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<専務理事の選定など4つの議題を審議>JARL、第62回理事会報告を会員専用ページに掲載 (2022/8/7 8:30:01)
一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は、2022年7月30日(土)と31日(日)に連盟会議室で第62回理事会を開催、その報告をWebサイトの会員専用ページで公開した。今回の理事会では「一般社団法人としての内部統制について」「専務理事の選定について」「参与の選出について」「委員会の設置について」という4つの議題が審議されたほか、協議事項と業務報告が行われた。同理事会報告の閲覧はJARL会員のみで、コールサインと登録したパスワードが必要となる。
JARL Webの会員専用ページに掲載された第62回理事会報告によると、今回は次の4議題が審議された。その概要と要点を同報告からいくつか抜粋で紹介する。
<議題>
第1号議題:一般社団法人としての内部統制について
第2号議題:専務理事の選定について
第3号議題:参与の選出について
第4号議題:委員会の設置について
◆第1号議案「一般社団法人としての内部統制について」概要と要点
新たな役員体制による理事会開催にあたり、2015年6月の第23回理事会において承認された「内部続制システム整備に関する基本方針」について、改めて確認するための議題。審議の結果、一層の法人内部のガバナンス確保に努めることを再認識するとともに、誓約書は任意提出とすることで了承された。
◆第2号議案「専務理事の選定について」概要と要点
第11回定時社員総会で、ただし書き理事候補者の日野岳 充氏の就任が否決され、その後に行われた 第61回理事会で専務理事の選定が見送られた 件に関連した議題。
会長が「不在となっている専務理事の候補について検討を行っているが、理事の中に連盟業務に精通された適任者がいないため、当面は業務執行権を有している会長が行う」と提案理由を説明。出席者から会長が業務執行を行う期問や処遇、決裁業務について意見が出され、「会長が専務理事を兼務するのではなく、会長が業務執行等を行うため給与は発生しない」「専務理事が決裁する内容は会長が行うが、並行して適任者の選定を進める」と回答。資成14名、反対1名、保留1名で提案どおり承認となった。
◆第3号議案「参与の選出について」概要と要点
定款第30条に基づき、連盟の円滑な運営を図るため参与の選出について審議。参与の任期、経歴の記載内容、参与の高齢化に伴う世代交代の検討などについて意見が出され、全員異議なく原案どおり下記5名を参与として2年間委嘱(再任)することが承認された。
JA1HGY 間下尚彦氏
JA1HQG 有坂芳雄氏
JA1SLS 玉眞博義氏
JE1MUI 遠藤静夫氏
JA9AMR 吉室 誠氏
◆第4号議案「委員会の設置について」概要と要 点
委員会の設置及び運用に関する規程第4条及び第5条に基づき、設置する委員会と委員長の選任について審議。電子QSL委員会の活動内容や今後の方向性、ARDF委員会における全国大会の運営、世界大会への選手選考などについて質疑応答があり、賛成10名、反対4名、保留2名で原案どおり承認した。設置された委員会と委員長は次のとおり。
・国際問題検討委員会:JE1MUI 遠藤静夫委員長(継続)
・会員増強組織強化委員会:JA7AJH 尾形和俊委員長(継続)
・アマチュア無線フェスティバル実行委員会:JG1KTC 髙尾義則委員長(会長)
・ARDF委員会:JF0JYR 高橋哲也委員長(継続)
・アワード委員会:JR1DTN 佐藤 哲委員長(継続・新任)
・コンテスト委員会:JR1LQK 土屋 勝委員長(継続)
・電子QSL委員会:JF0JYR 高橋哲也委員長(継続)
・電磁環境委員会:JA1LAS 高井正興委員長(継続)
・周波数委員会:JR1KHM 小谷元史委員長(継続)
・ワイヤレスネットワーク委員会:JH1BSJ 芝山 仁委員長(継続)
・D-STAR委員会:7M3TJZ 安田 聖委員長(継続)
続いて議事終了後の協議事項、業務報告から抜粋する。
◆アワード規程の一部改正について
第59・60回理事会で継続審議となったアワード規程の一部改正について協議。LoTWデータのアワード申請での利用方法や、他団体の認証データを継続利用することへの懸念などの意見が出された。協議の結果、現在の規程を変更する必要はないとの方向で全員が承認。アワード申請でのLoTWデータの使用については、データに含まれていない相手局の了解度、信号強度、音調等がログなどで確認できる場合には申請に使用することができることとした。
◆「東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)」に係る意見募集について
東京都は「東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)」の取りまとめを行ったが、これについて令和4年5月25日から6月24日まで、都民や事業者に対して意見募集が行われ、JARLとして次のとおり意見書の提出を行った。
世界的にエネルギー供給がひっ迫している昨今、今回の東京都の制度の創設に本質的に異を唱えるものではありません。然るに今回の(中問)答申では単なるエネルギー源の一つとしての発電源としてしか捉えておらず、太陽光発電システムの全体像をとらえての論議とはなっていないように見受けられます。
小規模と言え太陽光発電システムを、特に市街地等住宅密集地域に多数導入したらどのような影響が懸念されるかをもっと掘り下げて論議しての結論出しがあって然るべきです。景観・環境等目に見える影響もありますが、目にすることの出来ない影響もあるのです。
また、社会的な影響としては、太陽光発電設備が発生されるノイズによりアマチュア無線が妨害を受けて、その対応をめぐりご近所間のトラプルとなっている実例もあります。
太陽光発電自体は直流(DC)で誘起され、一方、一般家庭で用いられる家庭用電化機器はその殆どが交流(AC)で動作します。発電した電力を家庭で利用する、あるいはそれを売電するためには直流を交流に変換する必要があります。変換方法としてはスイッチングによる方法あるいは発振器で発振させ、それを増幅する等方法はいろいろあるかと思いますが、最終的に家庭用といえども数kWの交流電力を生み出します。これは見方を変えるとそれぞれが50Hzなり、60Hzなりの送信機を備えているに等しい。これらの変換で生み出された電力が純粋な50Hzなり、60Hzのものであればほとんど問題にはなりませんが、一般的にはかなり不純な成分を含み、この不純な成分は数百MHzにまでおよび、無線通信の特に、信号の受信に多大なる悪影響を及ぼします。無線通信に対する妨害波となるのです。なお、メーカーのカタログには100メートル以内にアマチュア無線局がある場合は太陽光発電システムを導入出来ない旨の記述もあります。
特に今回のように市街地等住宅密集地域に太陽光発電システムが多数導入されればその影響は想像を絶するわけで、今回の(中間)答中ではこの様な負の一面は全く論議されていないように見受けられます。
今回の太陽光発電設備の設置等を義務付ける制度の創設に関してはまだ論議不十分であり再度の論議・検討を強く望みます。
◆「2023年世界無線通信会議(WRC-23)に向けた我が国の考え方(案)」に係る意見募集について
総務省が令和5年11月20日から12月15日まで開催される予定の「2028年世界無線通信会議(WRC-23)」の議題に対する「2023年世界無線通信会議(WRC-28)に向けた我が国の考え方(案)」を作成し、令和4年6月1日から6月30日まで意見募集が行われ、次のとおりJARLとしての意見書提出を行った。
●議題1.2 3300-3400MHz、3600-3800MHz、6425-7025MHz、7025-7125MHz及び10.0-10.5GHz帯のIMTへの特定の検討
10.0-10.5GHzは、わが国では10.0-10.25GHzがアマチュア業務に二次分配されているほか、10.45-10.5GHzがアマチュア及びアマチュア衛星業務に一次分配されています。アマチュア衛星業務では周回衛星の利用が一般的ですので、第2地域での10.0-10.5GHzのIMT特定はアマチュア衛星業務に影響を与えるものと思われますので、少なくともこの帯域がIMT特定から除外されるべきと考えます。
●議題1.12 45MHz帯衛星搭載レーダーサウンダーのための地球探査衛星業務(能動)への新規二次分配のための検討の実施
我が国を含むITU第3地域では、隣接帯域である50-54MHzがアマチュア業務に一次分配されています。50-54MHz帯はアマチュア無線の入門バンドとして、多くのアマチュア無線家が運用していますし、50.1MHz付近は月面反射通信を含む微弱信号通信が運用されています。このため、45MHz帯衛星搭載レーダーサウンダーの信号はバンド端の50MHzにおいて背景雑音の増加をもたらさない程度にまで減衰させるような規制が必要と考えます。
●議題1.14 現代のリモートセンシング要求に則った231.5-252GHz帯における地球探査衛星業務(受動)に係る既存分配の見直しと新規分配の検討
わが国では、アマチュア業務に241-248GHzが二次分配及び248-250GHzが一次分配されています。アマチュア業務によるこの周波数帯の利用は、今後の発展に追うところが大きく、少なくとも248-250GHzの一次分配については、将来の運用に制限が課されることがないよう求めます。
●議題9.1b) 1240-1300MHz帯に二次分配されているアマチュア及びアマチュア衛星業務の分配の見直し
わが国ではアマチュア業務に1,260-1,300MHzが二次分配されており、この周波数帯を利用するわが国のRNSS「準天頂衛星システム」の運用開始の際に、アマチュア無線業務の中継局について送信電力を10Wから1Wに減力する措置を取つて干渉の可能性を低減しています。ITU-Rにおける、RNSSの保護のための技術的及び運用上の措置の具体的検討はまだ完了していませんが、わが国でさらなる措置が必要となることがないような対応をお願いします。
同理事会報告の詳細は、下記関連リンクのJARL会員専用ページ(要ID、パスワード)からPDF形式で閲覧できる。
●関連リンク: 第62回理事会報告(JARL Web 会員専用ページ)