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分割巻きスパイダーコイル (2021/3/28 10:24:24)
小学何年だったか、学研『科学』というのがあってその付録で作ったのが最初のゲルマラジオです。子どもにとっては手ごわい付録で、慎重にスパイダーコイルを巻いたことを覚えています。その記憶が懐かしさを思い起こさせるのか、時々このコイルを巻いてみたくなります。平面でかさばらないこと、比較的大きな直径で巻けること、線同士が重ならず浮遊容量が少ないなどの特徴があり、昔の鉱石ラジオの定番でもあったようです。ただ、型枠の羽に交互や2本飛ばしで巻いていくとごちゃごちゃした感じになって見栄えが良いとはいえません。なにか方法はないものか? ふと、自在ブッシュを使って分割巻きにしたらどうなのだろう? 性能的にも期待できるのでは?と思い立ちました。でもスパイダーコイルの分割巻きって? とりあえずものは試し、巻いてみることにしました。
<材料>
厚紙で作った巻き枠 外径12cm 羽13枚(以前に作ったものを再活用)
ポリウレタン線 太さ0.35mm
自在ブッシュ 溝6個
木製台座、取付金具(再活用)
<製作>
巻き枠の羽の表と裏に自在ブッシュを両面テープで貼り付けていきます。羽の寸法によりブッシュの溝は6個。定番通り羽2枚飛ばしで巻くと途中で混乱しそうなので、交互巻きとしました。溝に沿って表、裏と交互に巻いていきます。初めての巻き方なので、どの程度巻くとちょうど良いインダクタンスになるのか見当つきません。1つの溝に4回巻きで試し、最後に調整することにしました。1周したら同じ溝に合計4回巻いて、次の溝へ。溝に引っ掛ける感じで巻いていきますが、とても巻きにくいです。集中力がだんだん落ちてきて溝を間違え戻って巻き直し、の繰り返し。何回巻いたのかもあやふやになり、途中、5回巻きになったところあります。タップは2ヶ所で取りました。最後の6個目の溝を4回巻き終わった時点でインダクタンスを測ったところ110μH。少なすぎ。そのまま追加で5回巻いて再度測ったところ155μHとなり、これで良しとしました。合計巻き数はたぶん32回。分割巻きの効果か、インダクタンスは予想したより抑え気味な感じで、1つの溝に6~7回巻きでも良かったかもしれません。
台座に取り付け、さっそくゲルマラジオ実験ボードにつないで聞いてみました。外部アンテナ、アースなし、コイル単体でNHK仙台第一が聞こえてきました。仙台第二は受信不可。前回作ったロの字ループコイルの鉱石ラジオよりもかなり音量低めです。一番外側のコイル外径で10.5cm、かつ細い線材なのでこんなものでしょう。単体で受信できただけでもまずまずと言えるのかもしれません。本当はリッツ線を使いたかったのですが、ちょうど良い太さのものがなく、ポリウレタン線を使いました。性能はいまひとつな感じですが、スパイダー+分割巻き、見栄え的には悪くないような気がしています。課題も見えてきたので折をみて改良してみます。
多くの人に作られ、語り尽くされた感のあるスパイダーコイル。それでも、巻き方ひとつとっても試してみるべき方法が残されているように思わなくもありません。線材を変えたり、巻き数を調整したり、巻き方を工夫したり、それによって出来栄えやちょっとした性能の変化につながる、そこがコイル作りの面白さかな、と思います。
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