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feed 探り式鉱石検波ラジオ (2021/3/7 17:26:51)




 現在のNHK第一放送の前身であるJOAK東京放送局の本放送が始まるのが大正15年(1924年)、それと共に昭和初期にかけて一世を風靡し、瞬く間に消えていった探り式鉱石ラジオ。その開発の過程では少しでも受信能力を高めようと様々なコイルや鉱石が試され、その後のデバイスの進化へとつながっていったのだと思います。今はそれによって効率よく検波できるわけですが、効率優先の中で置き去りにされてきたものもあるのでは? そんな思いから鉱石検波に一時夢中になりました。探り式というのもいかにもアナログで何かの儀式を想起させる古風な印象があります。半導体といっても鉱物そのものなので検波する箇所としない箇所があり、針状の電極で探る必要があるわけです。その針の材質もさまざま研究され、タングステンなどが使われたようです。

 各種ダイオード比較をしている内にふと、鉱石の音を聞いてみたくなり、数年前に作った鉱石検波専用ラジオで久しぶりに聞いたところとても良い音であることにあらためて気づかされました。ただ、小さな銅製カップに鉱石を置いて探る方式のため、接触不良や鉱石自体が動いてしまう問題がありました。探り式はそのままに、アプローチを変えて形にしてみたのが今回の鉱石ラジオです。




 コイルは縦20.5cm、横13.5cm、幅2.5cmのロの字型の木枠を使いました(元は菓子箱)。幅が狭いので普通に巻いたとしてもいくらも巻けません。数カ所に自在ブッシュを貼り、その溝の高さで巻き数を確保することにしました。溝は8つ。はじめ一つの溝に4回巻きとし、合計32回巻いてインダクタンスを測ったところ673μHと予想外に高くやり直し。溝2つに4回巻き、残り6つの溝は2回巻きとしたところ151μH。我が家の環境では問題ないのでこれで良しとしました。一種の分割巻き。この方法であれば、コイル幅にかかわらずインダクタンス調整が楽にでき、悪くないかなと思います。




 続いて検波部。細い銅線(針)で探る部分は同じですが、鉱石側はカートリッジ式としました。電極の銅パイプに各種鉱石を固定した一回り大きい銅パイプを差し込み固定する。これで導通や鉱石が動いてしまう問題はある程度解消されるかと。この検波装置では針で突くというより、銅パイプを上下させたり、カートリッジを回転させることで適切なポイントを探ることになります。とりあえずゲルマニウム単結晶、紅亜鉛鉱(ジンカイト)の2種類のカートリッジを作製しました。





ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱(ジンカイト)








 全体の作りはシンプルで、トランスも省きました。コイル、バリコン、検波部、音声出力端子のみです。いつものとおり裏面配線して完成。


 マルチタップトランスにつなぎ、さっそくオーディオイヤフォンで聞いてみました。まずは紅亜鉛鉱を装填。適当に銅線の針を接触させバリコンを回すと人の声が聞こえてきました。NHK第一放送。何度か接点を探るとけっこうな音量で鳴ってくれました。紅亜鉛鉱の場合、音量の大小はあるもののどの箇所でも聞こえなくなることはなく安定して検波してくれます。音質もすばらしく、ふくらみのある落ち着いた音声。






 続いてゲルマニウム単結晶。純度99.999%とか。球状なので針を側面に当てる感じになります。カートリッジ側を回転させて探ると、突如大音量で聞こえてきました。紅亜鉛鉱を上回る音量で、音質も負けず劣らずすばらしいものがあります。これぞ本式ゲルマラジオ?






 小さなループコイルなので性能的には期待できないかな?と考えていたのですが、なかなかのものです。鉱石の検波能力に負うところが大きいと思います。紅亜鉛鉱にしてもゲルマニウム単結晶にしても感度、音質とも既成のダイオードでは得られない領域では?と思ったりもします。時代を完全に逆行する鉱石検波ですが、なにか底知れない奥深さを感じます。2種類とか3種類の鉱石を使った接合検波も試してみたいのですが、もう一工夫必要かもしれません。






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