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デジ簡秘話運用時の注意点とは? (2018/3/11 6:00:45)
2エリアを中心に、最近では3エリアや1エリアなどでもデジ簡を運用するときに秘話(デジタルコード)を使用してのサブチャンネルでの運用を行う機会が多くなっているようです。
今回はデジ簡での秘話交信の是非ではなくて、デジ簡で秘話を使用して交信を行う際に注意したいポイントを確認していきたいと思います。
秘話コードを使用した交信でも、色々と問題点があることが分かってきました。
そもそもデジタルって何がデジタル?
フリラの方の多くが運用しているデジタル簡易無線(登録局/3R)ですが、そもそも「デジタル」とはどの辺がデジタルなんでしょうか?
デジ簡のデジタルとはデジタル変調のことを表しています。
144MHzや430MHzなどアマチュア無線で使用されているFM交信では最近ではデジタル変調を使用したD-STARなどが登場していますが、従来の音声による交信はアナログ変調でした。
FM電波にアナログの音声を載せて相手側と交信する方法が使用されていました。
これに対して「デジタル変調」はFM電波にデジタル処理された信号を載せて相手側と交信する方法です。
デジタル処理された信号で交信するためにデジタルと呼ばれているのです。
ここでポイントなのがアナログでも、デジタル(デジ簡の場合)でも基本的に無線機から発射される電波はFM波ということです。
イメージしやすく言うと、同じ車種のトラックの荷台に積まれているのがアナログという荷物か、デジタルという荷物かの違いだけです。
トラック自体は同じだということがポイントです。
▲積み荷が違うだけのトラックは、同じ道路を走っている。
業務局への配慮になるのか?
デジ間でのデジタルコード使用を推奨する理由として大きな理由に「業務局へホビー局のたわいもない交信内容を聞かせないことによって、業務局とホビー局とのトラブルを回避するため」というのがおおきな理由のようです。
基本的には混信対策ではないようですが、混信対策も兼ねているような印象を受けます。
目的としては、無線の知識が業務局で使用しているオペレーターよりも豊富なホビー局(フリラ)が配慮しようということだと思います。
トラブルの回避は業務局とホビー局(フリラ局)が同じシステム(同じチャンネル)を使っているので必要な配慮であることは間違いありません。
トラブル回避に対して意識の高いことは非常にいいことだと思います。
ここまで書くとフリラの方がデジタル秘話を使用することは業務局への配慮になるということが分かりましたが、これはデジタル変調の特性を理解して、有効にデジタル秘話(デジタルコード)を活用した場合にのみ言えることなのです。
デジ簡秘話だけでは混信対策にならない!
デジタル秘話を使用すると、同じコード番号に設定した無線機同士でないと音声が相手に伝わりません。
音声が相手に聞こえないので「デジタル秘話」という表現になっていますが、音声が聞こえないだけで、電波自体は飛んできていることが問題なのです。
デジタル秘話だから混信対策もバッチリだと思い込んでいると、異なるコード番号を使用している局や、デジタルコードを設定していない局へは混信を与えてしまう可能性が大きくあります。
しかも、混信しているかどうかは、デジタルコードを設定していると確認する方法がないことが一番の問題点でもあります。
先ほどのトラックのたとえで言うというとこんな感じでしょうか?
▲同じ道路を別々の会社のトラックが走れるが、自社のトラックしか見えない。他社のトラックは存在しているが見えない。(運送屋さんだけでなく引っ越し屋さんなども走ります)
こんな感じに例えてみました。
同じ道路を、別々の会社のデジタルという荷物を積んだトラックが走っています。
しかし、黒猫運送の会社の人は、黒猫運送のトラックしか目に入りませんので、飛脚運送やJP運送の車は見えないのです。
同じように飛脚運送やJP運送も自社のトラックしか見えないので他社のトラックの存在すらわかりません。
これがデジ簡の同じチャンネルでも起きてしまうかもしれない混信問題なのです。
デジタルコードを使用してしまうと他者の交信の存在に気が付けないという問題です。
同じ道(チャンネル)を使用していても、運送会社が違う(デジタルコードが違う)と他社の車両(交信)の存在が分からないが、車両(交信)自体は存在しているので、同じ道(チャンネル)を走ろうとすると渋滞(混信)が起きてしまうということです。
FM波は弱肉強食の世界です
アマチュア無線の資格を取得されている方であればご存知かと思いますが、FM波の特性として弱肉強食という性格があります。
受信者からみて、2波以上の電波が混信してきた場合、強い電波しか見えなく(弱い電波が強い電波によってマスクされてしまう)なってしまうという現象を「弱肉強食」という言葉で表現しています。
受信者から見ての電波の強さですから、出力が大きくても遠くから発射された電波であれば、近くから発射された出力の小さな電波の方が、受信者に対して強力にはいって来ることもあります。
基本的にデジ簡から発射される電波は、FM波にデジタル変調を載せているだけなので、混信するメカニズムとしては、アマチュア無線や特小などのアナログのFM波と全く同じ理屈というわけです。
自分自身が秘話コードを設定してしまうと、秘話コードの違う局や、秘話コードを設定していない局の交信する音声が聞こえてこない危険性があります。
デジタル秘話を使用し、業務局に対してこちらの音声が聞こえないようにしても、知らず知らずの間に、業務局へ配慮が、まさか自分自身が業務局への混信の原因を作ってしまっているという、本末転倒な結果になりかねないということです。
目指すは意識高い系の混信対策
ここまで書いてくると、なんだか「じゃあ、秘話は使うなってことなんじゃないのか!」という意見も出てきそうですね。
そうはいってません!
適切にデジタル秘話を使うことが大切だということです。
事前にデジタルコードなしでサブチャンネルをよく聞いて、デジタルコードを使用していない業務局などの存在を確認することから始めてみましょう。
確認は面倒かと思いますが、業務局へ配慮する気持ちがあれば、さらに一歩進めて、意識高い系の混信対策を検討してみるのもいいかと思います。
特小は配慮しなくてもいいのか…
デジ簡の秘話コードの話が終わったところで、ネット情報を見る限り特小のデジタル秘話の話が出てきたことないですよね。
デジ簡ばかりが話題になっていますが、関東地区では10年以上前から特小での業務局とのトラブルが深刻化しています。
関東地区でも郊外ではあまり気になりないという方もいらっしゃるようですが、都心部などでは、飲食店や工事現場、イベント会場など、業務で使用している特小局が数多く存在し、盛んに運用されています。
これは関東の都心部だけにとどまらず、地方都市においても同様な現象が見受けられます。
これらの局への配慮はどうしたらいいのでしょうか。
ネットを見る限り特小業務局への配慮の話が一切見受けられません。
デジ簡ばかりがデジタル秘話コードの使用が推奨され特小は話にも出てこないのはいかがなものかと思います。
最近のフリラの入門バンドとして特小は忘れてはならないものです。
入門バンドとして無線機が簡単に入手でき、参入するハードルが低い特小ですが、いざ始めてみると意外に飛んだり、想像以上に飛ばなかったりと、実に味わい深く面白いバンドです。
しかし、システム自体の歴史もデジ簡より長く、業務で使用するにしても無線機自体が安く購入できる分、運用局も多く、フリラ(ホビー局)との混信問題も深刻なのです。
特小はアナログ方式とデジタル方式の通信方式がありますので、特小のデジタル化も混信対策になりそうですよ。
デジ簡の交信で秘話は使うべきなのか?
最後にデジ間で秘話コードは使うか、使わないかの選択ですが、運用される方の自由でいいと思います。
からなずデジ簡を運用するときは秘話を使わなくてはいけないという決まりがあるわけでもありません。
しかし、使わなくてもいいという決まりもありません。
フリラの運用は、使うも使わないも自由に選択できるのです。
交信相手によっては、秘話を使用するることが前提という方もいらっしゃいますが、もちろん秘話を使わないことが前提という方もいらっしゃいます。
秘話を使う方、使わない方、双方の意見を尊重しあって運用すればいいのだと思います。
間違っても「秘話を使うべきだ」とか「秘話なんて使うな」というような自分の意見を相手に押し付けるような風潮は避けたいと思います。
動画版はこちらです