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<1アマ国試の合格率は「28.0%」と大幅悪化、4アマ新規取得者は1万人を割り込む>総務省、令和2年度末の「資格別 無線従事者免許取得者数の推移」を公表 (2021/9/28 12:05:09)
総務省が「情報通信統計データベース」で令和2年度末(2021年3月31日現在)における「資格別 無線従事者免許取得者数の推移」などの統計を発表した。それによるとアマチュア無線技士の有資格者総数は昨年度から14,765名増加の3,518,538名で、うち89.26%を第四級アマチュア無線技士(4アマ)が占めているが、4アマの新規免許取得者は8,754名とついに1万名を割り込む事態となった。また令和2年度の第一級アマチュア無線技士国家試験の「合格率」は28.0%と、前年よりも7.30ポイント悪化し、少なくとも過去15年間での最低となった。なお同統計は資格を複数所有する場合もそれぞれの保有資格でカウントされている。
今回発表された統計では、平成23(2010)年度から令和2(2020年)年度まで、各級アマチュア無線従事者の資格別有資格者数も公表されている。令和2年度のデータを見ると、第一級アマチュア無線技士はアマチュア資格全体の0.97%にあたる34,293名。第ニ級アマチュア無線技士は2.37%にあたる83,475名、第三級アマチュア無線技士は7.39%にあたる260,075名。第四級アマチュア無線技士は89.26%にあたる3,140,695名となっている。
●令和2(2020)年度における4つのアマチュア無線技士資格の割合
各級アマチュア無線技士の前年度からの“増加率”に注目すると、第一級アマチュア無線技士は令和元(2019)年度よりも0.84%(+288名)の増加に留まり、平成23年度からの9年間で最も増加率が悪化している。これはコロナ禍で4月期の上級ハム国試が中止され、9月期と12月期の2回しか実施されなかったことや、後述する合格率の悪化が影響しているとみられる。
一方、第二級アマチュア無線技士は同1.12%(+931名)で増加率は前年よりも0.09ポイント改善。しかし第三級アマチュア無線技士は同1.87%(+4,792名)で増加率は前年よりも0.28ポイント悪化した。また第四級アマチュア無線技士の増加率は0.28%(+8,754名)と、ついに新規取得者数が年間1万名の大台を割り込む事態となり、増加率も昨年度より0.09ポイント悪化した。4アマ/電話級の新規取得者数が1万人を切るのは1965(昭和40)年度以来、実に55年ぶり。
●平成19(2007)年度から令和2(2020)年度までの資格別有資格者数
●第一級アマチュア無線技士から第四級アマチュア無線技士数の推移(2006~2020年度)
●第四級を除いた第一級アマチュア無線技士から第三級アマチュア無線技士数の推移(2006~2020年度)
●各級の取得者数の推移(JJ1WTL 本林氏作成のグラフより)
●電話級アマ/4アマの年度ごと増加数(JJ1WTL 本林氏作成のグラフより)
なお総務省は令和元年度の「無線従事者試験の実施結果」「養成課程の実施状況」も同時に公開している。
「無線従事者試験の実施結果」によると、令和2(2020)年度の1アマ国家試験の合格率は28.0%(合格者300名)となっている。これは前年度よりも合格率で7.3ポイント悪化、合格者は370名減少している。この合格者減少は、合格率悪化に加えて4月期の上級ハム国試がコロナ禍で中止になった影響もあると見られる。
ちなみに最近の1アマ国試合格率は次のとおり(無線従事者免許証の申請をしなかった合格者がいるためか、毎年、資格別有資格者数の増加数と国試合格者数で若干の食い違いが発生している)。またキューシーキュー企画作成のグラフを見ると、平成28(2016)年度までほぼ40%台半ばだった1アマ国試の合格率が、平成29(2017)年度以降は急激に悪化。受験者も減少の一途となっていることがわかる。
<最近の1アマ国試合格率と合格者数>
・令和2 (2020)年度→ 合格率:28.0%、合格者:300名(※4月期はコロナ禍で中止)
・令和元(2019)年度→ 合格率:35.3%、合格者:523名
・平成30(2018)年度→ 合格率:42.3%、合格者:670名
・平成29(2017)年度→ 合格率:30.9%、合格者:534名
・平成28(2016)年度→ 合格率:45.9%、合格者:801名
●平成18年度~令和2年度の1・2アマ国家試験受験状況(キューシーキュー企画作成)
さらに今回公表された統計から、総務省認定の各団体が行ったアマチュア無線技士の養成課程講習会(eラーニング養成課程を含む)により、令和2年度は2アマが694名、3アマが4,019名、4アマが7,198名誕生(養成課程を修了)したことが明らかになった。前年度と比較すると、令和2年度の2アマ修了者は191名、3アマ修了者は450名それぞれ増加した一方で、4アマ修了者は1,137名減少している。また令和2年度は、2アマ従免新規取得者の59.4%、3アマの83.8%、4アマの82.2%が養成課程講習会の修了者ということが読み取れる。これらの数値には、コロナ禍で無線従事者国家試験の中止が相次いだことも影響していると推測される。
今回発表された統計では、アマチュア無線技士のほか、総合無線通信士や航空無線通信士などプロ資格の従事者資格者数の推移も確認することが可能だ。詳細は下記関連リンク参照。
●関連リンク:
・分野別データ資格・試験(総務省
情報通信統計データベース)
・資格別無線従事者免許取得者数の推移 Excel版(総務省
情報通信統計データベース)
・無線従事者試験の実施結果 Excel版(総務省
情報通信統計データベース)
・養成課程の実施状況 Excel(総務省
情報通信統計データベース)
・2020年度四アマ取得者数(CIC:JJ1WTL 本林氏のブログ)
・国家試験受験状況(平成18年度~令和2年度)(キューシーキュー企画)