無線ブログ集
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市民ラジオ (2020/6/16 1:00:11)
市民ラジオ、市民無線、シチズンバンド、CB・・ 呼び方は いろいろあるが、例の 27MHz帯のアレである。現在では あえて 合法CB とか、フリーライセンス無線 などと呼ばれることもある・・ らしい。
大昔、いちおう 当方も 市民ラジオの免許を持っていた。
その頃の コールサインは、『あきた####』というような
『秋田 + 4桁の数字』であった。だいぶ経ってから『あきた + アルファベット2文字 +
3桁の数字』になったのだが、正直、違和感があった。
まぁ、それは どうでもいい。市民ラジオも それなりの楽しさがあるのだが、当方が離れた理由は『外部アンテナが使えない』・・これが大問題なのだった。使えるのは 本体に装備された 長さ2m以下のロッドアンテナのみ。ワニグチクリップで筐体にカウンタポイズを接続することすら許されない *1 のである。これは かんべんしてほしい。 *2
しかし、たまに 27.144MHz *3 などをワッチしてみると、なぜかいるのよね。しかも わんさといらっしゃるのよね。いわゆる フリラー のみなさんが。・・おまえら みんな ドMか !!? (^^;)
さて、今回は そんな アンテナ・システムに不自由な CB機の放射特性についてシミュレートしてみた。
CB機のモデルは SONY ICB-770を想定。ただし完全なワイヤーフレーム化ではない。
この手のポータブル機は、おそらく人間が持った状態を想定してアンテナ・マッチングの定数を決めるものと思われるが、ここでは よくあるアルミ製の小型脚立に乗せた状態をデータ化してみた。脚立の高さは 約60cm。なお、CB機と脚立、脚立と大地は それぞれ絶縁されている。 *4
次は CB機を 普通乗用車のルーフ上に置いた場合。この運用形態もよく行われるのではないだろうか。
普通乗用車のワイヤーフレームは M自動車の某モデルを参考にした。ちょっと イイカゲンだが、あまり細かく作ると計算が重くなってしまう。 *5
シミュレーション計算は ルーフ前端に置いた場合と ルーフ後端の場合の二種類についておこなった。
軽自動車のルーフ上に置く場合についてもシミュレートした。これは当方所有の パジェロミニのデータ化である。 *6
なお、脚立やクルマのワイヤフレームの直径はかなり太いものとしてデータ化してある。
というわけで、お待ちかねの シミュレーション計算結果である。
円グラフは 打ち上げ角14度方向の水平面指向性 *7 。0度方向が クルマの前方(アンテナ形状図のX方向)と一致。
半円グラフが 垂直面指向性で、画面右方向が クルマの前方(アンテナ形状図のX方向)と一致。
パッと見で 軽自動車のルーフ後端設置が突出している。これは異常ではないか・・
否。これは、クルマの外周長が 27MHzの波長である 11mに近接していることが原因と考えられる。
*8
軽自動車のボディは、この周波数帯では 八木アンテナの導波器あるいは反射器のように動作する場合があるということだ。 *9
一方、普通乗用車の方は 軽自動車とは反対にクルマの後方に強い放射がある。 軽自/普通ともに ルーフ後端に設置した場合の方が 高利得 だが、軽自の仰角14度方向の利得は 0.21dBi、対して普通乗用車の方は -2.89dBiで その差は 3.10dB。
とはいえ、軽自の方は高角度への放射も大きく 対ノイズ的には不安も残る。単純に CB機の運用は 軽自動車で・・とは お勧めできないかも? (^^;)
また、軽自のルーフ前端(-4.40dBi)と後端(0.21dBi)の差は 4.61dB。同じクルマの前と後で これだけ違うのも 驚きだ。もし あなたのクルマが 軽であるのなら、クルマは 電波を飛ばしたい方向に向け、CB機は ルーフ後端に置くのが 良い のではないだろうか。 *10
この方法は さすがに 法規に違反している とは いえないと思うが、これすら 脱法行為だ などと つるし上げを喰らう可能性はあるカモ・・ (^^;)
おまけ
ちょっと作ってみた 方向探知用アンテナ。
フェライトバー に 1φエナメル線 5T。リンクコイルは 2φエナメル線 2T。共振回路のコンデンサは 22pF。
自宅二階で直線1.7kmほどの地点からQRVしている局を受信してみたが、外部アンテナ(28MHz用3エレ 17mH.)で S9+ の信号が 極めて弱く 受信できた。これは アンテナとして 144MHz用の1/4λホイップと同程度である。かなりの損失があるのだろう。
指向性については、信号のPeakはよく判らないが バーアンテナの軸方向に はっきりと判るNULLがあり、比較的近距離の方向探知には使えそうだ。
SWRの調整は、リンクコイルの位置、共振用コイルの位置をスライドさせて低くなる点を探した。共振周波数は コイルのピッチを指でぐりぐり変えて調節。
NanoVNAでみた 方向探知用アンテナのSWR帯域は・・ 広すぎるので、やはり損失がデカいものと思われる。
フェライトバー 3本束とかで 損失減るかな? *11
2020.5.14 追記 :
悪乗りネタである・・
車のボディは、この周波数帯では 八木アンテナの導波器あるいは反射器のように動作
・・と 自分で書いたのだが、じゃあ クルマを並べれば 合法 八木宇田アンテナが可能なのでは??
・・と いうわけで 軽自動車は 導波器、普通乗用車は 反射器と見立て、合法4エレのデータを作ってみた。
エレメント間隔・・車間距離(^^;)は 軽自が 10.5cm、普通車が 56.5cmくらい。 *12
シミュレーション計算結果は 見事にビームアンテナ化に成功。 *13
さすがに地上高も稼げないし 本物の 4エレには負けるが、1エレとの差は 6dB以上。これは電力比では 4倍に相当する。
・・以上、バカ話でした。おあとがよろしいようで・・ (^^;) *14
2020.5.17 追記 :
簡略化モデルを作ってシミュレーションしてみたが、クルマは縦型ループアンテナとして動作しているっぽいことが判ってきた。
もちろんクルマは立体物なので 水平型のループでもあるのだが、どうも縦型の方が よりエフェクティヴのようだ。
なお、簡略化モデルの鼻先を伸ばしていくと、ゲインも上昇するが 打ち上げ角も どんどん上がって真上(90°)になってしまう。これでは飛ばない。
さらに伸ばすとゲインは下降し、指向性は反転して 後に出るようになるわけだが、これが 実際の自動車に どこまで適用できるのか、ちょっと検証の方法が無い。(^^;) *15
まぁ、近接した導体には 高周波電流が誘導されてしまうわけで、しかも 共振周波数が近いと VY FB になったり 真逆になったり 相当の影響がある・・と いう アタリマエの現象がおこっているのである。
2020.5.31 追記 :
上記のほかにも 様々なシミュレーションをおこなってみたが、ここでは 結果のみ記して 締めることとする。
- CB機を置く脚立は 60cmよりも90cmの方がよいか?
- 確かに90cmの方が天板の広さも高さも稼げる。しかし高さは 30cmしか違わないし、広さは 微妙に違うだけ。ゲイン差は 1dB未満で ほぼ変わらない。もちろん、地面に置くよりはよい。
- 公園などの低いベンチに置く運用で 導電性のシート(アルミホイルを段ボールでサンドイッチにするなど)を敷いた上にCB機を置くのはどうか?
- 導電性シートを敷いた方が アンテナマッチング的には良い。しかし、大きい(広い・長い)シートを敷いてもゲインはあまり変わらない。シートは CB機よりも少し広い程度でよい。ゲインUpには自動車並みの広さが必要。
けっきょく、いまのところベストは CB機を軽自動車の後部に置く・・ と いうことにつきる・・ の かも? (^^)
2020.6.15 追記 :
締めたつもりだったが・・ 車高が高い いわゆるミニバン系のクルマだったら
ちょっとルーフに置いて・・ということは難しいかもしれない。
が、クルマを反射器として使える可能性は高くなるのではないか・・
と いうことで、ワイヤフレームを H社の某WGNに似せて改造。
まず、縦に駐車した場合で ロッドアンテナからの距離を変化させ、ゲイン最大点を探ってみた。
その結果、 最適なエレメント間隔=駐車距離は 2.92m と計算された。
次に、横向き駐車の場合をシミュレート。
その結果、 最適なエレメント間隔=駐車距離は 3.47m と計算された。
赤:脚立のみ 緑:横駐車 青:縦駐車 の 指向性比較。
水平面指向性の円グラフは 打ち上げ角 14°方向の指向性利得である。脚立のみよりも クルマを後に置いた方が ゲインは高くなり、脚立のみ(-5.08dB)と縦駐車(-1.49dB)のゲイン差は 3.59dB。Sで ひとつ違うくらいか。
CB機とクルマの距離が近すぎると ゲインは悪化するので注意が必要だ。
と いうことで これで本当に締めることとする。 *16
Comments(6)
*1 電波法規に そう明確に規定されているわけではない。
*2 カウンタポイズ・モドキとして 外部スピーカのコード とか 外部電源のコード、さらには 三・・ 以下自粛
*3 CB機のチャネル番号では 8ch。事実上の呼び出し周波数?
*4 MMANA(MiniNEC)では ふたつ以上のワイヤがごく接近していると計算精度が悪化するので 脚立から 3cm離れて浮いている状態でデータ化。
*5 ここでも クルマのルーフとCB機の筐体は絶縁されており、ルーフの3cm上にCB機が浮いている感じでデータ作成した。
*6 普通乗用車のモデルは パジェロミニのデータを拡大し、車高を押しつぶしたもの。
*7 当地 能代市から 関西方面狙いを想定。
*8 カタログによれば パジェロミニの外周長は 9.74m。超極太のエレメントと考えれば この長さでも納得できる。一方、普通乗用車データの参考とした車種の外周長は カタログでは 12.35mとなっていて、やはり ちょっと長過ぎであろう。
*9 実際、普通乗用車のモデルで 周波数を21MHzに設定して計算させると、同様の計算結果となる。
*10 クルマのルーフに置いた状態で 何らかの方法で CB機の筐体とクルマのボディを接続したとしても 飛びは ほとんど変わらない・・ハズである。
*11 フェライトバーは 種類によって 損失に かなりの差があるので注意。
*12 実際にやってみようという人は 出ないだろうな。これでは 三密どころか 四密だ。(^^;)
*13 ちなみに MMANAの計算時間は 1エレで 約12秒。4エレで 約213秒。
*14 コンセプトはともかく、シミュレーション計算自体は 極めてマジメなので ヨロシク。
*15 同じCB機で 車種を取っ替え引っ替えして電界強度を測定する・・? 合法CBに最適なクルマは これだ!! ・・とか? (^^;)
*16 あと、海面反射のハナシも書きたかったが、当方も よく判っていないので・・ (^^;)。ただ、反射波は 位相が反転しており、受信地点での電界強度はアンテナからの直接波と反射波が合成されたものになる。また、反射波の経路長は直接波よりも長くなるので 位相は遅れている。この遅れが 180°=1/2波長分になると直接波と同相になり電界強度は上昇する・・ このような考察がなされていない 間違った記事を載せているサイトもあるので 注意を要する。