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feed 「デジタル変革時代の電波政策懇談会 報告書(案)」に対するパブコメ結果公表 (2021/9/20 12:21:28)

2021年8月31日付けで公表されていました。

「デジタル変革時代の電波政策懇談会 報告書」及び意見募集の結果の公表

私が提出した意見 は、「個人(33)」として、 別紙3「意見募集の結果」の125頁 以下に掲載して頂いていました。

私の意見と総務省のご回答と感想

1 5Gなどの電波の安全性の理解促進

私の意見(要約):国民の電波に対するリテラシーの向上のため、街の専門家であるアマチュア無線家の知見とリソースを使ってください。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。総務省において、 電波の安全性に関して知見を有している方々 の協力も得ながら、電波の安全性に関する周知広報活動が進められるものと考えます。」

感想:我々アマチュア無線家も、電波に関するリテラシーを高めていきましょう。

2 ワイヤレス電力伝送システムの普及・促進(52頁)

私の意見(要約):空間伝送型WPTシステムの導入で、2.4GHz帯と5.7GHz帯は大丈夫?慎重に検討してください。

総務省:「「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」のうち「構内における空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」については、 陸上無線通信委員会 において技術的な検討が行われ、令和2年7月に情報通信審議会からの一部答申を受けており、専門家等による十分な技術的検討が行われたものです。また、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの制度化に当たり、総務省は「 空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの運用調整に関する検討会 」を開催し、当該システムと既存無線システム等との円滑な運用調整が行える仕組の構築に向け、運用調整に関する基本的な考え方、プロセス、支援体制等の検討を行い、「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの運用調整に関する基本的な在り方」が本年5月に取りまとめられています。今後、同在り方に従い、当該システムの運用調整が行われていくものと考えます。」

感想:検討会での審議には、JARL日野岳専務理事ほか関係者が出席していますが、どんな意見を述べているのか、JARL会員にはほとんど知らされていません。人身御供にされていないか、大丈夫でしょうか。

3 ダイナミック周波数共用の推進(61頁)

私の意見(要約):アマチュア無線が周波数共用システムの対象とされないようにお願いします。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:まあ大丈夫・・かな。

4 深刻化する自然災害への対応(68頁)

私の意見(全文):先日施行されたアマチュア無線を社会貢献活動で活用できるようにするための法改正により、継ぎ目のない支援を行えるよう、狭義の非常通信のみならず、非常災害発生直前や災害復旧時においてもアマチュア無線を活用できることが明確になった。一般社団法人日本アマチュア無線連盟は、社会貢献活動に関するガイドラインを作成することを表明したにも関わらず、未だにガイドラインを作成できていない。総務省におかれては、早急に作成するようJARLを指導されたい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:総務省におかれましては、大いに参考にされて下さい。

5 アマチュア無線を活用したワイヤレス人材の育成(80頁)

私の意見(全文):81頁の「踏まえるとともに、法制度全体との中で整合性を図りつつ、検討を進める必要がある。」を、「踏まえるとともに、他の無線局との差異を法制度全体の中に適切に位置づけつつ、検討を進める必要がある。」と修正されたい。

ワイヤレス人材やデジタル人材の育成、無線技術の実験・研究開発の促進のためにアマチュア無線を活用することについては大賛成であるが、「法制度全体との中での整合性」という名目で、アマチュア無線局を他の無線局と同等の規制下に置いている現状を抜本的に見直す必要がある。

アマチュア無線の免許人は、無線技術の実験・研究開発のために、無線設備を頻繁に変更する必要があり、これは、他の無線局にはない特殊な点である。このような特殊性を踏まえれば、開局申請・変更申請(届出)という事前規制がアマチュア無線にそもそもなじまないことは明らかであり、諸外国においても、日本のように細かな変更申請(届出)を求めている例はほとんどない。アマチュア無線への事前規制に多大なリソースを割くのは、人口の減少により人材確保に苦労されている電波行政にとっても端的に無駄である。そこで、申請・届出が必要なケースを激減させるために、開局の時点で資格に応じた周波数帯・電波型式・出力を最大限指定するようにする運用の改正と、指定事項の変更がないかぎり変更申請(届出)を不要とする法令改正を検討されたい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。報告書(案)を踏まえて、アマチュア無線をより活用しやすい制度・環境の実現に向けて、 アマチュア無線に係る免許・検査などの各制度の在り方について、今後、総務省において具体的な検討 が行われるものと考えます。アマチュア無線家の方々の御要望は幅広く、場合によっては方向性が異なるものがあることも考えられ、検討に当たっては、代表的なアマチュア無線家団体に検討に御参画いただき、その具体的な御意見等を踏まえて、 有識者や関係者による検討会 を開催して議論していくことが考えられます。その際には、 アマチュア無線を取り巻く我が国の社会環境や電波利用状況等の変化、無線機器の市場・技術動向等の変化、各国の制度やその社会環境、さらには電波法の目的等 を踏まえて、日本のアマチュア無線に適した、より自由で試行錯誤がしやすい実験・研究環境の実現、未来を担う青少年などの初心者にとってアマチュア無線を始めやすくなるような環境の整備などが検討されることが期待されているものと考えます。」

感想:今回、もっとも注目すべき回答ですね!

報告書(案)の「法制度全体との中で整合性を図りつつ」という部分を読んだとき、これは「アマチュア局だけ特別扱いできないよ」という総務省からの牽制球と読みました。これに対し私は、「アマチュア局は無線技術の実験・研究開発のためのもの。そもそも特殊なんだからそれに見合った規制に変えて欲しい。」というボールを投げました。総務省は、「日本のアマチュア無線に適した、 より自由で試行錯誤がしやすい実験・研究環境の実現 、未来を担う青少年などの 初心者にとってアマチュア無線を始めやすくなるような環境 」を整備したいと、直球を投げ返して下さいました。

さあ、アマチュア無線家にとって、 合理的で先進的な電波法に変えていただける、最大のチャンス到来 です。

同時に、「アマチュア無線家の方々の御要望は幅広く、場合によっては方向性が異なるものがあることも考えられ、検討に当たっては、代表的なアマチュア無線家団体に検討に御参画いただき、その具体的な御意見等を踏まえて」というのは、 「パブコメでいろんな意見が殺到するの、まとめるの大変なので、JARLさん、先にアマチュア無線家の意見を聞いてまとめてきなさいよ」という総務省のメッセージだと思います JARLは、アマチュア無線家の代表として検討会に参画させて欲しい、なんて前のめりになっています が、検討会に参加する前に、やるべきことがあります。

JARLは、この種のロビー活動の経験があるメンバー、技術に対する造詣があるメンバー、電波法を正しく理解できるメンバーを集めてきちんとした委員会を作り、会員からもアンケートを取って、実現可能性の高い、きちんとした要望を出していく体制を整える必要があります。今までのように、会員の意見も聞かず、だれがどこで書いたかわからない「要望」を出して終わりにするようなやり方では、この最大のチャンスをみすみす逃すことになりかねません。

私は、もちろん、このチャンスにおいて、全面的にご協力する用意があります。

6 公共用周波数の利用状況の検証

私の意見(要約):5MHz帯の利用状況を検証した上で、アマチュア無線への開放をぜひお願いしたい。

総務省:「5MHz帯の周波数割当にかかる御意見については、今後のアマチュア業務の利用ニーズをはじめ、既存無線局の利用状況を考慮しながら、 総務省において検討がなされる際の参考とされるものと考えます。」

感想:よろしくおねがいします。

7 免許手続などのデジタル化(150頁)

私の意見(要約):免許状の電子化を是非進めて。

総務省:「頂いた御意見は、報告書(案)に対する賛同意見として承ります。」

感想:デジタル庁に期待ですね。

8 技術基準不適合無線機器の流通抑止(153頁)

私の意見(要約):インターネットショッピングモール上に技術基準不適合無線機器があふれている。ショッピングモールの事業者に対し技術基準不適合無線機器の販売を抑止する法的義務を課すこと、また違反業者に対する総務大臣による勧告・命令に経済産業大臣の同意を要求する電波法102条の11第5項を削除してほしい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:電波法102条の11第5項の削除は、引き続き主張していきたい。

9 電波利用料の使途(160頁)

私の意見’(全文):電波利用料の使途に「電波監視」が挙げられているが、アマチュア無線の周波数帯(特に144MHz帯及び430MHz帯)には、コールサインを言わず営利業務の連絡を行っている無線局(免許を持っていないと思われる)が横行している。特に大都市の平日・土曜日昼間は、これらの違法局・不法局でバンド内がすべて埋まり、通常のアマチュア無線局の交信ができない状況である。これらに対する規制局の運用強化等、電波監視をさらに強化していただきたい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:弱いなぁ・・・よろしくお願いしますね!

アマチュア無線関連団体のご意見

JARL 92~93頁

意見の冒頭で突然「まず、 懇談会には「無線の実験においてフィールドを使うことは現状困難である」との意見が寄せられておりますが 、我が国のアマチュア無線では、135kHz帯から249GHz帯まで、様々な周波数帯での免許を取得することが可能で、それぞれの周波数帯での特徴を活かした様々な実験においてフィールドを使用することは可能であり、これらのフィールドを使用した実験において座学と実践のギャップをアマチュア無線により埋めることができるものと考えております。」と書かれています。

これでは何のことかよくわからないので記録を調べてみたところ、2021(令和3)年3月19日の第5回会合で行われた事業者ヒアリングでの議論を受けたもののようです。

この会合で、 深層学習とIoTを業務分野とする株式会社Preferred Networksが「電波資源利用効率化に対する期待」と題するプレゼン をされたのに対し、ある委員が、深層学習と通信技術を関連させた研究開発においては「データセットを確保することが課題である」が、「特に電波の干渉や運用の障害といったイレギュラーなものは基本発生しないものということで現在のシステムは構成されていると思うので、それらを検出してどう学習させるかについて」の知見を尋ねたところ、Preferred社は、「データセットは重要な視点であり、諸外国の研究動向を見ると、無線は生モノであるため、データセットが集まりにくい。・・・実際に通信する際にはこうなりそうだという予測を立てつつ、モデルを修正していくということが今後できると良いのではないかと思っている。ただし、まずは端末が実装できないとデータを集められないが。 無線の実験においては、実際のフィールドを使うことは現状困難であると認識しており データを集める実験のために、一部地域において無線局の免許が割り当てられるような特区 みたいなものがあれば、教育という観点からも、良いのではないかと思う。」と回答されています( 議事要旨6頁 )。

JARLは「アマチュア無線では、・・・それぞれの周波数帯での特徴を活かした様々な実験」が行われているといいますが、Preferred社の方は、ローカル5Gにおける基地局と端末間の電波資源利用をディープラーニングにより効率化していくといった大変高度な話をしているわけで、Preferred社の方には、

Preferred社のプレゼン16頁

と見抜かれてしまっているのです。JARLは、そういう高度な実験にもアマチュア無線を使える、使って欲しいと本気で思っているのでしょうか。IT人材の育成にアマチュア無線を利活用して欲しいなら、単なるレポート交換にとどまらない、こういう分野にも対応できるように準備せよ、という話です。意見を言ったからには、本気を出してもらいたいものです。

なお、JARLの意見書は、全体に読みにくい日本語です。
×デジタル変革化時代 → ○デジタル変革時代
「変革化ってヘンな言葉だなぁ」と思ったら不正確な引用でした。パブコメにかかった意見書のタイトルなのですから、正しく引用しましょう。

JARD 30頁

「一層の免許制度の簡素化やより入門しやすい新たな資格区分の創設等の資格制度の見直し」を要望していることをとらえて「5アマの創設か?」という意見を目にしました。

私は、現在の4アマでも十分に簡単であり、これ以上に簡単な資格は不要(JARDがもしそのようなことを考えているのなら反対)と考えています。

JAMSAT 58~59頁

アマチュア衛星に搭載される中継器(トランスポンダー)の免許人をJARLに限るのではなく、開発機関の団体に直接付与することを認めて欲しいとの要望を出されています。

これに対し 総務省は、「なお、アマチュア衛星(人工衛星局及び地球局)については、国際調整や制御回線の確実性など、業務用の人工衛星局及び地球局と同様の審査や検査が必要であることから、アマチュア衛星以外のアマチュア無線局と同様に考えることはできないと考えます。」と回答 しています。

ですが、今のJARLに、衛星に関する技術サポートができる体制があるようには思えません。JARL理事会の議事録には、衛星に関する免許手続き等について引き続き支援・協力を行っているとありますが、実態は、免許に関連した検査、免許の申請費用などはそれぞれの団体持ちでJARLが負担することはなく、総務省への衛星についての事前説明と落成検査に免許人として同席すること程度だそうです。結局のところ、JARLを通すことで、単に手続きを煩雑にさせているだけではないでしょうか。

YOTA Japan 127~132頁

従前、法人格のない団体(無線クラブなど)の意見は、個人の意見と扱われており、この扱いは珍しいと思われます。若い方の視点から、とても詳細で練られた意見です。私としては必ずしもすべての内容に賛成ではありませんが、アマチュア無線家であれば一読の価値があると思います。

(2021-09-20 記)


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