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「2023年世界無線通信会議(WRC-23)に向けた我が国の考え方(案)」についてパブコメ意見提出(2回目) (2022/12/15 0:26:27)
来年2023年のWRC-23に向けた我が国政府としての意見案が、 2022年6月に 1回パブコメにかかりましたが、再度、11月15日付けでパブコメにかかりました。
2023年世界無線通信会議(WRC-23)に向けた我が国の考え方(案)に係る意見募集
我が国の意見案の比較
6月パプコメ前の案
6月パブコメ後の案。変わっていませんね。
今回(11月)パブコメにかかった案
「また、」以下が追加されています。「みちびき」等の受信機に干渉を与える場合があることが前提となっていますが、その程度が問題です。
IARUの動き
IARUは、 「アマチュア業務の送信機からの無線航法衛星サービス (RNSS) への干渉の可能性は、誇張されている。」という立場を取っています。 私も同感です。
2022年9月22日付けの拙稿はこちら。
「1200MHz帯と衛星測位システム」問題についてのIARUの見解書(2022年9月版)
さらに、 2022年11月25日付けで「1200MHz帯とみちびき」問題についての最新の記事がIARUのサイトに公開されました 。11月のWP5A会議議事録のこの部分が、核心とみました。
関係者の予備会合で、1298~1300MHz(Block A2)はアマチュア業務に確保されることが合意されたようです。上限150Wまでとされているのは、EMEを念頭に置いているのでしょうか。
さらに、いくつかの帯域をアマチュア用に確保できるよう交渉が続けられているようですが、1260MHzより下はJAではオフバンドになってしまうので関係ありません。
ここにJAのバンドプランを貼り付けておきます。
予備会合で交渉中の帯域のうち、
1296~1298MHz 150W
1293~1294MHz 1W(レピータアップリンク)
1260~1262MHz 20W(サテライト)
は、JAのバンドプラン内です。ぜひ確保して頂きたいところです。日本の「みちびき」の中心周波数1278.5MHzも避けられます。
それ以外の帯域は、500mWに制限される模様です。現行の1Wの半分でよしとできるでしょうか。下手すると5mWになりそうです。。
現状、日本では移動局1W、レピータ1Wに制限されていますが、みちびきに悪影響が生じているという話は聞きません。WRCでは、ぜひJAの現実も見て欲しいと思いませんか?
私は、IARUのこの問題の担当者に対し、「日本ではレピータを1Wに減力すれば『みちびき』には影響を与えない、ということで、決着している」とメールしてみたところ、「知らなかった、貴重な情報をありがとう」との返事を頂きました。
JARLは、前回のパブコメでは、いいことを言っていました。
ですが、この問題について最前線で尽力されているIARUには伝えていなかったようです。
JARLももっと国際的な活動(貢献)をすべきではないでしょうか。
総務省へのパブコメ意見
私は、以下の意見を提出しました。
「1,240-1,300MHz帯に二次分配されているアマチュア業務及びアマチュア衛星業務から無線航行衛星業務(RNSS)(宇宙から地球)の局(受信機)を保護するための技術的及び運用上の検討」に際し、 アマチュア局がRNSSに対し与える影響の評価基準として、単に電波の強度や電波型式だけではなく、連続送信時間も加えるよう 、日本政府として提案されるよう要望する。
RNSSは、衛星から発せられる電波を連続して受信しなければ機能しないものではないから、仮にアマチュア局が電波を短時間(例えば15秒間)発信し、 一時的にRNSS衛星からの電波を受信できなくなったとしても、アマチュア局の送信が終了すれば、RNSS衛星からの電波を受信できるようになり、実務上支障は生じないと思われる。したがって、アマチュア局に対し、出力や電波型式だけでなく、送信時間に上限を設ければ、アマチュア局のRNSSに対する影響を抑えることができると考えられる ため、以上の提案を行う。
また、日本では、 移動するアマチュア局やレピータの出力は1Wに制限することで、「みちびき」への影響を回避できている ことを、日本政府として情報提供すべきである。情報提供できないのであれば、その理由をご教示頂きたい。」
(2022-12-15 記)