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Pocke VDPの試作! (2023/1/22 17:50:52)
昨年11月、12月頃に短縮コイル入替型のV型ダイポールの試作をしていました。
ベランダや、移動運用でよく使用されるアンテナは垂直型が多いですが、ラジアルやアースの取り方で性能は著しく変化し、調整の苦労もそれなりにあります。
これに対してダイポール型の場合アースの問題はだいぶクリヤされるのではないかと、収納時はコンパクトに、軽量で持ち運びにも便利なアンテナをと製作してみました。
7MHzだと相当な短縮率になるのですが、実際にQRP(5W)で使用してみても、7MHzで国内はほぼ問題なくQSOが可能でした。DXも近隣(中国、台湾)はOKでした。
21MHzではコンディションも手伝ってか、QRP(5W)で南米(アルゼンチン、ウルグアイ)とQSOできました。
いずれもFT8ですが。
この様子は、時々Twitterで呟いていたのですが、試作の内容を纏めないままになっていました。
アンテナでいつも大変お世話になっている JK1LSE OM殿にもテスト使用をお願いしたりしていたのですが、、当局が纏めるより先に LSE OM殿には、BLOGで試用レポートを上げてもらっていました。(是非ご参照ください)
http://honda.way-nifty.com/pocky/2022/12/post-8e12ac.html
当局的にもどこかに纏めたものがないと忘れてしまうので、遅ればせながら備忘録として纏めることにしました。
【目標仕様】
1.50MHz フルサイズ ダイポール(片側約1.5m)
2.HF帯は短縮コイルを入れ替えて各バンド対応(7~28MHz)
3.エレメント先端部はロッドアンテナとしてバンド毎の
微調整可能
4.分解時、A4サイズ以内で収納可能
5.マッチングユニットはバンド別プラグイン
6.軽量
短縮ホイップ型も考えましたが、ラジアルやアースなど設置環境でのバラつきを調整で補うことになり、比較的それらの影響の少ないダイポール型で作ることにしました。
とは言え、設置環境で共振点は移動し、7MHz等においては短縮率が大きいためSWR2以下の幅は狭くなり CW、デジタル、Phone等の運用モードによる共振周波数は簡単に調整できる必要があり、先端エレメント部のロッドアンテナ採用はこれに最適と判断しました。
【使用部品】
1.ロッドアンテナ:全長83cm 仕舞寸法10cm
2.手元エレメント:12φアルミパイプ 28cm 2本継
3.エレメントジョイント:VE14管塩ビ電線管
4.コイルボビン:7/10MHz VE16管、14~28MHz VE14管
5.コイル線材:0.5mm ポリウレタン線
6.バラン材:FT37-43材(ソーター型)
7.エレメントジョイント構造物:3Dプリンタによる製作
8.重量:420g(7MHzコイル装着時実測)
9.耐入力:20Wmax(SSB時)FT8,CW時は10W以下を推奨
ジョイントとコイルボビンにVE管を使用したのは、一般的に使用される水道管用のVP管と比較し、肉厚が少し薄く軽くできるからです。材料はほぼ同じようです。
【ブロック別構造】
1.給電部
バラン内蔵 エレメントジョイント部
2.マッチングユニットプラグイン部
プラグイン端子面 プラグイン後
3.マストクランプ部
10~35φ程度のマストに固定可能
4.手元エレメント部
片側2本構成 エレメントジョイント部
5.給電部エレメント結合、ジョイント
給電部/エレメント結合 エレメント/エレメント結合
6.短縮コイル部
短縮コイル 短縮コイル結合部
7.先端ロッドアンテナエレメント部
先端エレメント 短縮コイルとの結合
8.片側エレメントセット(短縮の場合)
給電部を除くエレメントセット
(50MHzの場合は短縮コイルの代わりにエレメントジョイントを使用)
9.マッチングユニット
裏側 各バンド対応(一部兼用)
10.短縮コイル
カバー装着前 カバー装着後
【設置事例】
1.三脚設置
2.ベランダ設置
塩ビ管の45度エルボを使用してベランダから突き出し設置
右は、ロッドアンテナエレメントのみ縮めた状態
【バンド帯域特性(VSWR)】
Pocke Antenna Analyzerでエレメント長調整後
各バンド写真下の値はSWR計での実測値
SWR1.5以下帯域幅 ±9KHz
SWR2以下帯域幅 ±17KHz
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 25KHz
SWR1.5以下帯域幅 ±14KHz
SWR2以下帯域幅 ±25KHz
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 54KHz
SWR1.5以下帯域幅 ±20KHz
SWR2以下帯域幅 ±35KHz
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 50KHz
SWR1.5以下帯域幅 ±38KHz
SWR2以下帯域幅 ±75KHz
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 60KHz
SWR1.5以下帯域幅 ±60KHz
SWR2以下帯域幅 ±105KHz
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 90KHz
SWR1.5以下帯域幅 ±60KHz
SWR2以下帯域幅 未測定
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 80KHz
SWR1.5以下帯域幅 ±65KHz
SWR2以下帯域幅 ±125KHz
エレメント1cm当たりの周波数偏移量 109KHz
※50MHzは手元にデータが残っていませんでした。フルサイズなので当然ながらバンド幅は広い。
JK1LSE OMの測定で、紹介されています。
※エレメント1cm当たりの周波数偏移量データにバンド間で矛盾を感じるところもありますが、測定当時のデータをそのまま記載。マクロで参照すれば問題はないかと思います。
【失敗談】
短縮型ですから、短縮した分投下したエネルギーはコイルで熱となって消費されます。
このコイルでどこまで持つか、50Wを連続で投入していたら、見る見るうちにSWRが悪化していき、ベランダに出てみたら、コイルが写真のような有様です。
20Wでもほんのり暖かくなります。(よって推奨は10W以下)
コイルボビンにファイバー製など高温に強い材質で軽量のものがあればよいのですが、コストパフォーマンスから現状のVE管となっています。
【3.5MHz対応】
3.5MHz対応は短縮率が大きすぎるのと耐入力に限界があるので現実的な使用には耐えられないだろうと思って考えていなかったのですが、Twitterで呟いたら、3.5MHz用のコイルは?という質問があり、とりあえず作ってみようかと思いコイルを巻いてみました。
上の黒いのは7MHz用コイルです。
巻き数が非常に多く苦労しましたが、何とか共振でき、QRP(5W)での使用では国内はできないことはないといった印象でした。苦労の割には短縮し過ぎかな?!
【纏め】
結果として、ディスコンが正式に発表されたFT-818とかIC-705、また自作などのQRPリグなどでのQRP移動運用、ベランダでのスティルスアンテナとしてそれなりに使用できるアンテナが出来上がったかなと思っております。
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