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違法無線機販売規制に関する意見を「縦割り110番」に提出しました (2020/9/17 22:11:52)
2020年9月16日に発足した菅 義偉内閣で行政改革担当大臣に就任した河野太郎氏が、「行政改革目安箱(縦割り110番)」を立ち上げられました。
「アマチュア無線の規制緩和を!」とか言いたくなりますが、「縦割り110番」だそうなので、もう少し現実的なものとして、以下の意見を投稿してみました。
《↓引用開始》
電波法第102条の11第5項の削除をご検討下さい。
日本の電波法に適合しない無線機が、インターネットサイトや雑貨店等で公然と販売されている現実があります。これらを購入した使用者が違法無線局を開設・運用してしまう結果、消防無線、業務無線、特定小電力無線、アマチュア無線等に対する、深刻な電波障害が引き起こされています。
総務省も、定期的に購入テストを行っています( https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban17_02000032.html )が、違法無線機の販売の撲滅には至っていません。
違法無線機の製造・輸入・販売が撲滅されない原因は、総務省が違法無線機の製造・輸入・販売業者に対する措置を行うにあたり経済産業省の同意が必要とされており、単独で権限を行使できないからと思われます。
電波法第102条の11第2項は、総務大臣に、技術基準に適合しない設備の製造業者、輸入業者または販売業者に対し、必要な措置を行うことを勧告する権限を、同条第4項は、そのような業者が勧告に従わないときは措置を講ずることを命令する権限を与えています。ところが、なぜか、同条第5項が、第2項の規定による総務大臣による勧告に関し経済産業大臣の同意を要求しているのです。
同条による勧告・命令は、電波法と無線技術に関する高度で専門的な知識と判断が必要であり、総務省(総務大臣)がその単独の責任においてなすべきものです。総務大臣がその専門的な知識に基づき是正措置を取るべきと判断した状況において、それらの専門的な知識を有しない経産省(経産大臣)が是正措置を講ずべきではないとして不同意とすることは考えられませんし、そのような不同意は適切ではありません。このような意味のない障壁により、総務省による電波行政の実現が阻害されているのは、典型的な縦割り行政といわざるを得ません。
何卒、電波法第102条の11第5項を削除して下さいますよう、よろしくお願いいたします。
弁護士・第1級アマチュア無線技士 山内貴博
参考条文
(基準不適合設備に関する勧告等)
第百二条の十一 無線設備の製造業者、輸入業者又は販売業者は、無線通信の秩序の維持に資するため、第三章に定める技術基準に適合しない無線設備を製造し、輸入し、又は販売することのないように努めなければならない。
2
総務大臣は、無線局が他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えた場合において、その妨害が第三章に定める技術基準に適合しない設計又は当該設計と類似の設計であつて当該技術基準に適合しないものに基づき製造され、又は改造された無線設備を使用したことにより生じたと認められ、かつ、当該設計と同一の設計に基づき製造され、又は改造された無線設備(以下この項及び次条において「基準不適合設備」という。)が広く販売されることにより、当該基準不適合設備を使用する無線局が他の無線局の運用に重大な悪影響を与えるおそれがあると認めるときは、無線通信の秩序の維持を図るために必要な限度において、当該基準不適合設備の製造業者、輸入業者又は販売業者に対し、その事態を除去するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
3
総務大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
4
総務大臣は、第二項の規定による勧告を受けた製造業者、輸入業者又は販売業者が、前項の規定によりその勧告に従わなかつた旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置を講じなかつた場合において、混信その他の妨害を与えられた無線局が重要無線通信を行う無線局であるときは、無線通信の秩序の維持を図るために必要な限度において、当該製造業者、輸入業者又は販売業者に対し、その勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
5 総務大臣は、第二項の規定による勧告をしようとするときは、経済産業大臣の同意を得なければならない。
《↑引用ここまで》
なんと、「全てのメールに河野太郎本人が目を通します」とのことです。何か反応をいただけるでしょうか。
(2020-09-17 記)