ホーム >> 無線ブログ集 >> 【読み解き】「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正」2023年3月施行部分(その3)

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feed 【読み解き】「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正」2023年3月施行部分(その3) (2023/3/17 9:07:34)

その1   その2  の続きです。

体験運用の全面解禁(振興策試案)

JARLによる「体験運用の振興策」は、残念ながら3月の施行に間に合いそうにありません 。そこで、僭越ながら試案を考えてみましたので公開します。髙尾会長、尾形理事におかれましては、採用をご検討頂けましたら幸いです。

  • 「体験運用セット」を作る。
    • 宣伝用「体験運用ミニのぼり」
    • 体験運用の前に行うレクチャーで使う資料。動画だとなおよし。
      (今回の改正で、体験者が「無線技術に対する理解と関心を深めるとともに、当該操作に関する知識及び技能を習得できるよう、適切な働きかけに努める」こととされましたので、「はい、話せたね、面白かったね」ではちょっと不十分な感じです。)
    • 体験運用シナリオ
      (しつこいようですが交信の最初は有資格者が始め、最後は有資格者が締める必要があります。シナリオは、違法運用を防ぐためにとても重要)
    • 修了者に渡す「アマチュア無線体験交信証」
    • 「免許の取り方」パンフレット(国試と講習会の日程表付き)
    • (以上、きれいに印刷して販売すれば、JARLの宣伝と増収策の一石二鳥)
  • 「アマチュア無線体験運用シンポジウム」をオンラインで開く。
    • 第Ⅰ部 総務省の方をお招きして制度のご説明
    • 第Ⅱ部 体験局運営経験者による「(仮)体験運用のススメ」
    • 第Ⅲ部 座談会「(仮)体験運用の苦労と喜び」
    • ⇒Ⅱ部とⅢ部には、「JARL支部体験局」「学校クラブ体験局」「地域クラブ体験局」「ボーイスカウト体験局」「記念局を兼ねる体験局」等々の方々をお招きしたい。
  • 「アマチュア無線体験運用の日」を制定する。例えば5月5日のこどもの日と10月第2月曜のスポーツの日はいかがでしょうか。
  • 今回の体験運用の全面解禁を祝う「体験運用QSOパーティ」を開催する。
  • コンテストに「体験局部門」を設ける。体験局とのQSOは得点アップ等々。

体験証の例( JR1YNU/8J1YAOのサイトよりリンク貼り付け )  

ミニのぼりの例(8J2YABの例。 7コールアマチュア無線クラブのサイトよりリンク貼り付け

外国人の日本でのアマチュア無線運用

今回の改正部分を含め、全体像を整理してみます。

「相互運用協定」締結国(注1)の免許保有者(国籍問わず) それ以外の国の免許の保有者
個人局の開局 来日前に開局申請が必要
コールサインは通常のJコール
不可
社団局のメンバーになる 来日前に総通から「証明書」の取得が必要 不可
社団局のゲスト運用 できるが、社団局構成員の立ち会いが必要 不可
個人局・社団局の体験運用 できるが、免許人によるコントロール必要 同左

外国旅行者が日本で運用するには、「事前の手続」(上ふたつ)か、「日本のアマチュアの立ち会い」(下ふたつ)が必要です。

赤く塗った部分 、「外国有資格者が(個人局を開設せず)社団局のメンバーになるためには、総通から証明書を取得することが必要」ということ、あまり知られていないと思います。 JJ1WTL本林さんの記事 に証明書のサンプルが載っています(「3. 日本の局免を持たない外国人の,社団局運用」)。

今回の改正は、 上の青く塗ったケース (ゲストオペ・体験運用)では、総通の事前証明書は不要ということを 明確にしただけ です。実質は変わりません。

日本の有資格者が米国を訪問したときは、何の手続も要らず、空港に降り立ったときから「W1/7K1BIB」のコールサインで運用できます。日本の手続はあまりに面倒。「相互」協定とはいえないと思います。OMOTENASHIの精神で制度を変えていきたいものです。

(注1)「相互運用協定」締結国:米、独、加、豪、仏、韓国、フィンランド、アイルランド、ペルー、ニュージーランド、インドネシア、 CEPT Recommendation T/R 61-02 参加国

D-STARレピータのリフレクタへの接続解禁?
C4FMレピータの解禁?

電波法関係審査基準の「14 レピーター局」について、ひっそりと以下の改正がなされます。

改正後の条文 現在の条文
イ 公衆網に接続することによって一体として構成される レピーター局 に係る中継を行う場合(構成図は、図15―3のとおり。)。
ただし、周波数の有効利用の観点から、公衆網に接続するレピーター局を起動させるための信号は、特定のレピーター局を起動させるものであって、かつ、起動するレピーター局は必要最小限のものに限るものであること。
イ 公衆網に接続することによって一体として構成される 二のレピーター局 に係る中継を行う場合(構成図は、図15―3のとおり。)

今は「2個のレピータ」をネット接続することしか認められていませんが、この個数制限がなくなります。これ、大きな朗報かもしれません。

D-STARは日本発のデジタル技術ですが、2個のレピータをインターネットでつなぐところから始まりました。いわゆる「ゲート越え」運用ですね。

海外では、D-STAR網はさらに進化して、「リフレクタ」という一種のサーバーに、たくさんのレピータがぶら下がる仕組みが主流になっています。世界各地のレピータがぶら下がっていて、米国からCQを出すとオーストラリアからコールバックがあるといった超巨大リフレクタもあります。日本から海外のレピータに「ゲート越え」をしようとしても対応していなかったり、レピータは対応していても現地のハムが「RX→CSボタンを押す」といった操作を知らないので、D-STAR経由での海外交信はなかなかできなくなってしまいました。

他方、日本のD-STAR網では、レピータのリフレクタ接続は認められていません。相変わらず「ゲート越え(コールサインルーティング)」だけ。

日本でレピータのリフレクタ接続が認められない原因は、現在の条文上、「2個のレピーター局」の接続しか認めていないことにあると私は見ています。リフレクタの仕組みでは、3個以上のレピータがリフレクタを中継してネット接続されることになってしまうからです。

WIRES-XやDMRのレピータが認められていないのも、(JARLの意向はさておき)現在の条文が「2個のレピータ局」の接続しか認めていないことに原因がありそうです。

ところが、今回の改正で「二の」という文字が消えることになりました。これは、リフレクタ接続に途を開くことになるのではないでしょうか。パブコメで以下の質問を投げてみました。

私の質問

総務省の回答

「ご提示の内容が不明」・・・総務省は、海外D-STAR網の実態までは把握されていないようです。さあここでJARLの出番でしょう。

2021年2月のJARL第54回理事会 で、D-STAR以外のレピータを検討することが決まっています。その後、動きが見られませんが、D-STARレピータでのリフレクタの解禁、WIRES-XやDMRレピータの解禁のため、JARLには積極的に動いてほしいものです。

(2023-03-17 記)


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