ホーム >> 無線ブログ集 >> QRP SWRインジケータの製作

無線ブログ集

  メイン  |  簡易ヘッドライン  

link JJ1LFO ~線無きことかな~ JJ1LFO ~線無きことかな~ (2024/11/26 19:35:54)

feed QRP SWRインジケータの製作 (2021/7/5 12:01:00)
2つの LED で整合具合を確認できる、ブリッジ方式の小型 SWR インジケータを製作した。

動機

では、スペースの関係もあるし、IC-705 本体に SWR メータ機能があるので省略していた、
SWR インジケータ。

アンテナ・チューナの調整時に、いちいち IC-705 の MULTI つまみを押して送信出力を絞り。
調整が終わったら、また送信出力を戻すのが面倒になってきた。
特に CW 運用中は MULTI つまみは、WPM の調整のままにしておきたい。

ブリッジ方式の SWR インジケータならば、スイッチ一つのワンアクションで
  • アンテナ側出力電力を約1/4に。アンテナからの無用な電波放射を少しでも減らす事ができる。
  • 送信機側からみた SWR が、最大でも 2.0 以内になるので出力段に優しい。
  • アンテナ・チューナの保護。
ということで目的に合致。

4SQRP 4S-Tuner の動作

Four State QRP Group が頒布している、David Cripe, NMØS さん設計の 4S-Tuner には、
一般的な SWR が下がると1つの LED が消灯するブリッジ方式のSWRインジケータとは違って。
赤色/緑色 2 つの LED を使い。

  • 赤色 LED:SWR が高いと点灯、低くなると暗くなり、最後は消灯
  • 緑色 LED:SWR が高いと消灯、低くなると明るくなる
  • SWR が 2.0 で、赤色 LED と緑色 LED が同じ明るさ

となる巧妙な回路で、直観的で分かりやすい使い勝手の
SWR インジケータが搭載されている。

4S-Tuner の SWR インジケータ回路は
の左半分を参照。

送信機からの入力電圧を D2, C3 で整流して LED の駆動電圧を作り。
47Ωのホイーストン・ブリッジで、負荷が 47Ωからずれると、
マイナス電位が現れる D1, C4 の接続点の電圧を利用して
赤色/緑色 LED の電流を制御する回路になっている。

詳細な動作を確認する為、下図のように
送信機から 5W 入力で、アンテナ負荷を 10 Ω から 250 Ω まで(SWR 1.0 から 5.0)振って
 LTspice でシミュレートしてみたところ。
どうも緑色 LED に電流が流れ過ぎのような感じ。
そこで、R4 の 1 kΩを 4.7 kΩと大きくしてみたら、
以下のように赤色と緑色の LED にバランス良く電流が流れるようになった。

しかし、赤色 LED が完全に消灯する範囲が SWR 1.5 以上と少し広すぎるように思う。

もう少し狭い範囲で赤色 LED が完全消灯するよう、回路を考え直す事にする。

製作した回路

回路の方針

  • SWR検出は、送信機の保護とアンテナからの無用な放射を削減する為にブリッジ方式。
  • 移動運用でも故障せず信頼性を高める為、メーターのような機械的可動部分を排除し LED による指示。
  • 製作の容易さと信頼性向上の為。できる限りシンプルな回路とし、部品点数を少なくする。
  • 赤色 LED の完全消灯によるSWR最低点指示は 1.2 程度以下。
  • 赤色 LED と緑色 LED が同程度の明るさとなるのは SWR 1.5 程度を目標。

回路図

動作原理

  • 送信機からの入力を D1, C1 で整流して LED を点灯させる電源に使う。
  • R1, R2, R3 と負荷となる ANTENNA で、ホイーストン・ブリッジを構成。
  • ANTENNA 負荷が 51 Ohm の場合はブリッジがバランスする為にR1, R2 の接続点と、R3 と負荷の接続点の間には電圧が現れない。
  • しかし ANTENNA 負荷が 51 Ohm から外れるに従って電圧が現れ、D2, C2 の接続点に整流された正の直流電圧が現れる。
  • この直流電圧で、Q1 による電圧制御定電流回路を駆動して赤色 LED を点灯させる。
  • Q1 の定電流回路には、反対側に Q2 による固定電圧定電流回路が組み合わされており Q1 のコレクタ電流が減るに従って Q2 コレクタ電流が流れ緑色 LED を駆動する。
  • SWR が 1.0 に近い場合には、赤色 LED には電流が流れず完全に消灯し、緑色 LED のみが点灯する。
  • 赤色 LED と緑色 LED の明るさが同じ位になる SWR は、R6, R7 の分圧回路による Q2 の Base 電圧で調節される。

使用部品

  • 送信機出力 5W を想定し、R1, R2, R3 は 51 Ohm, 2W の抵抗。
  • TR Q1, Q2 は、偶々手持ちにあった 2SC945 (古い!)を使用したが、一般的なシリコン低周波用 NPN トランジスタなら何でもOK.
  • D1, D2 も手持ちの 1N4188 を使用したが、こちらも一般的なシリコン小信号用ダイオードなら何でもOK. D2 はショットキーやゲルマにすると SWR 最低点の感度を少し上げることができる。

シミュレーション

事前に、LTspice によるシミュレーションで動作を確認しておく。
  • SWR 約 1.2 で、赤色 LED が完全に消灯。緑色 LED のみ点灯。
  • 赤色 LED と緑色 LED の駆動電流は、SWR 約 1.5 で同じ位。
と目標どおり。

製作

ケースは外形寸法 75mm x 40mm x 25mm のテイシン電機 TB-51B。
図面は引かずに、現物合わせで
  • BNC-J x 2
  • トグルSW
  • 3φ LED x 2
を簡単に穴あけ。
GND 配線をケチるのと、トグルSWの金属部を GND に落とす為に銅テープを使用。

基板は部品も少なく、わざわざ起こすまでもないのでユニバーサル基板に部品を取り付ける。
部品配置と接続パターンの検討データ。

小さく作りたいので、ケースへの固定はネジやスタッドを使わずに基本的にトグルSWで固定。
LED はケースに頭が出るように、浮かせて半田付け。

ケースに BNC-J を取り付け、基板をトグルSWで固定。
BNC-J から SW のTX側端子とANT側端子を配線。
送信機側 BNC-J の GND と、基板の GND も配線接続。
裏蓋を閉めて完成!
BNCP-BNCP変換コネクタを使用して、送信機のBNC-J 、アンテナチューナ側のBNC-J のどちらにも直接取り付けできる。


使用法

  • トグルSWのある方の BNC-J が、送信機(トランシーバ)側になるように同軸ケーブルまたは直接送信機に取り付ける。
  • (アンテナや)アンテナ・チューナを、反対側の BNC-J と接続する。
  1. トグルSWを LED と反対側に倒して SWR ブリッジ回路をバイパス。
  2. CW/SSB/AM モードにしたトランシーバからの雑音が一番大きくなるように、アンテナ・チューナを調節する。
  3. トグルSW を LED 側に倒して、赤色 LED が消灯して緑色 LED のみが点灯するように、アンテナ・チューナでさらに調節。
  4. 調節できたらトグルSW をLEDの反対側に戻しておく。

トグルSWを LED 側にしたままだと、SWR ブリッジ回路が挿入されたままになるので、
受信感度が落ちて、アンテナへの送信出力が 1/4 になったままになります。
くれぐれもアンテナ・チューナの調整が完了したら、トグルSWを戻すのをお忘れなく。

LED の光りかた動画

SWR と LED の光かたの関係はこんな感じ。



おわりに

  • トグルSW操作のワンアクションで SWR 調整が出来るようになり、かなり便利。
  • IC-705 の BNC アンテナ端子に直接、BNCP-BCNP 変換コネクタで取り付けて使っています。
  • 赤色 LED の明度変化は、もう少し緩やかな方が調整しやすいかも。

  • クロック下げた MicroChip PIC コントローラーなら消費電力も少なくてすみ。送信電力から電源取って動かせる。AD して SWR を 3~5点位の LED で表示させる事もできそう。小ピン PIC なら部品も少なくて小さく作れるだろうし。

結局、具体的な回路は別物になってしまったが。
2つの LED を使った直感的操作感の SWR インジケータという発想は、
David Cripe, NMØS さんの  4S-Tuner  が無かったら思いつかなかった。
アイデアを頂いた David さんに感謝します。









execution time : 0.040 sec
サイト内検索

メインメニュー

ログイン
ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失


オンライン状況
118 人のユーザが現在オンラインです。 (97 人のユーザが 無線ブログ集 を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 118

もっと...