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link ZCR/bLOG ZCR/bLOG (2024/11/25 12:35:44)

feed 12エレ Hヘンテナ (2021/9/8 22:17:23)

シャックの430MHzアンテナというと、2009年に 衛星メインとして 7エレ Hヘンテナ を製作したわけだが、近年 RS-44や FT8とかで カスカス信号に挑戦する機会も増え、アンテナの実力不足を痛感。で、とうとう 新アンテナを製作するに至った。430用としては 12年ぶり。

いやー、まさか12年もつとは思わなかった *1 ・・ てなことはさておき、なんで Hヘンテナなのか・・

  • Hヘンテナのデメリットとしては、次のようなことがあげられる。
  1. ブームに金属パイプ等の導体を用いた場合、ブームにも高周波電流が流れてしまう。 (絶縁体の木材ブーム→ 22エレHヘンテナ )
  2. 前項の電流と給電部の電流により F/S比 F/B比が 悪化する場合がある。 (ブーム込みでシミュレーション→ 5エレHヘンテナ )
  3. 水平偏波での使用では 給電部側に若干ビームチルトする。また、ビームパタンが左右対称とはならない。 (多エレ化すれば解消)
  • それでは Hヘンテナのメリットは・・
  1. 給電部の構造が単純である。

・・それだけかよ!? (^^;) *2



というわけで、前任の 7エレHヘンテナが ブーム長1m弱だったので、今回 ブーム長は ほぼ 2倍の 1.97m、12エレとして設計。

ブームはアルミ角パイプ *3 。もちろんブームもデータ化してシミュレーション。さらにエレメントはブームに直付けするので、ブーム径のエレメントへの影響も込み。 *4

で、さんざんこねくり回してできたのが 次のデータである。

MMANA *5 data file
hhu435-12-200e5.maa ←適当にお使いください。

12エレ Hヘンテナ 寸法図


リフレクタと D3~D10は中央部でブームに固定されているが、ドリヴンエレメントと D1 D2は違う。つまり上下各部分の長さが異なっている。 *6

今回は 200Ω給電としたが、Qマッチ想定の110Ωと 50Ω直接給電のバージョンも いちおう作ってはみた。しかし、50Ωでは ゲインはなんとかなるが SWR帯域がやたら狭く F/B比もイマイチ。110Ωのものは まあまあだったものの 200Ωにはとうてい及ばなかった。



さて、実作業としては・・

  1. アルミ平棒→ ニッパで挟んで傷を付け→ 折って寸法どおりヤスリで仕上げ→ ブームとの接続点にポンチ→ 3.3mmドリルで穴あけ
  2. ブームのエレメント接続点にポンチ打ち→ 3.0mmドリルで穴あけ
  3. 4mmタッピングビスで エレメントをブームに固定→ アロンアルファ流し込み→ 二液反応型エポキシ系接着剤で仕上げ

12エレ Hヘンテナ 給電部付近の工作


このやり方は 12年前製作の前任7エレと基本的に同じである。ま、12年もったんだから それなりに強度はあるものと思われる。(^^;)

クロスマウントは、クリエートデザインの CL6DXX *7 に使われていた エレメントブラケット MC70 *8 を使用。

給電部の Uバラン *9 は 前任7エレのものを流用し、幅80mm→ 47mmに改造。 *10


いちおう組み上げ、室内+手持ち+NanoVNAで 仮に測定してみると、インピーダンス 160Ωあたり(Uバラン無し)で 共振点もバンド内にあるっぽかった。


うげげ な SWR うげげ な スミスチャート


しかし、ケーブルつないでルーフタワーに上げてみたら・・ うげげ、なんだ この SWRは・・ スミスチャートで見ても かなり怪しいぞ。 *11
しかし FT8 *12 や衛星用周波数 *13 では使えないこともなさそうだ。とにかく このまま QRVしてみる。


FT8での 1エリア局は たいていが -20dB未満だが、-17dBで見えた局も。新潟市の局と -18/-18でQSO。しかし、たまにプロテクトがかかってパワーが出なくなる。これは マズい。

衛星では 特に問題ないようで、前任の7エレよりも若干良いような気もする。しかし、期待したほどではない。


12エレ Hヘンテナ 指向性シミュレーション


ビームパタンについては、だいたいシミュレーションどおりと思われ *14 、フロントで S9の信号が フロントサイド~バックでは 受信可能なものの Sはまったく振れない。 *15

しかし、やはり 物足りない。MMANAのシミュレーション能力としては、HFハイバンド~144MHzでは実ANTに近い値となることが多く、製作精度に関しても許容範囲のハズ。

で、やはり12年前作ったUバラン及びケーブルを交換することに・・



Uバランを再作製。迂回長 λ/2×速度係数 0.8→ 276mm。 緑青!! ダメだこりゃ。


まず、Uバランを作り直す。

ここで 交換のため 12エレを降ろして給電部をバラし、剥いてみると・・

なんということだ。Uバラン及び 5D-FBの給電部に近い 1mほどが 緑青吹いてたのである *16 。これが 原因のひとつであろう。

錆びていたのは 1mほどだったが、全長を新品に交換。 *17


12エレ Hヘンテナ 修正後 実測SWR (NanoVNA) 12エレ Hヘンテナ
修正後 スミスチャート

然る後、ひーこらアンテナ 上げ、まずは SWR測定。やはり変に波打ってはいるものの 改善はしている。スミスチャートでも 怪しさは かなり減った。(^^;)

しかしながら、MMANAによる SWRのシミュレーション値とは 相当 かけ離れているとしかいいようがない。 *18


MMANAによる SWRのシミュレーション


これだけ違う原因はどこにある?


ひとつ気になっているのは、今回のアルミ平棒エレメント。MMANA上では 半径2.8mmとしているが 実幅が10mmもあり、エレメント間隔が狭い場合には MMANA計算データの誤差が大きくなるのではないか。 *19 *20

今回の給電部のエレメント間隔は 47mm。前任の7エレでは 76mmなので かなり狭まっている。そこで、給電部エレメント間隔が 60mm未満にならないように設定した MMANAデータも作ってみた。

MMANA data file
hhu435-12-200e8.maa ←適当にお使いください。

実は こちらの方が 少し広帯域 かつ F/B比も良いのだが、その差は 大きくなく、けっきょく データを作るのみで終わった。



12エレ Hヘンテナ。仰角は 約5度。


と いうわけで、実際のアンテナは こんな具合。
仰角は隣の 144の5エレと同じく 約5度に設定。若干 地上波にシフトした形となった。 *21

衛星では AOS/LOS付近メインということになるが、天頂付近でも 距離的には近いわけで 何とかなってるっぽい。 *22

また、RS-44等の衛星スレスレ低仰角受信では、修正前と比べると 確実にゲインUpしたという印象である。

休日は 衛星のほか 430MHzの FT8にもQRVしてるので よろしくね。



hhu435-12-200e8.maa の MMANA と MMANA GAL basicとの計算結果比較。青が
GAL


おまけ

footnoteで、hhu435-12-200e8.maa の MMANA と MMANA GAL basicでの計算結果が 周波数的にかなりズレる と 書いた件・・

双方の計算結果画面を スケールを合わせて 合成してみた。

傾向としては似ているものの、MMANA GAL basicの方が 約5MHz上にズっている。

移動用12エレ八木宇田の MMANA と MMANA GAL
basicとの計算結果比較。青が GAL


しかし、当方の移動用430MHz12エレ八木のデータで計算させてみたら・・あら不思議。

双方の計算結果は、ほぼ 一致しているのである。

Hヘンテナのどこが悪いんだよぉぉお!?

MMANA GAL basicは デザインイマイチだし、ワケのわからないエラーで計算や最適化が 止まったりするので あまり使いたくないのだけれど・・ 計算は速いんだよなぁ・・ (^^;)

誰か MMANAのコンパイル通して 新版ビルドしてくれないかなぁ・・ *23


Comments(2)

*1 光陰矢の如し・・といった方が いいかも・・

*2 単純とはいえ 基本200Ω給電なので Uバランを作る必要があり、ここらへん 胸張ってメリットとはいえないかも・・ まあ、ハッキリいって 意地ですな。

*3 15mm×15mm。2m。

*4 エレメントは 幅10mm 厚さ2mmの アルミ平角棒。半径2.8mmのアルミ棒として計算。幅aの平棒→r=0.25a と いう変換式が元ネタ。

*5 MMANA、作者の森さんは 既に開発を行っておらず、オープンソース扱いとなっている。URL→ https://github.com/ja7ude/MMANA 誰か受け継いで!

*6 これもブーム電流による悪影響を排除する目的・・なのだが、目論みどおり働いているのかどうかは・・ (^^;)

*7 1980年代初頭に購入。2004年の台風で落下。

*8 MC70は CL6DXZにも使われているが、DXXのは Uボルトの幅が少し狭い(5cm)。

*9 200Ω→ 50Ω変換。

*10 あとで この流用が 失敗だったことが判明。

*11 丸すぎるのはアヤシイ。

*12 430.510MHz

*13 435~438MHz

*14 現用の144/430用ローテータは 正確な角度が出ない。(^^;)

*15 S1~S9が 3dB刻みだとすると、3×(9-1)=24で F/S比や F/B比は 24dB程度?

*16 かなり以前から 錆びて損失増えてたのかも・・ orz

*17 錆びていた部分は 廃棄。残りの部分は VUHFには使いたくないが、HFロウバンドなら使えるかな?

*18 2未満なら いちおうセーフ。それでプロテクトかからないなら まったく問題ないといっても良い。ホントかよ>ほぼホント。EMEとか大電力突っ込まないなら。

*19 MMANA自体の 計算精度は HFハイバンド~144MHzまでは かなり実物に近いのではないかという印象があるが、430以上は 現時点では確信もてない。

*20 今回 MMANAと MMANA-GAL basic の 本アンテナの計算結果が 430MHzでは かなり異なる(3~5MHzズレる)ことが判明した。原因は 不明。

*21 これでも 仰角 0.5度の衛星の信号が受信できたりする。

*22 しかしながら、やはり 仰角40度以上になると アクセス困難となる場合が多い。

*23 当方、C++ は まったく判りません。

Tada/JA7KPI : 2021年09月06日(月)

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