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Pocke MDX の試作 (2023/3/29 19:51:20)
基板ができてから2か月ほど放置されていましたが、やっとのことでソフトの移植も含め何とかOnAirできるようになったので、備忘録として記録を残します。
Pocke MDXとは? 最近はやりのデジタルモードに機能を絞った、プラグインコイルタイプのダイレクトFSK方式のシンプルマルチバンドQRPトランシーバーです。
デジタルモードは、最近はFT8が非常に人気です。過去に遡れば、ビーコン機能としてのWSPR、FT8の前に人気のあったJT65、最近ではスピードを上げたFT4というのがあります。
それぞれ、国際的に共通したバンド毎のモード対応周波数が使用されています。
FT8の周波数だけ対応していれば、殆どそれしか使わないかとは思いましたが、QRPであるがゆえにWSPRでビーコン発信したり、QRPでもチャンスが多いJT65にもOnAirできるように周波数対応しました。
方式は、今や自作シンプルトランシーバーの主流となったダイレクトFSK方式を採用しています。
これは、その昔、JT65(当時はFT8はなかった:現在FT8でも動作)で自作した方式です。
http://blog.toshnet.com/article/180626207.html
海外での自作機としては、ADXが有名です。
https://github.com/WB2CBA/ADX
QRP LabからもQDXという素晴らしいキットが販売されています。
https://qrp-labs.com/qdx.html
国内では、7L4WVU OMがWVU604Fという小型のQRP機を頒布されており人気です。
http://becl8873.livedoor.blog/archives/18093663.html
またJE1RAV OMがgithubで、CWにも対応した、基板データを含めて QP7C_TRX2というものを公開されています。
https://github.com/je1rav/QP-7C
更に、JE1RAV OMは、マイコンにRasPi Picoに採用されているRP2040(32bitマイコン)を搭載した小型モジュールXiao RP2040を使用したFT8専用機も公開されております。
これは、FT8トランシーバー機能を5cm四方の小さな基板で実現されており、最大の特徴は、PCとの接続がUSBケーブル1本で、やり取りするオーディオ信号をデジタルで構成されており、それをマイコンのみで実現されていることです。
USBからは、電源も供給されますので、これだけでQRPp機としてOnAirすることもできます。
https://github.com/je1rav/QP-7C_RP2040
当局的には、この方式にとても興味がわき、公開されている基板データを使用して実験機を作ってみました。昨年末のことです。(送信部は手持ち部品の関係で一部変更)
当局が試作したQP7C_RP2040
一部変更した送信部はそれなりにうまく動いていたので、その回路をベースにできうるデジタルモード、可能性のあるバンドを含めて保証認定をとり、実際の運用に使ってみました。
運用は7MHzのみですが、国内QSOであれば問題なく可能でした。アンドロイドスマホに乗せたアプリFT8CNでの運用も問題なく行えました。
こうなると、マルチバンド化と他のデジタルモードへ対応したくなり、まずこのソフトでFT4、WSPR、JT65、FT9のモードが可能かをテストしてみました。そして問題がないことが確認できました。
JE1RAV OMは、このソフトをオープンソース化されているので、当局が作るものとして、マルチバンド、マルチモードに対応し、その時の周波数、モードを表示する表示器も搭載したものとしました。
マルチバンド化はリレーなどを使用するとどうしても大きくなってしまうので、コイルモジュールをプラグインで交換できる方式とし、バンドも自動認識できるようにしました。
バンドモジュール ガイド付きで楽々プラグイン
14MHzバンドモジュールを挿した時
モードの変更は、スイッチで行い、搭載されたバンドモジュールの周波数における各モードを選択し、モードと周波数を表示します。
JT65を選択 FT4を選択
この内容で試作したのが、Pocke MDXです。
MDXとは、Multiband Digitalmode Xceiver の略です。
基板は、1月に発注し出来上がっていたのですが、ハムシンポの準備・他で今まで放置された状態でしたが、やっとソフトを改造してなんとかQSOできるレベルになりました。
マイコンモジュールは、同じXiao RP2040でもよかったのですが、ピン数が少なすぎるので、同じRP2040を使用して少しだけ大きいけれど出力されているポート数が9ポート多い RP2040 Zeroというものを使用しました。(現状ポートは余っていますが)
左:Xiao RP2040 右:RP2040 Zero
現時点の回路図は以下の通りです。
大元がシンプルな設計なので、表示、プラグインバンドモジュールを追加してもシンプルな回路構成です。
ここまでの状態で、7MHzバンドモジュール でPCに接続、WSJT-XでOnAirしてみました。
USBからの電源供給で約0.2W 7エリアや9エリアとQSOできました。
CQ局を呼んだのですが、0.2WだとQSOはできますが、呼んだらすべて返信があるかというと打率3割くらいでしょうか!
外部12V電源を供給して出力約1W 比較的呼んだ局からは返信があります。打率8割くらい!
QSO終了後、別の局からも何度か呼ばれQSOできました。
PSKRを見る限り、全国に飛んでいるようです。
こうしたシンプルでQRPなリグでも、自作したものでQSOが可能になるというのは非常に楽しいものです。
残念ながら、これで完成ではありません。
まだまだ課題が残っています。
① パワーが最初の想定より低い。(最初の試作はUSBで0.5W、12Vで2.5W 7MHz)
② 他バンドでの実力(これからテスト)
③ 表示器からのノイズ(デコードへの影響はないですが)
※気にしていたDC方式での局発の漏れは、規制値をクリアしてました。
以上、現時点までの試作状況です。
<謝辞>
素晴らしいUSBデジタルオーディオ伝送方式を開発していただき、オープンソースにしていただいた
JE1RAV OM殿に心より御礼申し上げます。
オープニング画面に謝辞を入れました。
※ソフトウェアに関しては、現時点未完成のため公開しませんが、ルールに基づき、将来的には、このサイトにて公開、または要望された方に公開してゆくつもりです。
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