠などで移動運用する場合には、後方の山を背負うような格好になるため、3エレの八木でも十分に指向性が確保できますし、マイルドな指向性のため、多くの局の電波を受信することが可能です。
もちろん3エレといえども八木アンテナですから、向けた方向には協力に電波が飛びますので、思わぬ遠距離の局との交信機会も得られるということです。
参考資料
八木アンテナの電波が発射されるパターンを視覚的に表現したグラフが以下の通りです。エレメント数が増加するに従ってパターンが細長くなっているのがわかると思います。
細長くなっていることは指向性が鋭くなるということを意味していますが、指向性が鋭くなるにしたがって、アンテナが向いていない方向への電波が弱くなってしまうことや、方向が合っていない無線局からの電波が弱くなってしまうことを表しています。
↑ラディックスの3エレメント八木アンテナ「RPY-351M3」のパータン図
全体的に丸いパターンとなり、指向性としてはマイルドな印象です。
↑ラディックスの12エレメント八木アンテナ「RPY-351M12」のパータン図
3エレと比べるとパターンが長細くなり、指向性がさらにシャープな印象を受けます。
アンテナの設計思想
アンテナを設計する場合、そのアンテナの特性をどのようにするかを考えます。設計思想と呼ばれるものです。
今回は同じデジ簡用の5エレ八木アンテナの設計思想についても考えてみましょう。
まずはラディックスの「RPY-351M5」です。
指向性のパターン図を見てみましょう。
そして、ダイヤモンドのA350S5です。
どちらのアンテナも利得は11.15dBiです。
利得が同じであれば、アンテナの性能としては同じと考えられますが、上記の2つのパターン図を見ると微妙に形が違っていることがわかります。
この形の違いこそが、設計思想の違いということになるわけです。
まずは上方向に延びている、細長い円形部分が、指向性を表現しています。
細長くなればなるほど指向性が強い「切れのいい」アンテナということになりますが、下の方に見える小さな円形部分があります。
これは通称「金魚のしっぽ」などと呼ばれているもので、前方向以外にも指向性が出ているということがわかります。
この金魚のしっぽこそが、指向性アンテナの設計思想にかかわる問題となってきます。
ラディックスのRPY-351M5は金魚のしっぽが、ダイヤモンドのA350S5と比べて多く出ています。
更によく見てみると、ダイヤモンドのA350S5の方が細長いパターンとなっているようです。
これは、ダイヤモンドのA350S5の方がラディックスのRPY-351M5よりも強い指向性を持っているということを表しています。
日本国内で開発された、メーカー製の指向性アンテナの多くが、ダイヤモンドのA350S5と同じようなキレイなパターンのアンテナが多い印象です。
その一方で、海外メーカー製の指向性アンテナでは、金魚のしっぽが大きい反面、利得を追求したアンテナも多いようです。
多少金魚のしっぽが大きくても利得が高く、同じエレメント数であればより強い指向性のアンテナを目指すか、きれいなパターンで総合的に切れのいいアンテナを目指すか、設計思想によって異なってきます。
ですから、どちらが正解か、ということもありません。
話は戻りますが、ラディックスのRPY-351M5は、ダイヤモンドのA350S5よりも指向性はややマイルドという結果になりますが、ダイヤモンドのA350S5は動作としては5エレと表現されていますが、実際にアンテナに使用されているエレメント数は6本です。
アンテナのサイズ的には、ダイヤモンドのA350S5はブーム長1.4mに対して、ラディックスのRPY-351M5の方が、ブーム長1.0mと小型に仕上がっています。
同じ利得でありながら、ラディックスのRPY-351M5の方がコンパクトにできているといえます。
●RPY-351M5
コンパクトで利得が高いが、指向性はダイヤモンドのA350S5と比べるとマイルド。
移動運用にも小型のため便利。
●A350S5
指向性はラディックスのRPY-351M5よりもシャープだが、ブーム長がRPY-351M5よりも40cm長い。
RPY-351M5と比べると移動運用には不向きといえますが、固定局用アンテナとしては指向性も高いので長距離の交信チャンスも逃さない。
5エレのデジ簡用八木アンテナを選ぶ場合は、使用する方の運用スタイルによっても変わってきます。
ラディックスでは、受信用のパーツとなってしまいますが、八木アンテナのスタック用のパーツも販売しています。
RPY-351M3 ラディックス 351MHz デジタル簡易無線用 3素子八木アンテナ
第一電波工業 ダイヤモンド 351MHzデジタル簡易無線用5エレメント八木アンテナ(基地局用) A350S5
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