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アイコムからハイブリッド・デジ簡機のIP700が発表! (2020/3/4 17:41:27)
アイコムからIPトランシーバーとデジタル簡易無線機が1台になった業界初のハイブリッドIPトランシーバのIP700が発表になりました。
すでにイベントなどで存在そのものは発表されていたり、アイコムが配布していたカレンダーではフライング公開されていたりと、読者の方であれば既視感もあるかと思いますが、この度やっと正式に発表となりましたので報告します。
IP無線(デュアルSIM)&デュアルバンド・デジ簡機
まずはアイコムから発表された内容から確認していきたいと思います。
アイコムとしては「IP無線とデジ簡」が1台になったハイブリッドという表現を用いて特徴を説明していることが分かります。
もちろんハイブリッドのトランシーバーは非常に画期的な製品であることは間違いありませんが、IP700の魅力はハイブリッドだけにとどまりません。
●IPトランシーバーとデジタル簡易無線機(登録局/免許局)が一台になった 業界初のハイブリッドIPトランシーバー。
●LTE通信とデジタル簡易無線による通信を同時に運用するデュアルモードを搭載。
●RoIPゲートウェイ VE-PG4(オプション)の導入により、 エリア拡張やIP電話などの既存通信設備との連携も可能。
●Bluetooth®機能を搭載し、ケーブルレスでの運用も可能。
●雨やほこりにさらされる環境でも安心して使えるIP67/57/54 の防塵・防水仕 様。
●端末の位置情報をPCソフトやブラウザの地図上に表示できるGPS機能を搭載。
アイコムからのプレスリリースにはIP700の魅力が控えめに書かれているようですが、当編集部がIP700の魅力だと思うポイントをまとめてみたので、上記のプレスリリースと合わせて、導入時の参考にしていただきたいと思います。
◆デュアルSIM
au(KDDI)網とNTTドコモ網のどちらか、もしくは両方のSIMに対応しています。
災害発生時ではどちらかのLTE回線がダウンした場合であっても、どちらかの回線で外部と連絡することが可能となります。
また、KDDIの関連会社であったり、NTTの関連会社であったりと「大人の事情」でどちらかのキャリアしか選べない場合もデュアルSIMは大変便利です。
SIMについてはアイコムがMVNOとなってSIMを発行しますので、手続きについては販売店に任せておけば、回線契約や無線機の設定などについては完了します。
◆デュアルバンド・デジ簡
この点についてアイコムは控えめにアピールしているようです。
デジ簡(デジタル簡易無線)と一言で言っても、IP700は免許局(3B)と登録局(3R)の2つの周波数帯をカバーしています。
免許局のデジ簡は467MHz帯を使用し、登録局のデジ簡は351MHz帯という全く異なる周波数を利用したシステムなのです。
もちろん、デュアルバンド(免許局と登録局)のデジ簡機という側面で見てもIP700が業界初であり画期的な無線機であることが分かります。
ちなみにですが、電波使用料については免許局と登録局の2局分が1台につき発生します。
多彩な運用方法でBCP対策にも有効かも
IP700はIPトランシーバーとデジ簡が一体となったハイブリッド機なので、運用方法も多彩で、デジ簡の直接波を使った短距離の通信から、LTE網を使用した遠隔地との通信まで対応しています。
多彩な通信方式に対応しているといっても文章で説明するのは難しいので、アイコムの資料を見ていただければ概念が分かりやすいと思います。
上記の概念図ではIP700の3つの通信モードについて解説されています。
◆LTEモード
IPトランシーバーとしてのオーソドックスな使用方法です。
IP700とIP500系の無線機とで通信を行う方式です。
◆DCRモード
デジ簡としても通信モードです。
デジ簡は免許局(3B)と登録局(3R)のどちらかのチャンネルを使用して、デジ簡同士で直接電波で通信を行う方式です。
◆デュアルモード
IP700の真骨頂ともいえる通信方式です。
2つあるPTTでIP通信とデジ簡通信の両方を使い分けるといった、まさに「二刀流」の使い方です。
以上、IP700のプレスリリースをお届けしましたが、今までにない新しいタイプの無線機なのでもっと複雑なシステムになるんじゃないかと心配されている方もいらっしゃると思いますが、使い方は非常に簡単なのが分かってきました。
IP700の導入を検討されている方は、出入りの業者の方や販売店などに相談してみてはいかがでしょうか?