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東山温泉探訪 10/18-19 (2022/10/20 15:55:56)
秘湯の一軒宿とかいうよりも湯町の散策や路地歩きするのを愉しみにしており、いくつか旅館があってそこで暮らす方々の生活の場でもある、そんな温泉地を好んで訪れることが多いです。「高級」風な旅館ばかりが増えて賑わいを見せているようなところは苦手で、どちらかというとあまり陽の当たらない温泉場の方が奥深いというか、奥深さすら感じさせないところに味がある、そんな風に思えなくもありません。
会津の東山温泉は写真でしか見たことがなく、そこには古色蒼然とした旅館が写ってはいるものの、温泉地としてはどんなだろうと、一度は訪ねてみたいと思っていました。
仙台から会津若松まで高速バスで約2時間30分。循環バスに乗り換え、20分で東山温泉着。3時間ほどにすぎませんが、会津は奥まっていて感覚的にも実際のところもけっこう遠く感じました。東山温泉駅(バス駅)で降車。もうここは温泉地の中心部です。歩いてすぐ、湯川沿いに木造の旅館「向瀧」が目に飛び込んできました。写真で見るよりその全体像ははるかに大きな建物で、山手の方まで重厚な棟が幾重にも続く様は、山城のようでもありました。江戸中期からの保養所を引き継いで創業125年とのことで、国の有形文化財に指定されているようです。宿のホームページに大正時代の写真がありますが、詠観橋を含め今もそのままといった感じです。普通並みの宿泊料でもあり、ここに泊りたかったのですが、いつもの思い付きの計画なので直前での予約はかないませんでした。宿泊できる部屋数も多くはないのかもしれません。
「向瀧」
近くに酒屋があったので、地酒でも買っておこうと思ったのですが営業している様子はありませんでした。隣の食堂に入り、昼食がてら主人に聞いたところ「数年前にやめてしまって、この温泉街に酒屋はなくなってしまったんです」とのこと。旅館あっての酒屋、その酒屋がなくなったというのは思いのほか深刻なのでは?と心配になってしまいました。
湯川沿いに歩いてみました。川の両岸に「滝」の名の付く旅館が並んでいます。改装中なのか材木が積み上げられ、作業の真っ最中だったり、すでに営業をやめて廃墟同然の建物も散見されました。ここには19の旅館・ホテルがあるそうですが、実際に営業しているのはその半数ほどでしょうか。
残念坂、湯泉坂を過ぎると射的場がありました。このあたりが中心部ということでしょうか。店屋は羊羹専門店のみ、他に理容店、食堂数軒。かつての商店や民家もぽつりぽつりとあるものの廃屋が目立ちほとんど人の気配はなし。宿が元気にならないと生活の場も成り立たないのか、あるいは宿のみ頑張ってもいかんともしがたいのか、複雑な気分になってしまいました。
残念坂
平日でまだ昼過ぎのためか温泉街を歩いているのはXと自分のみ。入国緩和や旅行支援も始まり、観光客でごった返しているのでは?などと話していたのですが、そのような心配はここでは無用のようです。ところどころに淵や滝が現れる湯川の清流はなかなかのもので、川沿いに与謝野晶子や竹久夢二の碑がありました。かつて多くの文人も訪れたようです。
さらに奥に「雨降り滝」や「傘岩」などの名所があるようですが寒くなり、引き返すことにしました。途中、湯泉神社への階段を上ってみたところ、温泉街の一部が見渡せました。多くは鉄筋の大型ホテル。そしていくつかの廃墟。いっときは手に余るほどの客を受け入れ、活気を極めたのだろうと思います。どんな経過をたどり、どんな営みがあったのか。栄枯盛衰と人々の苦楽を凝縮しているようで、自分はそんな風景に心惹かれてしまうところがあります。
湯泉神社へ
神社境内
予約しておいた宿に到着してみると、まだチェックイン時間前というのに駐車場やロビーはけっこうな人出でした。みなさん、車で宿に直行し、あとは外出することも歩いたりすることもなし、ということなのかもしれません。案内された部屋からは会津若松市街が一望で、さほど遠くないことに意外な感じを受けました。
近くに標高870mの背あぶり山があり、眺めも良いらしく移動局の無線運用地にもなっているようです。車なら山頂公園まですぐのようですが、温泉街から登山できなくもなさそうなので、ゆっくり2泊して登ってみるとか、あるいはここを拠点に会津の山に登るもの悪くないかな、と思った次第です。