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feed <ようやく新聞各紙が“不正使用”を報道>遭難事故を起こした知床遊覧船、「連絡手段として日常的にアマチュア無線を用いていたことが判明」と毎日新聞が報じる (2022/5/10 12:05:49)

北海道・知床で遭難した遊覧船「KAZUⅠ(カズワン)」を運営する有限会社知床遊覧船が、電波法で“仕事の連絡には使えない”と規定されているアマチュア無線を日常的に運航連絡用として不正使用していたのではという疑惑に関連し、毎日新聞は2022年5月9日付けニュースサイトで、「知床遊覧船、業務にアマチュア無線 節約で常用か、関係者証言」と題した記事を掲載した。同記事では「知床遊覧船が事故前から日常的に観光船との連絡手段としてアマチュア無線を用いていたことが9日、関係者への取材で判明した」と報じ、「アマチュア無線を業務で使うのが違法だということは知っていた」とする関係者の証言を紹介している。さらに5月10日付けの読売新聞オンラインは「知床観光船、『業務用』ではなく『アマチュア』無線を使用…国交省が昨年行政指導」と題した記事を掲載、「国交省関係者によると昨年6月に同社に特別監査を実施。その際、混線の恐れがあるアマチュア無線を使用していることを確認した。船舶安全法では、小型旅客船の通信設備として認めておらず、衛星電話を使うよう行政指導した」と報道した。ようやく“アマチュア無線の不正使用”問題について新聞各紙が報じた形だ。

 

 

有限会社知床遊覧船所属の観光船「KAZU I」(同社ホームページより)

 

 

 2022年4月23日、北海道知床沖で有限会社知床遊覧船所属の26人乗り観光船「KAZU I(カズワン)」が消息を絶ち、多くの犠牲者・行方不明者が出たが、事件当時の報道では、同船が緊急事態を伝えてきたのは同業他社のスタッフと行った「アマチュア無線での交信」だったとされていた。

 

 4月29日夕方、YouTubeの「STV NEWS北海道」公式チャンネルで公開されたニュース「【証言】あの日何があったのか 無線で「KAZUⅠ」と連絡を取った同業者が語る緊迫の事態 北海道・知床沖観光船不明」では、最後に無線連絡をした同業他社のスタッフが電話インタビューに答え、無線交信の模様を詳しく説明。しかし、双方のアマチュア無線のコールサインには言及していなかった。

 

 5月9日に毎日新聞ニュースサイトが報じた記事では『事故前から日常的に観光船との連絡手段としてアマチュア無線を用いていたことが9日、関係者への取材で判明した。電波法は緊急時を除いてアマチュア無線を業務に使用することを禁じており、ずさんな管理体制の一端が浮き彫りになった 』『 事故当日は船が3度にわたって、アマチュア無線で僚船や同業他社の事務所と連絡を取り合っていた』としている。

 

 さらに『アマチュア無線は金銭上の利益を目的として業務で活用することが電波法で禁じられている。違反すれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される』と明確にした上で、『複数の関係者によると、知床遊覧船は今シーズン以前も運航する船同士や事務所との通信を主にアマチュア無線で行っていた。衛星電話は通信料が高く、携帯電話は料金が個人の負担になることから、無料のアマチュア無線を使うことで「節約」を図っていた可能性がある』と伝え、『別の関係者は「 アマチュア無線を業務で使うのが違法だということは知っていた 。本来ならば衛星電話をメインに使い、使えなくなった緊急時にアマチュア無線を使うのが普通」との認識があったが、 「実際は日常的にアマチュア無線の使用を続けていた」と証言した 』という、アマチュア無線の使用が常態化していたことを裏付ける証言も掲載している。

 

 一方、読売新聞オンラインは5月10日の記事で「知床遊覧船が、船との連絡に安全管理規程で定めた業務用無線ではなくアマチュア無線を使用し、昨年、国土交通省から行政指導を受けていたことが9日、わかった」とした上で、「カズワンは昨年5~6月に2度の事故を起こし、同省が同6月に特別監査を実施。その際、混線の恐れがあるアマチュア無線を使用していることを確認した。船舶安全法では、小型旅客船の通信設備として認めておらず、衛星電話を使うよう行政指導した」と報じている。しかし読売新聞オンラインの記事は、アマチュア無線を仕事の連絡に使用することが、そもそも電波法で禁止されている点には触れていない。総務省や北海道総合通信局への追加取材が待たれるところだ。

 

 さらに新聞社などメディア各社にニュースを提供している共同通信社も「規程違反、アマ無線が常態化 運航会社、観光船との連絡手段」という記事を5月10日朝に加盟各社に配信した。

 

 言うまでもないが、アマチュア無線機を使った交信には「アマチュア無線技士」の国家資格と「アマチュア無線局」の免許(コールサイン)が必要であり、それらを持っていたとしても、アマチュア無線を仕事の連絡用に使うことはできない。違反した場合は電波法により1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。

 

 詳しくは記事下の「関連記事」から該当ニュースを確認してほしい。掲載期間が短いので、早めの確認をおすすめする。なお、毎日新聞の記事は有料(前半の一部が無料で読める)となっている。

 

 

 

↓この記事もチェック!

 

<知床の観光船遭難事故>事実解明が待たれる「アマチュア無線で交信」の疑問点

 

 

 

●【証言】あの日何があったのか 無線で「KAZUⅠ」と連絡を取った同業者が語る緊迫の事態 北海道・知床沖観光船不明 (YouTube「STV NEWS北海道」公式チャンネル)
※画面をクリックすると動画がスタートします。

 

 

 

●【電波法80条報告書ひな形付き】総合通信局へ“違法運用”を通報するための「報告書」の書き方から提出先まで

 

総務省も「アマチュア無線は仕事に使えません」と周知に努めているが…

 

 

●関連リンク:
・知床遊覧船、業務にアマチュア無線 節約で常用か、関係者証言(毎日新聞)
・知床観光船、「業務用」ではなく「アマチュア」無線を使用…国交省が昨年行政指導(読売新聞オンライン)
・規程違反、アマ無線が常態化 運航会社、観光船との連絡手段(共同通信社)
・国交省、小型観光船事業者に通信一斉点検の方針 知床での事故を受け(朝日新聞デジタル)
・有限会社知床遊覧船ホームページ
・アマチュア無線は仕事に使えません!(総務省)

 

 

 


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