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Pocke KeyerⅡ (2021/10/22 12:39:44)
エレキーを作り始めて10年余り、FRISKサイズのエレキーを実際に頒布を始めて3年余りが過ぎました。
FRISKキーヤー1stバージョン 頒布品初代FRISKキーヤー
小型であるがゆえに多くの局長さんに使っていただいておりますが、エレキーの使い勝手というか、キータッチのフィーリングは局長さんそれぞれで色んな感覚をお持ちであることも実感しました。
ご要望もいただいたりしたのですが、対応できないまま時間が過ぎてしまいました。
そうした中で、スタートはだいぶ以前のようですが、Arduinoのシールド(オプションボード)としてK3NG OMが開発されたエレキーがあることを知りました。同じAKCのメンバーさんもシールドを頒布されています。
このエレキーは、K3NG OMが開発されたものからどんどん機能が増えてゆき、物凄く多機能なエレキーとして世界中で使用されているようです。
最初は、Arduinoベースと言うことで小型の専用キーヤーのイメージが湧かなかったのであまり興味がなかったのですが、最近ふとしたことから、これをFRISKサイズに入れられないかと思うようになってきました。
初代のFRISKキーヤーは、まず大きさが決まっているので使用できる電池の大きさや、使用する部品(特にマイコン)の大きさが制限されていました。
とりあえず動くではなく、特に電池の持ちは実用的には重要です。
当時はAVRマイコンが持つSleep機能を最大限に活かし、電源を切り忘れても電池の自然消耗に近いレベルでのSleepを実現できました。
Arduinoでは色々作って使ってはいたのですが、3Vでの電池駆動の作品は今までありませんでした。
とりあえずK3NGキーヤーのソフトを、Arduino基板ではなくそのマイコンであるATMega328単体に書き込んで使ってみました。
ところが5Vだと何の問題もなく動作するのですが、3Vだと動作しません。
色々悩んでFUSEビットの設定ではないかと、これも色々試したのですがダメでした。
結局Twitterで悩みをつぶやいたところ、普段いじらない(今までいじったこともない)FUSEビットの設定がポイントと教えていただき、それに従ってそのFUSEビットを書き換えたら、3V以下でも問題なく動作するようになりました。
購入したばかりのマイコンだと問題がないのに、何故Arduinoのプログラムを書き込むといじってもいないFUSEビットが変わりだめなのか調べてみました。
結果、なんとArduinoのブートローダーを書き込むと問題のFUSEビットが書き換えられていることがわかりました。
それで、プログラムを書き込んだ後にFUSEビットを再度変更し、動作が問題ないことが確認できたのでこれで大丈夫と思ったのですが、途中の変遷が色々あって、最終的には、動作の安定性を確実にするために、ArduinoIDEで生成されるバイナリーファイルのうち、ブートローダー無しをISPで書き込んで使用することにしました。
次の課題は、Sleep対応へのハードウェアの仕様です。
K3NG キーヤーの機能としてはSleepモードが設定できるようになっています。
ソフト的には、これをONにすればいいのですが、基本回路としてSleepがONになっても、3V時、300μAの無駄な電流が流れる設計になっています。
それは、スピード調整用のVRです。
直列に1KΩの抵抗を挿入し電圧測定
初代FRISKキーヤーでは、このスピード調整用のVRの電源はマイコンのポートから供給するようにしてSleep時は、VRへの電流が流れないように制御して消費電流を抑えました。
回路的には、同じようにすればよいことはわかっているのですが、膨大なK3NGキーヤーのソースのどこを変えればいいのか? だいぶ苦戦しましたが、何とか作りこむことができ、動作確認の結果、Sleep時の消費電流を10μA以下まで低減することができました。
直列抵抗10KΩ時
Sleepからの復帰も、長点or短点のパドル操作で即時に復帰します。
次の課題が、昨今のマイコンの入手難です。
最初は小型するために、QFPパッケージで基板を作りました。実験も手持ちのQFPで行いました。
ところが昨今の半導体不足によってQFP品がとても手に入りにくいことがわかりました。
基板はできたのですが、肝心のマイコンが入手できないとなると頒布は不可能になります。
ここで挫折かと思いましたが、DIP品なら少量ずつだと手に入りそうだとわかって、DIP品を基板の裏に貼り付けられないかとやってみたのが写真の試作基板です。
QFP基板 DIP品を無理やり載せた
表側には影響なし
結果としてケースの裏側にマイコンの穴
基板も9月16日バージョンから10月1日バージョンへと変遷し完成
初代との比較 今回はケース付き 基板の色で3色用意
K3NGキーヤーの豊富な機能をリストシール化
久しぶりのFRISKサイズキーヤーの改定となりました。小さい基板ですけど、小さいがゆえに意外と苦戦したかな?!と思っています。
キータッチも、世界で使用されているソフトですから、気に入っていただける方も多いかと思います。
IAMBICもA、B選択できますし。
トレーニングモードも搭載されていますし。(よくわからないのもありますが)
チューニングモードも便利です。
ブザーですが、サイドトーンの周波数調整ができるのも面白いです。
コソッと頒布してます。ご興味があれば、pocke.tech へ!
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