無線ブログ集
メイン | 簡易ヘッドライン |
リチウムイオン電池の不良解析 (2019/1/27 11:39:34)
■山岳運用の友、リチウムイオン電池
移動運用をする際に極めて重要な電源。特に山岳運用においては軽量化が求められるため、その電源はニッケル水素からリチウムイオンへ全てシフトしています。
リチウムイオン電池のメリットは、電解液に有機溶媒を使用したことによる圧倒的な重量/体積エネルギ密度。とにかく重量やサイズに対し容量が稼げるのが強みです。
反面、デメリットとしては、コスト高、シビアな管理を求める安全面、そしてあまり良くない低温特性です。
■近況の問題
そのコスト高のデメリットに対し、コストが安い中華製と思われる円筒形電池(18650)を通販で入手し使っています。
しかしながら、ここ最近この電池がご機嫌ななめです。とにかく低温時に使えなくなるのと、開放電圧はあるが電流が取り出せない(内部抵抗が高く見える)、しかも充電も出来ない・・・といった問題が頻発してきました。
しかも、問題が起きている電池は「振ると中身がパコパコと動く音がする」のです(笑)。
■司法解剖
というわけで、内部を確認してみたくなってきました。
仕事柄、リチウムイオンは嫌というほど知ってはいるので危ないのは分かっていますが、開けてみます。(リチウムイオンは、とにかく危ないので同じ事はしないで下さい。電解液は有機溶媒ですので、よく燃えます)
電極を切らない様に丁寧に確認しながら開けてみましたが、驚く事に正極タブに亀裂が入っていました。これでは電流が取り出せません。
他にも、保護用のPTCも見当たらず、ガスベント構造も見当たりません。
また、正極・負極・有機フィルムのセパレータを重ね巻いてあるのですが、テンションが不均一です。使用した感じでは公称3000mAh以下は間違い無い理由は、この構造によるものと思われます。
確かにこれでは”安くは”出来ます。
■なぜ壊れたか?
この構造を見ると、積層電極が固定されていないため、運搬時に内部が移動しタブが破断した為、と考えられます。
コストが安いのはとても助かるのですが、通常使用に耐えられない構造に加え、安全面で不安が残る構造に対しては・・・であり、特に活動的なモノ(サバゲーとか)は避けた方が望ましいかと思います。
結局、重要な安全性、性能、それらを踏まえたコストのバランスを考えれば「日本製を使うべき」という、当たり前な結論に至りました。
execution time : 0.065 sec