ホーム >> 無線ブログ集 >> 高精度病 再び!

無線ブログ集

  メイン  |  簡易ヘッドライン  

link QRPな自作の日記 QRPな自作の日記 (2023/12/28 18:35:38)

feed 高精度病 再び! (2021/2/8 0:17:47)
C9BBD531-D43A-4A48-AC6E-29474D0E2F8B.JPG

前に高精度病に掛かったのは2014年ころだったようです。
この病から解放されるのに1年ほどかかりましたが、実はこの直近の1年ほど再びお付き合いをさせていただいてました。と、言っても完全にはまったわけではなくあくまでもお付き合いです。
前回の様子は、このブログで紹介していましたが、

http://blog.toshnet.com/article/102455817.html
http://blog.toshnet.com/article/104543388.html
http://blog.toshnet.com/article/109203991.html
http://blog.toshnet.com/article/170983229.html
http://blog.toshnet.com/article/171220100.html
http://blog.toshnet.com/article/171729612.html
http://blog.toshnet.com/article/173628397.html

実は、当局の前の会社の後輩がこのブログをきっかけに自分もやってみたい、但し同じことをやるのではなく自分の知恵を入れた形で実現したいとやり始めたようで、ある程度形になってから、こんなの作ってみたけど性能の評価できませんか?!と突然申し入れがあったのです。
彼は、現役のエンジニアで組み込みマイコンのプロなのですが、コンセプトを聞かせてもらって面白そうだと思い自分もやってみることにしました。ちょうど1年ほど前です。
一応、やるのはいいけど、どんどん深みにはまるし、基準器が欲しくなるし、測る道具も欲しくなるし、奥は深いよ!と忠告をしたうえでスタートしました。引越しもしましたし、間は空きましたが、結局1年経過しています。

結果としては、とても素晴らしいものができたと思います。
しかし、彼は、
① ダブルオーブンのOCXOとして、評判のいい当局も使用しているMORIONのMV89を入手
② 結果としてHP 53132(高性能周波数カウンタ)を入手
③ 開発の手助けに200MHz帯域4cHデジタルオシロを購入
④ ルビジウムも入手
という結果になってしまっております。
10mHzを追っかけるのならそこそこでできると思いますが、無謀にも100μHzを追っかけたかったようで、結果としてはまってしまったようです。

肝心のコンセプトですが
① 通常100μHzを制御しようとすると周波数をカウントするのに10000秒(約2時間47分)かかるところを
  1/10の1000秒(約17分)で制御する
② ①を実現するのに、最新式の32bitマイコンSTM32F411を使用する(動作クロック100MHz)
③ GPSのPPS信号のカウントのみならず、位相情報も比較して制御する(よく理解できていません)
④ 制御した結果として推定周波数を表示する
というものです。
ダブルオーブンのOCXOやルビジウムであっても外気温の変化などによって周波数は動きます。
3時間近くも、100μも動かないことはあり得ません。
従って制御周期が短くなれば、それらの補正制御も緻密になるだろうと考えました。
それによく理解できていないのですが、位相も見て制御するというのも面白いなと思いました。
また、推定発振周波数が表示できるのも面白いと思いました。
この推定周波数表示の妥当性が確認できれば、いちいち基準クロックを持った周波数カウンタで測定する必要もありませんし。
唯一気になったのは、1/10の時間で制御する手段として、マイコンの中に入っているPLLによって制御された100MHzのクロックを基準にするというところでした。
つまり、このPLLのジッターで100μHzの制御には無理があるのではないかということです。
半信半疑の部分もありましたが、とりあえずやってみることにしました。

回路図をもらって、それを蛇の目基板に組んで、ソフトも送ってもらって自分で焼いてとりあえず動かせる状態を作って、毎日毎日、吐き出されるログをTeraTermで読み込んでsのデータを送り返して、まず彼と当局の試験機が同じようなレベルになるように追い込んでいくところからのスタートでした。
理解しようという意識が低かったこともありますが、吐き出されるログデータの数値の意味は今もわかっていません。勿論、推定周波数とDACデータくらいはわかりますが。

2021/2/7 15:32:14, 43.86, 2048, 10000000.00010, 241330, 3935, -105, -378, 1604, 4,11, 43.82, 43.87,
2021/2/7 16:06:23, 43.84, 2048, 10000000.00006, 241326, 3919, -65, -357, 1046, 1,18, 43.84, 43.89,
2021/2/7 16:40:30, 43.56, 2048, 9999999.99998, 241326, 3891, 11, 72, 912, 1,18, 43.56, 43.85,
2021/2/7 17:14:38, 43.25, 2048, 10000000.00003, 241326, 3888, -35, -304, 663, -1,21, 43.24, 43.56,
2021/2/7 17:48:47, 42.73, 2048, 10000000.00004, 241326, 3887, -48, -324, 858, 0,20, 42.73, 43.25,
2021/2/7 18:22:56, 42.55, 2048, 10000000.00002, 241325, 3871, -28, -205, 785, 2,22, 42.55, 42.73,
2021/2/7 18:57:05, 42.35, 2048, 10000000.00006, 241323, 3863, -65, -602, 620, 1,20, 42.35, 42.55,
2021/2/7 19:31:14, 42.27, 2048, 10000000.00001, 241323, 3846, -18, -170, 636, -2,20, 42.26, 42.35,
2021/2/7 20:05:23, 42.11, 2048, 10000000.00006, 241319, 3852, -64, -558, 662, 2,22, 42.10, 42.27,
2021/2/7 20:39:34, 41.88, 2048, 10000000.00003, 241311, 3834, -34, -239, 836, 2,19, 41.88, 42.11,
2021/2/7 21:13:41, 42.08, 2048, 10000000.00017, 241295, 3817, -171, -751, 1311, 2,22, 41.86, 42.09,
2021/2/7 23:30:20, 42.33, 2048, 10000000.00005, 241275, 3752, -54, -481, 654, 3,19, 42.33, 42.62,

入れ替え実施したルビジウムGPSDOのログサンプル



途中で、OCXOの温度データも取るようにして温度変化の影響を見たりしながら追っかけて行きました。
だいぶ変動が少なくなってきましたが、時々数mHzほど表示周波数が飛びます。
しかし、ルビジウム基準の周波数カウンタで見ていてもそんな飛びはありません。
推定周波数の算出のところに問題というか、課題があるのではという議論をしてきました。

そうこうしているうちに、GPSモジュールの性能によってこの辺りに違いが出るのではないかということになり、それまではU-BLOXのM6を使用していましたが、秋月で販売されているみちびき対応のがいいということになり入手したのですが、当局はなぜか2個もつぶしてしまいずっとM6で評価していました。
そのうちM8がいいのではなり、Aliに頼んだら中華製互換品のATGM334Dというのが到着し、これが意外とよくて今までM6だと衛星が5,6個だったのが10個以上場合によっては15個も捕捉でき飛び現象も一気によくなったとのこと、当局にも送ってもらい、またDACも当初は手持ちにあったNEC製の16bit版を使用していましたがBBのPCM5102 32bit版も送ってもらい入れ替えました。
確かに安定度は増しましたが、当局の場合はまだ少し飛びの現象が残っていました。
同時に、当局はATGM336Hという百斗も受信できるというGPSモジュールを手配していて、到着して入れ替えてみるとなんと、20以上普通に25個くらい、最大30個の衛星を捕捉できているではありませんか。
更に安定度が増したのは言うまでもありません。

ここまできたら、これまで基準器として使用していたルビジウムを信号源として制御していた前に作ったルビジウムGPSDOの制御を入れ替えてみたくなりました。
基準をいじることに懸念はありますが、基準の性能が上げられそうならぜひやってみたいと一気に組み立ててみました。勿論、今までの制御基板にすぐ戻せるようにI/Fは合わせて作りました。
実験の様子です。この状態でログを取ってみると実に安定しています。

F7B90C7F-5C06-497D-ABB7-3C2CB9EE1F11.JPG

これは入れ替えるしかないと考え、これまで16文字2行だった液晶が20文字4行になるのでケース加工も必要となりますが、入れ替えを実施しました。

C0478EFF-678A-4344-84DC-11F66CAACC8F.JPG
入れ替えて実装した内部

IMG_3597.JPG
これまでの制御基板 8bitマイコンでDACはPWM方式
GPSモジュールも当時aitendoで仕入れた初期の物

こうしてダブルオーブンのOCXO、ルビジウム 両方動かしているのが最初の写真です。
写真では、ルビジウム信号源GPSDOを基準クロックとして、ダブルオーブンOCXOGPSDOの周波数をカウントしています。
この推定周波数表示は、10μHzまで表示しています。確からしさは知る由もないですが慣れてくるとこの桁が気になり始めます。完全に高精度病です。図る手段はセシウム信号源しかありません。

中華製を含め、雑誌の製作記事など多くのGPSDOがありますが、JA9TTT 加藤さんが製作されたトラ技のGPSDOを除いて1mHzレベルの安定度を評価した結果を掲載したものはなかなか見当たりません。
勿論、そのレベルの必要性がどこにあるのかという点においては、おそらくないと思いますが、当局を含め一般的に中古レベルで手に入れられる測定器、ルビジウム、ダブルオーブンのOCXOなどで実現できる限界と思われる性能(周波数精度と安定度)が得られる、この方式は素晴らしいと思いました。
回路は簡単ですし、ALIで手に入るGPSモジュール、DAC基板、マイコンボードで再現性は高いと思います。
残念ながら、信号源であるダブルオーブンのOCXO、もしくはルビジウムは結構高価ですし、なかなか手に入らなくなっていますが。

まだまだ評価は続くと思いますが、この素晴らしい方式を考え作ってくれた後輩に感謝したいと思います。

最初に書きましたように、当局はいまだに原理を理解できておりません。いわれるがままに模倣して作って評価しただけです。
あまり表にしていないようですが、本人の許可をもらいましたので、詳細(まだ纏めがないですが)は作者のサイトをご参照ください。

http://triode.dip.jp/honkytonk/2020/06/electronicworks/gpsdo10mhz_1.html




execution time : 0.022 sec
サイト内検索

メインメニュー

ログイン
ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失


オンライン状況
108 人のユーザが現在オンラインです。 (59 人のユーザが 無線ブログ集 を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 108

もっと...