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feed IARUの声明について (2022/3/5 13:30:20)

2020年2月下旬にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ウクライナでアマチュア無線が禁止されるという悲しい出来事が進行中です。これに対し、IARU(国際アマチュア無線連合)が声明を出しています。

2月27日  IARU第1地域のウェブサイトに掲載された”Note”

“Any radio amateur currently  transmitting from Ukraine  is risking his or her life. If you hear a Ukrainian station,  do not broadcast its callsign, location or frequency  — whether on the band, in a cluster or on social media. You may be  putting lives at risk .”

拙訳:『現在ウクライナから送信しているアマチュア局は生命をリスクに晒している。もし聞こえたとしても、そのコールサイン、場所、周波数を、電波、クラスター、SNSを問わず拡散しないでほしい。彼らの生命をリスクに晒すことになるかも知れない。』( 2月28日のツイートで公開

2月28日  IARUのウェブサイトに掲載された”Statement from IARU”

“IARU is an apolitical organization focused on promoting and defending amateur radio and the amateur radio services. The amateur radio service is about self-instruction in communications and friendship between people.”

拙訳:『IARUは、アマチュア無線とアマチュア無線業務を促進し擁護することに注力する、非政治的な組織です。アマチュア無線業務の本質は、自らの意思による人々の間のコミュニケーションと友好です。』( 3月1日のツイートで公開した仮訳 を修正)

IARUのStatementに対する反応

海外では、今回のIARUの声明に対し、意味がない、ロシアを間接的に支持することになる、といった批判が見られます。たとえば、このツイートへのリプライのようにです。 https://twitter.com/IARU_R1/status/1498348575826317321

私も、IARUの声明はちょっと違うのではないかと感じ、3月2日に英語と日本語で以下のとおり意見を公開しました。

I agree with the second sentence and let's promote friendship for peace through amateur radio. But if the aim of IARU is promotion and defence of amateur radio, IARU could have declared storong opposition against war, under which amateur radio is vulnerable, as we all see.

— 7K1BIB/山内貴博【JARL社員立候補(関東)】 (@7K1BIB) March 2, 2022

IARUの声明に対する私の意見
『第2文は賛成。アマチュア無線を通じて平和のための友好を促進しよう。だが、IARUの目的がアマチュア無線の促進と防御ならば、IARUは戦争に対する強い反対を宣言することもできたはず。今我々が目撃しているように、戦争の下では、アマチュア無線は脆弱なのだから。』 https://t.co/m6QiVnSIKt

— 7K1BIB/山内貴博【JARL社員立候補(関東)】 (@7K1BIB) March 2, 2022

JARLの反応

JARLは、3月1日に、IARUの声明を紹介する記事をJARL Webに掲載しました。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/News2022/2022_news-3.htm#0301

JARLによる和訳文が載っていますが、「ですます体」と「である体」が混じっているのはみっともないと思います。また、「amateur radio services」の訳は、「アマチュア無線サービス」ではなく、「アマチュア無線業務」という定訳を使った方がよいと思われます。最後の一文(「JARLでは、」で始まる文)の日本語もおかしいですね(途中で主語が変わってしまっています)。

一番の問題は、いきなり「JARLでは、IARUのこの声明を支持」とある点です。

私がチェックした限り、ARRL、RSGBほか他国の連盟も、今回のIARUの声明については、無視しているか、淡々と紹介するだけに留めています。JARLも、国際世論や他国の連盟の動きを見ながら(あるいはきちんと連絡を取りながら)、慎重な姿勢を取った方がよかったのではないでしょうか。JARLとして早々と「支持」を表明したのは、誰がどういう経緯で決定したのか不明です。

さらに、「不用意にアマチュア局の情報を拡散しないようにご注意ください。」の部分は、このIARUの声明ではなく、IARU第1地域の声明( https://www.iaru-r1.org/2022/note/
)を意識したものと思いますが、元の声明は、ウクライナのアマチュア無線家の生命を危険にさらさないために、という明確な意図に基づいています。ですので、「 ウクライナの アマチュア局の情報を拡散しないように」と特定しなければ、正確な意図が伝わりません。

今回、JARLが比較的早急に対応した点はよかったと思いますが、その内容はいまひとつでした。自分たちだけで閉じこもるのではなく、多くの人の力を借りて、よりよい運営を目指して頂ければと思います。

という趣旨の意見を、JARLに送りました。

(2021-03-05 記)

この記事の原稿を書いた後に、英国連盟(RSGB)の3月4日付けの声明に接しました。RSGBは、ロシアとベラルーシの局はコンテストやARDFに参加できず、チェックログ扱いにするとのことです。『アマチュア無線の通常のスタンスは非政治的。しかし、ロシア連邦とその軍隊の最近の活動は一線を越えており、RSGBはニュートラルでいることはできない・・』としています。

RSGB statement: the Russian Federation and Belarus

(2021-03-05 13:30 追記)


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