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feed <年末スペシャル>胸ポケットに入る新技適CB機 “NTS111” の開発が進行中!!「西無線研究所」を訪問 (2018/12/28 12:05:05)

スプリアス規格改定の影響で一時は“平成34年で自然消滅か?”と思われていた27MHz帯のCB無線機(市民ラジオ)にここ数年、新技適対応の製品の開発が相次ぎ、「フリラー」と呼ばれるライセンスフリー無線愛好家の注目を集めている。hamlife.jpは胸ポケットに入る小型サイズのハンディCB機「NTS111」の開発着手を2018年秋に発表した兵庫県神戸市の通信機器メーカー、株式会社西無線研究所を訪問し、同社代表取締役の西 裕治氏に開発状況を伺った。

 

 

 

小型サイズのハンディCB機「NTS111」(左)と144MHz帯のSSB/CWトランシーバー「NTS220」(右)。上にあるのはNTS111のサブ基板試作品

株式会社西無線研究所 代表取締役の西 裕治氏(JI3CKA)

 

 

 西無線研究所は1984年に無線機開発と製造を目的に創業(法人化は1986年)。アマチュア無線用のSSB/CWハンディ機「NTSシリーズ」をはじめ、超小型人工衛星用の無線機や微弱電波を利用した各種機器、超音波利用機器などの開発、製造、販売で知られている。

 

 特に2014年12月にH2Aロケット26号機で打ち上げられた、多摩美術大学、東京大学の衛星「ARTSAT2:DESPATCH」に搭載された同社の437MHz帯ビーコン送信機(出力7W)は、470万キロメートルも離れた深宇宙から地球へ電波を送り届け、オランダとチェコのアマチュア無線家によって電波がキャッチされたという実績がある。

 

 そんな同社が27MHz帯CB機を開発に着手するきっかけは、2018年11月5日に同社のTwitterアカウントで「NTS620のような27MHz CBトランシーバーを作ったら、需要有るかなあ…?」とつぶやいたことにある。西無線研究所がアマチュア無線機器で実績を積んでいることや「NTS620のような」という具体的なポケットサイズがイメージできることから話題となり、このつぶやきにはフリラーを中心に240件を超える「いいね」と40件以上のリツイートがあり、「需要はあると思います」「数万円台の価格ならニーズはあると思います」「是非作って下さい」などの肯定的なコメントが相次いだ。

 

「NTS620のような27MHz CBトランシーバーを作ったら、需要有るかなあ…?」とつぶやいたところ大きな反響を呼んだ(同社ツイッターより)

 

 西氏は「Twitterでこんなに反響があったのは初めてです。このつぶやき以降、フォロワーさんが1,000人近くに増えました」と驚き、新技適に対応したハンディタイプの27MHz帯CBトランシーバーの正式開発をスタートさせた。型番は11mバンドの1号機という意味を込めて「NTS111」と命名。以来、西無線研究所のTwitterアカウントでは完成したデザイン図、回路設計、モックアップの製作、基板の試作と部品実装など、開発の進捗状況を随時報告し注目を集めている。

 

 12月初旬、hamlife.jpスタッフが同社を訪問した際は、NTS111は外観デザインと部品配置を検討するモックアップの状態で、内部の基板は送信PLL回路などを搭載したサブ基板以外は未完成の状態だった。

 

NTS111のモックアップ内部(12月初旬撮影)。この時点では、内部のメイン基板やLEDサブ基板は設計中のため実装されていなかった

 

「本番もこれで行きます」というNTS111のサイズは、80W×165H×27.5Dmmという、Yシャツの胸ポケットにすっぽり収まるもの。ただしロッドアンテナは縮めた場合も上部から70mmほど出ることになる。とはいえ、内部に単3アルカリ電池を4本搭載した状態での重量は400gを切る見込みで、これまでの新技適CB機にはない機動性と軽快さを実現するのは間違いないだろう。

 

NTS111をYシャツの胸ポケットに入れた状態。80W×165H×27.5Dmm、重量約400gはこれまでの新技適CB機で最も小型・軽量になる見込みだ

 

●NTS111のおもな仕様(暫定)

・形状: ハンディ型
・本体外形寸法: 80W×165H×27.5Dmm
 (短縮時のアンテナ含む外形:80W×235H×27.5Dmm)
・周波数帯: 27MHz、8ch(PLL制御/水晶発振)
・送信出力: 500mW
・質量: 約400g(単3アルカリ電池4個内蔵時)
・電源: DC6V(単3アルカリ乾電池4個使用)

 

 NTS111の上部には「CH」「VOL/ON OFF」のスイッチとPTTボタンが並ぶ。その横には外部マイク/スピーカー用のジャックがある。もちろん本体にもスピーカーとマイクは内蔵されているが、スピーカーマイクロホンは別売で用意される予定だ。本体が軽量薄型なのでPTTボタンもこの位置で押しにくさは感じなかった。

 

NTS111の上部。「CH」「VOL/ON OFF」のスイッチとPTTボタンが並ぶ

NTS111の背面。単3アルカリ電池の取り替えはここから行う。上部のネジは技適機のためトルクスを採用予定

 

 西氏は「当社は27MHz帯のCB機設計は初めてですが、当社は50MHz帯や144MHz帯のSSBハンディ機(1W出力)で実績とノウハウがあるので心配はしていません。ただ、アマチュア機と違って制約が多いですね…。27MHz帯のAMモードで使えるような専用ICが見当たらないので、汎用部品を組み合わせないといけません。また、ロッドアンテナは適当な物がなかなか見つからず、今も良い物を探しているところです」と語っている。部品点数は約430点。144MHz帯のSSB/CWハンディ機「NTS220」よりもやや少ないという。

 

 取材後の12月下旬にはメイン基板の試作も完成した。小さいケースに収めるためには、メイン基板も小さくせざるを得ない。「PLL回路はサブ基板にして送信出力部とできるだけ離していますが、それでもAM変調をかけた場合にPLL回路へ強電界が回り込み、スプリアスの原因になることがあります。そこでVCOには108MHzのシンセサイザーを使用し、1/4分周で27MHz帯を得るようにして、もし27MHzの送信波が回り込んでも影響しないようにしました」。この工夫が奏功し、試作実験では問題ないことが確認できたという。

 

測定機器で直列変調実験基板をテスト中

 

 チャンネルは縦に8個並べたLEDで表示する。「LEDもサブ基板にしました。上部のスイッチでチャンネルを操作したときはch表示になるようにして、受信時は“1/2/3/5/7/9/+/++”の信号強度表示、送信時はパワーメーターになるようにします。コントロールはPICのマイコンで行います」。

 

ホームページに掲載された試作中のNTS111基板とケース。PLLとLEDのサブ基板装着も確認できる。「部品はキッチリ基板上に実装できてケースにも収まっています。今のところ致命的な問題は見当たりません、試作作業を進めます」とホームページで報告している

 

 ちなみにノイズブランカーやスケルチは、今のところ搭載しない予定だという。「NB ON/OFFのスイッチを設けるスペースがありません。混変調を考えるとノイズブランカを入れっぱなしにもできないので…」と残念がる。

 

 気になる価格だが、「値段は、現時点では“10万円は切りたい”という目標しか言えません。というのは、試作基板を組み込んで試作品を完成させてみると、思いがけない問題が出ることがあるからです。追加の対策がどのぐらい必要かでコストは変わります。また“販売台数がどの程度見込めるか”でも違ってきますから、もう少しお待ちください」とし、販売方法については「長年お付き合いのある販売店との関係を大切にしていきたい、無線ショップの店頭で手に取って見てもらえるといいなと思っています」と語っていた。

 

 西無線研究所のTwitterアカウントでは、着々と進行するNTS111の開発状況を逐一、写真入りで報告している。またホームページ上ではNTS111の専用ページが設けられ、さらに詳しいブロック図や回路図、計測結果なども公開されているので参考になるだろう。

 

12月21日現在、試作基板No.1の部品実装がほぼ完了。「これから試験調整をして仕上げていきます」とTwitterで報告されている

 

 12月27日現在、Twitterでは「試作基板No.1の部品実装がほぼ完了」「送信部がテストプログラムで動き始めた。小型化で気になっていた回り込みによる送信スプリアスは問題無い」「印刷した文字パネルが入荷」などの報告が行われている。2019年、無線ショップの店頭にNTS111が並ぶ日を楽しみにしたい。

 

 

 

●関連リンク:
・27MHz CBハンディトランシーバー<NTS111>開発中(西無線研究所)
・西無線研究所
・Twitter 西無線研究所

 

 

 


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