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アンテナ・チューナーのコイルの未使用タップをショートするとQが下がって損失が増えるのか? (2021/6/4 23:00:00)
IC-705 亀井堂総本店
瓦煎餅缶 アンテナ・チューナー
で、T-match 回路のコイルの使い方に関して
未使用タップの端を、接地にショートする為コイルの向きを逆さまにしました。
(未使用タップをショートするとコイルの Q が下がるという報告もあるのだけど)
と書いたのですが。
実際に使ってみたところ、Q が下がって損失が増大しているようには見受けられない。
けど、ずっと心に引っ掛かっていた。
MIZUHO の QRP カップラー
の回路図を見ても、未使用タップがショートされているので。
問題になる程の損失増大と Q
の低下は起きないのか?
しかし、未使用タップをショートしたコイルを。
1次巻線だけのトランスに中間にタップを出した、オートトランスとして考えると。
未使用タップをショートするという事は、非常に低抵抗の負荷が繋がる事になり、
急激なQの低下と損失の増大が起きても不思議は無い。
どちらの考えが正しいのか、分からなくなって来たので。
実際にどうなのか検証してみる。
インダクタンスの変化を、空芯コイルで実測比較
- 未使用タップを オープン
- 未使用タップを ショート
- オープンでは、3.870 uH だったのが
- ショートすると、3.705 uH と少し減少
実際の T-match 回路で損失を比較する
上記の、空芯コイルのインダクタンス・メーターによる測定では、コイルの Q を安定的に正確に測るのが難しかった。
それに最終的に知りたいのは、アンテナ・チューナーのコイルの未使用タップをショートすると、挿入損失がどれ位増えてしまうのか?なので。
NanoVNA で、実際の T-match 回路でコイルの未使用タップをショートしたら、挿入損失がどの程度増加するのか直接確認することにした。
テストする回路はこんな感じ。
ジャンパ線で、コイルの途中のタップと、未使用タップをオープンのままにするかショートするかを切り替えて挿入損失を確認する。
入出力が 50 Ohm で、通過周波数を 7.00 MHz になるようにバリコンを調整する。
- A: 未使用タップを オープン
7.00 MHz
での、挿入損失に相当する S21 は -0.165 dB
- B: 未使用タップを ショート する
コイルのインダクタンスが減った為か、マッチング周波数が高い方にずれた。
- C: 未使用タップを ショート したまま、 7.00MHz になるようにバリコンを再調整
- 分かりやすいように、 A: と C: を並べて表示。青点線が オープン の A: 、茶点線が ショート の C:
挿入損失に相当する S21 はコイルの未使用タップを オープンしてもショートしても 、測定誤差程度で 殆ど違いは無い 。
ショートした方が帯域が少し広くなっているのは、コイルのインダクタンスが少し減少した事で説明できる。 しかしコイル自体の損失が増えて、 コイル自体の Q が大幅に低下したと示す結果にはならなかった 。
結論