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ハイテラから防爆仕様のデジタル特小機が発売開始! (2019/10/19 6:00:29)
Hytera(ハイテラ)という通信機メーカーをご存じでしょうか?
日本国内でも業務用無線機のメーカーとして有名な海外の企業ですが、日本の市場向けに防爆仕様のデジタル(DMR)特小機「PD798Ex」を発売しました。
防爆型ってなんだ?
石油のコンビナートや化学工場、鉱山や可燃ガスを扱っている場所など、火種があると爆発事故が起こる可能性がある現場というものが世の中には存在しています。
火種がなければ安全性は確保されているのはもちろんですが、そんな現場でも無線で連絡を取る必要があることは間違いありません。
無線機といえども、火種になる場合があるので、特殊な構造を持った無線機が必要とされています。
そこで国際的に決められた規格が「本質安全防爆」という規格です。
▲PD798Ex本体の塗色も国際的な本質安全防爆の規格に従っている。
PD798Exは国際的な本質安全防爆の規格に従って設計製造されているため火種になるようなことはないので安心して現場でも運用できる連絡手段として注目されています。
PD798Exは業務機と特小機の2種類があり
、今回発売したPD798Exの特小機はオペレーターには免許や資格が必要なく運用できるので、誰でも使用できる通信手段として中小規模の石油化学工場を有する大手企業、さらにこういった危険エリアに出入りする業者でも導入されやすいということです。
また資格や免許が不要でリースで導入することも容易なので、採用する大手企業が徐々に増えているということです。
防爆対応の特小機市場は競合他社が発売していなかったブルーオーシャンといえます。
■ 免許・資格不要
422.0500~422.1750MHz(12.5kHz 間隔 11 波)
422.2000~422.3000MHz(12.5kHz 間隔 9波)
■ 送信出力 10mW
■ 出力 500mW 以上の大音量スピーカで聴き取りやすい高音質
■ ノイズキャンセリング機能標準搭載:強風や騒音下でもクリアな音声通信
■ DMR デジタル技術を採用しているため、肉声に近いクリアな音声
デジタル F1E、F1D 4値周波数偏移変調 4FSK DMR デジタル変調方式を採用して
いるため、 変調方式が異なる機器との互換性はありません。
■ 本体寸法および重量
約(H)141mm×(W)55mm×(D)39mm(突起物を除く) 約 495g (バッテリ含)
■ 防塵防水規格:IP67
■ 本質安全防爆構造: Ex ib IIC T4 Gb
■ 米軍 MIL 規格:MIL-STD-810C/D/E/F/G
■ 標準構成品
本体(アンテナ装着)、防爆リチウムイオン充電池(1800mAh)、 シングル充電器、AC アダプタ、ベルトクリップ、ストラップ
■ 別売オプション品 防爆リモートスピーカマイク(防塵防水 IP67)、6連式充電器、
キャリングケース(ショルダー ベルト付き)
DMRってなんだよ?
DMRとはDigital Mobile Radioの略で、欧米の業務無線などで使用されている無線のデジタル方式です。
DMRのデジタル方式は海外や、日本の一部の方がアマチュア無線でも運用されています。
DMRといえばTDMAという特徴を持っています。
TDMAとはTime Division Multiple
Accessの略で、日本語で言うと時分割多元接続(じぶんかつたげんせつぞく)と訳されています。
TDMAを解説した、ちょっとした図を書いてみました。
上図は一般的なTDMA方式の概念図です。
Achに注目すると、Ach(帯域幅は12.5KHz)で発射される電波の中には2つの「タイムスロット」が存在しています。
slot1とslot2が同時に送信されても非常に短時間(30ミリ秒)で2つのタイムスロットが交互に切り替わることによって、2つの通信が同時に同じチャンネルで行えるメリットがTDMAにはあります。
タイムスロットの使い方としては、音声+音声で使う方法と、音声+データで使う方法などがあります。
▲ハイテラさんが作ってくれたTDMAの資料も貼っておきます。こちらのTDMAの概念図が分かりやすいでしょうか?
従来のアナログ方式だと上図のように、1つのチャンネルを連続して電波が発射されるため誰かがチャンネルを使用中は誰も同じチャンネルで電波を発射することができない(発射しても混信するだけ)ので、TDMA方式は、限られたチャンネル(もしくは単一のチャンネル)を効率的に運用することが可能です。
ここまでTDMA方式のメリットを書いておきながら、残念なお知らせがあります。
まずはPD798EXの特小機で発射されるTDMA方式の電波の概念図(下記)をご覧ください。
▲PD798EXの特小機で発射されるTDMA方式の電波の概念図です。具体的にはどちらのタイムスロットが使用されるかは不明(上図では便宜上Slto1にしていますが…)ですが、片方のタイムスロットのみが通信では使用されることになり、ID管理機能は省かれている。
PD798Exの特小機
はこの2つのタイムスロットのメリットを受けることができないということです。
タイムスロットを効率的に使用するためには無線機の「ID管理」をしなければいけません。
要するに、どちらのタイムスロットを使うか決めるということです。
PD798Exの業務機
のようにスポットで周波数(単一チャンネル)の割り当てを受けた場合などでは有効なTDMAですが、特小機の場合はある程度のチャンネル(合計20ch)が自由に使えるため、ID管理の機能は搭載していないということです。
PD798Exの業務機はデジアナデュアル機なので、アナログシンプレックス、デジタルレピーターへのアクセス、GPS勤怠管理等に対応しています。
▲特小機とはいえ、防爆仕様なのでガチな業務用無線機のボディーですね。
▲奥に見える数字の書いてあるツマミがチャンネルセレクターで、手前に見えるツマミが電源/音量調節です。
▲Hyteraの無線機はトップパネル中央にアンテナ端子があるユニークなデザインが特徴です。手袋をした場合でも操作しやすいようにアンテナ端子の位置が配慮されています。
PD798Exの特小機はどこで買える?
ここまでPD798Exの特小機を紹介しましたが気になる方もいらっしゃると思います。
どこで買えるかですが、Hytera製品を扱っている業務無線機の販売店に相談してみてください。
基本的にPD798Exの特小機は、免許や登録などが必要としていませんので無線機本体だけで購入することができます。
その場合は、今のところPD798Exの特小機同士でないと交信できませんので最低でも通信の相手方が必要となります。
最後に肝心の1台あたりのお値段ですが…
メーカー希望小売価格240,000円(税別)となります。