無線ブログ集
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「飛ばない」を楽しもう! 【ヘリカルアンテナの分析】 (2021/6/25 18:08:52)
■食わず嫌い
今日は有給休暇。オンオフははっきりつけたい派ですが、ここの所はオンっぱなしなので、無線三昧で一日を過ごすのも悪くないかな?と。
という事で、今日はEsでの飛来を求め 久しぶりに尺丈山へ行ってきました。
静寂の中、まるで博物館の音の如く野鳥の声だけが聞こえる場所で過ごす一日は とても贅沢です。
そんな尺丈山でテストしたのは、ICB-87H。87Rのヘリカル機です。
アマチュア無線でゲテモノアンテナを自作されるOMさんの中では 毛嫌いされている方もいらっしゃるかと思います。私もその一人、とにかくヘリカルは飛ばないので、無意識かつ反射的に避けてます(笑)
避け続けていたなか、ICB-87Hの提供を受けたのでヘリカルアンテナの”洗礼”を受けてみることにしたのです。
■びっくりするほど、「やっぱり感」
どんなものかと言うことで、今日は
・NCB-8(87Rベース新技適)
・KI-707(707ベース新技適)
・ICB-880T
・ICB-680
・RJ-410
・IC-705+AH-705+10mロングワイヤー
で比較をしてみました。
新技適機との比は、RS56以上になってくるとヘリカルでもようやくボリューム全開で聞こえてくる感じです。
ICB-680などのシングルスーパーではRS53くらいからです。
ちなみに、車体を使ったアース効果などは全く無し。
これは測定してわかりましたが、 リグのどこを触れても電界強度に差が出ない んです。アースが効かないわけです。
ちなみに、実際のQSOでは
・ヘリカル:52/51
・ロッド:59/59
と言う結果になりました。
なお、帰宅後に受信感度を測定してみましたが、実に良好で基板自体には全く問題が無かったです。
■アンテナ特性
基礎的なデータとして、nanoVNAを用い特性をざっと見てみることにしました。
まずは、デフォルト状態のVSWR。低くは無いですが まぁ合ってます。
スミスチャートでも描写したのですが、ピンぼけ過ぎて使えずorz。ただ、直列共振点近傍にはありました。
今度は、微弱信号をアンテナに注入し、電界強度を測定しながら最大電界強度となる点までローディングコイルを回して行きます。
するとどうでしょう。微調整のつもりが結構回ります。そして最大点にすると・・・
並列共振点側に来ました。
基準面校正はピッグテール先端でやっていますので正しい測定なのですが、ちょっと想定外の結果でした。
ただ、コンパクトワイドバンドアンテナとして有名な「GAWANT」も並列共振アンテナ。もしかしたらある一定以上の短縮率になると並列共振アンテナの方が輻射効率が上がるのか?なんて。
■ヘリカルアンテナの相対利得測定
絶対利得を測定してみたいのですが、自宅庭ではちょっと無理。
なので、出来る限り正確な相対比較測定をしてみました。
アンテナへの接続は自作アイソレータを使用。コレを使わないと同軸表皮に載ってしまいます。
送信側は微弱発振源を接続。絶縁体の上に配置し、地面からは高さを確保。本来はハイトパターンも考慮すべきですが、今回は省略。
*ロッドアンテナの測定風景を撮る前に雨が降って来てしまった・・・
電界強度を測定する場所は、理論上平面波扱い出来る距離以上離れた所で測定します。
測定結果は変動するので、平均化処理をします。
・ヘリカルアンテナ
・ロッドアンテナ
⊿15.14dB
いくらなんでも、これには正直驚きました。
ロッドアンテナ機種は、手で握ることで利得は更に上がります。即ち差が更に開くことになります。
要は、「500mW 対 15mW」みたいなもんです。
■これはマニア向け
結論は、上記の通りです。完全に上級者向けなのは間違い無しです。
私の地元県北の方では、ヘリカルを始め100mW機等で楽しまれている局がいらっしゃって、常日頃から「すげぇなぁ」と思ってます。
端から「できっこない」と諦めるのでは無く、「飛ばないのは分かってる、だからこそチャレンジする」、それこそが上級CBerなんだろうなぁ、と 改めて感じることが出来ました。