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鉱石探し 広瀬川源流・奥新川 (2022/10/26 10:07:20)
地元産、できれば自分で採取した鉱石で検波してみたいとの思いがあり、だいぶ前に隣県の大蔵鉱山跡に採取に出かけたことがあります。予備知識も準備もなかったこともあり、その時拾い集めた石はことごとく検波はしてくれませんでした。それから11年。仙台近郊でも採取できる可能性があることを知り、かねて思いをめぐらせていた「鉱石探し」に出かけてみることにしました。
もともと当県周辺は国内最古の金産出地であり、数十年前までは現役の鉱山も複数ありました。鉱物に恵まれた土地ではあるようです。今回訪れた場所は広瀬川の源流、奥新川。かつてここに「秋保鉱山」があり、従業員やその家族数百人が暮らし、学校や医院もあったのだそうです。昭和36年に閉山となり、今は跡形もなく藪に埋もれてしまったようです。資料によると主に銀、銅を産出とあります。
JR仙山線に乗り奥新川駅へ。数年前の大雨による崩落で遊歩道(奥新川ライン)が通行止めとのことですが、実情が良くわからず、また案内板も設置されていましたが、どういう状況でどこからどこまでが通行止めなのか、いまひとつわかりません。鉱山跡まで行けないとしても、その下流の河原でも採取できるのでは?ということで、とりあえず駅から左手奥の林道を進みました。
奥新川駅
1kmほど歩くと仙山線の赤い橋脚が現れました。その下を流れる「四ノ沢」上流に「秋保鉱山」があったようです。手前にクサリが張られ、ここで通行止めとなっていました。少し林道を引き返し、適当なところから南沢(奥新川)に下りてみました。かつては沢を縫うようにか細い遊歩道が続いていたのですが、痕跡すらありません。これでは修復というより、ゼロから作り直すしかなさそうです(予定はない模様)。
南沢
さて、「四ノ沢」合流地点の下流かつ小広い河原になっており、ここで採取を試みることにしました。目当ては方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、班銅鉱などの半導体鉱物。付け焼き刃で仕入れた予備知識をもとに錆色の石とか縞模様のある石、あるいは持ってみて重い石を探し、次々ハンマーで割ってみました。すると、断面に小さなキラキラ光るものが・・・。
不揃いに散らばったものもあれば、きれいな立方体のものも確認できました。たぶん黄鉄鉱・・・いや、黄鉄鉱に違いありません。汗だくになりながら2時間ほど作業を続け、思いのほか多く見つけることができました。残念ながら他の鉱石は採取できませんでしたが、これだけでも大満足で帰路につきました。
帰宅後、持ち帰った石のかけらから鉱石結晶のみを取り出す作業をおこないました。その過程でうまく分離できなかったり、割れてさらに小さくなったり、けっこう難しいです。大きさはほとんどが2~3 mm。1つだけ5mmを超えるものが採取できたもののまだ石に張り付いた状態で、分離できないでいます。
鉱石を含んだ石
天然とは思えないような立方体結晶
比較的大きな採取物
分離した黄鉄鉱の結晶
検波が目的なので鉱石の大小は関係ないはず、ということで「探り式鉱石ラジオ」に結晶をセット。さっそく検波するかどうか試してみました。
慎重に針を当てるとカサッという音と共に音声が聞こえたような気がしました。でもそれは一瞬で、何も聞こえなくなってしまいました。何度も鉱石の向きや針の位置、圧力を変えながら試していったところ、ついに明瞭に聞こえる個所を探すことができました。NHK仙台第一。聞こえてきたのは国会中継。音量、安定感ともに良好で、十分に了解できます。国会では原発汚染水について質疑中で、その内容はともかく、聞こえていること自体に感動し、しばし聞き入ってしまいました。そして、米粒みたいな鉱石がとてもいとおしく感じられ、満ち足りた気持ちでいっぱいになりました。これぞ「地(自)作りラジオ」。自採取・地鉱石で放送を受信する、長年の思いが一つ叶いました。
鉱石採取の愉しさにも少し目覚めました。我が家のすぐ前を流れる広瀬川、その上流にこのような鉱物が眠っていたとは・・・。これまでは単なる河原、単なる石としか見えていなかったものが、違った風景に見えてきました。すべてがいわば地球の営みから生まれた貴重な贈り物。本格的な採取には知識と熟練、それなりの道具も必要なようです。アプローチを重ねながらいろんな鉱石を見つけ、検波を試してみたい・・・そんな思いがまた湧いてきました。