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<「Pチャンイヤホン」の販売で知られる>秋葉原ラジオセンター1階の「三善無線」が12月20日で閉店 (2021/12/25 11:30:52)
東京・秋葉原電気街のJR総武線ガード下にある「秋葉原ラジオセンター」。その1階に小さな店舗を構えていた「三善(みつよし)無線」が、64年間の営業を終了し2021年12月20日で閉店となった。同店はプロも愛用するアシダ音響のイヤホンシリーズ(通称「Pチャンイヤホン」)が買える店として知られていた。同店の最終営業日の模様を三才ブックスの月刊誌「ラジオライフ」編集部の関口岳彦氏が自身のブログで報告している。
関口氏の個人ブログ「裏 kampf我流ラジオライフ」から許可を得て、三善無線の閉店についての記述を抜粋(一部補記)で紹介する(掲載した写真も関口氏の撮影によるもの)。
秋葉原ラジオセンターの三善無線が2021年12月20日閉店
電気の街としての顔である「秋葉原ラジオセンター」。間口がタタミ一畳の1m80cmほど(推定)の小さなお店が、軒を連ねるガード下の電子部品街だ。21世紀になり、変化の激しいアキバにあって昭和の香りが色濃く残る場所。
ガード下とはいえ、高い高架の総武線の下なので、店舗は1階だけではなく2階にもある。そして3階は事務所。ここは立ち入り禁止だが、何回か許可を得て入ったことがある。古めかしい作りの不思議な空間だ。
その秋葉原ラジオセンターの1階にあるお店の1つが三善無線。店名からはピーンとこない人も多いだろうが、“Pチャンイヤホンを買えるお店”といえば思い出すだろう。「Pチャン」とは受信マニアの用語で、警察無線(ポリスチャンネル=Pチャン)のこと。警察官も愛用していると言われるイヤホンで、正しくはアシダ音響の「PR-17」という型番だ。
このイヤホンは、耳へのフィット感が良好で長時間の装着で、耳が痛くならないのだ。スピーカー部とコード部が分離できるので、断線したらコードだけ買い換えればいい。テレビの中継などでリポーターが耳にして、スタジオの声を聞いているのに使われたりする。受信マニアのみならず、業務ユーザーが圧倒的に多いのが特徴だ。
そんなPチャンイヤホンを販売する三善無線が、2021年12月20日で閉店となった。自分が使用中のPチャンイヤホンに不具合はないが、最終日に予備を買いに行った。しかし、全部売り切れ。twitterでの閉店の告知もあって、ここ1週間で200本も売れたという。どれだけ多くの人が三善無線のPチャンイヤホンを愛用しているかがわかるだろう。
三善無線の店主のおばあちゃんは話好き。何度か話したこともあるので、しばしお話を聞く。秋葉原ラジオセンターで64年間も商売をなされ、20代の時からお店にいたそうだ。計算すれば御年は察しの通り。まだまだお元気だが、「お店にいる時なんかあったら、まわりに迷惑かけるからね」とのお気遣い。自分ではなく、周囲のことを考えるって、秋葉原ラジオセンターのファミリー感がにじみ出る。
コロナ以前、外国人観光客がアキバにあふれた頃「断りもなく写真を撮られるのが、ストレスだった」とおっしゃっていた。そんなこともあり、午後は早々に店を閉めている時期もあった。
話をしているとおばあちゃんは、私が首から下げていたPチャンイヤホンを指さして、「プラグを見せて」と言われた。すると「イヤホンコードストレートタイプ3.5ミリ」を出してきた。イヤホン自体は壊れることないのだが、プラグの付け根が断線する故障は発生する。予備のために購入しておこうと思い、代金を払おうとすると「今日は誰からもお代をいただいていないから。いままでありがとうね」だって。
いやいや、こっちが「いつもありがとうございました」ですよ。さらに2本、合計3本の予備コードをいただいた。私のPチャンイヤホンの使用頻度は毎日。10年に1回くらい負荷のかかるジャックの根元が断線する。3本もいただいたらあと30年分のストックになる。つまり一生分の予備コードをいいただいことになるわけだ。
受信マニアの耳を支えてきた三善無線のおばあさん。最後まで「ありがとうございます」。お元気で!
<追伸> 三善無線が行ってきた「Pチャンイヤホン」の販売は、秋葉原ラジオセンター2階の「池之谷ラジオ商会」に引き継がれます。
関口氏がブログに記載した全文は下記関連リンクから読むことができる。
●関連リンク:
・秋葉原ラジオセンターの三善無線が2021年12月20日閉店(裏
kampf我流ラジオライフ)
・裏 kampf我流ラジオライフ
・秋葉原ラジオセンター(公式サイト、2001年開設)
・アシダ音響のイヤホン(アシダ音響)