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feed 東京都の「太陽光発電パネル義務づけ」の動きについてパブコメ意見提出 (2022/6/23 12:45:45)

東京都が、太陽光発電パネルの設置をハウスメーカーに条例で義務づける案を公表し、パブコメにかけています。

パブリックコメント(東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ))

太陽光発電パネル等のインバータノイズに悩まされている方々は多いと思います。私もそうです。以下の意見を提出しました。


 「 東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ) 」の44頁16行目以下「(4)家庭部門における対策」において、新築マンション及び中小規模新築建物(住宅等)について、再エネ設備の設置を義務付けることが提案されている。ここでいう「再エネ設備」は、主に太陽光発電設備を念頭においていると理解される(33頁)。

 何より環境問題の解決は人類にとって重大な課題であることは十分認識している。一方で、太陽光発電設備が有する安全性、製造から廃棄までのライフサイクルまで視野に入れたときの環境負荷等のさまざまな問題が指摘されているが、他の意見に委ねる。私は弁護士であり、かつアマチュア無線家(第1級アマチュア無線技士)として、電波法との関係について以下の意見を述べる。

 太陽電池が発電する電気は直流であるため、太陽光発電設備には、これを交流に変換するためのインバータが含まれているところ、このインバータが、強力なノイズを広大な周波数に渡って大量にまき散らしている現実がある。従来から、中波帯~短波帯(中波ラジオ放送、短波ラジオ放送、漁業無線、自衛隊無線、アマチュア無線など)にノイズをまき散らしていることが認識されていたが、最近は、超短波帯(VHF:航空無線、消防無線、アマチュア無線など)から極超短波帯(UHF:警察無線、各種簡易無線、アマチュア無線など)にもノイズが広がっていることが確認されており、これらの無線通信に支障を与えている例が増加している。

 私が所有するラジオ放送受信機、アマチュア無線設備も例外ではない。近隣の家に設置された太陽光発電設備のインバータが発生する大量のノイズの我が家での受信状況を別紙資料にまとめた。インバータが発生するノイズは、広大な周波数にわたって等間隔に発生するのが特徴である。我が家の貧弱な受信設備(アンテナ)でも、近隣家屋に設置された太陽光発電設備等が発生するノイズがこれだけ多く受信できてしまっている。

 電波法第101条は、電波法82条を準用し、「無線設備以外の設備」が副次的に発する電波若しくは高周波電流が、他の「無線設備」の機能に継続的かつ重大な障害を与えるときは、総務大臣は、その設備の所有者又は占有者に対し、その障害を除去するために必要な措置をとるべきことを命ずることができると定めている。同条は、前提として、「無線設備以外の設備」が副次的に発する電波又は高周波電流が無線設備の機能に継続的且つ重大な障害を与えることを禁止していると解される。

 太陽光発電設備も、当然に「無線設備以外の設備」に該当し、これが副次的に発する電波又は高周波電流が「無線設備」(近隣のラジオ受信機や無線機)の機能に継続的かつ重大な障害を与えることは、電波法第101条、同第82条違反であり、本来許されないはずであるが、現実には、上述のとおりの惨状である。

 そもそも、インバータノイズによる無線通信への障害に気づいたとしても、どの家屋に設置された太陽光発電設備から発生しているのか、その発生源を特定することは容易ではない。仮に発生源を特定できたとしても、建物の所有者(一般人)はもちろん、ハウスメーカー、太陽光発電設備等の設置業者やメーカーは、遺憾ながら電波法の規制に無理解・無頓着であり、無視するか、真面目に対応しないことが多い。中には、対策を試みるハウスメーカー等もあるが、実際にノイズの除去を行おうとしても、無線工学に関する知識・経験に乏しく、ノイズの除去技術・ノウハウが確立していないため、不十分な対応に終わってしまうことが多い。電波法第101条は、総務大臣(各地の総合通信局等)に監督権限を与えているが、ノイズ被害が大量に発生していて、すでに対応し切れていない状況である。

 このような惨状を放置したまま、一般居住用家屋への太陽光発電設備の設置を推進すれば、東京都はインバータノイズで充満し、中短波放送やアマチュア無線にとどまらず、人の生命や安全に関わる各種業務無線にも必ずや支障を与え、取り返しの付かないことになることは必至である。

そこで、以下の対策と修正を求める。

・条例制定前に、太陽光発電設備の設置を推進した場合の各種無線通信に与える影響について、専門的見地からのアセスメントを実施されたい。

・アセスメントの結果、太陽光発電設備の各種無線通信に与える悪影響が甚大で、看過できないと判断されたときは、設置の義務づけ案を撤回されたい。仮に、原案どおり太陽光発電設備の設置をハウスメーカー等に義務づけるとしても、総量は無理のない最小限度に抑えられたい。

・「中間まとめ」については、33頁22行目~24行目を以下のとおり改められたい(変更箇所に下線を引いた)。

「太陽光発電設備の設置の標準化に当たっては、太陽光発電設備を安全、安心して利用できるように、導入に関する留意点・進め方、適切な維持管理、関連法令(建築基準法令、電波法令)の遵守などを、都民、太陽光発電設備のメーカー、設置業者、住宅供給業者等の事業者等にわかりやすく普及啓発していくべきである。また、太陽光発電設備のメーカー、設置業者、住宅供給業者等の事業者団体に対し、導入に関する留意点・進め方、適切な維持管理、関連法令(建築基準法令、電波法令など)の遵守などに関する啓発とノウハウ等の情報共有を行うよう求めるとともに、都としても、これらに関する啓発とノウハウ等の情報共有や、太陽光発電設備の設置により悪影響を受けた者による苦情を受け付ける専門部署を設けるべきである。」

以下は、太陽光発電設備の設置を義務づけるか否かに関わらず、早急に検討されたい。

・建築前の標識(看板)に、太陽光発電設備を設置する場合はその旨を公示するよう義務づけられたい。

・ハウスメーカー、太陽光発電設備等の設置業者やメーカーに、太陽光発電設備に関する苦情処理窓口を設けるよう義務づけられたい。

・東京都も、太陽光発電設備に関する苦情処理窓口を自ら設置されたい。 ・ハウスメーカー、太陽光発電設備等の設置業者やメーカーには、周辺の無線設備に太陽光発電設備からのノイズが支障を与えているとき、また与える可能性があるとの通告を受けたときは、ノイズを除去することを条例で義務づけられたい(電波法の規制の上書き)。


近隣の家に設置された太陽光発電設備のインバータが発生する大量のノイズの我が家での受信状況

受信日時: 2022年6月23日(木)午前9時頃 薄曇り
受信場所: 東京都杉並区
受信設備: ICOM社製アマチュア無線機(IC-7300, IC-705)。モービルホイップアンテナ

これらの受信設備は、ウォーターフォール表示機能(受信している特定の周波数だけでなく、その前後の周波数において受信されている電波を視覚的に表示できる機能)を有している。太陽光発電設備のインバータノイズは、等間隔に発生するのが特徴である。

●中波放送帯

1100kHzを中心に、約550kHz~1450kHzの範囲を表示させている。0.6付近(NHK第1)、0.7付近(NHK第2)、0.8付近(AFN)、0.95付近(TBS)、1.1付近(文化放送)、1.25付近(ニッポン放送)、1.45付近(RFラジオ日本)に現れている太い線は正規の中波ラジオ放送であるが、それ以外の縦線は近隣の太陽光発電設備等からのインバータノイズと推測される。とくに1.1、1.2付近のノイズは強力である。

●3.8MHz付近

アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生していることがよくわかる。

●7.5MHz付近

短波放送(海外放送)帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。

●9.5MHz付近

短波放送(海外放送)帯である。やはり、ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。

●11.73MHz付近

短波放送(海外放送)帯である。放送波に混じって、ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生していることが認識される。

●14.09MHz付近

アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。

●21.68MHz帯付近

短波放送(海外放送)帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。かなりひどい。

●27.52MHz帯付近

漁業無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。

●50.5MHz付近

アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。

●126MHz付近

航空無線帯である。やはり、ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。

●144.22MHz付近

アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。なお、この受信機では受信できないが、この前後には消防無線や警察無線といった人の生命に関わる周波数帯があり、やはりノイズが発生していると推測される。

●433.02MHz付近

アマチュア無線帯であり、都内では最も盛んに使われている周波数帯であるが、残念ながら最近は、このバンドにも近隣の太陽光発電設備が発生していると思われるノイズが確認できる。

(2022-06-23 記)


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