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特小の放射角測定 (2016/12/15 22:21:48)
今年の目標は「特小をがんばる」でしたが、実績を出すべく、この12月に追い込みかけてます(笑)
■振り返り
さて、先日は「特小の上下と打ち上げ角」という事で、特小本体を逆さにすると打ち上げ角が下がり、山岳レピータや山岳運用時には有利になるのか?というのをシミュレーションしました。
シミュレーション上は、本体側のサイズが波長に対し十分小さく、水平方向も無限大には程遠い為、自由空間においてもモノポールアンテナの様な仰角のついた打ち上げ角にはならず、また、リアルグラウンドを想定した環境においても、地面の影響が大きく、上下反対にしても仰角は変わらないという結果でした。
■本体輻射パターンを測定してみる
シミュレーションではそうでしたが、「実際に」そうなのか?実験をしてみました。
フィールドでは、大地と周辺の影響が大き過ぎるので、考えた実験方法がこちら。
■実験方法
部屋の中でやります。机の上が狭くて汚いのはご愛嬌。
特小から電波を発射、35cm先でピックアップアンテナとスペアナを使い、そのアンテナ高さを5cmずつ変えて電界強度を測定。
(特小とは平行にスイープ)
この測定系で、特小の給電位置は変えず本体だけを上下180°回転させて測定します。
↑八つ墓村!(爆)
あえて感度の悪い測定方法をとる事で、周辺の反射等の影響を極力小さくし、直接放射だけを測定してみると言う構想です。
■測定結果
測定は各々3回行い平均をとり、給電点と同じ高さの電界強度をゼロ、そこからどの位変化したか?の変化量を高さ毎にまとめました。
0は垂直ダイポールの垂直方向電界強度のイメージで、給電点高さが最大になる"イメージ"を描いたものです。
+はアンテナを上(通常方向)にしたときの電界強度、
-はアンテナを下(逆方向)にしたときの電界強度です
(単位 横軸dBm/縦軸cm)。
(測定自体はかなり難しかったので、3dB程度は測定誤差と見てください)
この結果を見ると、正方向が下向きの放射レベルが高く、高所設置のレピータ向きである事が分かります。
■だか、多分失敗…
しかし、給電部より上側の強度よりも下側の強度が極端に上がってます。
恐らく、机(木材の化粧板)の反射の影響かと…。
実際、アンテナと特小の位置関係を変えず、机からの距離を離すと下がっていくので、間違い無さそうです。
■地面の影響は超絶デカイ
机は木(絶縁体)で出来ているので、大丈夫だろうと思ってましたが、上記の結果をみる限り無視は出来ず、誘電率は考慮しなければならなそうです。
木材の物性値を調べ、反射の影響を算出してみました。
(どんどん増築されるExcel…結構間違ってるだろうなぁ…)
すると、机への入射角が20度近く、ピックアップアンテナの高さで言えば-20~-10cm程度までは、それなりの反射係数です。
つまり、給電点以下の高さの電界強度は、机の反射波影響を強く受けていた、となります。
従って、結果はボツ…orz
■諦めず
「じゃあ、机の反射分を引けば良いでしょ」、という事で、机の反射量を求め、測定結果から反射分を引いて補正してみる事にしました。
今回も力技です。
そして、反射分を理論上差し引き補正した電界強度がこちら。
やっぱり下向きの電界強度が高いです。
しかも正方向が良い結果は変わらず。
■まとめ
仕事が遅くに終わってからなので、部屋の中で無理くりやった本実験。
かなり無理をしたかな?と思ってます。
(=信憑性希薄)
ただ、よく見るモノポールアンテナの放射パターンの様に、本体の斜め上に飛んで行くイメージは、今のところ見えて来ないのは確かです。
(後記)
ふと思い出しました。
お金が無かった中学生の頃(今も無いですが)、アルミパイプと塩ビを使った自作のGPをメインで使ってました。
(もちろんアマの145MHz)
DXを狙う為、打ち上げ角を少しでも下げ、「打倒アローライン」とばかりにお辞儀をさせた事がありました。
結果はさして変わらず、と言うか、むしろ悪くなりました。
当時は、地面の影響なんか全くいざ知らず、何でだろう?でした。
あれからウン十年。
地面を甘く見ている所は変わって無かった、って事ですね。
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