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「技適」を利用した免許手続きの簡素化とは? (2022/3/12 8:57:16)
2022年JARL選挙に立候補しています。ご支援どうぞよろしくお願い申し上げます。
JARL選挙立候補に当たっての所信(2022年関東社員)
髙尾会長宛てに、「第1 カード転送の安定化」、「第2 法制度・バンドプラン改善対応」、「第3 財政健全化」について議論しましょうと、「課題解決に向けての議論のご提案」 を提出しましたが、 2月の理事会 では完全無視でした。「しっかり協議を行い、会員の皆様、アマチュア無線の発展に向けて取り組んで行く」との言葉はどこに行ってしまったのでしょうか。
さて、その間に、提案した課題の2番目、「 法制度・バンドプラン改善対応 」について考えてみます。
昨年(2021年)11月19日に行われた内閣府の経済活性化ワーキンググループで、「アマチュア無線免許手続」が取り上げられました。とても画期的なことです(JARL Webに掲載されていないのは、JARLが呼ばれなかったからでしょうか。)。
ワーキンググループの公表資料はこちら↓
JARL正常化タイムズ第16号 もご覧下さい。
このWGで、YOTA-JAPAN事務局の櫻井豊氏が、アマチュア無線免許手続について、以下の改革案を提言されました。
(引用ここから)
国家試験に合格後、技適・工事設計認証を受けた市販無線機を使う限りにおいては、取得した資格の操作範囲で自由に使える無線局免許とコールサイン(呼出符号)を付与。免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし、開設後の増設・取替・変更時も、技適・工事設計認証を受けた市販無線機に限り、同様に速やかに「届出」を行なうこととする。
(引用ここまで)
これに対し総務省は、「アマチュア無線をより活用しやすい制度・環境を実現することは、 将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成 等につながると考えられる」と述べ、「総務省の考え方と、櫻井様の考え方というのは、同じだと思っております」と応じています。
ここで想定されている免許手続の改革案は、おそらく、こういうことかと想像します。
現在 | 改革案 |
①国家試験に合格 /無線従事者養成課程修了 | ①国家試験に合格 /無線従事者養成課程修了 |
②従事者免許申請書を提出する | ②従事者免許申請書と開局申請書を 同時に提出する |
③従事者免許証が届く | ③従事者免許証と 無線局免許状が届く →コールサインが決まる! |
④開局申請書を提出する | ④無線機を指定する届出書を提出する |
⑤無線局免許状が届く →コールサインが決まる! | ⑤晴れてオンエア! |
⑥晴れてオンエア! |
2通の申請書を同時に提出?
まず②のところ。今は、まず従免を申請し、従免が届いてから開局申請を提出しますが、 このふたつの申請書を同時に提出してよいことにしよう 、と思われます。
例えば関東総合通信局の場合、従免の担当窓口である航空海上課がふたつの申請書を一括して受け付け、従事者免許証を作成した後、無線局開局申請書と一緒に局免を担当する陸上第三課に回す。陸上第三課は、無線局免許状を作成し、従事者免許証と無線局免許状をそろえて封筒に入れ、申請者に郵送する、ということではないかと想像します。これなら、提出作業が1回で済みます。
ワーキンググループで、ある委員のこのような発言も記録されています。
これは、庁内手続の問題として、大きな法令改正は必要なく実現できそうです(無線局開局申請書の従事者免許証番号の欄を空欄のまま受け付け、担当の方がその空欄を埋められるようにする、という点が法的なハードルでしょうか。)。
開局後の無線機の増設
次に、
- ①『免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし』
- ②『開設後の増設・取替・変更時も、技適・工事設計認証を受けた市販無線機に限り、同様に速やかに「届出」を行なうこととする。』
の部分を読み解きます。
実は、②は、すでに実現されているのです。
最初に「許可」と「届出」の違いを押さえておきます。
- 許可:役所が審査しOKしないと効果が発生しない。申請人は審査終了まで待つ必要 あり 。
- 届出:役所に届出書が到達すれば効果発生。申請人は審査終了を待つ必要 なし 。
コロナ禍もあり、総通の審査に時間がかかっています。アマチュア無線家としては、総通の審査終了を待つ必要がない「届出」の方が、早く無線機が使えてありがたいですね。
無線機を増設する場合、どんな場合でも総通の審査終了を待たないといけないと思っている方が多いようです。実は、「軽微な無線設備の変更」の場合は、総通の審査終了を待たなくてもよいのです。すなわち、
- 要件1:周波数、電波の型式又は空中線電力に変更がない
- 要件2:空中線電力200ワット以下
- 要件3:技適機種またはJARD/TSSの保証を受けた無線機への取替または増設
この3つの要件を満たす場合は、「届出」さえすればOKです。電子申請のときはデータの送信、紙申請のときはポストへの投函が終われば、増設した無線機を使い始めてよいのです。総通の審査終了を待つ必要はありません。
- 軽微でない無線設備の変更: 申請→→→→→→許可→変更検査→ 運用OK!
- 軽微な 無線設備の変更: 変更工事→届出→ 運用OK! →総通の受理連絡
というわけで、「届出」の方が断然早いのです。
アマチュア無線を長くやってらっしゃる方は、局免上、メジャーな周波数はすべて免許を下ろしていて、電波型式の一括コードも空中線電力、資格めいっぱいの上限に達しているのではないでしょうか。そういう方は、「要件1」はもう満たしています。ですので、新しい技適機種を買ってきても、周波数、電波の型式又は空中線電力に変更が生じませんから、総通に届出さえすれば、すぐに使ってOKです。JARD/TSSの保証を受けたときも、保証の手続が終わって総通に届出さえすれば、すぐに使ってOKです。もう、総通の手続が時間がかかるといってイライラしたり、総通に問い合わせの電話をしたりするのは、やめましょう。
この記事の末尾に、法律の条文の詳しい読み解きを付けました。ご興味をお持ちの方はご覧下さい。
わかものの成長ステップ
ところが、今からアマチュア無線を始めよう、というわかものは、ベテランハムのようにはいきません。局免の記載事項は、最初は少なく、だんだん増えていきます。4アマを取ったニューカマーは、例えばこんなハマり方をしていくのではないでしょうか?
ステップ | 無線局免許状 |
144/430のアナログハンディ機で開局! | 4VF 145/435MHz 10W |
144/430のモービル機を買った! | 4VF 145/435MHz 20W |
D-STAR機買った! | 4VA 145/435MHz 20W |
HF機買っちゃった♪ |
4MA 1910kHz 10W 4HA 3537.5kHz 10W 4HD 3798kHz 10W 4HA 7100kHz 10W 4HA 21225/24940kHz 10W 4VF 28.85/52MHz 10W 4VA 145/435MHz 20W |
FT8始める! | (局免変更なし) |
FreeDVやってみる! | 4MA G1E 1K60 G7W 1910kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 3537.5kHz 10W 4HD G1E 1K60 G7W 3798kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 7100kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 21225/24940kHz 10W 4VF 1K60 G7W 28.85/52MHz 10W 4VA 145/435MHz 20W |
赤字は、局免の「周波数、電波の型式又は空中線電力」が変更される部分を意味します。この赤字部分を変更するために、「届出」ではなく「許可」となり、総通の審査完了=新しい局免の到着を待たなければいけない、ということになります。せっかくHF機を買っても1ヶ月お預けです。待っている間に、無線熱が冷めちゃうかもしれませんね。
FT8など、一括記載コードの範囲内のデジタルモードは、 2020年の規制緩和 ですぐに始められるようになりましたが(遅滞なく備考欄に「デジタルモードのため附属装置(PC)を接続」と書いた届けを出せばOK)、わかものが興味を持ちそうなFreeDVの電波型式は一括記載コードに入っていないので、「許可」となり、総通の審査完了=新しい局免の到着を待つ必要があります。
改正案?
ならば、最初から、局免にめいっぱい書いておけば、いいのですよね。全部「届出」になりますよね。
出来事 | 無線局免許状の指定事項 |
144/430のアナログハンディ機で開局! | 4MA G1E
1K60 G7W 1910kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 3537.5kHz 10W 4HD G1E 1K60 G7W 3798kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 7100kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 21225/24940kHz 10W 4VF 1K60 G7W 28.85/52MHz 10W 4VA 145/435MHz 20W |
144/430のモービル機もらった! | (局免変更なし) |
430のD-STAR機買った! | (局免変更なし) |
HF機買っちゃった♪ | (局免変更なし) |
FT8始める! | (局免変更なし) |
FreeDVやってみる! | (局免変更なし) |
こうすれば、4アマニューカマーの無線機がどんどん増えていっても、すべて「届出」だけで済みます。総通の審査完了を待たなくてよいので、アマチュア無線家側のイライラも減りますし、新しい局免送付用の封筒を送らなくてもよくなります。総通としても、新しい局免を発送する手間がなくなりますし、「審査はまだでしょうか?」といったお問い合わせも減ります。Win-winです。
総務省としては、免許人の手元にある無線機のスペックを超えるバンド、モード、出力を局免に指定することに抵抗があるかもしれません。でも、今でも、一括記載コードは、手元の無線機では出せない電波型式を含んでいますし、5Wハンディ機でも10Wと書いているではないですか。さらにちょっと増えるだけです。大丈夫ですよ。
さて、それでは、アマチュア無線家側として、局免に、最初からどこまで書いておいて欲しいでしょうか。
最初から書いておいて欲しい周波数帯
市販の技適無線機があるHF帯~1280MHz帯、それから4630kHzは、ぜひ最初から局免に記載しておいて頂きたいと思います。2425MHzと5750MHzも、 ICOMさんが新製品を開発中ですので 、最初から局免に書いてしまいましょう。そういう運用を実現するためには、電波法関係審査基準の改正だけで済みますので、ハードルは決して高くないと思います。
他のマニアックな周波数帯(135kHzとか10GHz帯以上とか)は、必ず自作機になりますので、当面は、総通の審査=「許可」が必要としてもいいのではないでしょうか。
最初から書いておいて欲しい電波型式(モード)
FreeDVの電波型式「G1E」と「1K60 G7W」は、最初から一括記載コードに入れて頂きたいと思います。ついでに、 占有周波数帯幅の告示 に「G7W 許容値3kHz」を追加すれば、「1K60」といった占有周波数帯幅を付記する必要がなくなり(上記告示第2項参照)、FreeDVの新モードがリリースされても、「1K60」を「2K10」にいちいち変更したりするための許可申請手続は要らなくなります。これを実現するためには告示の改正が必要なので、ハードルはちょっと上がりますが、FreeDV愛好家が大歓迎の改正だと思います。
他に、実際にそれなりに使われているが、今の一括記載コードに含まれていないモードには何があるでしょうか。低周波発信器のCW音をAMに乗せるモード「A2A」は、 運用実績もありますし 入れても良さそうです(ちなみに低周波発振器のCW音をFMに乗せるモード「F2A」は、すでに一括記載コードに含まれています。)。PSK31をAMに乗せる「A2B」は不要でしょうか。無変調波「N0N」はいかがでしょうか?
最初から書いておいて欲しい出力
出力は、最初から各資格で認められる出力めいっぱいの数字を書いてしまいましょう。4アマはHF帯10Wそれ以外は20W、3アマは50W、1アマ2アマは200Wと、最初から書いてしまうというわけです。200Wを超えたいときは、素直に「許可」を受けましょう。
ニューカマーでは無い局
以上はこれから開局する人の話でしたが、すでに開局している人の局免も、この際同じようにめいっぱい書いてしまいましょう。「めいっぱい指定されているものとみなす」と、改正文に1行追加すればOKです。難しくありません。
『免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし』
内閣府WGの提案「①『免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし』」は、開局申請書に無線機を特定して記載しなくてもよい、購入してから届け出ればよい、という案と思われます。ここまで進むとさらにラクになりますね。
「 ワイヤレス人材やIoT人材の育成 」のための制度改革
おっと、内閣府ワーキンググループの提言の目的は、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」でした。これに絡めることを忘れてはいけません。「免許手続の負荷を低減し、手続に煩わされず、ある程度自由な環境で電波を使った実験ができる環境をととのえることは、将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成に資する」これでよいと思います。
他に、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」に資する制度改革として、何が考えられるでしょうか。
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多くのわかものが、VoIP(インターネットを経由するデジタル通信)に興味を持っています。ネットワークと無線技術の融合形態を経験することは、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」に資すると考えられます。ですが、現在、D-STARレピータはリフレクタに接続できず、日本のレピータ網だけがガラパゴス化しています。そこで、D-STARレピータのリフレクタへの接続を認めていただきたいと思います(具体的には、電波法関係審査基準中、「レピーター局」の条件である「公衆網に接続することによって
一体として構成される2の レピーター局に係る中継を行う場合」を、「公衆網に接続することによって
複数の レピーター局に係る中継を行う場合」とするだけで、おそらく大丈夫なはずです。)。
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VoIPでは、自宅に小さなホットスポットを立ち上げ、手元の無線機からホットスポットを経由してネットワークに接続し、世界中のアマチュア局と交信することが行われています。ですが「自局内通信は許されない」という根拠のあやふやな解釈により、ホットスポットには自局とは別の局の免許(固定局または社団局)が必要と扱われてしまっています。しかし、わかものに、2局分の開局費用を払え!というのは酷であり、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」の障害になっています。そこで、「自局内通信は許されない」との解釈を改めて頂きたいと思います。
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アマチュア無線に熱心に取り組んでいくと、50Wを超える出力を出したくなりますが、現在は、移動する局に加え、移動しない局を開設する必要があります。ですが、わかものに、2局分の開局費用を払え!というのは酷です。そこで、アマチュア局は移動する局に一本化し、50Wを超える無線機は常置場所だけで運用できる、として頂きたいと思います。
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日本の免許制度は、事後的な規制よりも、許可や届出といった事前規制に偏りすぎており、その結果、手続が煩雑となり、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」のために、自由に試行錯誤できる環境が失われています。
総務省は、我が国は国土が狭く人口が稠密なため、電波も稠密かつ効率的に利用することが必要といいます。(同じように国土が狭く人口が稠密なのに、日本同様の厳しい事前規制を取っていない国はたくさんあるのですが、それはさておき、)他の無線局への障害を心配するのであれば、障害の可能性が低い一定の出力以下の弱小無線機については、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」のために、例外を設けてもよいですよね?。現に、 今でも、 「空中線電力20ワット以下の送信機の 部品の変更 」については届出でよいとしているのですから、これを一歩進め、「空中線電力20ワット以下の送信機 への取替または増設 」は、届出だけですむようにできないでしょうか。JARD/TSSの保証が不要になり、必ずや、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」に資することになります。
「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」
ちょうど、この1月から、総務省の主宰で、「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」が開催されており、JARLからは髙尾会長が参加しているそうです。ですが、どのような議論がされているのか、一向に見えてきません。
髙尾会長におかれましては、一般アマチュアから意見を募集してとりまとめ、「アドバイザリーボード」の場で総務省に要望を出していただくようお願いします。この記事に書いた私の案は、どうぞご自由に使って頂いてかまいません。
千載一遇のチャンスを逃すわけにはいきませんので、よろしくお願いします。
【付録】条文の読み解き
備忘録を兼ねて、以下の3要件を満たすときは「届出」ですむ、という条文上の根拠を示しておきます。
要件1:周波数、電波の型式又は空中線電力に変更がない。
要件2:空中線電力200ワット以下
要件3:技適機種またはJARD/TSSの保証を受けた無線機への取替または増設
開局後に行う無線設備の変更の工事について規定する電波法の条文は第17条です。第3項で第9条を準用しているので、ここでは、準用を組み込んだ条文を示します。
第17条第3項による読み替え後の条文 |
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(変更等の許可) 第十七条 免許人は、無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない。但し、 総務省令で定める軽微な事項 については、この限りでない。 2 前項但書の事項について 無線設備の変更の工事をしたときは、遅滞なく その旨を総務大臣に 届け出 なければならない。 3 第一項の変更の工事は、 周波数、電波の型式又は空中線電力に変更を来すものであつてはならず 、かつ、第七条第一項第一号又は第二項第一号の技術基準(第三章に定めるものに限る。)に合致するものでなければならない。 |
「軽微な事項」とはなんぞやというと、電波法施行規則第10条に、このように規定されています。
(許可を要しない工事設計の変更等) 第十条 法第九条第一項ただし書の規定により変更の許可を要しない工事設計の軽微な事項は、別表第一号の三のとおりとする。 2 前項の規定は、法第十七条第三項において法第九条第一項ただし書の規定を準用する場合に準用する。 3 (省略) |
そこで別表第1号の3を見ると、アママチュア局のことは書いてなくて、最後の21号に「その他総務大臣が別に告示する工事設計」とあります。そこで、告示を見ないといけません。
その告示は、正式名称「 電波法施行規則別表第一号の三の第1の表21の項及び第2の表2の項の規定による許可を要しない工事設計の軽微な事項 」という長い名前の告示です。アマチュア無線に関する部分を抜き出します。
重要なのはこの表の「1」です。注により読み替えた後の文言を示します。
変更の工事のうち軽微なものとするもの | 適用の条件 |
1 空中線電力200ワット以下の送信機の変更の工事 | 当該部分の全部について, 適合表示無線設備に取り替える場合若しくはこれを増設する場合 又は 総務大臣が別に定めるところにより公示する者による、総務大臣が別に定める手続に従つて行つた法第3章の技術基準に適合していることの保証を受けた送信機に 取り替える場合若しくはこれを増設する場合(新たに付設する場合を含む。) |
「適合表示無線設備」はいわゆる技適機種、「 ・・・法第3章の技術基準に適合していることの保証を受けた送信機 」はJARD/TSSによる保証を受けた無線機、という意味です。
以上より、「技適機種の増設」または「JARD/TSSによる保証を受けた無線機の増設」は、「届出」で済むことが示されました。
なお、「届出」で済む場合、いつから増設した無線機を使ってよいか、という論点があります。一般には、「届出」をした時点、つまり、電子申請のときはデータの送信が完了すれば、紙申請のときはポストに投函すれば、増設した無線機を使い始めてよいと言われています(繰り返しますが、総通の審査終了を待つ必要はありません。)。
ですが、電波法の条文を正確に読むと、「無線設備の変更の工事を した とき」は「遅滞なく届け出」をしなさい、となっていますから、増設した無線機をまず先に使い始めて、届出は後から「遅滞なく」行えばいいはずです。この点も、アドバイザリーボードで明確にしていただきたいものです。
(2022-03-12 記)