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違法局キャンセラーの実験 RF編 (2017/7/6 19:00:00)
0.5Wという微弱な出力で遊ぶ市民ラジオの大敵、それはアホみたいな大出力で汚い電波を撒き散らす違法CB。周波数が近いこともあって市民ラジオのチャンネルにガンガン被ってきてとてもじゃないけど交信できたものではありません。もちろん合間を縫って交信することもありますが、たとえ交信できてもあの口調で被ってくるのを聞いていると交信の喜びよりもストレスの方が遥かに大きいのです。
同じ周波数だからフィルターでカットすることもできんし、どうしようもないよなぁ~と諦めていましたが、先日、某局が何気なく発した一言がヒントになり「違法局キャンセラー」なるものを思いつきました。
メインアンテナで受信した信号に、メインアンテナより感度が悪いサブアンテナで受信した信号を位相反転させて混合すれば、強い信号だけが逆位相で打ち消し合って弱い信号だけを浮かび上がらせることができるのでは?というものです。原理としてはネットに製作例がいくつか上がっているノイズキャンセラーと同じ。消したい対象がノイズなのか違法局なのかというだけの違いです。まぁ 違法局もノイズみたいなもん ですが・・・。
ひとまず予備実験。まずは位相シフト回路(フェーズシフト回路、移相器)を作ってみます。回路としては抵抗3つとコンデンサだけの非常にシンプルなもの。抵抗を通る信号は位相の変化がありませんが、コンデンサを通る方はコンデンサによって位相が進むため、それぞれの中点から信号を取り出すと入力に対して位相が進んだものになります。色々と定数を変えて試したところ、27MHzではC=100pFにすると可変抵抗をひねることで0°~45°くらいまで連続的に位相をシフトできることが分かりました。
さらにこれをトグルスイッチで180°反転させてやると入力と逆位相の波形が得られます。
黄色:入力 、 水色:出力 、 赤色:入力+出力
であり、赤色の振幅がかなり抑制されていることが見てとれます。
そこそこ自由に位相を変化させられ
そうなことが分かったので、入力と出力をMIXする部分も追加。これもノイズキャンセラ回路からの引用です。トランスはT37-6にトリファイラで巻き、1:2としてみました。前述の通りサブアンテナには少し感度の悪いものを用いるということと、位相シフト回路を通ってくることで多少の減衰も生じるのではということから混合前に振幅を大きくして補ってやろうという目論見です。
早速これをフィールドに持ち出してみました。メインのアンテナにはベースにローディングコイルを追加して27MHzに同調させたロッドアンテナ、サブアンテナは60cmほどのロッドアンテナを用いました。さて結果や如何に!?
おぉ!違法消えた!
・・・弱い信号も消えた(笑)
動画では27.005MHz(違法局のみが運用する周波数)ですので0.5Wの市民ラジオの電波は聞こえるはずがありませんが、 強い信号のみ選択的に消して弱い信号を残すというのがなかなか難しい
です。サブアンテナを伸ばしたり縮めたりしているとちょっと良い感じになるポイントがあったりしますので、メインとサブのゲイン配分やサブからの逆位相の信号をどんなものにするか(例えばダイオードをかまして弱い信号はカットし、強い信号のみを反転させるとか)など、バランス取りが肝のような感じがします。
ちなみに自宅のシャックであれこれ遊んでみたところ ノイズキャンセラとしてもなかなかに優秀
で、ボリュームを回していくとノイズが減るポイントがあります。これは面白い(^^)
トロイダルコアにT37-6を使ったため特にHFハイバンドからVHF帯で効果が実感できましたが、コアの材質を変えればもっと下のバンドでもノイズキャンセリング効果が得られるかもしれません。
さてさて、コイツをさらに煮詰めていこうと思っていましたが・・・ さらなるアイディア
が浮かびましたのでいったん中断(笑。記事タイトルですでにほぼネタバレですが・・・
~つづく~
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