無線ブログ集
メイン | 簡易ヘッドライン |
端くれ化学屋のお話, "アスピリン"について. (2020/6/10 0:00:25)
今回の記事は少し今迄と趣向を変えて
日常に身近な"化学"を書いてみたいと思います。
イラスト/イラストAC
元々、私自身端くれ"化学屋"として学生時代から好きでしたし
今も畑違いの分野でエンジニア職をやってますから
前々から少しだけ記事を書いてみようかと思っていました。
突然ですが... 私は嫌な「偏頭痛」をずーっと持ってる一人。
症状が出る前は何だかチカチカした感じが有ったりと...良い事は一つも有りません。
イラスト/イラストAC
特に重要な考え事や会議中で起こるともう嫌だ...
セルフメディケーションの範囲で、主治医と相談し
ほぼ手元に常備している薬は『バイエルアスピリン』.
アスピリンの正式名称は「アセチルサリチル酸」。
広く知られている様に、鎮痛, 解熱効果が有る為
市販/処方薬として市場に出回っていますね。
このアセチルサリチル酸の歴史を少し書きましょう。
イラスト/イラストAC
古代ギリシア時代、ヒポクラテスが記していますが
頭痛, 発熱を訴える患者に対して[ヤナギの葉, 樹皮]を噛ませる処置が残っています。
当時は当然、現代みたいな分析機器等無いですから
経験則から処置していた...漢方薬と近い考え方ですね。
ヤナギの葉に含まれるのは"サリシン", "サリチル酸"と呼ばれる
アセチルサリチル酸にとても似た物質ですが
副作用として【相当胃を荒らす】等良くないモノを持っています。
イラスト/イラストAC
時が経って19世紀にドイツの大手製薬メーカー"バイエル"社が
今の様に胃に負担が少ないアセチルサリチル酸を
「アスピリン」として販売したのが世界的にこの薬が広がった要因になっています。
** アスピリンも胃を荒らしやすい性質を
少なからず持っていますし
人に依って合う, 合わないも有ります。
服用の際は、主治医, 薬剤師さんに相談しましょう。 **
* ドイツ バイエル社の公式サイト(独語) https://www.bayer.de/
汚い殴り書きですが、 アセチル酸と無水酢酸から
「コルベ・シュミット反応」と呼ばれる機構でアスピリンは有機合成されます。
有機化学反応に於いて"電子の追っかけ"が出来れば習得出来る!!
...大学, 大学院時代の指導教官から常々指導頂きました。
纏まりの無い記事で申し訳無いですが、ちょっと書いてみたく。
最後までお読み頂きありがとうございました。
・ 補足, 私の専攻分野は「有機合成化学, 機器分析化学, 物理化学」になります。
...なんのこっちゃ!?となるでしょうから、機器分析化学で一つ例を上げたいと思います。
病院でお世話になった事の有る方も多いかと思いますが
MRI...核磁気共鳴画像法, 測定中ガチャンガチャン音がして
患部の輪切りが出てくる医療機器ですね。
写真/En-Wikipedia
これの化学版が「NMR」と呼ばれる機器分析化学で扱う装置です。
主に有機化合物の構造決定に使われます。
詳しくは文献を参照して頂くとして、上の様な主に水素のスペクトルを
得て例えば韃靼そば中の有効成分はどんな構造式なのかを明かす
強力な武器として使われます。
+ 参考文献
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/magneticresonance/ft_nmr/